FE 新・紋章の謎異聞 漂流傭兵 ルオ・ルスペード   作:おかのん

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第23章 魔王再び

マルスは、その手に魔導書を持っていた。

 

「ミシェイル王子が、託してくれた・・・」

「これは・・・ もしかすると、スターライト・エクスプロージョン」

 

マルスに見せられたそれは、ガーネフを倒しえる唯一の魔法であった。

 

オームの杖の話は、『ミシェイルが死にかけている』・・・つまり助かる可能性もあったから、迷った。だが、その時に感じた可能性が頭をもたげる。

 

もし、他の仲間が命を落とした時に、オームの杖を使ってしまった後だったら。

 

ミシェイル王子はマケドニアの正当な後継者であった事も悩みの種だ。ドル―アの存在したころとは事情が違うとはいえ、その野心がもう存在しない保証もない。

皆の意見も同じようで、オームの杖の事を言い出す人間はいなかった。

偶然にも、親ミシェイルの人間、マケドニア人などは、さっきの会話のときにこの場にいなかった。

 

マルスは祭壇の上部をにらんで叫ぶ。

 

「ガーネフ・・・ お前は絶対に許さない!!」

 

人の善性を信じ、何よりミネルバやマリアの事を、あの戦争で共に家族を引き裂かれた者同士として思いやるマルスにしてみれば、杖の事を知れば助けない選択肢はあり得ない。それを思えば、ますますどうすればいいか分からなくなるルオだった。

 

(ルオ・・・ どうするの?)

(う~ん・・・)

 

ミネルバ達も合流し、祭壇を駆け上がる準備をしながら、ルオは悩み続けた。

 

 

オームの杖をどうするか。散々迷った末に、

 

「・・・やはり、保留で。例えば万一マリア姫が死んでたら、ミネルバさんはミシェイル王子を助けた後だったらどう思うか、とか・・・

僕の判断だけでこの場で決めるのは無茶だよ」

「まあ、この際仕方ないわね」

 

ルオは我ながら優柔不断であると思ったが、しょうがない。

そもそも、ルオにも大切な物の順番はあるのだ。アイシャがこの戦いで命を落とさない保証もない。

 

「というわけでジュリアンさん。よろしく頼みます、こっそりと」

「OK。むしろそういうのが専門さ」

「行きますよー。ワープ!!」

 

マリーシアの魔法で、本来行けない場所にある宝箱を探る。

そこには闇の司祭も居たが、彼らは杖使いであった。無抵抗の、しかしリザーブ(自軍全員を回復させる杖)という、戦略的に大きな位置にある敵を屠り、ジュリアンは大活躍となる。

 

「あったぜルオ。オームの杖。これで一人だけなら生き返らせる事が出来るんだな」

「ええ、ありがとうございます」

 

実際、最後の決戦の場だけあって、乱れ飛ぶ『ウォーム』や『メティオ』。火竜と魔竜の波状攻撃。一歩間違えば誰が命を落としてもおかしくなかった。

別ののぼり口を探したために、ロディやセシルがいないのも痛かった。魔導士相手が多いだけに、魔法防御の高いパラディンやファルコンナイトに多く参戦して欲しかったのだが。

囮役を務めるのはルオやルークが必然的に多くなり、魔法に関してはからっきしのルオは、アイシャをかばって、メティオで大ダメージを食らう場面もあった。

 

「ぐぅっ・・・」

「ルオっ!!」

「大丈夫ですか?」

「うん、かすり傷さとは言えないけど」

「ライブ・・・!!」

 

カタリナの杖がルオを癒やす。

 

「ルオ。ごめんなさい・・・」

「いいんだアイシャ。君の顔にこれ以上傷を増やしたくない」

 

それは、思われてるという意味では嬉しく、既にある傷を思い起こさせるという意味ではデリカシーのない言葉だった。

ルオはアイシャを見る時に、目の事を気にはしないだろう。恋人程度なら、二人だけの世界だ。それでもいい。

しかし、結ばれると・・・ 添い遂げようとするなら話は別だ。ミネルバにも言われた。ただでさえ、この大陸の英雄の片腕と、盗賊の首領の恋。いくら盗賊ギルドが『ギルド』だからと言って、盗賊の寄り集まりである以上、そういう目でしか見ない人たちはいる。

