絢瀬天と九人の物語   作:ムッティ

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本日は果南ちゃんの誕生日\(^o^)/

そんなわけで、果南ちゃんがメインの番外編を書いてみました(^^)

せっかくの番外編ということで、スペシャルゲストも登場させてみましたよ(・∀・)ノ

それではいってみよー(`・ω・´)ゞ


【松浦果南】これからも・・・

 「ねぇ天、二月十日って何の日か知ってる?」

 

 唐突に尋ねてくる鞠莉。

 

 二月に入り寒い日が続く中、今日もAqoursは学校の屋上に集まり練習を始めようとしていた。

 

 今はウォーミングアップの為に、二人一組で柔軟体操をやっているところである。

 

 「勿論知ってるよ。誕生日でしょ?」

 

 「Great!流石は天ね!」

 

 「川口●奈さんの」

 

 「そっち!?」

 

 「急に大河ドラマの代役が決まって大変だろうけど、頑張ってほしいよね」

 

 「それは同感だけども!もっと身近に誕生日の子がいるでしょうが!」

 

 「冗談だって。果南さんの誕生日でしょ?」

 

 鞠莉の背中を押しつつ、少し離れたところにいる果南さんへと視線を向ける。

 

 果南さんは善子とペアを組んでおり、容赦なく善子の背中を押していた。

 

 「イタタタタッ!?もう無理っ!ギブだからっ!」

 

 「ダメだよ善子ちゃん、しっかり身体をほぐさないと」

 

 「ヨハネよっ!?っていうか、少しは手加減しなさいよゴリラ!」

 

 「アレレ~?手ガ滑ッチャッタナ~?」

 

 「ギャアアアアアッ!?」

 

 悲鳴を上げる善子。やれやれ・・・

 

 「果南さんへの誕生日プレゼント、バナナの詰め合わせとかどう?」

 

 「果南さんの誕生日が、天さんの命日になりますわよ」

 

 「命が惜しいなら止めるずら」

 

 隣で柔軟体操をしているダイヤさんと花丸が呆れていた。

 

 名案だと思ったのに・・・

 

 「フッフッフ・・・私にGood ideaがあるわ!」

 

 鞠莉はそう言うと胸の谷間に手を突っ込み、二枚の紙切れを取り出した。

 

 「天と果南の為に用意したの。ありがたく受け取りなさい」

 

 「うん、その前に『どこにしまってんの?』っていうツッコミを入れさせてくれる?」

 

 そう言いつつ、鞠莉から紙切れを受け取る俺。

 

 背後からダイヤさんと花丸が覗く中、そこに書いてある文字を読んで驚く俺なのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「わぁ・・・!」

 

 目を輝かせている果南さん。

 

 果南さんの誕生日である二月十日、果南さんと俺は二人で遊園地へとやって来ていた。

 

 鞠莉からもらった二枚の紙切れは、この遊園地のフリーパスだったのだ。

 

 「見て見て天!楽しそうなアトラクションがいっぱいあるよ!?」

 

 「そうですね。まずは大人しめなアトラクションから・・・」

 

 「よし、まずはジェットコースターに乗ろう!」

 

 「人の話聞いてます?」

 

 ダメだこの人、完全に浮かれてるわ・・・

 

 

 

 

 

 『果南は遊園地とか大好きだから、誘ったら絶対食いつくわよ。まぁ天からのお誘いなら、たとえ遊園地じゃなくても食いつくでしょうけど』

 

 

 

 

 

 鞠莉の言葉を思い出す。

 

 ちなみにこの遊園地の建設には、小原家も関わっているのだとか。

 

 だからフリーパスとか用意出来たのね・・・

 

 「むぅ・・・」

 

 そんなことを考えていると、果南さんが不機嫌そうな顔をして俺を睨んでいた。

 

 「果南さん?どうかしました?」

 

 「目の前に私がいるのに、他の女のこと考えてたでしょ」

 

 「何ですかその嫉妬してる彼女みたいなセリフ」

 

 ってか何で分かるの?

 

 そういうのって分かるもんなの?

