FE 新・紋章の謎異聞 漂流傭兵 ルオ・ルスペード   作:おかのん

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第14章 明かされた謎

「ところでチェイニー、その・・・

六百年前、封印が破られたのはどうしてなんだ?

 

そして、その頃といえば、ちょうどアカネイアが建国された時だ。

そのことと関係はあるの?」

 

チェイニーは、ニヤリと笑った。

 

「いいところに気がついたな、勿論大ありだ。

そして本当にくだらない。

 

実はな、その事件は、誰かが『封印を解こう』なんて思っておきたんじゃない。

とある盗賊がラーマン神殿に入り込み、五つの宝玉が収まった『封印の台座』を、盗んじまっただけだ」

「っ!?

し、神竜王ナーガが、人間のために、竜を眠りにつかせている封印を・・・

盗んだっ!!?

 

なんて罰当たりな!!

どういう不届きものなんだ!!

 

というより、そのせいでメディウスの復活やら、ドルーアの建国やらが間接的にあったことを思えば、どれほどの罪になるか想像もつかない!!

どこのどいつなんだその大馬鹿者は!!」

「今でも似顔絵くらいは見られるんじゃないか?

一番でかい宮殿の、目立つところに飾ってあるんだろうしな」

「???

・・・どういう事?」

「そいつはな、台座にあったその宝玉を売りさばいて大金を手に入れ、その金で兵を雇って、国盗りを始めたんだ。

大した軍備をする余裕もなかった各国を瞬く間に攻めとって、一代でこの大陸の統一をしやがったのさ」

「・・・・・・っ!!!!!!

 

つ、つまり・・・・・・」

「はっはっは。そのとおり。

その罰当たりな不届きものの大馬鹿者が、お前達が建国の父、最初の英雄として、誰よりもたたえている王の中の王、アカネイア初代国王だ」

「!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「くっだらない話だろ?

お前たちの歴史は、始まったと同時に、自分たちの手で滅びを約束されていたのさ。

呆れて物も言えやしない。

その後ガトーがどんな苦労をして光のオーブを見つけ出したと思う?

で、見つかったのは後は星のオーブくらいだ。

 

しかも、竜ほどの強力な、神に等しい力をもつ命を、あれだけ大量に封印しておく力だ。

それを本来の目的どころか、バラバラにしたままで数百年だ。

次元がどうとか平行世界、違う宇宙とか言ってもなんのことかわからないだろうが、ともかく、異世界と繋がってしまうような歪みさえ生んでいるんだ」

「なんてことだ・・・・・・

僕は、人とは優れた生き物だと思っていた。

しかし、なまじ知恵などあるおかげで、どうしようもないことをやらかすこともあるのだと、今更とはいえ感じずにはいられないよ・・・」

「ははは。そう思うと、貴族というのも哀れなものさ。

自分で自分の立場を窮屈なものにして心労を患ったり、血を変なふうに混ぜて狂ったり。

好いた異性と結ばれなかったり。

元々は盗賊の成れの果てだっていうのに、なにをもって自分を貴いなどと言い出すのかね。

 

まあそれでも、どこから生まれたか以上に重要なのは、何をなすかさ。

その意味では、百年前のアイオテ、カルタス、アンリは立派だったと言えなくもない。

マルス、お前もな。

 

アンリも可哀想な奴さ。

アカネイアの貴族達は、平民であるアンリが自分達の王になることを望まなかった。

それよりも、解放軍を率いて戦ったカルタス伯との婚礼を王女に強くすすめた。

アルテミス王女はそれをこばむことができなかった。

『炎の紋章を行使する者、その全てを王家にささげるべし』

それがアカネイア王家に伝わるおきてらしくてな。

王女は、アンリ王には何も告げずカルタス伯との婚礼を受け入れた。

その後王子をもうけてすぐに死んだそうだ。

アンリは・・・生涯妻をむかえることはなかった。

申し訳程度に送られた辺境の小国、アリティア王国は、弟のマルセレス王・・・つまりおまえのひいおじいさんに引き継がれたってわけさ」

「・・・・・・」

「ここからは俺も力を貸してやるよ。

さあ、ガトーに挨拶に行こうぜ」

「うん・・・・・・」

 

なんとなく横で聞いていたルオやアイシャも、この話には仰天した。

 

「・・・ってことは、ルオがこっちに来ちゃったのも、封印が解かれてオーブが失われたせい・・・」

「つまり、初代国王のせいってことか」

「・・・はた迷惑な話ねえ」

「でも、600年も前の話だしねえ・・・

原因がわかっても手の出しようがない。文句も言えない」

「でも、これでもうルオは、王子と一緒にハーディン皇帝を倒すしかないわね。

封印の台座を完成させないことには、空間の歪みは治らない。ルオが帰ることもできないってことでしょ?