 

(もし・・・ 子供でも生まれたら、どうなるんだろう)

 

アイシャは、そんな事を考えてしまう。

女とすれば、夢を膨らませていいはずの想像にさえ、失われたその目が影を落とす。

どう取り繕おうと、その眼帯は烙印となる。過去に荒事をしていたか、キズものにされたか、そういう輩の子か・・・

子供にとって、親とは。

その重さが分かるからこそ、今の至らない、そして過ちを背負う自分が口惜しい。

 

「・・・アイシャ?」

「! ・・・何でもないの、ごめん。ルオ・・・」

 

それでもその手を放したくない。ルオが自分を選んでくれたその事実が、全てを乗り越えて、前に行かせてくれると信じたい。

・・・それがかなわなかった仲間を知っていても。

いや、知っているからこそ解けた事がある。

なぜ、そんな希望にすがったのか。という事。

 

・・・手を放してしまえば、自分が幸せになどなれないと思ってしまったから。

 

 

 ・

 

 

祭壇の上には、4人の暗黒司祭と、それらと闇の波動でつながっているガーネフの姿があった。

 

「ぐくくくくくく・・・・・・ 遅かったな。もう、ほんのわずかだ。暗黒竜の真の復活がなる。

2年前のメディウスとは格が違うぞ。あんな地竜に毛の生えたような醜い竜ではない。神竜と対をなす神そのもの、邪神の王にして闇の王!! 黒魔竜の降臨だ!!!!!!!!!!」

「させない!! その前にガーネフ、貴様を倒して見せるっ!!」

「ぐはははは。出来るわけがなかろうが。怨霊となった我が身だが、マフーは我の一部となり、剣どころか魔術も通じぬぞ!!」

「・・・それについては、かの英雄の再来が、道を示してくれた!!!!」

 

その言葉と同時にマリクが広げた魔導書は、空間をゆがめる。

開いた空間には満天の星空がきらめき、そこからは星の閃光が差し込んでガーネフに殺到する!!

 

「ぐぎゃあああああああっ!! そ・・・ それはスターライト・エクスプロージョン・・・!!

おのれ、闇の部族どもめ。ミシェイルの始末、しくじりおったか。このような時に・・・!」

「終わりだ、ガーネフ!!!」

 

再び煌めくスターライト。

 

「このようなところで・・・! ええい!!」

 

そこで、ガーネフはある物を見つけた。

それは、手駒を増やすために、洗脳した女の片腕だった娘・・・

 

「・・・!! ふははっ!!」

 

ガーネフは闇の司祭のくびきを放し、手近にいたその魔導士に乗り移った。

 

「きゃあああっ・・・!!」

{ぐくくくくく・・・}

 

その魔導士は、かつてエレミヤが手駒としていた娘であった。

ガーネフは、その娘の・・・

 

カタリナの抱える闇の深さに気づいていた。

 

思いがけない幸運である。かりそめの体とするには都合がよい。しかもここにいるという事はエレミヤを裏切ったのだろう。そしてアリティア軍とは、仲間ならば傷つけることなど出来ないという偽善者の群れだ。スターライトであっさり破られるマフーなどよりも絶対的な盾となる。この娘そのものが!!

 

「カタリナ!!!」

{ぐはははははっ!! さあ攻撃してみるがいい。大事な大事な仲間だろう!?}

「きさまぁああっ!!!」

{おっと、既にこの娘の心は消え失せているとか、そういう事は期待するなよ。我さえ消えればこの娘は何一つ失うことなく元に戻るだろう。しかし我をどうやって倒す!? 体を傷つける事さえできないお前らが!? こまったなぁあああああ!!?}

 

嘲笑を続けるガーネフの声と。

 

「ル、オ・・・」

「カタリナっ!!」

 

苦しそうにくぐもる、しかし確かに本人の、カタリナの声。

 

「嫌、です・・・ こんなの・・・ 私、死にたくない。やっと、そう思えたのに。

取り戻せない仲間達も、エレミヤ様の事も全部、辛かったけど。

今まで何人もの人を殺してきて、その手伝いをして、今更その罪に気づいて、押しつぶされそうだったけど・・・

それでも、死んじゃダメだって、だからこそ、しっかりと生きていこうって、誓ったのに・・・!」

「あ、ああ・・・・・・」

「たす、けて、 ルオ・・・・・・!!」

 

ルオは激昂した。

だが、そんな事は何にもならない。

 

「ガァアアアアアアネフゥゥゥウウウウウッ!!!!!!!」

{さあ、どうするどうする!? 分かるだろう。この娘の魂の叫びだと、お前らなら分かるだろう!?

