絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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学戦都市アスタリスクの最新巻を読みました・・・

メッチャ面白かったあああああっ!!!!!

ユリスがっ!ユリスがあああああっ!!!!!

ホント早く続き読みたい(´・ω・`)


心は通じ合えるものである。

 《梨子視点》 

 

 「大丈夫!?目が腫れてたりしない!?」

 

 「若干赤いですけど、客席からは分からないと思いますよ?」

 

 「もう、天くんのせいよ!?あんなに私を泣かせるんだから!」

 

 「梨子さんが勝手に泣いたんでしょうが!ってか大声で誤解を招く発言しないでもらえます!?スタッフさん方の視線が痛いんですけど!?」

 

 ギャーギャー言い合いながら、会場の通路を歩く私と天くん。

 

 あの後すぐ、スタッフさんが私を呼びにやって来たのだ。

 

 いよいよ私の出番が迫っていた。

 

 「っていうか、そろそろステージ裏なんだけど・・・ついてきて大丈夫なの?」

 

 「ここまでは大丈夫ですけど・・・ここから先はダメみたいですね」

 

 立ち止まる天くん。

 

 私達の少し先には、ステージ裏に入ることが出来るドアがあった。

 

 その前には警備員さんが立っており、コンクール出場者と思われる女の子を通していた。

 

 「あの先はコンクールの出場者しか入れないんですって。だから俺が付き添えるのはここまでです」

 

 天くんはそう言うと、自分の右手を上げ・・・私に虹色のシュシュを見せた。

 

 私があげたやつ、着けてくれたんだ・・・

 

 「何度も言いますけど、梨子さんは一人じゃありませんから。俺も皆も、心は梨子さんと共にありますからね」

 

 「・・・うん、ありがとう」

 

 私も右手を上げ、サクラピンクのシュシュを見せた。

 

 今なら心から実感できる・・・私は一人じゃない。

 

 「頑張ってくるから。見ててね」

 

 「勿論です。梨子さんの勇姿、しっかりと目に焼き付けておきます」

 

 笑みを浮かべる天くん。

 

 ここで私は、あることを思い出した。

 

 「あ、そういえば・・・曜ちゃんのこと、呼び捨てにしてるのよね?」

 

 「え?えぇ、そうですけど・・・」

 

 「だったら、私のことも呼び捨てにしてくれるわよね?」

 

 「はい!?」

 

 「勿論敬語は無しで。タメ口で話してくれるわよね?」

 

 「ちょ、梨子さん!?」

 

 「梨子、でしょ?」

 

 「いや、梨子s・・・」

 

 「梨・子!」

 

 「・・・梨子」

 

 「それで良し♪」

 

 満面の笑みを浮かべる私。

 

 鞠莉さんや曜ちゃんが呼び捨てにされている今、これ以上遅れるわけにはいかないものね・・・

 

 「やれやれ・・・何で皆そんなに強引なのか・・・」

 

 「フフッ、天くんの強引さがうつったのかもね」

 

 「失礼な。『強引』という言葉から最も離れている男だというのに」

 

 「どこが!?」

 

 どうやら自覚は無いらしい。全く、これだから天くんは・・・

 

 私が呆れていると、天くんのスマホが鳴った。

 

 「あれ、誰だろう・・・おぉ、ナイスタイミング」

 

 「え?」

 

 首を傾げる私。天くんは笑みを浮かべると、電話に出てスピーカーモードに切り替えた。

 

 「もしもし?」

 

 『もしもし!?天くん!?』

 

 「千歌ちゃん!?」

 

 『あっ、その声は梨子ちゃん!二人が一緒にいるってことは、まだ梨子ちゃんの出番は来てないってこと!?』

 

 「えぇ、ちょうどこれから出番なんですよ」

 

 『おぉ、ナイスタイミング!』

 

 天くんと同じセリフを言う千歌ちゃん。

 

 『梨子ちゃんのこと考えてたら、居ても立っても居られなくて・・・でも今から直接電話したら迷惑かなと思って、梨子ちゃんに会いに行った天くんに電話したんだけど・・・一緒にいてくれて本当に良かった!』

 

 『梨子ちゃーん!』

 

 「曜ちゃん!?」

 

