絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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新年、明けましておめでとうございます!

1月1日はダイヤさんの誕生日ということで、それを記念して短編を書いてみました!

本編とは時系列も話の流れも違いますので、予めご了承下さい。

それではいってみよー!


【黒澤ダイヤ】いつかきっと・・・

 「えっ、ダイヤさんの誕生日って元旦なの!?」

 

 「そうだよ」

 

 俺の問いに頷くルビィ。

 

 俺・ルビィ・花丸・善子の一年生組は、俺の家に集まって冬休みの宿題を片付けているところだった。

 

 「マジか・・・元旦が誕生日って珍しいね」

 

 「ホントよね・・・もしかしてダイヤ達のご両親は、そこまで計算してヤッたのかしら?」

 

 「女の子が『ヤッた』とか言うんじゃありません。っていうか生々しいわ」

 

 「やった?お父さんとお母さんが何かやったの?」

 

 「ルビィ知らないの?子供っていうのはね・・・」

 

 「“檸●爆弾”の代わりに“蜜柑爆弾”」

 

 「ギャアアアアアッ!?目がッ!?目がアアアアアッ!?」

 

 「善子ちゃあああああんっ!?」

 

 炬燵の上に置かれた蜜柑を、善子の目の前で握り潰す。

 

 千歌さんに見つかったら怒られそうな行為だが、緊急事態だったので仕方ない。

 

 「気にしないで、ルビィ。何でもないから」

 

 「今の光景を見て『気にするな』っていう方が無理だよ!?」

 

 「いいからいいから。そこで転がってる心の穢れた堕天使なんか無視して、ルビィは心の清らかなまま成長してね」

 

 「何で慈愛に満ちた表情でルビィの頭を撫でてるの!?」

 

 ルビィのツッコミ。この子は俺が守らないと・・・

 

 「うぅ、目がぁ・・・」

 

 「自業自得ずら」

 

 目を擦る善子を見て、花丸が呆れている。

 

 「でも元旦っていうことは、マル達は直接お祝い出来ないずらね・・・」

 

 「冬休み中だし、お正月はAqoursの練習も休みだしねぇ・・・」

 

 「んー、どうにか直接お祝いしたいけど・・・あっ」

 

 「天くん?どうしたの?」

 

 首を傾げるルビィ。

 

 俺は三人に、あることを提案するのだった。

 

 「皆、大晦日の予定って空いてる?もし空いてるなら・・・」

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「うわぁ、人がいっぱい・・・」

 

 人の多さに唖然としている千歌さん。大晦日の夜、俺達は神社へとやって来ていた。

 

 境内は多くの人で賑わっており、俺達と同じく年が明ける瞬間を今か今かと待っている。

 

 「うふふ、天くぅん・・・」

 

 「ちょ、梨子さん!?」

 

 背後から梨子さんが抱きついてくる。

 

 顔は赤くなっており、目もトロンとしていた。

 

 「天くんも甘酒呑む~?美味しいわよ~?」

 

 「酔ってるんですか!?しかも甘酒で!?」

 

 「梨子ちゃん、さっきから結構なペースで呑んでたからねぇ・・・」

 

 呆れている曜さん。いや、気付いてたなら止めろや。

 

 「何なら、私が口移しで呑ませてあげようか~?」

 

 「是非お願いします」

 

 「ちょっと天!?何で欲望に忠実になってるの!?」

 

 「そうよ天!言ってくれれば私がやってあげるのに!」

 

 「鞠莉!?何言ってんの!?」

 

 果南さんのツッコミ。

 

 ダイヤさんが呆れながらこっちを見ている。

 

 「全く、皆さんはしゃぎすぎですわよ?もっと節度を持って・・・」

 

 「あっ、曜ちゃん!屋台出てるよ!」

 

 「ホントだ!行ってみよう!」

 

 「食べ物の屋台もあるずら!」

 

 「『激辛たこ焼き』!?興味をそそられるわ!」

 

 「花丸ちゃん!?善子ちゃん!?待ってぇ!」

 

 「人の話を聞きなさあああああいっ!」

 

 ダイヤさんの絶叫も虚しく、千歌さん・曜さん・花丸・善子・ルビィが屋台の方へと走って行ってしまう。

 

 おいおい・・・

 

 「アハハ、行っちゃったね・・・」

 

 苦笑する果南さん。

 

 「私と鞠莉が監督してるから、天とダイヤはどこかに座ってゆっくりしてて。すぐに戻ってくるからさ」

 

 「ついでにこの酔っ払いも回収していきマース」

 

 「ちょ、私は天くんと一緒が良いのぉ!」

 

 俺から梨子さんを引き剥がす鞠莉。

 

