絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

94 / 173
投稿間隔が空いてしまって申し訳ない・・・

いつの間にか2月になっていたんだ・・・


人は面影を重ねてしまうものである。

 翌日・・・

 

 「あぁ、緊張する・・・!」

 

 「落ち着きなよ」

 

 そわそわしている梨子を見て、思わず笑ってしまう俺。

 

 仕事へと向かう希ちゃんを見送った俺は、梨子が借りているスタジオへとやってきていた。

 

 今日はラブライブ予備予選の結果発表がある為、梨子はずっとそわそわしているのだ。

 

 「発表までまだ時間があるし、今から緊張してたら身体がもたないよ」

 

 「・・・天くんは落ち着いてるわね」

 

 「μ'sのマネージャーをやってた頃、嫌というほど経験したからね」

 

 苦笑する俺。

 

 「もう俺達に出来ることは何も無いし、後はなるようにしかならないから。開き直ることも大事だって、あの時身を持って学んだよ」

 

 「・・・それもそうね。そわそわしても仕方ないか」

 

 気持ちを落ち着かせるように、深呼吸を繰り返す梨子。

 

 「すぅ・・・はぁ・・・」

 

 「ヒッヒッフー・・・ヒッヒッフー・・・」

 

 「いやそれラマーズ法よねぇ!?私は妊婦じゃないわよ!?」

 

 「あれ?出産間近じゃなかったっけ?」

 

 「違うわ!そもそも誰の子を身ごもるのよ!?」

 

 「俺しかいないじゃん」

 

 「ふぇっ!?」

 

 何故か急に顔を赤くする梨子。

 

 あれ?どうしたんだろう?

 

 「き、急にそんな・・・いきなり言われても・・・」

 

 「おーい?梨子?」

 

 「わ、私にだって・・・心の準備ってものが・・・」

 

 「もしもーし?聞こえてる?」

 

 「で、でも・・・天くんが望むなら・・・」

 

 「えいっ」

 

 「あたっ!?」

 

 梨子の頭にチョップをお見舞いする。

 

 「ちょっと!?いきなり何するのよ!?」

 

 「あ、戻ってきた」

 

 完全に心ここにあらずといった感じで、何か色々考え事してたもんなぁ・・・

 

 そんなに予備予選の結果が心配なんだろうか・・・

 

 「まぁとにかく、ここにいると余計に結果が気になるだろうからさ。もうすぐ約束の時間だし、そろそろ外に出ない?」

 

 「・・・そうね。気分転換も兼ねて、外の空気を吸いに行きましょうか」

 

 深く息を吐き、立ち上がる梨子。

 

 実は昨日凛ちゃんと、この近くのカフェでお茶をする約束をしていたのだ。

 

 昨日の演奏を聴いてすっかり梨子のファンになった凛ちゃんは、梨子と色々な話をしてみたいらしい。

 

 「そういえば、凛ちゃんが梨子に紹介したい人がいるんだってさ。今日連れてくるって言ってたよ」

 

 「紹介したい人?誰かしら?」

 

 「会うまで内緒って言ってたけど・・・あの人しかいないだろうね」

 

 「え・・・?」

 

 首を傾げている梨子。

 

 「天くん、心当たりあるの?」

 

 「勿論。凛ちゃんといったらあの人だもん」

 

 「むぅ・・・」

 

 何故か頬を膨らませている梨子。

 

 「ん?どうしたの?」

 

 「・・・凛さんのこと、理解してるんだなぁって」

 

 「え?もしかして妬いてる?」

 

 「べっつにぃ?」

 

 ぷいっとそっぽを向く梨子。

 

 やれやれ・・・

 

 「心配しなくても、今の俺はAqoursのマネージャーだから。ほら、早く行くよ」

 

 梨子の手を引いて歩き出す。

 

 全く、梨子は心配性なんだから・・・

 

 「そういうことじゃないんだけど・・・まぁ、今はそれで良いわ」

 

 梨子は苦笑しながら何かを呟くと、俺の手をギュっと握り返すのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「天くううううううううううんっ!」

 

 「俺は“みがわり”を使った!」

 

 「キャアッ!?」

 

 俺の身代わりの梨子が現れた!

 

 俺に代わって身代わりの梨子が攻撃を受けた!

