速さを追及したいのでゲーム内最速を目指します。 作:黒三葉サンダー
「……!……!」
(はぁ!はぁ!ここまで来れば大丈夫かな)
和花、もといノノは駆け出してから暫くしてようやく停止した。辺りを見回すとどうやらだいぶ走ってしまったようで、周りは木々が生い茂っている。
「……」
(……だいぶ走ってきちゃったみたい。楓ちゃん──はこんな所にまで来てないよね)
ノノは素早く木陰に隠れると、ステータス画面を開く。
ノノ
Lv1
HP30/30
MP25/25
【STR 0〈+3〉】
【VIT 0】
【AGI 100】
【DEX 0〈+3〉】
【INT 0】
装備
頭:【空欄】
胴:【空欄】
右手:【初心者の弓】
左手:【空欄】
足:【空欄】
靴:【空欄】
装飾品:【木の矢筒】
:【空欄】
:【空欄】
スキル
なし
「……ん」
(矢の数は気にしなくてもいいみたい。これで水辺での戦闘とかは心配しなくてもいいかな)
ノノがコツンと腰の矢筒を指で叩くと、矢筒の中からカラカラと矢が擦れる音がした。サラッと矢筒の説明を見た限り、矢筒の矢が切れる事はないようだ。
ノノはステータス画面を閉じると、木陰から顔だけを出して再度辺りを見回す。
するとノノの視線の先に鋭い角が生えた白兎がモソモソと草を食べているのを見つけた。
「……っ!」
(はわぁ……!可愛い~!)
愛らしい姿にノノの視線が釘付けになるが、ハッと我に返って首を振る。
ノノは静かに矢筒から木の矢を取り出し、そっと弓につがえた。狙うは無防備な姿で食事中の白兎。
「……!」
(ごめんね、兎さん!)
つがえた矢を撃ち放つと、その凄まじく高いAGIのおかげか、はたまたそのPSのおかげか矢は吸い込まれるように食事中の白兎にヒットした。
「きゅ!」
しかし悲しいかな。雀の涙程の攻撃力では白兎のHPすらろくに削ることができず、一割程減った程度だ。
兎は食事を急遽止め、キョロキョロと辺りを見回し始めた。
それと同時にノノも茂みを利用して移動を開始していた。
「……」
(次のポジションは、ここら辺かな)
素早く移動を完了させると、再び白兎に向かって矢を射る。今度も兎は避けることが出来ずにHPを削られた。
そして再びノノは移動。兎は射たれた方へと視線を向けるが、既にそこには何もおらずただ混乱するばかりだ。
そこから先の一時間はひたすら同じことの繰り返しだった。
まだ馴染みきらない動きに体を慣らすように同じ動作を狂いなく続けるノノの集中力は中々のものだろう。
「きゅ……」
最後まで兎はノノを発見することが出来ず、兎は力なく一鳴きすると光の粒子となって消えていった。
『スキル【気配遮断Ⅰ】を取得しました』
『レベルが2に上がりました』
「……」
(バイバイ、兎さん……)
儚く散っていった兎にノノは手を合わせると、再び木陰に隠れて獲得したスキルを確認する。
スキル【気配遮断Ⅰ】
【気配察知】の効果を受けにくくする。スキルレベルが高ければ高い程効力は強くなる。
取得条件
敵を発見してから一時間以上敵に発見されずにいること。
「……ん…いいかも」
(いいスキルだね。それにしても、こんなに速く動けるなんて……AGI特化ってやっぱり楽しいかも!)
ちょっとした忍者気分に達成感を感じ、胸の前でグッと小さく手を握るノノ。楓と同じ身長である145cmの少女のその姿を他人が見れば微笑ましいものだろう。
「……」
(他にも色々試してみよう。ひょんなことでスキルを取得出来るかも知れないしね)
ノノはレベルが上がったことで貰えた5ポイントを全てAGIに振ると、思わずスキップでもしてしまいそうな程ルンルン気分で動き出した。何をするにしても第一はレベル上げとスキル取得である。
それから暫くノノが木に登ったり茂みに隠れたり、はたまた木々の隙間を縫うように走ったりして遊んでいると、近くから何やらノノの聞き覚えのある声が微かに聞こえた気がした。
ノノは動きを止め耳を済ますと、辺りは静けさに包まれよく聞こえるようになった。
『兎さぁぁぁぁぁぁぁん!!』
それはノノの幼馴染みの悲鳴であったのだった。
ノノ
Lv2
HP30/30
MP25/25
【STR 0〈+3〉】
【VIT 0】
【AGI 105】
【DEX 0〈+3〉】
【INT 0】
装備
頭:【空欄】
胴:【空欄】
右手:【初心者の弓】
左手:【空欄】
足:【空欄】
靴:【空欄】
装飾品:【木の矢筒】
:【空欄】
:【空欄】
スキル
【気配遮断Ⅰ】