1月16日(水) PM6:11 ―晴れ―
母港に帰ってきたときには日が沈みかけていた。ボクは司令官に報告があるから、とみんなには解散を告げたのだが、何故か曙と山風はくっついてきた。
「・・・あの着いてこなくて大丈夫だからね?」
「いえ、どこまでも着いて行きます!」
「・・・わたしは別に着いて来てるわけじゃ・・・」
山風、曙の順で言う。曙はツンデレなので逆の意味を持つ言葉だと解釈出来る(だって実際着いてきてるし)
何度目かのやり取りにため息をつく皐月。横目で見ると春雨も巻雲に取りつかれている。はぁ...とまたため息をついた。それは今から一時間ほど前のことである。
―一時間前
「帰ろうか?」
と皐月は言った。全員がこっちを見ている。否、一人は春雨を見ている。
「ん、どうしたの?」
ずっと、見られていると流石に気持ちが悪い。
「「し、師匠!」」
しばらくして二人―曙と山風が呟いた。
「え?」
「師匠と呼ばせて下さい!」
代表して山風が叫ぶ。隣で巻雲が「姉様~!」なんて言って春雨に抱きついている。
「え?」
春雨も同じ反応である。
「いや~、師匠!スゴかったです。一人で6隻しかも戦艦も落としてしまうなんて!」
「あの...」
「姉様!ありがとうございます!この巻雲!この恩は一生を使って返して見せます!」
「あの...」
「特に最後の決め台詞!あれ格好よかったです!」
「あ...」
思い出して恥ずかしくなる。なんだっけ、ボクに会ったのが...って恥ずかしすぎるんですけど!?
「ほんとうに、ほんとうに格好よかったです姉様!姉様大好き!」
「・・・」
顔を真っ赤にして俯く春雨。
「「勘弁して」下さい」
と二人呟くのだった。
それから皐月は山風たちから「師匠」と、春雨は巻雲から「姉様」と呼ばれるようになった。
山風と曙に至っては「教育係を変更したい」とまで言い出し、「それは羽黒さんが泣くから!」と断るのに苦労した。
「そうか・・・またか」
何とか二人を引き剥がすことに成功した皐月は新人潰しに関して司令官に報告を入れた。
「確かに、最近、那智さんのところも遭遇したって言ってたし...今月に入ってこれで三件目だったっけ?」
「あぁ。何か有るかもしれん。こっちでも調べてみる。報告ありがとう」
と言って、司令官が秘書艦の加賀に皐月の報告書を渡す。加賀に渡すと言うことは本格的に調査するということだ。
失礼します、と言って執務室を出ようとする皐月を司令官が呼び止めた。
「今日は6隻を一人で倒したんだって?スゴいじゃないか」
と言って、皐月の頭を左手で撫でる。薬指には何も装飾が施されてないシンプルなデザインの指輪をはめていた。
「ふふっ、やめろって。誉めるなら春雨を誉めてくれ。何たって砲弾を撃ち落としたんだから」
まんざらでもない皐月。
「あぁ、そっちは後でイヤと言うほど誉めてやるさ。まずは皐月の番だ」
と言って、皐月の頭を撫で回す。皐月は気持ち良さそうに目を細めた。
「お前はよくやってる。こんなにも強くなっちまった。でもさ、少し休んでも良いんじゃないか?」
「ふふっ、大丈夫だよ司令官。ボクは好きでやってるんだ。ボクはこれからドンドン強くなるよ!」
司令官は「そうか」と言ってそれ以上は何も言わずただ黙って皐月の頭を撫で続けた。今の皐月にはそれが心地よい。
あとがき
みんなお待たせ!遅咲きの桜の4話だよ!
僕はハープだよ。舞鶴の提督だよ。そしてここはKSPだよ。
てなわけで深夜に書いて変なテンションになっていますハープです。軌道修正。軌道修正。
今回は前後編に分けました。理由は同じだと確認がメンドクサイと言う作者の事情と長いと読みにくいだろという読者への心配りが半々くらい...嘘です。9:1の割合でこっちの事情です。でも、安心してください。投稿日は同じだから!というのもお気づきの方も多いと思いますが、この話、現実の日付と小説内を連動させております。なので一日がどんなに多かろうが書ききらなければなりません。とても大変です。でも頑張ります!自分で始めたことだから。
用語
・イ級・・・深海棲艦の1種。駆逐艦で魚みたい感じ。一番の雑魚敵さん。
・ル級・・・深海棲艦の1種。戦艦で砲撃力強し。ただflagshipでないかぎりそこまでの驚異では無いが新人さんにはかなりの驚異。無論駆逐艦一隻で倒せる代物では...うちの時雨ならやりかねんな。
・リ級・・・深海棲艦の1種。重巡で昼ではそこまでじゃないが夜戦で化ける。いや、もうflagshipのカットインは止めて。
さて、今回は最後に皐月や提督(司令官)の過去を匂わせる感じで終わりましたがこれまでもパラパラと散らしております。良かったら見直して下さいませ。
ではまた、次の回で。次回は平和回を予定しております。
2019.1.16 とある舞鶴鎮守府提督・ハープ