 

 「ちょ、何で急に私の後ろに隠れるのよ!?」

 

 「凛ちゃんの“すてみタックル”のヤバさを舐めちゃいけない。俺のHPが一撃で持っていかれるからね」

 

 「それをもろに受けた私の身にもなってくれる!?」

 

 「大丈夫。女の子が相手だと、凛ちゃんの攻撃力は半減するから」

 

 「どんな特性!?」

 

 「おぉ、梨子ちゃん細い!肌もスベスベにゃ!」

 

 「凛さん!?変なところ触らないで下さい!」

 

 「凛ちゃ~ん!」

 

 待ち合わせしていたお店の前でそんなやり取りをしていると、凛ちゃんの後ろから一人の女性が走ってくる。

 

 女性は俺達のところに辿り着くと、苦しそうに両膝に手をついた。

 

 「ハァッ・・・ハァッ・・・もう、急に走り出さないでよぉ!」

 

 「にゃはは、身体が勝手に動いちゃったんだにゃ」

 

 「全くもう・・・」

 

 ようやく落ち着いたのか、ゆっくりと息を吐く女性。

 

 そして顔を上げ、俺の方を見て優しく微笑む。

 

 「久しぶり、天くん」

 

 「久しぶり、花陽ちゃん」

 

 俺も笑みを浮かべる。

 

 一方、梨子は驚きの表情を浮かべていた。

 

 「えっ、もしかして・・・μ'sの小泉花陽さん!?」

 

 「あぁっ!?Aqoursの桜内梨子さんですよね!?」

 

 「えぇっ!?」

 

 急に花陽ちゃんにガシッと手を握られ、動揺している梨子。

 

 「まさか本物に会えるなんて・・・感激です!」

 

 「え、えーっと・・・」

 

 キラキラした目で見つめられ、リアクションに困っている梨子。

 

 まさかμ'sのメンバーからこんな反応をされるなんて、想像もしてなかっただろうな・・・

 

 「花陽ちゃん、ホントにスクールアイドル大好きだよね」

 

 「当然だよ!」

 

 力説する花陽ちゃん。

 

 「しかもAqoursは、今凄く勢いのあるグループの一つなんだよ!?そんなグループの人に会えるなんて・・・奇跡だよ!」

 

 「・・・何か今、花陽ちゃんと千歌さんが重なって見えたわ」

 

 「奇遇ね天くん。私も全く同じことを思ったわ」

 

 苦笑する梨子。

 

 「っていうか梨子、よく花陽ちゃんのこと分かったね?」

 

 「ほら、ルビィちゃんが鞄に缶バッジ付けてるから」

 

 「あぁ、なるほど・・・ルビィは花陽ちゃんのファンだもんね」

 

 納得する俺。一方、花陽ちゃんは驚きの表情を浮かべていた。

 

 「えっ、ルビィちゃんって・・・まさか、Aqoursの黒澤ルビィさんのこと!?」

 

 「そうそう。ルビィはμ'sのことが大好きで、推しメンが花陽ちゃんなんだよ。花陽ちゃんのことが好き過ぎて、鞄に花陽ちゃんの缶バッジ付けてるくらいだし」

 

 「うぅ・・・生きてて良かった・・・!」

 

 「そこまで!?」

 

 泣いている花陽ちゃんにツッコミを入れる梨子。

 

 花陽ちゃんは相変わらずだなぁ・・・

 

 「ねぇねぇ天くん、Aqoursに凛を推してくれてる子はいないのかにゃ?」

 

 「あぁ、花丸が凛ちゃん推しだよ。『Love wing bell』の時の凛ちゃんの写真を、食い入るように見てたもん」

 

 「ホントかにゃ!?」

 

 「良かったね、凛ちゃん!」

 

 「うん!メッチャ嬉しいにゃ!」

 

 手を繋ぎ、嬉しそうに笑い合う花陽ちゃんと凛ちゃん。

 

 俺にはそんな二人の姿が、ルビィと花丸に重なって見えた。

 

 「・・・俺もすっかりAqoursに染まったなぁ」

 

 苦笑しながら呟く俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 《梨子視点》

 

 「んー、このケーキ美味しい♪」

 

 幸せそうな表情でケーキを頬張る花陽さん。

 

 お店に入った私達は、まったりとティータイムを過ごしていた。

 

 「ほら天くん、これ美味しいよ!あ~ん♪」

 

 「あ~ん・・・ん、ホントに美味しいね」

 

 「でしょでしょ!?」

 