 

 「分かるもんなのっ!」

 

 「人の心を読むの止めてもらえます?」

 

 「とにかくっ!今は私だけを見ることっ!分かった!?」

 

 「・・・了解です」

 

 『だから彼女かっ!』というツッコミはあえて放棄し、俺は果南さんの手を握った。

 

 「ふぇっ!?そ、天!?」

 

 「人が多いですし、はぐれたら困るでしょう。それに・・・こうしていれば、嫌でも果南さんのことしか見られませんから」

 

 「・・・『嫌でも』は余計だし」

 

 そう呟きつつ、顔を赤くして俺の手を握り返す果南さんなのだった。

 

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 「だ、大丈夫・・・?」

 

 「も、もうダメ・・・」

 

 グロッキー状態の俺。

 

 俺は今、ベンチで果南さんに膝枕されながら横になっていた。

 

 「全く、この程度で乗り物酔いしちゃうなんて・・・」

 

 「・・・ジェットコースターに十回ぐらい乗った後、コーヒーカップでベイ●レードばりにスピンさせたのは誰でしたっけ?」

 

 「き、記憶にございません・・・」

 

 「吐くつもりが無いなら、俺が吐きますね・・・おえっ」

 

 「わあああああっ!?すいませんでしたあああああっ!?」

 

 慌てて謝る果南さん。

 

 全く、この人ときたら・・・

 

 「あぁ、何か飲みたいなぁ・・・」

 

 「待ってて天!今飲み物を買って来るから!」

 

 ダッシュで飲み物を買いに行く果南さん。

 

 やれやれ、あの人ときたら・・・

 

 「君、大丈夫~?顔色が優れないみたいだけど~・・・」

 

 そのままベンチで横になっていると、見知らぬお姉さんが心配して声をかけてくれた。

 

 ゆるふわロングヘアで、おっとりした感じのお姉さんである。

 

 「えぇ、大丈夫です。ちょっと乗り物に酔っちゃって・・・」

 

 「あぁ、なるほど~・・・じゃあ、これをあげるね~」

 

 そう言ってお姉さんは、俺にコーラのペットボトルを差し出してきた。

 

 「乗り物酔いにはコーラがオススメだよ~。炭酸に含まれる成分が自律神経を整えてくれるし、カフェインには感覚の乱れを抑えてくれる作用があるの~」

 

 「へぇ、そうなんですね・・・って、もらっちゃって良いんですか?」

 

 「良いよ~。あげちゃう~」

 

 「すみません。いただきます」

 

 俺はお姉さんからペットボトルを受け取ると、コーラを口に流し込んだ。

 

 炭酸の爽快感で、ちょっと気分が良くなったかも・・・

 

 「ありがとうございます。助かりました」

 

 「どういたしまして~。でも君にとっては、美人な彼女さんに膝枕されてる方が幸せだったかな~?」

 

 「アハハ・・・見てたんですね」

 

 どうやらバッチリ目撃されていたらしい。

 

 それで果南さんが席を外したタイミングで、俺に声をかけてくれたのか・・・

 

 「まぁ果南さん・・・あの女性は、彼女じゃないんですけどね」

 

 「えっ、そうなの~?膝枕までしてたのに~?」

 

 「あれくらいのスキンシップは、あの人にとって普通ですから」

 

 「へ~、そうなんだ~」

 

 苦笑しているお姉さん。

 

 「・・・普通好きでもない男の子に、膝枕なんてしないと思うけどな~」

 

 「ん?何か言いました?」

 

 「何でもな~い」

 

 笑って誤魔化すお姉さん。

 

 どうしたんだろう?

 

 「よ〜し。彼方ちゃんが君に、とっておきの情報を教えてあげる~」

 

 「とっておきの情報?」

 

 「その通り~」

 

 胸を張るお姉さん。

 

 おぉ、大きい・・・じゃなくて。

 

 「実はここの観覧車、結構有名なんだよ~」

 

 「観覧車、ですか?」

 

 「そうそう〜。何でもここの観覧車に一緒に乗った男女は、必ず結ばれるんだって~」

 

 「・・・観覧車に一緒に乗るくらいですし、その段階でもう結構良い感じになってるはずですよね?結ばれてもおかしくないと思いますけど」

 

 「まぁそうなんだけど~。でも、素敵だよね~」

 

 微笑むお姉さん。

 

 「特に夜に乗るのがオススメらしいよ~。夜景が綺麗なんだってさ~」

 

 「へぇ・・・それは見てみたいですね」

 

 「フフッ、是非乗ってみてね~。じゃあ、彼方ちゃんはそろそろ行くから~。良い一日を過ごしてね~」

 

 手を振って去っていくお姉さん。

 

 観覧車かぁ・・・

 

 「・・・誘ってみるかな」

 

 小さく呟く俺なのだった。

 

 

 

 

 *****

 

 

 

 

 

 《果南視点》

 

 「おぉ・・・夜景が綺麗ですね」

 

 「そ、そうだね・・・」

 

 「果南さん?どうしたんですか?」

 

 「ど、どうもしないよ!?」

 

 「ならいいですけど・・・」

 

 首を傾げている天。

 

 辺りがすっかり暗くなった頃、天と私は観覧車に乗っていた。

 

 そろそろ帰ろうかという時に、天が『最後に観覧車に乗っていきませんか?』と誘ってくれたのだ。

 

 ゴンドラの中で天と二人きりという状況に、私はもの凄く緊張していた。

 

 (うぅ、鞠莉のせいだ・・・鞠莉があんなこと言うから・・・!)

