絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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は〜しり抜〜け〜た〜♪想〜い〜が〜♪

こ〜ころを染めてまっかっか〜♪

な〜み〜だ〜♪飛〜んで〜った〜♪

優木せつ菜ちゃんの『MELODY』にハマっている今日この頃です。


受けた恩は忘れないものである。

 《梨子視点》 

 

 「うぅ、暑いし疲れたにゃあ・・・天くん、おんぶ~」

 

 「立って歩け。前へ進め。あんたには立派な足がついてるじゃないか」

 

 「どこのハガレン!?いいからおんぶするにゃ!」

 

 「うわっ!?ちょ、いきなり飛び乗ってこないでくれる!?」

 

 「にゃはは♪女子大生の身体の感触を、背中でたっぷり味わうといいにゃ♪」

 

 「凛ちゃんに味わえるほどの胸なんか無いでしょ」

 

 「おりゃあっ!」

 

 「ぐえっ!?」

 

 凛さんに首を絞められる天くん。

 

 その光景を見て、私の隣を歩いている花陽さんがおかしそうに笑っていた。

 

 「フフッ、あの二人は相変わらずだなぁ」

 

 「昔からあんな感じなんですか?」

 

 「うん、二人とも凄く仲が良いの。天くんは昔から大人びてたけど、凛ちゃんと一緒の時はあんな風にはしゃいだりもして・・・凛ちゃんも天くんと一緒だと楽しいみたいで、『天くんとは波長が合う』って言ってたよ」

 

 「波長ですか・・・」

 

 私は天くんにとって、『波長が合う』相手になれてるのかなぁ・・・

 

 そんなことを考えていると、花陽さんがクスッと笑いを零した。

 

 「梨子ちゃんって、天くんのこと好きでしょ?」

 

 「ふぇっ!?」

 

 唐突な質問に、思わず変な声を出してしまう私。

 

 「な、ななな何を・・・!」

 

 「分かりやすいなぁ」

 

 苦笑している花陽さん。

 

 「天くんを見る時の梨子ちゃん、完全に恋する乙女の表情してるよ?」

 

 「えぇっ!?じゃあ天くんにも気付かれて・・・」

 

 「あ、それは大丈夫。天くんって人の感情の機微に鋭いくせに、自分に向けられる好意に関してはビックリするくらい鈍感だから」

 

 「・・・ですよねぇ」

 

 天くん攻略は大変そうだわ・・・

 

 溜め息をつくと、花陽さんがクスクス笑っていた。

 

 「フフッ、よっぽど天くんに惚れちゃったんだね」

 

 「えぇ、まぁ・・・それに気付いたのは、昨日のことなんですけど」

 

 苦笑する私。

 

 「花陽さんは、天くんのことどう思ってるんですか?」

 

 「あ、もしかして恋のライバルだと思われてる?」

 

 「い、いえ!そういうつもりじゃ・・・」

 

 「冗談だよ」

 

 からかうように笑う花陽さん。

 

 「天くんのことは大好きだよ。大切な仲間だし・・・恩人でもあるから」

 

 「恩人・・・?」

 

 「私と凛ちゃんは、天くんと小学校の頃からの付き合いでね。私達が小六の時、天くんが小一だったんだけど・・・その頃から天くん、私のことを凄く励ましてくれたんだ」

 

 昔を思い出しているのか、空を見上げる花陽さん。

 

 「私って自分に自信が無くて、ついネガティブになっちゃうんだけど・・・天くんはいつも私に、『花陽ちゃんは可愛いよ』『もっと自信持って』って言ってくれたの。当時の私にとっては、それが本当に心強かったんだ」

 

 嬉しそうに笑う花陽さん。

 

 「μ'sに入る時もそう・・・自分に自信が無くて、なかなか一歩を踏み出せなくてね。そこで背中を押してくれたのも天くんや凛ちゃん、それに真姫ちゃんだったんだ。あの時背中を押してもらえてなかったら、私がμ'sに入ることは無かったと思う」

 

 「そうだったんですか・・・」

 

 天くんは当時から、色々な人の背中を押してあげていたのね・・・

 

 「μ'sに入ってからも、天くんにはたくさん支えてもらったし・・・天くんがいなかったら、今の私は絶対にいないから。感謝してもしきれないよ」

 

 「・・・それで恩人なんですね」

 

 「うん。だから天くんのことは大好きだけど、恋してるわけじゃないの。梨子ちゃんのライバルではないから、安心して」

 

 柔和な笑みを浮かべる花陽さん。

 

 この人はきっと、天くんの幸せを心から願ってるんだろうな・・・

 

 「あ、でも・・・天くんが私を求めてくれるなら、話は別だよ?」

 

 「えぇっ!?恋じゃないって言ったじゃないですか!?」

 

 「だって天くんに『花陽ちゃんしかいないんだ!』って言われたら・・・キャーッ♡天くんの為だったら、私どんなことでもしちゃうよぉ♡」

 

 頬に手を当て、身体をクネクネさせている花陽さん。

 

 背中にかかるほどのロングヘア、服を押し上げハッキリと存在を主張している大きな胸、そしてこの包容力・・・

 

 ヤバい、天くんの好みにドンピシャじゃない・・・!