 今度は曜ちゃんの声が聞こえてくる。

 

 『頑張って梨子ちゃん!応援してるよ!』

 

 『梨子ちゃん!ファイトずら!』

 

 『頑張ルビィ!』

 

 『負けんじゃないわよ!』

 

 『緊張していませんか!?あっ、シュシュをくださってありがとうございました!それから・・・』

 

 『長いよダイヤ・・・梨子ちゃん、全力でピアノ弾いてきてね!』

 

 『内浦から応援してマース!』

 

 「皆・・・」

 

 皆からの温かい声援に、また涙が出そうになる。

 

 『梨子ちゃん』

 

 優しく呼びかけてくれる千歌ちゃん。

 

 『梨子ちゃんなら大丈夫。自信持って弾いてきて』

 

 「っ・・・ありがとう、千歌ちゃん!」

 

 涙を堪え、力強く答える私。緊張も不安も、もう一切無かった。

 

 仲間達が応援してくれている・・・そのことが、私の心に勇気を与えてくれていた。

 

 「桜内さん!スタンバイお願いします!」

 

 スタッフさんに呼ばれた。そろそろ行かなくちゃ・・・

 

 「皆、ありがとう!頑張ってくるからね!」

 

 私は皆にお礼を言うと、天くんと向き合った。

 

 「行ってくるね、天くん」

 

 「あ、その前に・・・」

 

 天くんはそう言うと・・・右手を私の前に突き出した。

 

 「円陣は出来ないけど・・・掛け声だけでも」

 

 「・・・フフッ、ありがとう」

 

 私は笑うと、天くんの右手に自分の右手を重ねた。

 

 「じゃあ千歌さん、今日二回目ですけどお願いします」

 

 『オッケー!任せて!』

 

 千歌ちゃんの息を吸う音が聞こえた。

 

 そして・・・

 

 

 

 『Aqours~!』

 

 

 

 「「『『『『『『『『サ~ンシャイ~ン!』』』』』』』』」」

 

 

 

 その時の私の目には・・・右手を頭上高く上げる皆の姿が、確かに映ったのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「天くううううううううううんっ!」

 

 「ことりちゃああああああああああんっ!」

 

 「アンタ達、時と場所を考えなさいよ・・・」

 

 ひしと抱き合うことりちゃんと俺を見て、呆れている真姫ちゃん。

 

 梨子を見送った俺は客席へと移動し、皆と合流していた。

 

 「ずるいですよことり!天、私ともハグしましょう!」

 

 「オコトワリシマス」

 

 「そんなぁっ!?」

 

 「っていうか私のモノマネ止めてくれる!?」

 

 「にゃはははっ!メッチャ似てるにゃ!」

 

 「爆笑してんじゃないわよ凛!?」

 

 「あらあら、本当に仲が良いのねぇ」

 

 笑っている奈々さん。

 

 「ところで天くん、梨子の反応はどうだった?驚いてた?」

 

 「えぇ、ビックリしてました」

 

 笑みを浮かべる俺。

 

 ピアノコンクールを見に来ることは、事前に奈々さんや真姫ちゃん達に知らせていた。

 

 その上であえて梨子には伏せておいてもらい、サプライズで登場して驚かせようという作戦だったのだ。

 

 「梨子はもう大丈夫です。きっと梨子らしい演奏を聴かせてくれると思いますよ」

 

 「それなら良かった・・・え?」

 

 驚いている奈々さん。

 

 「天くん、今・・・梨子のこと呼び捨てにした・・・?」

 

 「本人がそうしろって言うんですよ。急にどうしたんでしょうね?」

 

 「よくやったわ梨子!流石は私の娘ね!」

 

 「はい?」

 

 何故かガッツポーズしている奈々さん。

 

 どうしたんだろう?

