のびのびTRPGリプレイ   作:おべん・チャラー

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憧れののびのびTRPGをついに手に入れた、テストプレイを兼ねたおべん・チャラ―のぼっち回。
プレイはおろかリプレイを書くのも初めてだから、なんとなく覚束ないぞ!
全5話になります

◎登場人物◎
 名前 パルマ・イントラーズ
 職業 飛行士  

*ステータス*
 力2 技3




狙われた至宝(スチームパンク編 全1/5回)

 

 とある王国。ここは蒸気機関と機械の街。レンガ仕立ての家が並び、郊外の工場や加工場から蒸気や排煙が空に立ち上っている。灰色の空には飛行機や飛空挺が行き交い、国営の蒸気機関車に並んで王国の物流を担っている。

 

 飛行士のパルマ・イントラーズは久しぶりの非番を満喫していた。非番と言っても特にする事もなく、いつもの飛行服に身を包んで何の気なしに散歩しているだけだが。

 

 栗色の長い巻き毛を揺らしながら、両手を頭の後ろで組んでぶらぶらと歩いていると、可愛いドレスを着てかしましく歩いている女の子達とすれ違う。昨日、仕事場のおじじ連中に言われた事を思い出す。「パルマぁ、明日は休みだって?デートでも行くのかい?」「おいおい、そいつはないぜ、休みの日まで飛行服着てるような飛行バカだ!」「ちげぇねぇ。―それにしても、たまには色気づいてみたらどうだ。ドレスが似合うのは今だけだぜ!」

 ドレス姿の女の子達にそんなおじじ連中の馬鹿笑いを見て、パルマは罪もない彼女達の後ろ姿に呟いた。「―余計なお世話だよっ」

 

 「ショートケーキでございます」

 「待ってました!」

 行きつけという訳でも無いカフェで、紅茶に遅れて配膳されたショートケーキを見て、パルマは両手を合わせて目を輝かせた。大好きなスイーツを楽しむ時間など、この頃ほとんどとれなかったのだ。

 懐かしい甘さに舌鼓を打ちながら、さてこの後はどうしよう、と思案する。久しぶりの休みだ。普段できない様な事を楽しみたい。すると、ふと、隣の席で談笑している上品な身なりのご婦人達の会話が聞こえてきた。

 

 「『亡き王の冠』、楽しみですわ。公開されるのは五十年ぶりなんでしょう?」

 「平常時は博物館の裏でそりゃあ厳重に保管されていますもの。今年は即位五十年という節目の年に加えて、王太子様のご結婚も決まりましたでしょう?」

 

 楽しみですわ、と言い合うご婦人達。五十年ぶりに、王国博物館で国の宝、「亡き王の冠」が公開されるのだ。

 残念ながら歴史に詳しくないパルマは、「亡き王の冠」を戴いていた人物が果たしていつの時代の王なのかは分からないが、とはいえ五十年ぶりに日の目を浴びるお宝である。これはお目にかからない手はない。この後の予定は決まった。

 

 

 

 国立博物館など、小学生の時の研修以来だった。その時は何を見て回っただろうか。最早記憶の彼方である。

 高くはない入館チケットを買って十数年ぶりに中へ入る。他の展示を見て回りながら人が多い方へ進んでいくと、上に吹き抜けになっているホールの様な空間に、「亡き王の冠」があった。他の博物館より内装が壮麗である王国博物館の中でも、特に豪華に作られたメイン展示用の空間であるらしい。厳重に設置されたガラスのケースから漏れ出る輝きが、見る者を恍惚とさせる。

 

 ガラスケース越しの王冠を見るにも、自由にとはいかなかった。ようやく長い列の中程にパルマが来たその時、突然轟音が響き渡った。もうもうと灰色の煙が室内に充満し、何かが爆発したのだと分かる。

 「今の、爆発音じゃないか!?」「何で!?恐いわ!」

 客がパニックに陥る中、警備がはっと気づいてケースに駆け寄ると、その中から「亡き王の冠」は忽然と姿を消していた。ケースには傷一つ入っていない。

 

 突然の事には呆然としていたパルマだが、多くは出口に流れていく客の中に、一人階段を上がっていく怪しい人影を発見した。警備はガラスケースの欠陥に夢中で、まだ気づいていない。

 「蒸気機関の故障か?」

 警備が右往左往とする中、爆発の原因について現場主任がそう問うている。「亡き王の冠」が無くなった事実を重ねてみれば、これは事故などではない。

 

 「これはどうした事か!?」

 不審な人影の消えた方向と逆の上階から重鎮たる声が聞こえた。見ると、吹き抜けのバルコニー部分から、この国を治める王が現れた。ホールから客の数はめっきり減っていたが、逃げようとしていた彼らはとパルマ、警備達は一様にバルコニーを見上げた。王は空のガラスケースを見下ろし、すぐに事を理解する。

 

 「一刻も早く探し出すのだ!『亡き王の冠』を取り戻さなければ、この国は滅びの運命を避けられない…」

 そう告げた王の声色に、人々はどよめきを隠せなかった。

 突然起こった事件。上階に逃げた怪しい人影。パルマはニヤリと笑って呟いた。「…面白い休日になりそうだ」

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