 

 「クッ、私も頑張らないと・・・!」

 

 「フフッ、だったらまずは絵里ちゃんに認められないとね。絵里ちゃんのブラコンぶりは凄まじいから」

 

 「絵里さん、ですか・・・」

 

 そこで私は、凛さんをおぶって前を歩く天くんに視線を向けた。

 

 「絵里さん、体調を崩して寝込んでるんですよね?天くん、絵里さんの所に行ってあげなくて良いのかな・・・」

 

 「多分、内心ではメチャクチャ心配してると思うよ」

 

 花陽さんも天くんに視線を向ける。

 

 「でも、今は行かない方が良いと思ってるんじゃないかな」

 

 「喧嘩してるから、ですか?」

 

 「うん。多分絵里ちゃんのことだから、天くんがお見舞いに行っても意地を張って追い返そうとすると思うんだよね。本当はメチャクチャ嬉しいだろうけど」

 

 苦笑する花陽さん。

 

 「そうすると、かえって絵里ちゃんの気が休まらないだろうから。天くんもそれを分かった上で、行くのを遠慮してるんだろうね。まぁ本心では行きたいんだろうけど」

 

 「・・・天くんも素直じゃないですね」

 

 「あの姉弟は昔からそうなの。凛ちゃんがああやって天くんにベッタリ絡んでるのも、天くんの気を少しでも紛れさせようとしてるからなんだよ。大好きな天くんが凛ちゃんとベタベタしてるからって、あんまり嫉妬とかしないであげてね」

 

 「し、してませんからっ!」

 

 「フフッ、梨子ちゃんは面白いなぁ♪」

 

 顔を赤くする私を見て、面白そうに笑う花陽さんなのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「到着にゃ~!」

 

 「凛ちゃん重い。早く降りて」

 

 「コラッ!女の子に『重い』とか言っちゃダメにゃ!」

 

 「・・・ハッ」

 

 「にゃあああああっ!また鼻で笑ったにゃあああああっ!」

 

 憤慨している凛ちゃんを無理矢理降ろし、俺は目の前のお店・・・『穂むら』に目をやった。

 

 こうしてお店に来るのは久しぶりだなぁ・・・

 

 「何かこのお店を見ると落ち着くわ」

 

 「確かに。風情があるよね」

 

 花陽ちゃんも頷く。

 

 一方、梨子は何故か緊張していた。

 

 「こ、ここが『穂むら』・・・」

 

 「何で緊張してんの?」

 

 「だってここ、高坂穂乃果さんの実家なんでしょ!?いくらスクールアイドルに疎い私でも、μ'sのリーダーの実家に来たら流石に緊張するわよ!」

 

 「こんにちは~」

 

 「人の話聞いてくれる!?」

 

 梨子が何か喚いていたがスルーして、お店のドアを開けて中に入る。

 

 中では若い女性が店番をしていた。

 

 「いらっしゃいまs・・・えぇっ!?天くん!?」

 

 「久しぶり、雪穂ちゃん」

 

 笑みを浮かべる俺。

 

 赤みがかった茶髪の女性・・・高坂雪穂ちゃんが、驚愕の表情で俺のことを見つめていた。

 

 「え、何で天くんがここに!?」

 

 「ちょっと東京に来たから、挨拶しておこうと思って。元気そうで良かった」

 

 「それはこっちのセリフだよバカアアアアアッ!」

 

 「えぇっ!?」

 

 雪穂ちゃんに凄い剣幕で詰め寄られる。

 

 何!?何事!?

 

 「内浦に行ったら毎日連絡しろって言ったでしょうが!何で連絡してこないの!?」

 

 「彼女かっ!毎日は無理だわっ!」

 

 「心配して亜里沙に聞いたら、『天とは定期的に連絡とってるよ~』って聞かされてさ!何で私とは定期的に連絡とってくれないわけ!?私も天くんの姉だよ!?」

 

 「いや違うよねぇ!?穂乃果ちゃんの妹であって、俺の姉ではないよねぇ!?」

 

 「じゃあお姉ちゃんをあげるから、今すぐ結婚してきなさい!そしたら天くんは、高坂家の人間になるから!」

 

 「そしたら雪穂ちゃん、俺の義妹になるんだけど!?」

 

 「・・・それも悪くないかも」

 

 「見境なし!?」

 

 全くこの人ときたら、ホント過保護なんだから・・・

 

 と、雪穂ちゃんが笑みを零した。

 

 「全く・・・変わらないなぁ、天くんは」

 

 そのまま雪穂ちゃんに抱き寄せられ、優しく抱き締められる。

 

 「元気そうで良かった。真面目に心配してたんだからね」

 

 「・・・ゴメン」

 

 雪穂ちゃんには全然連絡して無かったもんな・・・

 

 今さらながら、申し訳なさが募る。

 

 「フフッ・・・相変わらず雪穂ちゃんは、天くんのお姉さんやってるね」

 

