FE 新・紋章の謎異聞 漂流傭兵 ルオ・ルスペード 作:おかのん
「隊長・・・」
「言うな。クーデター騒ぎに首を突っ込むわけにもいかん」
アストリアの勇者隊は、とり囲むにとどまり、カダインに突入は出来なかった。
そして。
「とり囲んだだけの包囲網なんて、盗賊ギルドにとっちゃ何もしてないのと同じよ」
そう豪語したアイシャは、アリティア軍を脱出させることに見事成功したのであった。
その時に道案内をしてくれた傭兵が、そのまま雇ってくれと言いだした。
「マリスとダイス・・・だね。わかった。傭兵団の方で待機してくれ」
「きっちり働かせてもらうよ。あたしらは安くない分役に立つのがポリシーだ」
「おうよ!!」
(隻眼の女性剣士マリスね。相棒で父親のダイスはまるっきり海賊だな)
マリスはルークあたりがまた騒ぎそうである。
なにせ姉御肌の巨乳隻眼剣士だ。目立つ。
それはともかく、また放浪の進軍である。
マケドニアとグルニアからバックアップがあるとはいえ、国を無くして各地を回るというのはきついものがあった。
面倒事は重なるものだろうか。
偵察を放っていたアイシャが駆け込んできた。
「ルオ!!」
「? アイシャ、どうしたの」
「この先の古城跡で、例の暗殺団に襲われている人たちがいるの!!!」
「!!!!
手の空いているものは来てくれ、非常事態だっ!!」
駆けつけ、そこで見たものは。
仮面をかぶった悪魔が踊る、悪夢のような光景であった。
第10章外伝 仮面は笑う
「「「ウキキキキキキキキ!!!」」」
「くっ・・・ 面妖な!!」
「あんた、ホルスだっけ? ここまで俺たち相手によく戦ったけど、無駄。無駄無駄無駄無駄無駄無駄。
俺達はいくらでもいる。いくらでも。
特別な一人以外は、ずっと同じところで、ずっと同じことをして、ずっと同じものを食べ、ずっと同じように寝る。俺たちは同じ。みんなおんなじ。
いくらでもいる」
そこに、マルスやルオ達がやってきた。
「ホルス殿!!」
「おお、アリティアの・・・!!」
「ウキ!?」
ルオとルークが突っ込む。
「邪魔だっ!!」「どけえっ!!」
二人の振り下ろした剣は、仮面の斧戦士をやすやすと切り裂いた。
「ホルス殿、貴方はアカネイアの将軍のはず、なぜここに?」
「自分で言うのもなんですが、私はニーナ様をこそ心酔する者の一人。今の、ハーディンに支配されたアカネイアは、私のアカネイアではない」
「では、我々と共に戦ってくださると?」
「微力ながら」
「わかりました。心強いです!!歓迎します!!」
新しい仲間はいいが、古城の中はそれどころではなかった。
「「「「「「「「ウキ」」」」」」」」
「「「また出た!!?」」」
「俺達はまだいる」
「「まだまだいる」」
「「「「まだまだまだまだ」」」」
「「「「「「「「それがローロー」」」」」」」」
「シーダ、逃げろ!!彼らは斧使い・・・槍を主な武器とする君の天敵だ!!
防御力の低い君では耐えられないし、相性が悪くて、君の素早さでもあたってしまう!!!」
「は、はいっ!」
アイシャが睨めつける。
「・・・そっくりだけど、同じ人間ってわけじゃない。
仮面が一番目を引いて、それが同じなだけ。
背格好はかなり近いし、同じに似せられる所はそうしてるけど、強ささえ似せてるけれど。
『影武者の均一大量育成』ってとこかしら。
彼らの武器は、『それなりの強さの大勢』であることと、何よりその『気持ち悪さ』よ。
お化けみたいな印象を捨てて数だけで考えて。
2,3倍の戦力差なら、アリティアは白兵戦では負けないわ」
「あり?気づかれた。
でも、無駄無駄。気持ち悪くなくなっても、俺達がいくらでもいるのは変わらない。
戦力差は2,3じゃなく百倍。
絶対に勝てない」
ゾッとした。
「ルオ」
「・・・・・・分かった。なんとか探してみる」
みなが戦っている間、ルオはさばきながらも、注意深く戦いを観察した。
一体何体ローローと名乗る斧戦士を倒したのか。
一人一人が熟練した、二流以上の戦士なだけに、一般兵を相手にするのとは疲労が違う。
(早くしないと・・・)
思いがけないところにいた。
前線の真っ只中。他のやつよりわずかに強く感じ、常に前に出て、しかもずっとやられずにいる。
三体。
「三体にまで絞れれば!!」
ルオはその三体を次々に撃破していった。
そいつらがフォローをしながら、こっそり指示も出していたのだ。
「ウキ・・・」
「なんで」
「「「バレた!?」」」
ドドサッ・・・・・・
「「「「ウキキキキキキキキキキ!!?」」」」
他のローローは逃げ出してしまった。
「やっぱり、司令塔となるリーダーはいたのね。
それがやられれば、何をしたらいいのかわからないのよ」
「タ、タレルオ。やったな・・・・・・」
「うん。なんとか・・・」
「ルーク、大活躍だったな」
斧をさばき易い剣使いのルークは、十人以上を一人で倒し、限界まで成長した。
アンリの道を踏破する上で欠かせない力となる経験であった。
・
暗い暗い闇の中。
カタリナはロウソクを手に、仲間の敗北を告げねばならなかった。
「・・・ローローが、敗れました」
「そう。あの子には手間をかけたというのに、困ったこと」
「・・・・・・それだけですか」
エレミヤは、変わってしまった。
それでも、彼女から離れることができない。
他に生き方を知らないというのは、そういうことなのだ。
「『頭』を失った、他のローロー達はどうしますか?」
「全員始末なさい」
「!!」
「どうしたの?」
「・・・彼らも、私たちと同じ孤児です。兄弟も同然です。
みんな、エレミヤ様のために・・・」
「使えなくなったものを置いておいてもしょうがないでしょう。なあに?あなた、逆らう気なの?」
「馬鹿ねえ。アイネ」
いつから居たのか。
クライネであった。
「エレミヤ様、私がやっておきます」
「あら、クライネ。あなたはそこのゴミと違っておりこうさんねえ」
「ふふ。もっと褒めてくださいエレミヤ様」
「・・・・・・」
アイネ・・・カタリナは、無言でその場を立ち去る。
クライネのことはわかっている。
わかって、いる。
第10章外伝 仮面は笑う