FE 新・紋章の謎異聞 漂流傭兵 ルオ・ルスペード   作:おかのん

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第3章外伝 暗躍する影たち

マケドニアのクーデターを鎮圧。

その後、ラングの要請をはねのけ、ハーディン皇帝に親書を送る。

ラングの行状を書き綴り、民たちの塗炭の苦しみを記したもの。グルニアの遺児たちの扱いを任せて欲しい旨。

 

僕たちの絆をなめるな。

 

ニーナ王女を守り抜き、あの戦火を駆け抜けた『草原の狼』。

彼への尊敬は、薄れてなどいない。その信頼も。

 

ファルシオンを扱える、勇者アンリの子孫、掲げるのには恰好の旗印であるとはいえ、自分を差し置いて『紋章の盾』と『アカネイア同盟の長』をその若者が手にしたことを不満に思っても良いはずだった。

だが彼はそんなことはおくびにも出さず、ニーナ王女のために力を合わせようと、そう言ってくれた。

そんな彼が傍らにいた戦であったからこそ、マルスはこの戦争を自分一人で戦っているのではないと、勇気を持てたし、思い上がる愚も犯さなかった。

戦のあとも、何を望むこともなく、取り戻した平和を珠玉のものと素直に感じ、ハーディンとニーナ王女が結ばれたことを心から祝福し、臣下となることに誇りを持てた。

 

親書は必ず、思う通りの結果をもたらしてくれる。

 

 

その結果と、アイシャの探らせた情報が結実するのは、しばらく後の事になる。

ほんの、しばらくの事。

 

 

 ・

 

 

「マケドニアを海岸線に沿って北上すれば、アリティアに近道になる。一刻も早く戻りたい」

 

マルスの決定である。並行してオグマとの連絡を取り、ウェンデル司祭に相談。

グルニアの今後をともに話し合うのだ。

 

「ひとつ、よろしいですかな」

 

発言を求めたのはジェイガンである。

 

「マケドニアですが、ラングを追い返した以上、治めるものがいない状態です。

クーデターを起こした連中やラングに任せるよりマシですが、放置というわけには」

「うん、そうだね。みんなの意見は?」

 

促され、ざわざわと思い思いの発言が出る。

 

「当然ちゃ当然だな。しかし、誰でもいいわけじゃねえだろ」

「意外に慧眼だなルーク。その通りだ。我らのような若造がやるわけにも行かない。

ただでさえこの軍は本国の半分ほどの戦力の遠征軍だ。後は帰るだけとは言え、戦力を削りすぎて、海賊あたりに殲滅されましたではお話にならない。

国をまとめるだけの才覚をも持つ先達、しかしこちらの戦力を削らないだけの少人数。かと言って、治安維持の指針となる精鋭を残しておかねば意味がない」

「む、難しいですね。マケドニアの方たちにも残ってもらったほうがいいでしょうか」

「あら、いいこと言ったわねライアン。あたしもそう思う。地元の人の機微がわかったほうがいいわ。ほら、『老いては子に従え』って言うし」

「・・・・・・セシル、それは『郷に入りては郷に従え』だ」

 

まとまらないうちに、アイシャが発言を求めた。

 

「それに伴って、私からも一つ。

暗殺団の足取りがつかめました。一部隊ですが。

どうやら、暗黒戦争の英雄達の暗殺、誘拐が任務らしく、レナさんを攫ったのもその別働隊のようなのです。

この部隊を追うために人員を貸していただきたいのです。敵も軍の形をとっているので、盗賊ギルドの人間だけでは交戦が出来ません」

「わかった、それも含めよう。そちらは結果が出次第合流してもらうよ」

 

 

部隊を三つに分けての行軍、戦後処理となった。

 

 

・・・その頃。

 

「・・・囲まれてしまいましたか。

残念。ここまでのようです」

 

砦に腰を下ろして、リフは目を閉じる。

 

人の命など、いつ終わるかわからない。

誰よりも自分がわからぬだろう。

 