逆に封印が完成すれば、帰ることも出来るのかも」

「やってみる価値はあるね」

 

一応の目標がやっと見えてきたルオ。

だが、この氷竜神殿で明かされる謎はこれだけではない。

 

それはともかく、神殿内にも氷竜は巣食っている。

 

「まずはこいつらを何とかしないと・・・

行くぞ、みんな!」

 

ここでも竜たちとの戦いは熾烈を極めた。

氷の部族と氷竜の連携は思った以上に強力で、特に銀の剣より強力なデビルソード、一撃必殺の可能性を持つキルソード、間合いの外から攻撃してくるサンダーソードなど、それぞれを駆使して向かってくる。

しかも、氷竜を間合いの中に入れて暴れられてはかなわないので、優先的に始末しようとすると、いつの間にか氷の部族の間合いに入ってしまっているのだ。

 

「くっ・・・

マリーシアと、変身したチェイニーを守れ!!

乱戦の中で司祭をやられたら、致命的だぞっ!」

 

二度に渡る一斉攻撃のさなか、リンダやナバール、フィーナやマリーシアも一度危なかった。

しかしなんとか、敵を倒し尽くした。

 

「ガトー様・・・」

 

神殿の奥でガトーが待っていた。

 

「おお。よくぞここまで来た!!

さすがアンリを継ぐものよ。

そなたに免じて、光のオーブを預けよう。この力があれば、闇のオーブの力を無効化できる。ハーディンを倒すことも不可能ではない」

「ありがとうございます」

 

挨拶の中、ウェンデルが進み出てくる。

 

「ガトー様! お久しゅうございます」

「おお、ウェンデルではないか!

マルスと一緒であったのか。  !!

ということは・・・」

「ははぁっ。王子とともに、星の欠片を探し、12個全て揃えてまいりました」

「なんと!! これでオーブのありかの殆どがわかったのだな・・・

しかし、やはりマルス、お前は勇者、英雄であるのだな。オーブが集まりだし、そして台座がここにある。運命がお主を選んだのだろう」

「???

ガトー様、なんのことです?」

「ふふ、まだ分からぬか。

封印の台座は、アカネイア王家が付けた別名を『竜と炎の紋章の盾』という。

つまり、封印の台座とは、『ファイアーエムブレム』のことなのだ」

「!!!!!!!!!!!!!!!!

 

では、では!!

封印の台座は復活させられる、と!?」

「オーブが全て揃えば、そのままその封印の力を取り戻すだろう。

そしてそれは、マムクートの人化の安定をももたらす。

暗黒戦争の後、わしがチキを連れ戻し、また眠らせたのには理由がある。

チキはまだ成長しきっていない竜族だ。

そのせいで、封印の盾の守護がなければ、人化が安定せずに、退化が始まってしまうのだ。

そのせいで竜族がどうなってしまうのかは、火竜の墓場で見てきただろう」

「知性をなくし、人を襲い暴れだす・・・」

「かわいそうだが、チキのためだったのだ。

しかし、近いうちに封印の盾が復活すれば話は別。ここを出て左の部屋に眠っておる。会ってやってくれ」

「はい。チキをそんな風にしないためにも、必ず封印の盾を完成させます!!」

 

左の部屋にゆくと、ガトーの言うとおりチキがいた。

 

「チキ、元気だったかい」

「・・・!! マルスのお兄ちゃん・・・!!!

