絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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久しぶりにカラオケに行きました!

やっぱり歌うって楽しいですね(^^)


改まってお礼を言われると照れ臭い。

 《曜視点》 

 

 「千歌ちゃんっ!」

 

 「曜ちゃんっ!」

 

 急いで外に出ると、千歌ちゃんが笑顔で立っていた。

 

 びっしょりと汗をかいており、側には自転車が置いてある。

 

 「もしかして、自転車でここまで来たの・・・?」

 

 「アハハ・・・バス終わってたし、美渡姉達も忙しそうだったから・・・」

 

 苦笑する千歌ちゃん。

 

 千歌ちゃんの家から私の家までは、それなりに距離がある。

 

 それを自転車で・・・

 

 「どうして・・・」

 

 「練習しようと思って」

 

 微笑む千歌ちゃん。

 

 「色々考えたんだけど・・・やっぱり曜ちゃん、自分のステップでダンスした方が良いと思うんだ。梨子ちゃんの動きじゃなくて、曜ちゃん自身の動きでやった方が良いよ」

 

 「っ・・・」

 

 千歌ちゃん、気付いてたんだ・・・

 

 「合わせるんじゃなくて、一から作り直そう?曜ちゃんと私の二人でさ」

 

 そう言って笑う千歌ちゃん。私の頭の中に、さっきの天くんのセリフが思い浮かんだ。

 

 

 

 『千歌さんと曜さんの、新しい形を作りましょう。二人にしか出来ない形が、きっとありますから』

 

 

 

 『それに・・・そう思ってるのは多分、俺だけじゃないですよ』

 

 

 

 千歌ちゃんが私のことを考えてくれてることに、天くんは気付いてたんだ・・・

 

 それなのに、私は・・・

 

 「何で・・・何で私の為に・・・」

 

 「何でって・・・そんなの、曜ちゃんと一緒にやりたいからに決まってるじゃん」

 

 笑いながら言う千歌ちゃん。

 

 「・・・私さ、昔から曜ちゃんの誘いを断ってばかりだったじゃん。やりたいことも見つからなくて、せっかく曜ちゃんが誘ってくれても遠慮しちゃってさ・・・凄く申し訳なく思ってたんだ」

 

 苦笑する千歌ちゃん。

 

 そんな風に思ってたんだ・・・

 

 「そんな私にも、スクールアイドルっていうやりたいことができて・・・曜ちゃんも一緒にやるって言ってくれて、本当に嬉しかったの。だからスクールアイドルは、絶対曜ちゃんと一緒にやり遂げたいんだ」

 

 「っ・・・!」

 

 涙が込み上げてきた。

 

 天くんの言う通りだ・・・私は千歌ちゃんのこと、何も分かってなかった・・・

 

 「私、バカだ・・・バカ曜だ・・・!」

 

 「バカ曜?」

 

 首を傾げる千歌ちゃん。

 

 私は我慢が出来ず、思いっきり千歌ちゃんに抱きついた。

 

 「うわぁっ!?ちょ、私汗だくだから汚れるよ?」

 

 「良いのっ!」

 

 「風邪引くよ?」

 

 「良いのっ!」

 

 「恥ずかしいって!」

 

 「良いのっ!」

 

 「もう、何?何で泣いてるの?」

 

 「良いのっ!」

 

 力いっぱい千歌ちゃんを抱き締めて泣く私。

 

 そんな私の頭を、千歌ちゃんが苦笑しながら撫でてくれていた。

 

 すると・・・

 

 「ちょっと曜?何玄関先で騒いで・・・」

 

 ママが玄関のドアを開けて顔を覗かせ・・・

 

 私と千歌ちゃんが抱き合っている様子を見て固まってしまった。

 

 「あっ、ママ・・・これは・・・」

 

 「あー・・・曜はそっちだったのね」

 

 「ちょ、違うから!そういうのじゃないから!」

 

 「大丈夫、ママは応援してるから。愛の形は人それぞれよ」

 

 「全然大丈夫じゃないよねぇ!?絶対勘違いしてるよねぇ!?」

 

 「千歌ちゃん、曜を幸せにしてあげてね・・・あ、曜が幸せにしてあげる方?」

 

 「だから違うって言ってるでしょうがああああああああああっ!?」

 

 絶叫する私なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「・・・無事に解決したみたいです」

 

 『それなら良かった』

 

 電話越しに、梨子さんの安心した声が聞こえる。

 

 ベランダから二人の様子を窺っていたところ、机の上に置いてあった曜さんのスマホに梨子さんから着信が入ったのだ。

 

 曜さんが自分のポジションに入ることを聞き、様子が気になって電話したらしい。

 

 『上手くいってないって聞いたから、ちょっと心配だったんだけど・・・』

 