 「こっちのケーキも美味しいよ。あ~ん」

 

 「あ~ん・・・んー、美味しい!」

 

 「・・・この二人ってカップルなんですか?」

 

 「全く違うけど、気にしたら負けにゃ」

 

 苦笑する凛さん。

 

 「ことりちゃんみたいにベタベタくっつくわけじゃないけど、天くんとの距離の近さではかよちんも負けてないにゃ。かよちんは天くんをもの凄く可愛がってるし、そんなかよちんに天くんもよく懐いてるんだにゃ」

 

 「・・・そういえば前に、ことりさんと花陽さんを『天使だ』って言ってましたね」

 

 カップルでも無いのに、ここまで距離が近いなんて・・・

 

 もっと私も積極的に行くべきかしら・・・

 

 「そうそう天くん、時間があったら穂乃果ちゃんに会いに行ってあげて。天くんにもの凄く会いたがってたから」

 

 「ホントに?ちょうどこの後『穂むら』に行く予定だから、そこで会えると良いな」

 

 嬉しそうに笑う天くん。

 

 「っていうか、穂乃果ちゃん大学卒業出来るの?海未ちゃんに聞いたけど、単位ギリギリらしいじゃん」

 

 「まぁ最初の頃、にこちゃんや凛ちゃんと一緒に遊び呆けてたからねぇ・・・」

 

 「うっ・・・」

 

 花陽さんにジト目で見つめられ、気まずそうに顔を逸らす凛さん。

 

 「同じ大学に私達がいたから、何とか勉強を教えられたけど・・・そうじゃなかったら留年してたかもね」

 

 「えっ!?」

 

 驚く私。

 

 「μ'sの皆さんって、皆同じ大学に通われてるんですか!?」

 

 「正確に言うと、ことりちゃんと真姫ちゃん以外は皆同じ大学だよ」

 

 答えてくれる花陽さん。

 

 「ことりちゃんは服飾系の大学、真姫ちゃんは医大にそれぞれ進学したの。それ以外の皆は、音ノ木坂大学に進学したんだよ」

 

 「それぞれ学部や学科は違うけど、キャンパスは一緒だからよく会ってるんだにゃ」

 

 「そうだったんですか・・・」

 

 九人中七人が同じ大学って、ある意味凄いわね・・・

 

 「まぁにこちゃん・希ちゃん・絵里ちゃんは卒業しちゃったから、残ってるのは私達と穂乃果ちゃん・海未ちゃんだけなんだけどね」

 

 苦笑する花陽さん。

 

 「穂乃果ちゃんと海未ちゃんが卒業したら、とうとう私達だけになるのかぁ・・・寂しくなるね、凛ちゃん」

 

 「大丈夫にゃ。穂乃果ちゃんはきっと留年してくれるにゃ」

 

 「うん、縁起でも無いことをサラッと言うの止めよう?」

 

 「いや、穂乃果ちゃんなら有り得るよね」

 

 「天くんまで何てこと言うの!?」

 

 花陽さんのツッコミ。

 

 あれ?穂乃果さんってμ'sのリーダーよね?

 

 何でこんなに信用されてないのかしら・・・

 

 「まぁ穂乃果ちゃんはともかく、まだ雪穂ちゃんと亜里姉がいるんだしさ。そう寂しがることもないって」

 

 笑いながら言う天くん。

 

 確か雪穂さんって、穂乃果さんの妹さんなのよね・・・

 

 そして亜里沙さんが、天くんの二番目のお姉さんだったかしら?

 

 「あっ、亜里沙ちゃんといえば・・・」

 

 少し言いにくそうに口ごもる花陽さん。

 

 「天くん・・・亜里沙ちゃんから、絵里ちゃんのこと聞いてる・・・?」

 

 「絵里姉のこと・・・?」

 

 首を傾げる天くん。

 

 そんな天くんに、花陽さんは心配そうな表情で告げるのだった。

 

 「絵里ちゃん、体調を崩しちゃったみたいで・・・寝込んでるんだって」




どうも〜、ムッティです。

アニメ一期十一話の内容も終わり、いよいよ十二話の内容へと移るわけですが・・・

遂に白米大好き娘こと、小泉花陽ちゃんが登場しました\(^o^)/

案の定、天との距離の近さが・・・(笑)

そして何やら、絵里ちゃんは体調を崩している模様・・・

果たして天はどうするのか・・・

これからの展開をお楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。