 「絵里ちゃんや亜里沙ちゃんに負けず劣らずのブラコンにゃ」

 

 「花陽さんと凛さん!こんにちは!」

 

 笑みを浮かべた雪穂ちゃんは、後ろに立っている梨子を見て首を傾げた。

 

 「あれ?貴女は・・・」

 

 「は、初めまして!桜内梨子といいます!」

 

 「あぁっ!?Aqoursの!?」

 

 「えっ?雪穂ちゃん、Aqoursを知ってるの?」

 

 「当然じゃん!天くんがマネージャーやってるって聞いてから、ずっとチェックしてるもん!まぁ、私達はマネージャーを断られちゃったけど・・・」

 

 「ホントすいませんでした・・・」

 

 「あっ、責めてるわけじゃなくてね!天くんがまたスクールアイドルに携わってることが、純粋に嬉しかったんだ。亜里沙も喜んでたし」

 

 笑う雪穂ちゃん。

 

 あの当時は二人からマネージャーを頼まれて、頑なに断ってたからなぁ・・・ホント申し訳ない。

 

 「でも、どうしてAqoursの子がここに・・・ハッ!?まさか天くんの彼女!?」

 

 「違うわ。梨子はピアノコンクールに参加する為に東京に来てて、俺はその応援で来たんだよ。そのピアノコンクールが昨日終わったから、今日は挨拶回りしてるんだ」

 

 「あぁ、なるほど」

 

 納得している雪穂ちゃん。

 

 一方、梨子は何故かムスッとしていた。

 

 「即座に否定しなくても良いじゃない・・・」

 

 「まぁまぁ梨子ちゃん」

 

 花陽ちゃんが苦笑しながら梨子を宥めている。

 

 何かあったのかな?

 

 「本当に鈍感な男だにゃ・・・」

 

 何故か呆れている凛ちゃん。

 

 え、俺何かやらかした?

 

 「でも残念だなぁ・・・お姉ちゃん、今いないんだよね」

 

 「えっ、捕まったの?」

 

 「違うわ!何でそういう発想になるの!?」

 

 「いや、別に・・・」

 

 「あの人のモノマネは止めなさい!とにかくお姉ちゃんは捕まってないから!」

 

 「じゃあ高飛びしたの?」

 

 「それも違うよ!?何も罪は犯してないよ!?」

 

 「逃亡先はどこ?レバノン?」

 

 「だから違うってば!?その話題も危ないから触れちゃダメ!」

 

 ツッコミを連発する雪穂ちゃん。

 

 相変わらず面白いなぁ・・・

 

 「お姉ちゃんは今、ちょっと一人旅に行っててね。まだ帰って来ないんだ」

 

 「いや、穂乃果ちゃんが一人旅って・・・大丈夫なの?」

 

 「私も不安だったんだけど、本人が行く気満々でさぁ・・・」

 

 溜め息をつく雪穂ちゃん。

 

 見知らぬ土地で迷子になってなきゃいいけど・・・

 

 ニューヨークに行った時も大変だったしなぁ・・・

 

 「穂乃果ちゃん・・・君のことは忘れない」

 

 「うぅ、穂乃果ちゃん・・・さようなら」

 

 「凛は穂乃果ちゃんとの思い出を抱えて生きていくにゃ・・・」

 

 「お姉ちゃん・・・私もいずれはそっちに行くからね・・・」

 

 「穂乃果さんってμ'sのリーダーよねぇ!?何でこんなに信用されてないの!?」

 

 梨子のツッコミが響き渡るのだった。




どうも〜、ムッティです。

『立って歩け。前へ進め。あんたには立派な足がついてるじゃないか』

・・・名言や(゜ロ゜)

ハガレンって名言多いですよね。

ちなみに自分の好きな名言は、ウィンリィのお父さんが言った『偽善で結構!!やらない善よりやる偽善だ!』です。



それはさておき、今回は雪穂ちゃんが登場しました!

完全に天のお姉さんになっています(笑)

そして残念ながら、穂乃果ちゃんはまだ登場しません!

実は穂乃果ちゃんの初登場のタイミングは、自分の中で決めてあるんです。

そんなに後にはならないので、お待ちいただけると幸いです。



そしてここで支援絵紹介!

今回も『ことりちゃん大好き』さんから支援絵をいただきました!

まず一枚目がこちら・・・


【挿絵表示】


希ちゃああああああああああんっ!

ヤバい、大きい!(何が、とは言わない)

何か体育の先生っぽいですよね。

こんな体育の先生がいたら、ガン見しますね(どこを、とは言わない)

出来れば体育より保健(これ以上は読めない)



コホンっ!そして二枚目・・・


【挿絵表示】


穂乃果ちゃあああああんっ!

希ちゃああああああああああんっ!

ヤバい、エロい!(ド直球)

そして希ちゃん・・・デカいな(何が、とは言わない)

やっぱり水着姿って素敵やん(・ω・)



『ことりちゃん大好き』さん、ありがとうございました!

実はもう一枚支援絵をいただいているのですが、それはまた別のタイミングでご紹介させていただきたいと思います。

お楽しみに(・∀・)ノ

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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