当然だ。わしには思いつかぬか弱さよな。わしとは違う切なき闇よな!?}

 

その瞬間、カタリナの体が、構える。呪文の詠唱が始まる。

ねっとりとした霧が紫の不気味な光を背負い、放たれる。

最悪の暗黒魔法。

 

「マフー!!!!!!!!!!」

 

「ぎゃああああああっ・・・!!!」

 

瘴気にわずかに触れたマリクの腕の皮が、削り取られるように腐り落ちる。

 

「マリクっ!!!」

 

暗黒竜メディウスの復活と、攫われたシスターを目の前にして。

アリティアの精鋭達は、最大の窮地に陥っていた。

 

 

 ・

 

 

どうすればいいのか。

カタリナを傷つけるわけにはいかない。だが、ガーネフをこのままにはしておけない。

マフーを破れなければ、最悪ここでアリティア軍は全滅する。取り逃がせば、世界はまた混乱を繰り返すだろう。

 

「カタリナ、カタリナっ!!!!」

{ぐふははははは。無駄だ! この娘は孤児である事で、世の中すべてを恨んでおる。自分をゴミだと正しく認識しておったし、等しく周りもゴミであると思っている!!}

 

勿論ルオは反発する。

 

「そんなことない!! カタリナは、嘘は言わなかった。言ったのは、アイシャとの賭けの時の一回だけだ。なら、カタリナは恨んでない。ちゃんと愛して欲しかっただけだ!!」

{戯言を・・・!}

「カタリナは言ってた。『マルス様やルオと一緒に、誰かを幸せにしていくために頑張る未来を想像して、私も幸せを感じる』と!!

そんな子が誰にどういわれたって、ゴミなわけがあるか!!

そんな思いがあってさえ、遠い昔に差しのべられた手を振り払えなかった、臆病で、純粋な子だ。ちゃんと立てるようになるまで、見守ってあげなきゃならないんだ。やっとその場所に立てたんだ。仲間や、過去の罪まで背負って、それでも立とうとした強い子でもあるんだ!!!!

どんな人間だって、周りから受けた何かで変わっていくんだ。やり直すのが難しくても、手遅れなんて人間はいない。

ガーネフ、お前はどうだ!? お前がそんな野心を持ったのは、誰のせいだ!!

そしてそれは、お前を幸せに出来たのかよ。お前の望みがかなって、世界征服なんて出来たとして、それでお前は幸せになれるのかよ!?」

{若僧が、賢しげに説教か!? 虫唾が走るわっ!!!!!!}

 

ルオは、本気だった。ガーネフだって、魔王だ怨霊だと言われるほどに変わってしまう前は、ただの思い込みの激しめな魔導士だったのだ。

ガトーがオーラの後継をミロア大司祭・・・リンダの父とした事で歪んだという。嫉妬が原因で、こうなったと。

 

カタリナは、もう変わった。いや、歪みを治そうと頑張り始めた。

ちゃんと生きていきたいと、今さっきそう言っていた。

 

「ガーネフ!! カタリナを、返せっ!!!!」

{死ねぇぇぇぇえええええっ!! マフー!!!}

 

瘴気の渦がアリティア軍を襲う。触れたそばから体を鎧や服ごと腐り落とす闇の霧に、なすすべがない。マリーシアのマジックシールドの中で縮こまるしかないのだ。

 

「ぅうう・・・ げ、限界ですうぅ・・・!!!」

 

マフーは、ガーネフが『カタリナ』という器を手に入れた以上、無限である。しかしマジックシールドはいずれ尽きてしまう。

 

{くくく、安心するがいい。貴様らを全滅させた後、この体は使い続けてくれる。骨の髄までしゃぶった後は、ボロ雑巾のように捨ててくれる。わしのやりようを間近で見ているだけで、この娘は憔悴していく。それも愉快な事よ。エレミヤのように心に歪みをかけて、取り返しのつかぬところで正気に戻すというのも愉快であったがな!!}

 

 

(・・・え?)

