2019年も終わるのかぁ・・・
「曜ちゃん、ヨキソバ一つ!」
「ヨーソロー!」
「天くん、かき氷のイチゴとメロンを一つずつ!」
「了解です」
千歌さんと梨子さんからオーダーを聞き、迅速に対応していく曜さんと俺。
俺達がやっている海の家は今、隣の店に負けないくらい繁盛していた。
「まさかこんなにお客さんが来るなんて・・・」
「想像以上でしたね」
曜さんの言葉に苦笑する俺。
そもそも最初は知り合いを呼ぼうということで、浦の星の生徒達に片っ端から連絡したのが始まりだった。
そして来てくれた皆が他校の生徒にも声をかけてくれて、そこからこの海の家の存在が広まっていったのだ。
人の力って凄いな・・・
「今は果南ちゃんが、外で宣伝してくれてるんだよね?」
「えぇ。効果は絶大でしょうね」
今日の果南さんは水着姿、しかもビキニだ。あの抜群のプロポーションを晒した状態でビラ配りをしてくれているので、目を引くこと間違い無しである。
『エッチな方法はダメ』と言っていた果南さんだが、これは大丈夫らしい。
まぁあの人、俺の前でも平気でダイビングスーツ脱ぐしな・・・
『是非お立ち寄り下さーい!』
『美味しい食べ物もあるずr・・・ありまーす!』
外からルビィと花丸の声が聞こえてくる。二人には今、店の前で声がけをしてもらっていた。
可愛らしい女の子二人が店の前に立っていたら、気になって来てくれる人もきっといることだろう。
「ヨキソバをお一つですね?かしこまりました」
「お待たせしました!かき氷のブルーハワイ味です!」
「ありがとうございました!またお越し下さいませ!」
笑顔で接客している梨子さん・千歌さん・ダイヤさん。おかげで客受けは非常に好評のようだ。
そして・・・
「とりゃあっ!」
鉄板の上の麺に、勢いよくソースを投入する曜さん。
曜さんの料理スキルはなかなかのもので、曜さんの作るオムソバ・・・通称『ヨキソバ』は、この海の家の看板メニューになっていた。
曜さんってホント器用だよな・・・
「曜さん、パーカーとか羽織った方が良くないですか?」
「いや、暑いから大丈夫。それにソースが跳ねたら汚れちゃうし」
「そうかもしれないですけど・・・油が跳ねたら火傷しません?」
今の曜さんは水着姿なので、かなり肌の露出が多いのだ。
果南さんも勿論そうだが、曜さんのスタイルもかなり良い。胸は大きいし、腰はくびれてるし・・・
健康的で色気のある身体を、俺の隣で惜しげもなく晒しているのだ。
「おっ、心配してくれるの?」
「言えない・・・曜さんの身体がエロすぎて、目のやり場に困るなんて言えない・・・(当たり前じゃないですか!俺にとって曜さんは大切な人なんですよ!?)」
「いや建前と本音が逆うううううっ!?心の声がダダ漏れなんですけど!?」
「曜さんの水着姿ってエロいですよね」
「もう本音を隠す気も無いの!?」
ツッコミ連発の曜さん。
「全く・・・『その水着似合ってますね』くらい言えないの?」
「いや、似合ってるのなんて当たり前でしょう。曜さんは何を着たって似合いますよ。メチャクチャ可愛いんですから」
「・・・そういうことを照れもせずに言えるんだから、天くんはズルいよ」
頬を赤く染める曜さん。どうしたんだろう?
「クックックッ・・・」
後ろの方で善子の笑い声が聞こえる。
確かアイツは、たこ焼き担当だったはず・・・
「善子、たこ焼きは出来t・・・」
善子の方を振り向いた俺は、思わず固まってしまった。
善子の手元の鉄板には、たこ焼きとはまるで違う黒の球体がいくつも並んでいたのだ。
「堕天使の涙、降臨ッ!」
「オッケー、今すぐ泣かせるわ」
「ぐえっ!?」
背後から善子に関節技を極めにかかる。
何やってんだコイツは・・・
「ちょ、天!?いきなり何すんのよ!?」
「俺『たこ焼きを作って』って言ったよね?何で暗黒物質を生成してんの?」
「暗黒物質・・・ダークマターってことね!?その名前も捨てがたいわ!」
「人の話聞けや」
ダメだこの子、完全に自分の世界に入っちゃってる・・・
と、曜さんが引き攣った表情で『堕天使の涙』とやらを見つめていた。
「へ、へぇ・・・善子ちゃんのたこ焼きって独特だね・・・」
「いや、独特っていうかもうたこ焼きじゃないでしょ」
「フフッ、食べてみる?」
俺のツッコミはスルーした善子は、『堕天使の涙』に竹串を刺した。
その瞬間、中から赤い液体が溢れ出てくる。
「ひぃっ!?」
「あー・・・」
悲鳴を上げた曜さんが、俺の腕にしがみつく。
なるほど、コレの正体が分かってしまった・・・
「曜さん、コレ食べない方が良いですよ」
「だ、だよね!じゃあ遠慮しt・・・」
「えいっ」
「むぐっ!?」
曜さんの口に『堕天使の涙』を突っ込む善子。
突っ込まれた曜さんの顔はどんどん赤くなっていき、そして・・・
