速さを追及したいのでゲーム内最速を目指します。 作:黒三葉サンダー
あと今回はノノの心の声を試験的に台詞枠と一緒にしてみています。
投票箱置いとくんで、見やすい又は読みやすい方を良ければ投票してくださいな。
必殺技が必要である。
現在、ノノはそんな衝動に駆られてフィールド内を駆け回っていた。
その理由は一週間後のイベントの為だ。
そのイベントとはバトルロワイアル。参加者全員が敵同士であり、倒した数と死亡した数で競いあうノノにとっての地獄のイベントなのである。
しかも紙装甲かつ蚊ほどの攻撃力しか持たない、速さのみに特化されたノノのビルドではプレイヤーを一人倒すだけでも時間が掛かるのは明白。
せっかくなら上位に入りたい!でも目立ちたくはない!
そんな相反する気持ちを抱えつつも強い技を欲して彷徨っているのが現状である。
「……?(あ、あれ?ここどこだろう)」
その後もノノが森へ、砂漠へ、洞窟へと奔走していると気付けば見知らぬエリアへと足を踏み入れていた。
天高く伸びた木々の隙間から木漏れ日が差し、枝には見たことのない果物のようなものが実っている。
そんな幻想的な空間に佇む男性を発見し、ノノは反射的に草むらへと飛び込み気配遮断を全開にしていた。
「…?…?(へ?誰?あれ誰!?)」
「……隠れなくても大丈夫だよ。さぁ、姿を見せて欲しい」
ノノが混乱していると、男性はノノに気付いているのか声を掛けてきた。
その視線ははっきりとノノが隠れている場所へと向けられており、人の良さそうな笑みを浮かべていた。
話は可能な人物であり、どことなく清純さを感じさせる青年だが、相手は生粋の人見知り。
むしろ
そもそも一人で何をしていたのか、何故隠れてる自分を一瞬で見つけられたのか、何故
ノノにはその青年の姿と振る舞いがちぐはぐに感じられるのだ。
だからこそ場所はバレていようとも姿は見せないのだ。
そっと静かに白夜狼の長弓に矢をつがえると、いつでも動けるように体勢を整える。
青年の言葉を無視し、尚も姿を見せないノノに青年は右手で顔半分を覆うと、大袈裟にため息をつき始めた。
「……ふぅ。やれやれ、これまた面倒なタイプが来たね。大抵の人はなんの警戒心もなく近付いて来てくれるんだけど、たまに居るんだよね。君みたいな人が」
「……(…え?いきなり喋り始めたんだけど…怖い)」
唐突に語り始めた青年にノノは普通にビビっていた。
「でも、そういう警戒心が持てることは悪い事じゃない。寧ろ見た目が無害そうだからといって無防備に近付いて来る方が悪い。そう思わないかい?さぁ、今度こそ出てきておくれよ。君みたいな人にこそ僕の技を伝えたい」
「……(…いや、無理。全然信じられないんだけど…)」
ノノ、完全に青年にビビる。
それもその筈。非常に分かりにくいが、ノノの目には青年の袖の中にギラリと鈍く光る刃先が覗いているのが写っているのだ。
暗殺武器。ノノの頭の中に浮かんだのはこのワードであった。
「……(だってこれ、近付いたら絶対グサッてやられる!笑顔で人の心臓刺してくるよ!無理無理!絶対無理!)」
頑なにノノが姿を見せないのもそこである。
話そうとしている人がニコニコと武器をバレないように隠し持ってる状況を想像すれば、誰であれ近付こうと思うだろうか?答えは否だ。
話そうしてるのに武器を隠し続けるなんてナンセンスだ!とノノは思っているがビビっているので声には出てこない。せめて暗器じゃなくてはっきり目に見える武器なら良かったとも思っている。
「……はは、ははははは!本当に君は面白いね!ここまで言ってもまさか姿を見せないなんて、筋金入りだ!うん、気に入ったよ!是非とも君に僕の技を継いで貰いたい!いや、継いでくれないだろうか?」
「……(いや、だから……って?あれ?)」
もう青年に対して先制攻撃してもいいのでは?と狙いをつけようとした矢先に、ノノの視界にピコンと見覚えのあるテキストが表記された。
「……クエスト『暗殺者の秘技』?(嘘。これクエストだったの!?)」
思いがけずスキル獲得の足掛かりを得たノノは暫くの間クエストと青年へ動揺した視線を向け続けていた。
ノノの低火力(仮)を補う為のクエストが始まる……
裏話
クエスト『暗殺者の秘技』は工程を三回ほど踏まねば発生せず、その条件は
・青年に話しかける前に気配遮断で様子を伺う。
・青年にバレるが、姿を見せず隠れ続ける。
・青年は感心したように振る舞うが、彼の言葉を無視してさらに隠れ続ける。
の三つ。この三工程を無視して青年に話しかけると先制攻撃でぶっ刺され、戦闘が始まる。一応報酬有り。
ただし倒してしまうとクエストは受けられなくなる。
ノノの心の声、どっちがいい?
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今まで通りがいい
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これがいい