 

 

 

カタリナとガーネフの魂は、今繋がっている状態だ。カタリナがそれを探ると、エレミヤの真実が見えた。

 

彼女は、変わってしまったのではない。ガーネフの術にかかっていたのだ。

ハーディンのように、心が悲しみに支配された隙を突かれて。

戦災で親を亡くし、傷ついた孤児たちを、救おうとし、愛していた皆を・・・

また戦災で、今度は自分が失ってしまった、あの時に。

 

『ああ・・・ あああっ・・・』

 

エレミヤは、悲しんでいた。

あの子たちにこの世界で、生まれた事を呪ってほしくなかった。命という奇跡がそれぞれに紡がれている中で、それが少しでも暖かいものであるように願った。そして、そうしてやるどころか、守ることすら出来なかった自分に絶望した。

本当は何をしてあげればよかったのだろう。どうすればこんなことになるのを止められたのだろう。そんな風に、ずっと悩んでいた。

ガーネフの記憶の中で、カタリナの慕ったままのエレミヤが、世の理不尽に巻き込まれた愛する者たちを前に苦悩していた。

 

ガーネフの『彼ら自身が自分を守るだけの力を手に入れればよかったのだ』という言葉は、真実だった。確かに、力があれば、一度逃げる事も、逃げ遅れた者を助け出す事も、これからを身一つの今から生き抜く事も可能だった。多少の理不尽に耐える精神も、自らを錬する手段の獲得も、確かに必要だったのだ。

 

だからこそ。

 

その思いに付け込まれて、エレミヤはガーネフの傀儡となり、暗殺団の首領となり果てた・・・

それをほくそ笑むガーネフの感情さえ、記憶を彩った。

 

 

ギ  シ

 

 

{がっ・・・!!!?}

 

 

カタリナの・・・ガーネフの動きが止まる。

 

「お ま え か」

 

その顔は、今まで以上に歪んだ。人を蔑むような笑みの代わりに、純粋な怒りと悲しみが激しく渦巻いていた。

 

「お ま え の  せ い か」

{うげっ・・・? ががぁっ!!!!}

 

ガーネフの記憶のつい最近まで。

エレミヤにかけていた術が解かれ、今までしてきた過酷に過ぎる訓練、ついてこれぬ者、一度失敗した者、もう動けぬ者を切り捨てた事をエレミヤは思い出す。

 

愛した者たちをゴミ屑のように扱った事をもう一度反芻し、

涸れつくすような悲鳴をあげて悔み、

心を壊して倒れ伏した、優しき人。

 

その最後を、カタリナは・・・

ガーネフの愉悦とともに、嘲笑とともに知る。

 

「うあああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

カタリナが。

その小さな胸を自らつかみ、握りつぶそうと力を込めている。

 

 

「まさか・・・ カタリナ?」

「よくも・・・ よくもエレミヤ様を・・・!! 

よくもあたし達をっ・・・・・・!!!!!!」

 

いままで、カタリナは、『怒った』事などなかった。

悲しんだ事、諦めた事、呆れた事、そんなことは何度もあったけど。

 

許せないと思ったのは、これが、初めて。

 

もう戻る事のない、あんなに大切だったものが。

 

 

・・・・・・こいつに、あんな風に壊されていたなんて。

 

「ガァァァァアアアアアアネフゥゥゥゥウウウウウゥウゥウっ!!」

 

 

自らの心臓を魔法で圧迫する。

勿論ただでは済まないだろうし、その痛みは筆舌に尽くしがたい筈である。

けれど。

その痛みはガーネフにも伝わるのが分かっているから。

その痛みが堪えられぬほどの激しさであればあるほど、カタリナの精神には歓喜さえ映す。

 

{ぐぎがががあああああっ!!!!!!}

「エレミヤ様は、もっと・・・ それを、お前が!!!

許さない・・・ 許さないっ・・・!!!

 

ああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

 

あんなに優しい人が。愛した者たちを失って。

その後にさせられた事を。あんな風に見せられて。

それを、笑っていた?

