FE 新・紋章の謎異聞 漂流傭兵 ルオ・ルスペード   作:おかのん

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第12章 火竜の墓場

「さて、この橋まで来て一区切りだ。4割というところかな。

ここはフレイムバレル。火竜の墓場さ。老いた火竜が死を迎えるのを待つ場所だ。

火竜は常に熱を身体に持ってないと生きられない。

若いうちはまだいいが、老いればこんなところでしか意識も保てないんだ」

 

長い長い橋の上。下には煮えたぎるマグマ。

ただそこにいるだけで煮えたぎりそうだ。

 

「チェイニー、君はどうしてこの道や竜にそんなに詳しいんだ?

ガトー様とはどういうつながりが?」

「・・・・・・ふむ。

まあ先は長い。ゆっくり話してやるよ。

そうだな・・・・・・

 

そもそも、竜はこの大陸の支配者といってよかった。

文明も種の多さも単純な数も、今とは比べ物にならなかった。

 

しかし。

どんな生き物も、始まりがあれば終わりがある。

気の遠くなるような年月の話だが、確かにそれはある。

竜にもそれが訪れ始めた。

 

まず、子供が生まれなくなった。次世代を支えるものの不在はいかんともしがたい。

次に知能の突然の退化。

いきなり暴れだすもの、言葉がわからなくなるもの。

 

今より数が多いといっても、人ほどではない。

近親婚を繰り返すうちに、遺伝子が限界を・・・

 

まあ、そんなことは人間はまだ知らないだろうが、マルスもエリス姫が美人だと思っても、お姉さんと子供をこさえたいとは思わないだろう? それは本能がその危険性を知っているからだ。

でも竜族は知らないうちに近いもの同士が結ばれていった。新しい血がなかったんだ。

 

竜の王は提案した。

狂う元である、強大な竜の力の封印。

竜石に力を封じて人になろうと。

 

その頃には、竜の力さえ封印すれば、子を残す事は難しくても、狂う事は最小限の確率に出来る事が分かっていたらしい」

「・・・・・・!

それを受け入れたのが、マムクートなのか。

マムクートとは、古代の竜が力を封印した今の姿・・・」

「そのとおりさ。そしてその提案を受け入れられなかった奴は、今はここで全員狂っている、もしくはもう死んだだろうな」

 

ということは、メディウスも魔王などではなく、力ある古代竜ということになる。

 

「さあ、おしゃべりはまた後だ。

狂った火竜どもが押し寄せてきたぜ?」

「うわっ・・・!!」

 

橋にいっぱいになって迫る火竜は、脅威そのものだ。

 

「マルス様、下がってください!!

行くぞ、みんな!!」

 

こんなところで輸送隊を失うわけにもいかないので、念のためルーク、マリクをそちらの警護にやる。

竜が相手ということで、ドラゴンランスをロディ、ナバールにドラゴンソードを持ってもらい、戦端を開く。

 

「ルギャオオオオオオッ!!!!」

 

火のブレスがロディを襲う。

 

「ぐうううっ!!!」

「ぬうっ・・・」

 

ナバールも苦戦している。

特攻武器を使っても、敵の一撃が重すぎる。

倒せないことはないのだが、先手をとっても反撃は食らってしまう。

 

「・・・・・・弓兵や魔道士は一撃与えてくれ!!

その後でなら、ブレスを吐かれる前に息の根を止められる!!」

 

だが、それも後の先が取れての話。

倒した後にすぐ別の竜に来られると、もう後がない。

 

「一体ずつ仕留めて、直ぐに下がって!!

絶対に無理をするな!!」

 

ルオの直感的だが、しかし適切な指示が飛ぶ。

 

「まだ来ます!!

後方から挟撃っ!!」

 

「ひ、飛竜が、すごいスピードでっ!!」

 

(間に合わないっ!?)

 

しかし、飛び込んでくる飛竜の翼は、風の刃に引き裂かれる。

 

「シェイバーッ!!」

 

ヒュバアッ!!

 

「ルギャオオオオオオオオオッ!!」

 

竜のさけびと風切り音。

 

「リンダさん!!!」

「まだっ!!」

 

波状攻撃を仕掛けてくる飛竜達。

 

「任せてください!!」

 

ライアンの放つ矢が、飛竜の脳天に突き刺さる。

飛竜はマグマのたぎる橋の下に落ちていった。

 

 

・・・こんな攻防をいつまで繰り返したろうか。

火竜の持つ星のかけらも手に入れ・・・

 

やっとのことで火山帯を抜けた。

 

 

「・・・・・・こんな場所があるなんて・・・」

 

マルスの素直な感想に、チェイニーは面白そうに答える。

 

「こういう場所は他にもある。

これから行く氷竜神殿、マケドニアにある竜の祭壇だってそうだぜ。

 

龍が狂いだした時、人間はまだ、小さな集落を作って生きているだけのか弱い存在だった。

竜に対抗出来るわけもなく、逃げて逃げて、大陸の隅に追いやられた。

けれど神龍族の王ナーガは、人こそがこの大陸の次の守り手となるだろうと考えたらしく、人を守る戦いを始めた。竜だけの未来でなく、この大陸のすべてを愛したからこそ、滅びゆく自分達を看取り、未来を任せるに足る種として生き残っていて欲しかったんだな。

その考えに賛同したものも共に戦い始めた。

認めたくなくても、いつか滅びる現実がある。

認めたくないのも分かるっちゃ分かるし、自暴自棄になるのもやっぱ分かる。

 

激しい戦いの末・・・

 

ナーガと人間は勝利した。

 

そして、眠りについた竜たちを起こす事のないように、五つの宝玉を納めた封印の台座、そして自分の牙から、竜を傷つけることのできる剣を切り出した。

 

 

そして、残った仲間達に、人を見守るように言い残して自らも封印したんだ」

 

「そうか・・・伝説にあるナーガ神とは、神龍族の王のことだったのか」

 

ルオは、ここまで横で聞いていて、ふと気づいたことがあった。

 

封印の台座、五つの宝玉、ファルシオン・・・

 

何か別の所でも聞いた気がしたのだ。

 

「さて、暑さの次は寒さとの戦いだ。

氷竜神殿は北の果て。対策はしっかりしておけよ」

 

 

チェイニーの忠告どおり、今度は極寒の中の行軍となる。

 

 

 ・

 

「我々も、一行に加えていただきたい」

 

「君達は・・・?」

 

「私はロベルト。こっちがベルフとライデンです。グルニアを救っていただき、我らはその恩に報いたい。

報を聞いてから追っていたので、今までかかってしまいましたが、お力になるとお約束します」

 

「そうか、よろしく頼む!!」

 

理解してくれる者もいる。

マルスは次の一歩に力を込めた。

 

 

 

第12章 火竜の墓場 終

 

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