 

元気じゃないよ・・・

ガトーが、眠れって言うの。私、眠たくなんかないのに。

それでも無理して寝ていると、夢をみるの。

私が、悪い竜になる夢。

マルスのお兄ちゃんや、シーダのお姉ちゃん。他にも、優しくしてくれた、大事な人たちを、私が自分で殺してしまうの。

そんなの嫌なのに、体が言う事を聞いてくれないの。やめて、やめてーって叫びながら目を覚ますと、また誰もいない、寒くて真っ暗な部屋で・・・

もう嫌、嫌だよう・・・

 

どんなにお願いしても、ガトーは悲しそうな顔をするだけで、聞いてなんかくれないの。

その夢をほんとにしたくないなら眠れって言うの。

でも、またあの夢を見るの。起きると寒くて真っ暗で、一人ぼっちなのぉ・・・っ」

 

既にしゃくりあげ始めているチキ。

ひっく、ひっくと、目に涙をいっぱいに溜めて泣いている。

 

「大丈夫だ。ガトー様がその夢をほんとにしない、別の方法を教えてくれた。

チキと一緒に行っていいって言ってくれたよ。

一緒にいよう。新しい友達もいっぱいいる。みんなチキのことをきっと好きになってくれる」

 

その言葉は、一年をかけて破滅そのものを見せられてきたチキにとって、どれほど嬉しかったろうか。心、体を丸ごとマルスに預けて、チキは叫んだ。

周りを見ると、話を聞いていた仲間たちは皆涙ぐんでいる。

マリアのことを思い出したミネルバなど、滂沱と涙を流していた。

 

 

 ・

 

 

アリティア軍は、ガトーの魔法でアリティアまで送還してもらえることとなった。

 

「先の戦でチキがガーネフに捕らえられたのは、そもそもここから連れ出したバヌトゥの責任もある。

そして、ウェンデルに手伝ってもらいたい事もある。

後は、この神殿の守護者として、数人ほど留まってもらえまいか。

出来れば一人、華やぎが欲しいのう」

 

戦況全体を見渡せるガトーとの結びつきが手に入るとなれば、願ってもない話であった。

 

「それから、きゃつらがシスターをさらっていたのは、目的は見えずとも重要なことである気がするのじゃ。

彼らの縁者は常に王子のそばにいるようにしておくとよいじゃろう」

 

今現在わかっているのは、レナ、マリア、エリス、そしてニーナ王女だ。

ニーナ王女も司祭の力を持っていた。

 

「そして、チキ。お前にお使いをさせる。

今から行く場所で、好きなように買い物をしてきなさい」

「・・・はぁい」

 

チキはガトーの魔法で、店までワープした。

チキは言われた通り、店で気に入った物を買って来た。

 

「ただいまー。綺麗な石を買ってきたのー」

「ふむ、それは『魔竜石』じゃな。その石で変身すれば、どんな魔法も効かない竜となれる。

有効に使いなさい」

 

ガトーがチキに買いに行かせたのは竜石だったらしい。

 

「チキよ。この火竜石も持って行きなさい。

お前の持つ神竜石は、強力すぎる。普通の人間を相手にするなら、これで十分じゃ。

限られた竜石なのだから、上手に使いなさい」

「うん、バヌトゥおじいちゃん。

チキ、マルスのお兄ちゃんとおそとに行ってくるね!!」

 

チキは数千年を生きる神竜族だが、記憶があるのは見た目通りの十年間だけだ。

再び外の世界をまわれることが本当に嬉しいらしい。

 

「マルス、気をつける」

「ここにアンナがいるとはな。男ジェイク、ここに残らせてもらうぜ」

 

極寒の地に残ってもらう以上、それなりの人数を残して、寂しくないようにと配慮。アテナと、店の主人であったアンナの恋人ジェイクに残ってもらう。

氷の部族たちをある程度追い払ったので、なんとかやっていけるだろう。

 

これで、アリティアに向かう本隊は、

 

 

ルオ、ルーク、ロディ、セシル、ライアン。

シーダ、マリク。ナバール、フィーナ、チキ。

ユベロとシリウス、マリーシア。

リンダとカチュア、ミネルバ、ジョルジュ。

バーツ、ジュリアン、リカード、チェイニー。

 

となった。

 

「では、魔法でアリティアまで送ってやろう。

はっ!!!」

 

まばゆい光に包まれたあと、マルス達はその場から消えた・・・

 

 

 

第14章 明かされた謎 終

 

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