誰なのか楽しみにしておくにゃ!←
《梨子視点》
「梨子、しっかりね」
「はいっ!」
真姫さんの言葉に頷く私。
私達は今、ピアノコンクールの会場のロビーにいた。
これから本番を迎える私を、真姫さん・海未先生・ことりさんが激励しに来てくれたのだ。
「私達は客席から応援してるから。頑張ってね、梨子ちゃん」
「ありがとうございます」
ことりさんにお礼を言う私。
すると、海未先生が前に進み出た。
「行ってらっしゃい、梨子・・・楽しんで来て下さいね」
「っ・・・」
その言葉を聞いた途端、私の頭に天くんの顔が浮かんだ。
そんな私の表情を見て、面白そうに笑う海未先生。
「フフッ・・・天にも同じことを言われたのではありませんか?」
「っ・・・どうしてそれを・・・?」
「私達も、同じことを言われてきましたから」
苦笑する海未先生。
「本番前に緊張していると、『楽しんで来てね』『こんな経験は今しか出来ないよ』って。その言葉に、ずいぶんと勇気づけられたものです」
「分かる分かる。天くんの言葉を聞くと、不思議と勇気が湧いてくるんだよね」
「当時の私達にとっては、あれほど強い味方もいなかったわね」
海未先生の言葉に頷くことりさんと真姫さん。
私も天くんの言葉に救われてきた身として、その気持ちが良く分かった。
「梨子~?」
名前を呼ばれて振り向くと、お母さんがこっちへ歩いてくるところだった。
「そろそろ時間・・・ってあら、海未ちゃんと真姫ちゃんじゃない!」
「こんにちは」
「どうも」
笑顔で挨拶を交わす三人。
海未先生も真姫さんも、内浦にいた時にお母さんとは顔を合わせていた。
「わざわざ応援に来てくれたのね!嬉しいわぁ・・・ってことりちゃん!?」
「ご無沙汰してます、奈々さん」
笑顔で一礼することりさん。
そういえば、ウチのお母さんとことりさんのお母さんって知り合いなのよね・・・
私はことりさんとは会ったことが無かったけど、どうやらお母さんは会ったことがあるようだ。
「しばらく見ない間に、また一段と可愛く・・・いや、綺麗になったっていうべきかしら?ますますお母さんそっくりになっちゃって」
「フフッ、ありがとうございます」
「お母さんの学生時代と同じで、周りの男達が放っておかないんじゃない?彼氏の一人や二人いるでしょ?」
「ちょ、お母さん!?そんな質問・・・」
「私は天くん一筋なので、彼氏がいたことはありません♪」
「ちょっと聞いた梨子!?強力なライバル出現よ!?」
「わ、私は別に・・・!」
「天一筋と言うなら、私もですよ。ことりだけではありません」
「海未ちゃんも!?」
「そ、天は渡しませんからねっ!」
「真姫ちゃんまで!?大変よ梨子!これはもう戦争よ!?」
「だから私は・・・!」
どうしようもなく胸がモヤモヤしてしまった。
もう、こんな時に・・・!