 

 

 

 

 

 『あの遊園地の観覧車に一緒に乗った男女は、必ず結ばれるらしいわよ。夜景も綺麗みたいだし、夜に二人で乗ったら良い雰囲気になるのは間違いないわ。だから果南、必ず天を観覧車に誘いなさい。そして頂上に着いたら、二人で熱いKissを・・・キャーッ♡』

 

 

 

 

 

 (キャーッ♡じゃないでしょおおおおおっ!?)

 

 頭を抱える私。

 

 だから観覧車には乗らずに帰ろうと思ったのに、まさか天から誘われるなんて・・・

 

 まぁ、天はそんなこと知らないだろうけどさぁ・・・

 

 「果南さん、ホントにどうしたんですか?」

 

 「な、何でもないってば!?それより体調は大丈夫なの!?」

 

 「強引に話題を変えましたね・・・もう大丈夫ですよ。コーラパワーで全快です」

 

 「コーラパワー・・・?」

 

 「あぁ、こっちの話ですよ」

 

 笑う天。

 

 そういえば私が飲み物を買って戻ったら、天がペットボトルのコーラを持ってたんだよね・・・

 

 『それどうしたの?』って聞いたら、『親切な人からの贈り物です』とか言ってたけど・・・

 

 「そういえば果南さん、知ってます?」

 

 「何?」

 

 「この観覧車に一緒に乗った男女は、必ず結ばれるらしいですよ」

 

 「知ってたああああああああああっ!?」

 

 「うおっ!?」

 

 ビックリしている天。

 

 いや、ビックリしたいのこっちだから!

 

 「知ってたの!?知ってて私を誘ったの!?」

 

 「え、果南さんも知ってたんですか?」

 

 「だから意識しちゃって緊張してたんでしょうが!逆に何で天は平然としてるの!?」

 

 「私、緊張しないので」

 

 「何で『ド●ターX』みたいに言ったの!?」

 

 「余の辞書に『緊張』の文字は無い」

 

 「今度はナポレオン!?」

 

 「まぁ冗談はさておき・・・俺だって意識はしてましたよ」

 

 照れ臭そうに笑う天。

 

 「でも、ちゃんとコレを渡したかったので・・・どうしても、二人きりになれる場所に来たかったんです」

 

 天はそう言うと、バッグから小さな箱を取り出した。

 

 コレって・・・

 

 「誕生日おめでとうございます、果南さん」

 

 「・・・もしかして、誕生日プレゼント?」

 

 「勿論です。ちゃんと用意してたんですから」

 

 差し出された箱を受け取る。

 

 この遊園地のフリーパスがプレゼントだと思ってたから、他にももらえるなんて考えてもみなかった・・・

 

 「・・・開けても良い?」

 

 「どうぞ」

 

 恐る恐る箱を開ける。

 

 そこに入っていたのは、エメラルドグリーンのリボンだった。

 

 「色々と悩んだんですけど、果南さんといえばポニーテールの印象が強かったので。色も果南さんカラーを選んでみました」

 

 「嬉しい!ありがとう、天!」

 

 天からのプレゼントに、つい笑みが零れてしまう。

 

 私は一度ヘアゴムを外し、結ってあった髪を下ろした。

 

 「早速着けてみる!」

 

 「あ、俺が着けましょうか?」

 

 「えっ、出来るの!?」

 

 驚く私をよそに、天は慣れた手つきで私の髪を梳いていく。

 

 そしてリボンを手に取り、あっという間にポニーテールに結ってしまった。

 

 「はい、出来ました」

 

 「な、何でそんなに手慣れてるの・・・?」

 

 「俺の姉を誰だと思ってるんですか?」

 

 「あっ・・・そういえばそうだね」

 

 天のお姉さんの絢瀬絵里さんも、ポニーテールにしてることが多かったっけ・・・

 

 「よく絵里姉にやらされてたんで、ポニーテールの結び方には慣れてるんです。後はことりちゃんとか、鞠莉のヘアスタイルぐらいなら出来ますよ」

 

 「いや、『ぐらい』って・・・十分過ぎるでしょ」

 