覚悟を決め、目の前に迫る重戦士部隊に身構えた。

しかし、一度下ろした腰が持ち上がらない。

 

 

 ・

 

 

「既に狩りが始まっている!?」

「姿を見せていることと、囲むような動きから十中八九」

 

アイシャの報告に、マルスもルオも青ざめる。

パオラやカチュアを連れてこなかった事を後悔した。山向こうにいるとしたら、本当に間に合わないかもしれないのだ。

 

「全速で突破する!!」

「はい!!」

 

しかし、道を塞ぐのはまさに壁、重戦士の群れだ。

 

「「「うおおおおおおっ!!!」」」

 

ライアン、ロディ、セシル、マリーシア。

それぞれが協力して突破口を切り開く。

 

 

 ・

 

 

「ふん。あんたの言ったとおりね。アリティア軍は仲間を見捨てない」

「ルオは強いです。アイシャさんの情報網、参謀としての才覚も加味すれば、さらに・・・・・・」

「そこまで褒めてるとムカつくわね。まさかあんた、情が移ったんじゃないでしょうね」

 

彼女の言葉は額面通りではない。そしてわかりやすい。

彼女が隠密としては力量を持っていても、潜入の任務を割り振られないのはここに原因がある。

 

「どうとでもとってください。どのみち私は裏切るなんてことは考えてません。

それより、アリティア軍は、少ない戦力をさらに小分けています。

チャンスなのでは?」

「ええ。あたしの『ムジーク』を全員出すわ」

 

クライネ率いる重戦士とハンターの複合部隊で、壁と遠距離の二段攻撃のフォーメーションで迫る殲滅部隊である。

 

「・・・・・・それで足りるとは思えません。

ムジークはあくまで商隊規模の包囲に使う部隊です。

全員出しても数で互角くらい。無駄死にさせてしまいます」

「うるさいわねえ。あたしの部隊をどう使おうとあたしの勝手でしょ。

クズのくせにでしゃばんな。ウザい」

「・・・・・・分かりました。もう言いません」

「ふん。

じゃあアンタ達、ここは任せるわよ。

・・・・・・あの程度の連中にやられて帰ってくるようなら、あたしがゴミ捨て場に叩き込むからね?

 

そう言って、クライネはアイネ・・・・・・カタリナとともに戦場を離れた。

クライネは、私兵の力を信じ、疑っていなかった。

 

 

 ・

 

 

 

「リフさん!?」

「おお、これはこれは。数ヶ月ぶりというところですか」

 

囲みを外から破り、そこにいたのはリフであった。

 

「ルークがいたら、ちょっとしたトラウマを呼び覚ましたかもね」

「そうですね・・・・・・」

 

癒し手に可愛いシスターを夢見ていて、来たのがこのリフであった時の青ざめ方は、どう声をかけたものかと立ちつくすほどであった。

 

「お世話になってもよろしいですかね。勿論出来る限りのことはいたします」

「勿論です。癒し手がいて困ることはない」

 

マルスが歓待している間に、ルオらが敵を殲滅。

一行は、本体との合流を目指した。

 

「しかし、なんでマルス王子が別働隊に・・・」

「『こんなところにいるわけがない』っていう部分で目くらましなんでしょ。

野盗くらいなら何とでもなるし、組織から名指しで狙われてるとこういうのも必要よ」

「なるほど」

 

アイシャの説明に、それなりに納得したルオであった。

 

 

 ・

 

 

「全滅・・・・・・ですって?」

 

クライネの私兵、『ムジーク』は、マルス率いる分隊に殲滅させられた。

 

「言わないことではありません」

「うるっさいわねえ! ・・・ふん。役に立たないこと。まあいいわ。またエレミヤ様に貰えばいいのよ」

 

言葉とは裏腹に、クライネは苛立っていた。

それは、アイネには感じられることであった。

だから、アイネは・・・・・・カタリナはもう何も言わなかった。

 

 

 

3章外伝 暗躍する影たち 終

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