 「誰から聞いたんですか?」

 

 『鞠莉さんよ。さっき電話がかかってきて、私からも何かアドバイスしてあげてくれって言われたの』

 

 「・・・なるほどねぇ」

 

 さてはアイツ、最初から見抜いてたな・・・

 

 素直になれずにすれ違った身として、曜さんに同じ思いをしてほしくなかったんだろう。

 

 「・・・ホント、鞠莉らしいわ」

 

 『・・・そういえば天くん、鞠莉さんのこと呼び捨てにするようになったわよね』

 

 「あぁ、本人がそうしろって言うんで」

 

 『ふぅん・・・』

 

 何故かちょっと不機嫌そうな声の梨子さん。

 

 どうしたんだろう?

 

 「ところで、今日から練習は始めてるんですか?」

 

 『一応ね。今日は慣らしで弾いた程度だけど、明日から本格的な追い込みをやるわ』

 

 東京ではホテルに泊まることになる為、練習はスタジオを借りてやるのだそうだ。

 

 ちなみに東京には奈々さんが前乗りしており、昨日のうちにホテルとスタジオの手続きを完了させたらしい。

 

 まるで梨子さんのマネージャーみたいだな・・・

 

 「追い込みすぎて身体を壊したら元も子も無いんで、無理だけはしないで下さいね」

 

 『心配してくれてありがとう。気をつけるわ』

 

 苦笑する梨子さん。

 

 『あっ、そろそろ戻らないと・・・じゃあ天くん、おやすみ』

 

 「おやすみなさい」

 

 電話が切れる。

 

 ピアノコンクール、上手くいくと良いんだけど・・・

 

 星さんに必死に弁明している曜さんを見下ろしつつ、梨子さんを案じる俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「すぅ・・・すぅ・・・」

 

 「・・・いの一番に寝やがりましたね、この人」

 

 「アハハ、疲れたんだよ」

 

 熟睡している千歌さんを見て、呆れる俺と苦笑する曜さん。

 

 結局あの後、千歌さんも曜さんの家に泊まることになったのだ。

 

 千歌さんは俺がいることにビックリしていたが、事情を聞いて『天くんらしいや』と言って笑っていた。

 

 「ところで、星さんの誤解は解けたんですか?」

 

 「・・・全然」

 

 ガックリうなだれる曜さん。

 

 「千歌ちゃんと一緒にお風呂入る時も、『二人だけの時間を楽しんでね!』って・・・もう何を言っても通じないよ・・・」

 

 「アハハ、ドンマイです」

 

 苦笑する俺。

 

 曜さんは知らないことだが、実は星さんは誤解などしていない。ただ単純に悪ノリして、曜さんの反応を面白がっているだけだ。

 

 まぁ俺としても面白いので、曜さんに本当のことを言うつもりは無いが。

 

 「さて、俺達もそろそろ寝ますか」

 

 「そうだね・・・あっ」

 

 「どうしました?」

 

 「いや、そういえば・・・布団が一つしか無いなって」

 

 「・・・あっ」

 

 そういえば、千歌さんが寝てるのって俺の布団じゃん・・・

 

 千歌さんは『曜ちゃんのベッドで一緒に寝る!』って言ってたから、他に布団は無いんだよな・・・

 

 「ハァ・・・仕方ないんで、俺は床で寝ます」

 

 「あれ、意外だね?天くんなら、千歌ちゃんを叩き起こすかと思ったのに」

 

 「・・・まぁ一応、今回のMVPなんで」

 

 千歌さんの頭を撫でる俺。

 

 本当に良いタイミングで来てくれたし、曜さんに必要な言葉もかけてくれたしな・・・

 

 流石、頼りになるリーダーだよ。

 

 「フフッ・・・天くんって、意外と千歌ちゃんを大事に想ってるよね」

 

 「意外とは失礼ですね。常に大事にしてるじゃないですか」

 

 「どこが!?頭とかメッチャ引っ叩いてるよねぇ!?」

 

 「愛情表現です」

 

 「歪んでない!?」

 

 曜さんのツッコミ。

 

 全く、失礼な人だなぁ・・・

 

 「まぁとにかく、俺は床で寝ますんで。座布団だけもらって良いですか?」

 

 「ハァ・・・お客さんを床で寝かせられるわけないでしょ?」

 

 曜さんは溜め息をつくと、自分が寝ているベッドの掛け布団をめくった。

 

 「ほら、こっちおいでよ」

 

 「え、まさかの夜のお誘い?」

 

 「違うわっ!一緒に寝ようって言ってるのっ!」

 

 「やっぱり夜のお誘いじゃないですか」

 

 「『寝る』ってそっちの意味じゃないよ!?いいからこっち来なさい!」

 