 うわぁ、容赦ないなぁ・・・

 

 「・・・ダイヤのこと、お願いね」

 

 「っ・・・了解」

 

 さりげなく耳元で囁かれ、思わず苦笑してしまう。

 

 あぁ、そういうことね・・・

 

 「じゃ、ちょっと行ってくるね」

 

 果南さんはそう言うと、俺に向かって軽くウインクしてきた。

 

 この人もそういうつもりだったのね・・・

 

 「・・・行ってしまいましたわね」

 

 溜め息をつくダイヤさん。

 

 「全く、勝手な行動ばかり・・・」

 

 「まぁまぁ、良いじゃないですか」

 

 苦笑しながらダイヤさんを宥める俺。

 

 「そこのベンチ空いてますし、座って皆を待ちましょうか」

 

 「・・・そうですわね」

 

 二人でベンチに腰掛ける。

 

 こうして見てみると、本当に人が多いな・・・

 

 「・・・フフッ」

 

 「ダイヤさん?」

 

 境内の様子を眺めていると、不意にダイヤさんが笑った。

 

 どうしたんだろう?

 

 「あぁ、すみません。楽しくてつい」

 

 微笑むダイヤさん。

 

 「友人と一緒に、賑やかに年越しの瞬間を待つなんて初めてなものですから・・・何だか新鮮な気持ちですわ」

 

 「・・・楽しんでもらえてるようで、ホッとしました」

 

 笑う俺。

 

 「ダイヤさんの場合、もっと静かに過ごしたいんじゃないかと思ってたんで・・・」

 

 「静かな時間も良いですけれど・・・こういう時間も嫌いではありませんわ」

 

 笑みを浮かべながら、屋台ではしゃいでいる皆の方を見つめるダイヤさん。

 

 「・・・ありがとうございます、天さん」

 

 「え・・・?」

 

 「ルビィから聞きましたわ。私の誕生日を祝う為に、わざわざ皆を集めてくださったんでしょう?」

 

 「・・・バレてましたか」

 

 全くもう・・・ルビィは何で話しちゃうかなぁ・・・

 

 「元旦が誕生日だと、友達からは直接お祝いしてもらえないもので・・・内心少し寂しかったりもしたのですが、天さんのおかげで良い誕生日が迎えられそうですわ」

 

 「・・・それなら良かったです」

 

 そう言ってもらえるだけで、行動した甲斐があったというものだ。

 

 俺はバッグの中からある物を取り出した。

 

 「日付が変わるまで、まだ少し時間はありますけど・・・これ、先に渡しておきますね」

 

 「これは・・・もしかして、誕生日プレゼントですか?」

 

 「えぇ、気に入ってもらえると良いんですけど・・・」

 

 「フフッ、ありがとうございます」

 

 嬉しそうにプレゼントを受け取るダイヤさん。

 

 「空けてもよろしいですか?」

 

 「・・・何かちょっと恥ずかしいんですけど」

 

 「中身が気になって仕方ありませんの。お願いします、天さん」

 

 「・・・どうぞ」

 

 俺が躊躇いながら頷くと、ダイヤさんがプレゼントを開けた。

 

 その中身を見て、ダイヤさんが驚いたように目を見開く。

 

 「マフラー・・・えっ、もしかして手編みですか!?」

 

 「えぇ、まぁ・・・売ってる物と比べたら、あまり良い物じゃないかもですけど」

 

 「とんでもない!凄く上手に出来てますわ!」

 

 目を輝かせ、赤いマフラーを眺めているダイヤさん。

 

 「天さん、編み物がお上手なのですね・・・どなたかに教わったのですか?」

 

 「えぇ、ことりちゃんに」

 

 μ'sのマネージャーをやっていた頃から、ことりちゃんにはよく編み物を教わっていた。

 

 ことりちゃん、こういうの本当に上手かったもんなぁ・・・

 

 と、ダイヤさんが上目遣いでこっちを見てくる。

 

 「あの・・・巻いていただいても、よろしいですか?」

 

 「え、えぇ・・・」

 

 少し緊張しながら、ダイヤさんの首にマフラーを巻いていく。

 

 巻き終えると、ダイヤさんが首元に巻かれたマフラーをギュっと握った。

 

 「・・・ありがとうございます、天さん。大事にしますわね」

 

 頬を赤く染め、少し照れたようにはにかむダイヤさんを見て・・・俺は思わずドキッとしてしまっていた。

 

 すると・・・

 

 

 

 ゴーン・・・ゴーン・・・

 

 

 

 「除夜の鐘が鳴っている、ということは・・・」

 

 「年、明けましたね・・・」

 