「っていうか、そろそろ時間なんでしょ!?早く行かないと!」
「あっ、そうだったわね」
ようやく本来の用件を思い出したお母さん。
「控え室までは私も付き添うから。海未ちゃん、真姫ちゃん、ことりちゃん、すぐに戻って来るから待っててくれる?一緒にコンクールを見ましょう」
「分かりました。梨子、行ってらっしゃい」
「応援してるわよ」
「ファイト!」
「は、はいっ!」
私は三人に一礼すると、控え室に向けて歩き出した。
全く、お母さんったら・・・
「・・・天くん」
胸がモヤモヤしつつも、何故だか無性に天くんに会いたくなる私なのだった。
*****
「相変わらず人が多いなぁ・・・」
周りを見渡し、苦笑する俺。
星さんに車で駅まで送ってもらった俺は、新幹線に乗って東京駅へとやって来ていた。
今回はあまり時間も無かったので、お金はかかるが新幹線を利用したのだ。
果南さんのところでアルバイトしてて良かった・・・
「さて、待ち合わせ場所はこの辺りなんだけど・・・」
「天くううううううううううんっ!」
「ごふっ!?」
辺りを見回していると、全速力で走ってきた女性に思いっきり抱きつかれた。
凄まじい衝撃だった・・・
「会いたかったにゃああああああああああっ!」
「はいはい、俺もだよ」
苦笑しつつ、女性の頭を撫でる俺。
「久しぶり、凛ちゃん」
「久しぶりにゃ!」
満面の笑みを浮かべる女性・・・星空凛ちゃん。
言わずもがな、μ'sのメンバーである。
「今回は急に頼み事しちゃってゴメンね」
「全然問題ないにゃ!大学も夏休みに入ったから暇してたにゃ!」
「なら良いんだけど・・・っていうか、ちゃんと進級出来た?」
「かよちんのおかげでバッチリにゃ!」
グッと親指を立てる凛ちゃん。
現在大学三年生の凛ちゃんは、花陽ちゃんと同じ大学に通っている。
勉強面で色々と苦労している凛ちゃんは、花陽ちゃんにずいぶんと助けられているらしい。
花陽ちゃんも大変だなぁ・・・
「それより、時間の方は大丈夫なのかにゃ?」
「あっ、そうだった・・・じゃあ凛ちゃん、目的地までよろしく」
「任せるにゃ!」
ドンッと胸を叩く凛ちゃん。
凛ちゃんはバイクの免許を取得しており、自分のバイクも持っている。
今回は凛ちゃんにお願いして、駅から目的地までバイクに乗せてもらうことになっていた。
「フルスピードでぶっ飛ばすにゃ!」
「うん、お願いだから安全運転でよろしく」
「フッ・・・そんなもの、ゴミ箱に捨ててやったにゃ」
「今すぐ拾って来いバカ猫」
「辛辣!?」
「ってか、その語尾はいつまで続けるの?」
「これは凛のアイデンティティにゃ!これが無くなったら凛じゃないにゃ!」
「うわぁ・・・凛ちゃん、よく『アイデンティティ』なんて言葉知ってたね」
「そっち!?凛だってそれぐらい知ってるにゃ!」
「はいはい、偉い偉い」
「子供扱いは止めてほしいにゃ!?」
ギャーギャー・・・いや、ニャーニャー騒ぐ凛ちゃん。
相変わらず面白いなぁ・・・
「ぬぐぐぐ・・・昔は凛と同じくらいの身長だったのに、今じゃ完全に見下ろされてるにゃ・・・!」
「・・・ハッ」
「にゃあああああっ!腹立つにゃあああああっ!」
地団太を踏む凛ちゃん。
まぁそういう凛ちゃんも、μ'sの頃よりだいぶ大人っぽくなっている。
ショートヘアだった髪は肩にかかるくらいまで伸びており、今日はそれをポニーテールに結ってあった。
見た目は十分女子大生である。
「・・・フフッ」
急に笑い出す凛ちゃん。
どうしたんだろう?
「・・・元気そうで安心したにゃ。絵里ちゃんと喧嘩したせいか、内浦に行く前の天くんは元気無かったから」
「凛ちゃん・・・」
どうやら、ずいぶん心配させてしまっていたらしい。
申し訳ないことをしたな・・・
「・・・ゴメンね、凛ちゃん」
「お詫びに今度、内浦での話を聞かせるにゃ。根掘り葉掘り聞くから覚悟するにゃ」
「・・・了解。たっぷり話してあげるよ」
「フフッ、約束にゃ」
凛ちゃんはそう言って笑うと、俺の手を握って歩き出すのだった。
「それじゃあ、キッチリ送り届けてあげるにゃ・・・ピアノコンクールの会場まで!」
どうも〜、ムッティです。
さてさて、今回はμ'sの星空凛ちゃんが登場しましたね。
大学三年生となった凛ちゃんですが、語尾に『にゃ』をつけるのは相変わらずのようです。
ちなみに髪型ですが、前にTwitterで見たイラストを参考にさせていただきました。
ポニテ凛ちゃん、可愛かったんだよなぁ・・・
あとロングヘアー凛ちゃんもあったんですけど、あれも可愛かったなぁ・・・
っていうか、凛ちゃんのお母さんも可愛いんだよなぁ・・・←
劇場版でチラッと出てきましたけど、可愛すぎません?
この作品でも出せたら良いなぁ・・・
さて、天はどうやらピアノコンクールの会場へと向かう模様・・・
次の話では、何と梨子が・・・おっと、誰か来たようだ。
明日投稿予定ですので、お楽しみに(・∀・)ノ
それではまた次回!以上、ムッティでした!