FE 新・紋章の謎異聞 漂流傭兵 ルオ・ルスペード   作:おかのん

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第16章 王都奪回

「・・・で、ネクス。城内の様子も勿論探ってあるわよね?」

「へいお嬢、そのへんは抜かりありませんや。

宝物庫には既に敵の持ち逃げ部隊が向かってます。早くしねえと貴重なお宝を取られちまいます。

ですが・・・

どうも宝箱に怪しい魔法がかかってるみてえでして」

「・・・・・・怪しい魔法?」

「宝箱の中身にか、あるいは宝箱そのものにか・・・

いずれにしても、開けるのは慎重になった方がいいかと」

「ふうん・・・慎重に開けなきゃいけない、でも敵は狙ってる・・・

どうしたものかしらね」

 

ネクスとアイシャの会話も重要だが、ジョルジュの話も聞き捨てならない。

 

「アストリアの馬鹿が、最近町で姿を見せていたらしい。この戦に参加していないわけがないと来れば、城内の守りについてるんだろう。

俺を行かせてくれ、奴と話をしたい」

 

 

これまで何度も彼の部隊には煮え湯を飲まされてきたが、かつて仲間であったことも確かだ。

説得ができるものならして欲しいのは本音であった。

 

他にもアリティアに縁の深いマリクや、シリウス、ナバールなど、実力派で固めた布陣で場内に殴り込んだ。

 

「トムス、遅れてすまぬ!!」

「おお、ミシェラン! よくぞ来た!」

 

トムスと同じ、禿頭のジェネラルである。暗黒戦争の英雄の一人だ。

 

「マルス王子、私も加勢しますぞ!! 今のアカネイアに正義はない!!」

 

ミシェランが仲間に加わった。

 

 

 ・

 

一方、敵は玉座の間に待機していた。

 

「ウ、ウィロー様! アリティア軍が城内に!!」

「慌てるな。宝物庫の鍵には我が術がかけてある。それが作動したところが好機じゃ!!

開けたのが盗賊だろうと軍の者であろうと、開いた宝箱を放置して戦うのは誰でも抵抗が出るものじゃ。よく考えれば己の命より大切なものなどないというにな。

 

いいか、宝箱が開いた瞬間に、隠れている部隊と示し合わせて一斉に襲い掛かれ!!」

 

 

 ・

 

 

「・・・という訳で、あの宝物庫にはアラートの魔法がかかっています。警報がなれば当然敵を呼ぶことになるでしょうから、まず宝物庫自体を抑えてしまうことが肝心でしょうね」

 

ウィローの魔法はマリクによって完全に看破されていた。

慎重に事を進めさえすれば、この仕掛けは罠たりえなかった。

 

「ならばルオ、頼めるか?

敵は勇者隊、斧を持つ者も多い。となると、タフでありつつ剣を使えるものが適していると思う」

「やってみせます」

 

そこへ、また別の情報が入る。

 

「ネクスの兄貴、お嬢! 怪しい奴が一目散に逃げて行きやす!!」

「万一のこともある、追っ手を!」

「ここは、私が!!」

 

シーダがそれを追った。

 

ルオは、マリーシアに転送してもらい、宝物庫を死守。

 

「1vs1で、負ける道理はないッ!!」

 

宝物庫の奥に誘い込むような位置で剣を振るい、迫り来る勇者隊をルオは蹴散らした。

 

 

さんざん追い掛け回され、向こうは向こうでジョルジュを裏切り者呼ばわりしていたアストリアだったが・・・

諌めるのがいつもの役目であったジョルジュの言には、アストリアも無視は出来なかったらしい。

 

「なあ、こんな戦いをニーナ様が望むと思うのか?

リンダに託されてマルス王子の手に渡ったファイアーエムブレムの意味、わからないのか?」

 

アストリアは結局ニーナ王女第一なのである。

そこを突かれると弱かった。

 

「・・・・・・今一度、お前を信じてみよう。

だが、この戦争がマルス王子の野心から来るものであった時は・・・」

「フ、その時は俺を斬るがいいさ」

 

アストリアはジョルジュによって仲間となった。

 

 

 ・

 

 

盗賊の件は結論から言えば、その万一であった。

盗賊が盗み出したのは、アリティアの至宝、大地のオーブだったのである。

 

そして、アリティア軍は、迎え撃つ準備をしつくしてからの「アラート発動」。

好機と思って攻め込んだ先に待ち構えられていた・・・そんな部隊の末路など悲惨なものに決まっていた。

 

あっさりと決着はつき、玉座でふんぞり返っていたウィローは・・・

 

「僕らの国を、返してもらうぞッ!!」

「ひいぃっ!!」

 

マルスを筆頭に、次々斬りかかる。

 

「うおお、こんなはずでは、こんなはずではああああ・・・・・・!!」

 

ウィローはあっさりと八つ裂きの憂き目にあった。

 

 

・・・取り戻してみれば、何故奪われたのやらというほど、敵は歯ごたえがなかった。

しかしそれも無理からぬことかもしれなかった。

グルニア遠征からこっち、常に生きるか死ぬかの戦いをしてきたアリティア軍は、局地戦であれば既に敵はいないといってよかった。

 

 

 ・

 

 

「・・・帰って、きたな・・・」

「ルーク、あんたが仕切らないの」

「いいよセシル。僕のガラじゃないし」

「相変わらずね、ルオ」

 

設けられた宴が終わってから、ルオ達は、騎士団の寮に久しぶりに戻って骨を休めた。

 

「ふう・・・」

「どうしたの?」

 

ベッドに腰を下ろしたルオは、部屋を見回して、一息ついた。

 

「いや、僕にも、『帰ってきた』って思える場所が増えたなって」

「ああ・・・」

 

異邦人であるルオ。それでもこの世界に長くいる事で、居場所は少しずつ増えてきた。

『取り戻した』経験は初めてだが、感慨深いものは当然あった。

 

「・・・・・・」

 

アリティアは解放された。

民たちは自分の認める王が帰ってきたことを心から喜び、讃えた。

その思いは、城に集まってきた皆と、宴の様子でよく分かった。

誰もが狂おしいほどに喜んでいた。それは、アリティアという国を愛していた証であり、奪われていた間の言いようのない口惜しさの裏返しであり。

取り戻された事への嬉しさが見えた。

 

まだ終わったわけではない、むしろこれで、アカネイアとの全面戦争となるのだ。

しかし、今は取り戻した祖国の空気に触れることを皆楽しんでいた。

 

 

ふと、思い出した事があった。

いや、忘れていたわけではなかったが。

 

(カタリナ・・・)

 

彼女の居場所は、今、何処なのだろう。

そこは居場所といえるのだろうか。

 

帰るべき場所なのか。

帰りたい、所なのだろうか。

 

 

 

・・・そんな事を、その日に考えたのは、虫の知らせという奴だったのかもしれない。

ルオは、カタリナとの再会をとげる事となる。

 

第16章 王都奪回 終

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