 いつの間にか、年が明けてしまったようだ。

 

 俺達はゆっくりと顔を見合わせ・・・同時に笑みを零した。

 

 「明けましておめでとうございます、天さん」

 

 「明けましておめでとうございます、ダイヤさん」

 

 何だか呆気なく年が明けてしまったが・・・こういうのも悪くはないかもな。

 

 「お誕生日、おめでとうございます」

 

 「ありがとうございます」

 

 俺の祝福に、笑顔で応えてくれるダイヤさん。

 

 「素晴らしい誕生日プレゼントも頂くことが出来て、私は幸せですわ」

 

 「そう言ってもらえて何よりです・・・へくしゅんっ!」

 

 思わずくしゃみが出る。やっぱり冷えるな・・・

 

 「大丈夫ですの?」

 

 「大丈夫です。やっぱり真冬の夜は寒いですね」

 

 苦笑しながらそう返すと、ダイヤさんはマフラーを外して俺に近付き・・・俺の首にマフラーを巻き始めた。

 

 「ちょ、ダイヤさん!?」

 

 「・・・これで良し、と」

 

 俺の首に半分ほど巻いたところで、残りを自分の首に巻くダイヤさん。

 

 俺とダイヤさんは、同じマフラーで繋がっている状態になった。

 

 「フフッ、これで少しは暖かいでしょう?」

 

 微笑むダイヤさん。

 

 同じマフラーを巻いているので、俺達は自然と密着する形になっていた。

 

 ヤバい、ドキドキが止まらない・・・

 

 「・・・こういうことすると、男は勘違いしちゃいますよ」

 

 「それならご心配なく。天さん以外にするつもりはありませんので」

 

 「いや、俺も男なんですけど」

 

 「フフッ、分かっていますわ」

 

 クスクス笑うダイヤさん。

 

 「天さんでしたら、勘違いしていただいても構いませんから・・・というより、勘違いではないのですけれど」

 

 「えっ、今何て・・・」

 

 「おーい、天くーん!ダイヤさーん!」

 

 俺が聞き返そうとしたところで、千歌さんの元気な声が響き渡った。

 

 「あけおめー!ことよろー!」

 

 「ダイヤさーん!誕生日おめでとうございまーす!」

 

 「んー、焼きそば美味しいずらー!」

 

 「ちょっと!?このたこ焼き全然激辛じゃないわよ!?」

 

 「善子ちゃん!?もうタバスコかけるの止めなよ!?」

 

 「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 「梨子!?こんなところで寝ないで!?」

 

 「アハハ、皆ホント自由だねぇ」

 

 騒いでいる皆。何やってんのあの人達・・・

 

 「・・・フフッ」

 

 ダイヤさんは楽しそうに笑うと、ベンチから立ち上がって俺の手を握った。

 

 「行きましょう、天さん。皆さんが待っていますわ」

 

 「・・・えぇ。そうしましょうか」

 

 俺はダイヤさんの手を握り返し、一緒に歩き始めた。

 

 結局、さっきの言葉については聞き返せなかったけど・・・今はその方が良いのかもしれない。

 

 でも、いつかきっと・・・

 

 「今年もよろしくお願いします、ダイヤさん」

 

 「こちらこそよろしくお願い致します、天さん」

 

 手を繋ぎ、マフラーに繋がれながら・・・笑い合う俺とダイヤさんなのだった。




どうも〜、ムッティです。

改めまして、新年明けましておめでとうございます!

昨年は『絢瀬天と九人の物語』を応援していただき、本当にありがとうございました。

引き続き頑張って投稿していきますので、今年も『絢瀬天と九人の物語』をよろしくお願い致します。



さてさて、本日1月1日はダイヤさんの誕生日ですね!

改めて思いますけど、元旦が誕生日って珍しいですよね・・・

そういえば、自分の中学時代の同級生にも一人だけいたなぁ・・・

同級生よ、誕生日おめでとう(唐突な祝福)

まぁそれはさておき、ダイヤさんの誕生日を記念して初めて短編を書いてみました!

いかがだったでしょうか?

この話での天とダイヤさんは、何やら両想いのようでしたが・・・

あくまでもこの話は本編と関係ないので、ダイヤさんがヒロインになったわけではありません。

相変わらず本編はヒロイン未定です(笑)

・・・今年中に決まると良いな(遠い目)



ちなみに本編の方は明日投稿します!

いよいよアニメ一期の十一話に突入しますよ!

全く、『2019年内に十一話まで終わらせたい』って言ってたの誰だよ!

・・・すみませんでした(土下座)

そんなわけで、明日の投稿もお楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!

ダイヤさん、お誕生日おめでとう\(^o^)/

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