 

 「天くん!?私というものがありながらっ!」

 

 「どういうことですか天っ!」

 

 「イミワカンナイッ!」

 

 「急にどうしたの!?」

 

 凄い剣幕で詰め寄ってくることりちゃん・海未ちゃん・真姫ちゃん。

 

 一体俺が何をしたというのか・・・

 

 「やれやれ、天くんも罪な男だにゃ」

 

 呆れたように溜め息をつく凛ちゃん。

 

 いや、罪な男って・・・その言い方だと、まるで俺が女ったらしみたいじゃないか。

 

 「女ったらしだよね」

 

 「女ったらしですね」

 

 「女ったらしね」

 

 「女ったらしだにゃ」

 

 「何で人の心が読めるの!?」

 

 何なのこの人達、怖いんだけど・・・

 

 俺が恐怖を覚えていると、会場にアナウンスが流れた。

 

 『続きまして・・・浦の星女学院高等学校二年、桜内梨子さん』

 

 「っ・・・」

 

 遂に梨子の出番がやって来た。

 

 桜色のドレスに身を包んだ梨子が、凛とした表情で舞台袖から現れる。

 

 「梨子・・・」

 

 心配そうな表情で見つめる奈々さん。

 

 恐らく、以前のピアノコンクールのことを思い出しているんだろう。

 

 「大丈夫ですよ、奈々さん」

 

 微笑む俺。

 

 「Aqoursの桜内梨子は・・・以前とは一味違いますから」

 

 「天くん・・・そうね、信じてるわ」

 

 奈々さんはそう言って笑うと、再び梨子の方に視線を向けた。

 

 梨子は椅子に座ると、ゆっくりとピアノの鍵盤に手を置き・・・力強く弾き始めた。

 

 「凄い・・・」

 

 ことりちゃんが驚いたように呟く。

 

 初めて聴かせてもらった時にも感じたことだが、梨子の奏でる音は本当に綺麗で美しかった。

 

 優しくて、それでいて力強くて・・・いつまでも聴いていたいと思えるものだった。

 

 「これが梨子の弾くピアノ・・・」

 

 「凄いにゃ・・・」

 

 感心している海未ちゃんと凛ちゃん。

 

 口には出さないが、俺も梨子の演奏に感銘を受けていた。

 

 初めて聴かせてもらった時よりも、さらに心に響くものがあるというか・・・

 

 「・・・フフッ」

 

 笑みを零す真姫ちゃん。

 

 「今日の梨子、ノッてるわね」

 

 「ノッてる?」

 

 「えぇ。心の底から演奏を楽しんでるわ」

 

 微笑む真姫ちゃん。

 

 確かに今の梨子は、笑みを浮かべながらピアノを弾いていた。

 

 梨子の想いや感情が音に乗っている分、聴いている人の心により一層響くんだ・・・

 

 「・・・ハハッ、流石だわ」

 

 俺も笑みが零れた。

 

 やがて梨子の演奏が終わりを迎え、会場が静寂に包まれる。

 

 梨子はゆっくりと椅子から立ち上がると、客席に向かって深々と一礼した。

 

 その瞬間・・・会場中から盛大な拍手が沸き起こった。

 

 「凄いよ梨子ちゃんっ!」

 

 「素晴らしかったですっ!」

 

 「凛は感動したにゃ!」

 

 「良い演奏だったわ!」

 

 ことりちゃん・海未ちゃん・凛ちゃん・真姫ちゃんも惜しみない拍手を送る中・・・奈々さんは立ち上がり、涙ぐみながらステージ上の梨子を見つめていた。

 

 俺も立ち上がり、奈々さんに寄り添う。

 

 「良かったですね、奈々さん」

 

 「っ・・・えぇ、本当に・・・」

 

 涙を拭う奈々さん。

 

 「ありがとう、天くん・・・貴方のおかげよ」

 

 「俺は何もしてませんよ。梨子の努力の賜物です」

 

 笑みを浮かべながらステージ上へ視線を向けると、ふいに梨子と視線が合った。

 

 微笑み合い、どちらからともなく右手を上げる俺達。

 

 今この瞬間・・・俺と梨子の心は、確かに通じ合ったのだった。




どうも〜、ムッティです。

さてさて、天への恋心を自覚してしまった梨子ちゃんですが・・・

早速天に呼び捨て&タメ口を迫ってますね(笑)

積極的だなぁ、梨子ちゃん・・・

そんな天はというと、相変わらずことりちゃんとイチャイチャしているという・・・

くたばっちまえ(゜言゜)

さて、次の話は明日投稿する予定です!

μ'sのあのメンバーも登場する予定ですので、お楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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