 

エレミヤ様はやはりエレミヤ様だった。

ガーネフの記憶の中で、いつも私達を慈しんでいた。

それを、歪めたのは。

 

酷い。

・・・酷過ぎる。

エレミヤ様が、私達が。ガーネフ、お前に何をしたというの。

個性をそぎ取られて捨て駒にされたローロー。

帰る事もあきらめたクライネ。

みんなの苦しみは、耐えただけの短い命は、一体何の意味があった。

しかもそれを・・・

 

しかもそれを!!!!

 

「お前に、何の権利があってそんな事が許されたというの!?」

{うぐぎゃぁああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!!!}

 

この痛みは全て、ガーネフにも伝わる。

そう思うと、カタリナは自分を壊し始めた。

なるべくむごく。堪えられぬほどの痛みを。

私達の、万分の一でも。

 

「やめろっ!! カタリナぁっ!!!

君自身も死んでしまうっ!!!!!」

 

ルオの言葉は届いてはいた。だが、それがなんだ。

こいつを地獄の苦しみの最中で惨めに消え去る瞬間を感じられるのなら、その程度の事が何だというのだ。

私のすべてをあんな風に壊したこいつを、今私が苦しんで死ぬだけの事でかなえられる。

いや、それが出来ないままにこのまま生きていけるはずもない!!!

 

その怒りも、その思いも、悲しみも。

ガーネフに伝わった。

この娘が、カタリナが。本気でそれを望み、そうするつもりだと。

その思いに触れて、ガーネフは後悔や改心をしたわけではない。しかし、その思いに恐怖した。

今のこの娘になら、マフーを手に入れ怨霊となり果て、暗黒魔王となったこのガーネフを消滅させられるというその事実に戦慄した。

その恐怖をカタリナに気づかれ、さらにそこに彼女の限りない歓喜を見出した時。

 

ガーネフは、逃げ出した。

 

{ひぃぃぃぃいいいいいいいいっ!!!!!!}

 

カタリナから、ガーネフの霊がまろび出てくる。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・!!!!」

 

それを見逃す理由は無い。

 

「マリクさんっ!!!!」

「あ・・ああ!! 混沌の海にたゆたう神々のまたたきよ。寄りて寄りて魔を滅せよ!!

スターライトッ・エックスプロージョンッ!!!!!!!!!!!」

 

魔導書の力が、空間をゆがめる。

開いた空間には満天の星空がきらめき、そこからは星の閃光が差し込んで、出て来たガーネフに殺到する!!

 

{ぎゃああああああああああああああああああっ!!!!}

 

 

 

カタリナの体から出てしまえば、狙い撃ちされるのは当然だ。

それは分かっていたはずだ。

それでも出てゆかねばならぬほどに、恐怖を覚えたのだろう。

 

結局、魔王ガーネフは・・・

 

 

誰とも寄り添うことなく、他者を怖がる事しか出来ずに、消え去った。

 

 

 ・

 

 

カタリナは、自失していた。

極地までいった感情が、自らを傷つける事で与えたダメージの代償が、彼女自身をボロボロにした。

リンダのリライブが体そのものは回復させたものの、心まではどうにもならない。

 

「・・・・・・」

「カタリナ・・・」

 

それでも、アリティア軍は・・・ ルオは、ここで立ち止まるわけにはいかない。

すぐ目の前の祭壇では、暗黒竜が今まさに復活しようとしているのだ。

 

「カタリナ、よく・・・頑張ったね。後は僕らが何とかして見せる」

「・・・ルオ」

「ガーネフは、君だからこそ倒せた。心からそう思うよ。

君こそが英雄で・・・そして。

君が望んだのがそんな栄誉ではない事は、僕はよく分かるつもりだ」

「マルス様・・・」

 

マルスもそうだった。ただ、失いたくない物があっただけだ。

父や母は帰ってはこなかった。それでも前にすすまなければならない所まで似ていた。

 

ルオは隊長として命じた。

 

「誰か一人・・・カタリナについていてくれ」

 

そう言い残すとルオは、ナギに歩み寄った。

 

 

ここまで来たからこそ。

 

やってみたい、試したい事がある。

 

「お願いしたい事が、あります。

出来るかどうかなんて分からないけど」

「・・・言うがいい。運命の子よ」

 

それこそ、それは。

 

 

 

デウス・エクス・マキナ。

 

 

 

第23章 魔王再び 終

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