 あんな独特なヘアスタイル、私だってどうやってるか分かんないのに・・・

 

 「まぁそれはさておき・・・良く似合ってますよ」

 

 「ホント?鏡が無いから、自分じゃ見れないんだけど・・・」

 

 「じゃあ写真撮りましょうか。それなら見れますし」

 

 「おっ、ナイスアイデア!」

 

 ポケットからスマホを取り出す私。

 

 「せっかくだし、天も一緒に写ろうよ」

 

 「いや、果南さんを撮るのが目的でしたよね?」

 

 「いいのっ!いいから一緒に写ろっ!」

 

 私は天の隣に移動すると、正面にスマホを掲げた。

 

 「ほら、もっとくっつかないと!」

 

 「急に大胆になったな、この人・・・」

 

 呆れている天。

 

 ふと外の景色を見ると、ちょうど頂上に差し掛かるところだった。

 

 よし・・・

 

 「いくよー!はい、チーズ!」

 

 そう言った瞬間、私は天に顔を近づけ・・・

 

 

 

 

 

 頬にキスをした。

 

 

 

 

 

 「っ!?」

 

 ビックリしている天。

 

 パシャッという音がして、無事に写真を撮り終える。

 

 「ちょ、果南さん!?急に何を!?」

 

 「アハハ、ビックリした?」

 

 「心臓が止まるかと思いましたよ!?」

 

 慌てふためいている天。

 

 フフッ、本当に意識はしてくれてるみたいだね・・・

 

 「いやぁ、観覧車の頂上でキスってカップルの定番じゃん?ロマンチックだし、一度やってみたかったんだよね」

 

 「普通マウス・トゥー・マウスでは!?」

 

 「あ、じゃあそっちもやる?」

 

 「やらないわっ!そういうのは本当に好きな人としなさいっ!」

 

 「アハハ、だから頬で妥協したんじゃない」

 

 笑う私。やれやれ・・・

 

 (全く・・・そもそも好きでもない男の子が相手なら、たとえ頬にでもキスしたりしないんだけどなぁ・・・)

 

 天は本当に鈍感だ。

 

 私が膝枕してあげても、それが私にとっての普通だと思ってるくらいだし・・・

 

 (まぁでも・・・そんな天を、私は好きになったんだけどさ)

 

 思わず苦笑してしまう。

 

 この男の子を振り向かせるのは、なかなか大変そうだ。

 

 「全く・・・果南さんは自由なんだから」

 

 苦笑している天。

 

 「まぁ、果南さんらしいですけどね。果南さんのそういうところ、俺は好きですよ」

 

 「っ・・・」

 

 顔がカァッと赤くなるのを感じる。

 

 ホントにもう・・・

 

 何でそういうことをサラッと言えちゃうかなぁ・・・

 

 「ん?どうかしました?」

 

 「な、何でもないっ!」

 

 天の腕に抱きつき、顔を隠すように縮こまる。

 

 「やれやれ・・・あっ、果南さん」

 

 「な、何・・・?」

 

 おずおずと顔を上げると、そこには・・・

 

 優しい笑みを浮かべた天の顔があった。

 

 「これからも、よろしくお願いしますね」

 

 「っ・・・うんっ!」

 

 額をコツンと合わせ、笑い合う私達。

 

 その日以降、私のスマホの待ち受けは天とのツーショット写真になった。

 

 そこには、驚いた表情をしている天と・・・

 

 愛おしそうに天の頬にキスをする、私の姿が写っていたのだった。




どうも〜、ムッティです。

果南ちゃん、誕生日おめでとう\(^o^)/

あと川●春奈さん、おめでとうございます(本当に今日がお誕生日だそうです)

今回は果南ちゃんがメインの番外編ということで、ちょっと甘い回にしてみました。

いかがだったでしょうか?

果南ちゃんは完全に天に恋しており、天も果南ちゃんが気になっているような節がありましたね。

果たしてこの後、二人は結ばれるのか・・・

そしてスペシャルゲストとして、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会から近江彼方ちゃんが登場しました!

あの間延びした口調を表現するのが難しかった(´・ω・`)

最初は果林ちゃんにしようかと思ったのですが、コーラのくだりは彼方ちゃんの方が良いかなと思いまして・・・

彼方ちゃんは料理が得意だから、その辺詳しいんじゃないか・・・という安直な考えですけど(笑)

番外編は本編と全く関係無いので、こういった自由なことが出来て面白いですね(^^)

来月は花丸ちゃんが誕生日を迎えるので、花丸ちゃんがメインの番外編を書けたら書きたいと思います。

それではまた次回!以上、ムッティでした!

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