FE 新・紋章の謎異聞 漂流傭兵 ルオ・ルスペード 作:おかのん
次の日。
見習い試験に合格したのだから、合格した100余名は今日から従騎士である。訓練は小隊制で行われるらしく、ルオは第7小隊に配属された。
「ルオ!!」
「カタリナ?」
「よかった。また一緒です!!」
どうやらカタリナも同じ小隊に配属されたらしい。奇妙な縁である。
「そっか。僕も嬉しいよ。ほかのメンバーは・・・・・・?」
昨日の試験の力量などによって、だいたい4~7人で構成されるらしい。
この場にいるのは5人。
「オレはルーク! 暁の聖騎士ルークと呼びな!!」
一人目は、試験会場前で騒いでいた男だった。
緑髪で短めの、ノリの軽そうな男。
「私はロディ。よろしく頼む」
二人目はその相棒と言われていた、茶色の髪の物静かな男だった。
「あ、あの、僕はライアンといいます。弓兵です・・・」
最後に子供のような顔立ちの弓兵。
カタリナとルオの自己紹介も終わると、今日の訓練のメニューが渡される。そして、カタリナが口を開いた。
「ジェイガン様から言付かっているんですが。今日中に小隊のリーダーを決めろと」
「なに!? リーダーかあ。よし!!そこまで言われちゃァ仕方がない。このルークが引き受けてやるぜ!!」
「誰も何も言ってないぞ・・・・・・」
ルークのボケに的確にロディのツッコミが入る。
「待ってください。私、ルオを推薦します。ルオはとても強いし、私を見捨てずに、一人で二人分の試験を受けてくれたんです」
「よおしわかった!!じゃあ俺と戦って、勝ったほうがリーダーだ!!
ルオ、俺と戦うのが怖いなんて言わねえよな!?」
言わないよ、と返す前に、
「馬鹿にしないでください! ルオはあなたなんかに負けません!!」
そのセリフを君が言っちゃうのはどうなんだカタリナ。と心の中で突っ込みながら、しかし、その方が早い気もした。
負けてもリーダーを譲るだけだ。
戦闘は、こちらはライアンを加えて、ルーク、ロディ組との2対2。砦が二つあり、ライアンは弓兵。
「部隊長を決める勝負であれば、チーム戦というのは妥当だが、どう戦うつもりなんだ?」
そう聞くロディに、
「お前は後方で休んでろよ。相手はルオと子供だ。オレ一人で十分さ!!」
「・・・・・・・・・・・・」
ルークは一人で突っ込んで来る気のようだ。
失望の色を隠さないロディに、それを全く気にしないルーク。
一方こちらはルオチーム。
「騎馬の移動力は高いです。それと、昨日のジェイガン様との戦いは例外です。先手を取られていいことなんて何にもありません。
ライアンが間接攻撃で出鼻をくじいて、ルオが連撃を叩き込んで終わりです。
2対2でなく2対1の2回なら、負ける要素がありません」
ルオやライアンも同じ結論だった。
というか、論じるまでもない。
勝負が始まった。
「いやはぁぁあああ!!!」
文字通り特攻してくるルーク。
まず、ルークより少し離れた所からライアンが攻撃する。
「子供は隠れてたほうがいいぜ。俺の相手はルオだけだ!!」
ライアンも流石にこの物言いにはむっとしたようだった。
「僕だって、試験を受けて合格したからここにいるんです。子供なんかじゃない!!」
ヒュウガッ!!
「なにぃぃいいっ!!?」
利き手でないのはわざとなのか、見事に左腕に当たる。
矢尻は丸くしてあるので貫けはしないが、この戦いのうちでは十分なダメージだ。
「く、くそっ!! ルオ、どこだ!!」
「ここだよ」
死角から十分に近づいた。これで馬の機動力は死んでいる。
そのまま後ろから殴ってもよかったが、後でごねられるのも卑怯者呼ばわりも面倒くさいので、完膚なきまでに叩き潰す。
(というか、彼の指揮で全滅とかしたくないしな)
実はこの中では、ロディが一番、隊長としての『役目をまっとうしようとするだろう』性格から、むいていると思うのだけど・・・・・・
(前に出て率いたいタイプじゃ無いんだろうな。ルークとうまくやってるところを見ると)
なら、リーダーは、そんな参謀役の意見を取り入れる姿勢を持ったヤツのほうがいい。
しかし、言う事を聞きっぱなしでもいけない。だから・・・
(僕しかいないか)
ルークのあの作戦で何も言わないところを見ると、ロディも勝つ気がないというか、ルークに部隊長をやらせる気がないようだ。
「お前の噂は聞いてるぜ。ジェイガン様と一騎打ちして引けを取らなかったって大評判だ!
オレだってあの試験は勝って合格して注目株だったはずなのに、お前のせいで霞んじまったぜ!!」
「そりゃすまない」
(望んであの状況だったわけじゃないけどね)
「だからおまえに勝って、俺が一番目立つ男になってやる!!」
「・・・・・・・・・・・・」
どちらにしても、彼の力量は、ルオより少しずつ全てが劣っていたし、傭兵であるルオの技や速さには全く届いていなかった。
「疾ッツ!!!!」
薙ぐように放った斬撃と、切り上げのコンビネーション。
小手をかすめたせいで、ルークがバランスを崩す。
「おわあっ!!? ば・・・馬鹿な。
明日の聖騎士ルークが、こんな所で!?」
セリフにまだ余裕があったが、ルークはそのまま落馬した。
リタイヤでいいだろう。
ロディがそれを見てやってくる。
「・・・・・・やはり勝てんか。しかし勝負は勝負。
私も君の力量を見てみたい。部隊長となるなら尚更な。
アリティア従騎士ロディ、一手所望する!!」
とはいえ、こちらは砦に戻って間を置く。
彼の間合いにいる義理はない。
近づいてきてこちらの間合いになったら、同じ手だ。
協力者のいない状態では策も何もない。
間合いを取ろうと四苦八苦していたものの、結局は同じ流れであっさりロディは膝をついた。
「く・・・ さすがだな」
ルークも復活して負けを認めた。
「わかった、俺も男だ。隊長はルオだ。
けど、俺も腕には自信があったのに、なんであそこまで敵わなかったんだ?」
「俺達は2対2の戦いを、自分達で2対1X2にしたんだ。勝てるわけがないだろう。
今の戦いでその点にも気づけない奴が隊長なんて出来るものか。ルオに頼んで、せいぜい先陣をきって目立つ方がいいんじゃないか?」
「成る程!! それもそうだ。
オレはルオの指揮でかっこよく戦うぜ!!」
「どうやら丸く収まりそうですね」
引っ掻き回したのは当のカタリナな気がしたが、ルオはあえて言わなかった。
そして、収まりそうなところで、ルークはまた変なことを言い出した。
「そうだルオ!! 俺が異名をつけてやるぜ」
「君の『暁の騎士』みたいなのかな?」
「よく覚えてましたね、ルオ・・・・・・」
「コイツは自称の異名をコロコロ変えるんだ。だから私はサウザンド(千の異名の男)・ルークと呼んでいる」
「ロディさん。付き合いが良すぎると思います」
「で、ルオ。お前の異名だが・・・・・・
お前はタレ目気味だから、タレ目ルオ、略して、
『タレルオ』だ!!」
「「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」」
「それ、異名というよりただのあだ名・・・・・・」
「よろしくな。タレルオ!!」
アイシャがこの場にいたらどんな反応をするのか見てみたいようで見たくないルオだった。
その2 若き従騎士たち 終