 「・・・失礼します」

 

 お言葉に甘え、曜さんのベッドにお邪魔する。

 

 そこまで大きなベッドではないので、二人で寝ると当然お互いの身体が触れ合ってしまう。

 

 「うぅ・・・」

 

 「・・・Aqoursって、羞恥プレイが好きな人の集まりなんですか?」

 

 「どんなグループ!?そんなわけないでしょ!?」

 

 この前の梨子さんといい、今回の曜さんといい・・・

 

 恥ずかしくなることが分かってるにも関わらず、こういうことやるんだもんなぁ・・・

 

 「っていうか天くん、さっきは鼻で笑ってたくせに意識してるじゃん」

 

 「・・・俺も一応男ですからね。こんな美少女と一緒のベッドに寝てたら、意識ぐらいしますよ」

 

 「ふぅん、そうなんだぁ♪」

 

 ニヤニヤしている曜さん。

 

 殴りたい、この笑顔・・・・

 

 「・・・はいはい、もう寝ますよ。明日も練習があるんですから」

 

 曜さんに背を向けて寝ようとすると・・・背中から優しく抱き締められた。

 

 「・・・今日はありがとね、天くん」

 

 耳元で曜さんの声がする。

 

 「私のことを心配して、わざわざ家にまで来てくれて・・・本当にありがとう」

 

 「・・・星さんの手料理が食べたかっただけです」

 

 「フフッ、素直じゃないなぁ」

 

 曜さんはクスクス笑うと、俺の身体に回している腕にキュッと力を込めた。

 

 「天くんが悩みを聞いてくれて、怒ってくれて、寄り添ってくれて・・・凄く嬉しかった。おかげでスッキリしたよ」

 

 「・・・大したことはしてませんよ。千歌さんのおかげです」

 

 「確かに、千歌ちゃんと話ができたことも大きかったけど・・・一番はやっぱり、天くんのおかげだから」

 

 曜さんはそう言って俺を離すと、俺の身体を自分の方に向けさせた。

 

 「ちょ、何を・・・」

 

 「ありがとう、天くん」

 

 「・・・どういたしまして」

 

 見つめられながらお礼を言われ、思わず視線を逸らしてしまう。

 

 こうやってお礼を言われると、どうにもむず痒いな・・・

 

 「全く、今日の曜さんは最後まで変ですね・・・」

 

 「・・・曜」

 

 「え・・・?」

 

 「曜で良いよ。敬語も使わなくて良いから」

 

 「何言ってるんですか?仮にも先輩でしょ貴女。仮にも」

 

 「仮じゃなくて本当に先輩なんだけど・・・天くんって私を怒ってくれる時、タメ口になるじゃん。『バカ曜』って呼び捨てにされるし、そっちの方が良いなって」

 

 「うわぁ・・・『バカ曜』って呼ばれたいとか、ただのドMじゃないですか・・・」

 

 「違うわっ!普通に曜って呼んでほしいのっ!」

 

 「いや、今更変えなくても・・・」

 

 「ふぅん・・・鞠莉さんは変えたのに、私は変えてくれないんだぁ・・・」

 

 「めんどくさいなこの人!?」

 

 膨れっ面になる曜さん。

 

 何でこういう時だけ強引なんだ・・・

 

 「ハァ・・・分かったよ、曜」

 

 「フフッ、合格」

 

 嬉しそうに微笑む曜なのだった。




どうも〜、ムッティです。

続・新年会の話。

伯母さんと従姉妹が、今日の夕飯について話していると・・・



伯母『今日の夕飯、何にしようか?』

従姉妹『んー、麺類にする?お父さん麺類好きだし』

伯母『あー、麺類ねぇ・・・そういえばお父さん、ボラギノール好きだよね』

従姉妹『ボラギノールが好き!?え、ボラギノールに好きとかあるの!?』

伯母『うん。外食する時はよく食べるみたい』

従姉妹『食べる!?ボラギノールを!?』

伯母『いや、普通に食べるでしょ?美味しいし』

従姉妹『お母さんも食べたことあるの!?え、二人揃って痔なの!?』

伯母『は?何言ってるの?』

従姉妹『いや、だってボラギノールって痔の薬でしょ!?』

伯母『あっ・・・ごめん、ボラギノールじゃないわ。カルボナーラだったわ』

従姉妹『どんな間違い!?』



新年会は再び笑いに包まれたのでした(笑)



さてさて、本編では曜ちゃんのモヤモヤが晴れたみたいです。

しかも天が、曜ちゃんを呼び捨てにすることになるという・・・

同じベッドで寝てるし・・・

けしからんヤツめ(゜言゜)

そんな天は梨子ちゃんを心配しているようですが、果たしてどうなるのか・・・

これからの展開をお楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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