FE 新・紋章の謎異聞 漂流傭兵 ルオ・ルスペード   作:おかのん

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アリティア・グラ・アカネイア編
第15章 王子の帰還


突如郊外に現れたアリティア軍に、アリティアを支配していたアカネイア兵は浮き足立つ。

対するアリティア軍は素早く陣を構え、情報収集を始めた。

 

そしてそこで意外な人物に出会った。

なんと、アカネイアのジェネラル、トムスである。

 

「義によって助太刀する! 我らの掲げるアカネイアは、ハーディンの奴隷となり果てた今のアカネイアではない!!」

「トムス、貴方が来てくれるとは」

「しかし、不穏な話もある。なんと、アベルどのがアカネイア軍に参加しているということだ」

「!?」

 

聞き耳を立てていたアイシャとルオ。

 

「アイシャ、アベルってまさか・・・」

「・・・多分、『黒豹』アベルのことでしょうね。

実は、アリティア貴族ではなく、流れ者の外様らしいんだけど、暗黒戦争時代はカイン教官と肩を並べた英雄のひとりよ」

 

ルオに説明している間に、カインが抗議をしていた。

 

「何かの間違いです!!あいつがアリティアを裏切るわけが・・・」

「わしもそうは思わん。だが向こうの陣営にいるのは確認しているのだ。

何かよほどの理由があるのだろうが・・・」

 

すると、待っていたように男が現れた。

傷だらけの顔の、バンダナをかぶったいかにも盗賊な男だった。金髪と相まって虎のようだ。

 

「それについては、あっしがお話しやしょう」

「ネクス!!」

 

カタリナの裏切ったあの戦い・・・ 叙勲式でのマルスの暗殺騒ぎで見かけたギルドの腕利きのようだ。

 

「実は、東の要塞の牢に、エストの姉御が捕まっちまってるんです。

アベルの兄貴がアリティアに戻ろうとしたら、即座に殺される手はずになってます」

「な んてことをっ!!!!」

「さすがにああもがっちり固められちゃ、こっそりってのはお手上げです。

しかし、なんとかお助けしねえと・・・」

 

今回は救出作戦となりそうだった。

ルオは試験で世話になったエストの身をあんじ、アイシャは救出作戦の案を何十通りも頭に浮かべる。

他のメンバーもそれぞれエストとアベルを心配し、アカネイアに怒りを覚える。

 

一人、きょとんとしているシスターが口を開く。

 

「・・・ねえ、マリクさんの時みたいに杖でレスキューしちゃダメなの?」

「「「「「  」」」」」

 

マリーシアの言葉に全員が『あ』という顔をした。

 

 

 ・

 

 

問題は一瞬で片付いた。

マリーシアがかけたレスキューで、エストはあっさり救出される。

 

「助けてくれてありがとう、みんな。このまま私をアベルのところへ行かせて!!」

「うん。これでアベルも戻ってこれる。頼むよエスト」

 

即座に進撃が始まった。

多方面からの攻撃に対処しなければならない。

要塞からの聖騎士団、弓騎士団を迎え撃つ。シューターの破壊をミネルバに任せ、マルスとルオは前線の重騎士を倒していく。

 

有利な状況とは言えなかったが、彼らの士気は桁が違った。

 

「僕たちの国を取り戻す!!

全軍、突貫っっ!!!!!!」

 

おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!

 

村でも歓迎を受け、どんどんと進軍する。

進撃のついでに敵軍を蹂躙するような戦い。

まさに破竹の勢いであった。

 

「王子!! 気をつけて。

各々の砦には不穏な動きがあるわ」

「わかっているよアイシャ。自国の領土の攻め方と護り方はジェイガンとさんざん討論しているんだ。この地での戦いで使う策は、全て考え尽くしてある!!

しっかりと準備をして迎え撃つつもりなら、伏兵の使い所は、今、ここだ!!

シーダ、ウイングスピアを持って!!このタイミングでの挟撃なら、必ず騎馬兵を使ってくる!!

ルオ、魔道士は頼んだ!!強力な剣で先の先を取れ!!」

「御意!!」

「ちなみにルオ、御意というのは『分かりました』という意味よ」

「わかりました」

「今わかったの!?」

「知ってたよそれくらい!!」

「俺は知らなかった」

「ルークあんた騎士の家系でしょ!?」

 

まあそんな会話はともかく。

 

ついでに伏兵の出てきた要塞も取り戻し、城のある島に入るところでアベルに再会する。

 

「アベル!!!」

「エスト!!! よく無事で・・・ ああ、マルス様、感謝致します・・・」

「いや、アリティアが奪われなければこんな悲劇もなかったんだ。僕の方こそ、君たちに迷惑をかけた」

 

そんな様子を見ながら、ネクスは手持無沙汰のようにしていた。

 

「俺たちの出番はなかったっすね」

「何言ってるのよ。エストさんが捕まってるって情報は大手柄よネクス。

レスキューの杖で片付いたのも、その話があったからこそなんだから」

「へへ、どうも」

 

アイシャの言う通りだった。その情報を知らなければ、どちらか、あるいは両方の命を失っていたかもしれない。

後は城を取り戻すだけである。まずは城門にいるエイベル将軍だ。

 

「ええい、この大軍を突破してきただと!?

貴様ら人間か!?」

「ネズミを蹴散らすのに猫や犬で足りん道理はない。人様となればなおさらだ」

「ぬかせぇっ!!」

 

ギィンッ!!!

 

ロディが一瞬で決着をつける。

交差する槍は片方だけが滑るように心の臟を貫き、エイベルは仰向けに倒れ伏す。

 

「うぐ・・・ぉ・・・」

 

崩れ落ちるのを見届けた時、各種報告が入ってくる。

 

「他地方の領主達は、皆降参しています。抵抗を続けている輩はおりません!!」

「輸送隊の別動部隊が、物資の補給を終えました。後方の憂いも皆無です!!」

 

アンリの道を踏破したことは無駄ではなかった。

それぞれの能力を皆が皆、いっぱしの戦士になるまで引き上げたのだ。

何もない所で物資を節約する術、手に入るところでいかに多く、迅速に補給するか。

それが、この乱戦と高速進撃の中でも、補充をこなす輸送部隊を作り上げた。

 

後は。

アリティア城を残すのみである。

 

第15章 王子の帰還 終

 

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