「ギャアアアアアッ!?辛いいいいいっ!?」
その場で悶え苦しむ曜さん。
あぁ、やっぱり・・・
「フフッ、そんなに美味しかった?」
「シャラップ」
「むごぉっ!?」
善子の口に出来上がったかき氷をぶち込み、曜さんにペットボトルの水を手渡す。
曜さんはひったくるように受け取ると、そのまま水を一気飲みした。
「ごく・・・ごく・・・ごく・・・ぷはぁっ!し、死ぬかと思った・・・」
「ご愁傷様です」
「あ、頭が・・・」
アイスクリーム頭痛に悶える善子に、俺は呆れた視線を向けた。
「善子、ハバネロ入れすぎ。売り物にならないって」
「あの赤い液体はハバネロだったの!?」
衝撃を受けている曜さん。実は善子は極度の辛党であり、ハバネロ大好き人間なのだ。
津島家で夕飯をご馳走になっていた頃、色々なものにハバネロをぶっかけて食べる善子を見てドン引きしたのはここだけの話だ。
善恵さんも遠い目をしてたっけな・・・
「何でよ!?ピリ辛ぐらいでしょ!?」
「どこがピリ辛!?私死にかけたよ!?」
「善子は辛いものに舌が慣れすぎてるんで、これでもピリ辛レベルにしか感じないんですよ。要は味覚がぶっ壊れてるんです」
「善子ちゃん・・・恐ろしい子・・・!」
「ヨハネよっ!」
「フッフッフッ・・・」
俺達が騒いでいると、今度は小原理事長の笑い声が聞こえてきた。
うわぁ、嫌な予感しかしない・・・
「小原理事長、何を作って・・・」
「Unbelievable・・・『シャイ煮』、complete・・・!」
「・・・もう嫌だこの人」
まるで魔女のように鍋をかき回している小原理事長を見て、俺はもうツッコミを入れる気さえ起きなかった。
十中八九、イレギュラーメニューだろうな・・・
「出来たわ天!『シャイ煮』よ!」
「『シャイニー』とかけてるみたいですけど、何も上手くないですからね?」
「さぁ、食べて食べて!天の胃袋を掴んじゃうわ!」
「むしろ胃がK.O.されそうなんですけど」
この人お嬢様だから、料理とかしてこなかったんだろうな・・・
恐る恐る『シャイ煮』を一口食べてみると・・・
「そ、天・・・?」
「大丈夫・・・?」
「・・・美味しい」
「「えぇっ!?」」
驚く善子と曜さん。
何か普通に美味しいんだけど・・・
「フッフッフッ・・・『シャイ煮』は私が世界から集めたspecialな食材で作った、究極の料理デース!」
ドヤ顔で胸を張る小原理事長。
制服の上からでも分かるくらい大きかったけど、水着になると本当に大きいことが改めて分かるな・・・
「・・・天、視線がいやらしいわよ」
「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか」
「何でえな●かずき?私にはそんな視線向けてこないくせに・・・」
「え、向けてほしいの?」
「そ、そんなわけないでしょバカ!」
顔を赤くしてそっぽを向いてしまう善子。
理不尽だなぁ・・・
「・・・天くんって、乙女心が分かってるのか分かってないのかハッキリしないよね」
呆れたように溜め息をつく曜さん。
俺が何をしたというのか・・・
「ところで小原理事長、『シャイ煮』の中にちょいちょい高級そうな食材が見えるんですけど・・・いくらしたんですか?」
「んー・・・十万円くらい?」
「高過ぎるわっ!」
「ぐはっ!?」
再び『雷鳴八●』を叩き込む。
全く、これだから成金一族は・・・
「とりあえず作業に戻りましょう。曜さんは引き続き『ヨキソバ』を作って下さい。善子はちゃんとたこ焼きを作ること。ハバネロは没収するから」
「ヨーソロー!」
「そんなぁっ!?」
「それから小原理事長、『シャイ煮』は却下です。俺はちょっと食材の買い出しに行ってくるんで、代わりにかき氷作りをお願いします」
「うぅ・・・分かったわ・・・」
うなだれている小原理事長。
「・・・やっぱり、『小原理事長』よね」
何かを小さく呟いた小原理事長は、少しだけ寂しそうな表情をしていたのだった。
どうも〜、ムッティです。
この間『THE カラオケ★バトル』に、きんちゃんが出てましたね。
・・・歌上手すぎない?
上手いのは知ってたけど、改めて聴くとメチャクチャ上手いですよね。
あいきゃんといいあいにゃといい、何故こんなに歌が上手いのか(´・ω・`)
個人的にあいきゃん・あいにゃ・きんちゃんの三人で歌うところを見てみたいわぁ・・・
さてさて、今回は海の家の回でしたね。
曜ちゃんとイチャイチャ(?)してたり、善子ちゃんをしばいたり・・・
そんな中、やっぱり鞠莉ちゃんがちょっと寂しそう・・・
果たしてこれからどうなっていくのか・・・
これからの展開をお楽しみに(・∀・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!