FE 新・紋章の謎異聞 漂流傭兵 ルオ・ルスペード   作:おかのん

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前日編 その4 新たな仲間

「・・・ふぅ」

 

集まって早々、ルークの超絶似合わないため息。

 

「どうしたんだルーク」

「ああタレルオ」

「その異名やめてくれないか」

「いやあ、どっかにさ、若くて綺麗で優しくて可愛いシスター居ないかな?」

「こちらの要望はスルーしながら勝手な妄想全開だな」

「ノリで生きてるルークさんらしいのでは?」

「まあそうだな」

 

カタリナやロディにも散々な言われようである。

とはいえ朝も早くに集まって、いきなりこのノリは疲れる。

 

「やっぱ騎士にはロマンスが必要だろう。小説とかでも英雄の隣には可愛いヒロインがいるもんだし」

 

そりゃあ小説ならいるだろう。むしろこのセリフ、ルークが本を読むことの方が意外であったけれど。

 

「な、いた方が戦いも盛り上がる。いいことだろタレルオ!」

「盛り上がりとその異名ネタが続いてるのはとにかく、癒し手が欲しいのは確かだね」

 

そんな話があった日の午後。

 

「癒し手を見つけてきました!!」

 

「「「早!」」」

「やった!!マイシスター!!!

どこだ、どこにいる!?」

「この方です!!」

 

そこにいたのは、禿頭の壮年の男性であった。

 

「リフと申します。よろしくお願いしますね。

おや? そこの彼は顔色がよくないようですが・・・・・・」

 

「ははは・・・・・・」

 

事情を聞かせて幸せになる人間がいない。

 

「気にしないで下さい。よろしく」

 

ルークのロマンスは当分おあずけのようである。

 

 ・

 

「では、今日も実践訓練だ!

今回の教官を務めていただくのは、アカネイア王国から来訪されていたジョルジュ将軍だ!!」

 

(ええええええええ)

 

弓をとらせれば大陸一と名高い、アカネイア五大貴族メニディ家の当主である。

 

(なんで従騎士の教官なんか)

 

しかし、やってくれるというならありがたい。

大陸一の技は弓のみにその片鱗を映すわけではないだろう。学ぶことはあるに違いない。

 

「ゴードンにせがまれて弓を教えに来たんだが、話を聞いてな」

 

ゴードン、という名にライアンが僅かながら反応した。

 

「で、軍師殿。どうしようか?」

「廃墟を利用した戦いになります。

具体的には・・・・」

 

ロロロロロロロロロロロ

 ルオ達|

  ーー+ 敵 +ー

     敵  |

      敵 | J

ロロロロロロロロロロロ

 

こんな風に、ぐねぐねの細い通路です。

まず、近い間合いにいる三人をどうにかしませんと。

 

メンバーとしては、ルオ、ルーク、ロディ、ライアン。

そしてリフさんと・・・

シーダ様も」

 

(・・・正直、お姫様には出張って欲しくないんだけどね)

 

カタリナは会いたいようなので何も言わない。

 

「よっしゃ行くぜ!!」

「相手はスナイパーだ。攻撃範囲は考えるより広い。

乱戦になった時のことを考えると怖いな」

「ジョルジュ将軍は隙があれば見逃してはくれません。憶病なくらいでもちょうどいいと思います」

 

最後のライアンのセリフは、さっきのジョルジュ将軍の言葉の時の反応と相まって気になった。

廃墟の建物にたてこもって、迎撃する作戦にした。

 

「ライアン。君、あの『大陸一』さんと何かあるの?」

 

こっそりと聞いてみた。

 

「あ、えと、僕の兄さんの話は知ってますか?」

「? いや」

「僕の兄さんは、ゴードンといいます」

「・・・・・・  ええええ!?

あ、あのアリティアの撃墜王!?」

 

アリティアの英雄の中でも、かなり有名だ。噂にも事欠かない。一説には、あのメディウスに止めを刺したのも彼のパルティアであるなどという荒唐無稽なものまである。

アリティア内での名声に限れば、ジョルジュ将軍にも引けは取らない。

 

「で、でも、僕にとっては優しくておっとりした、ただの兄です。ジョルジュ将軍にも気に入られて、すごいけれど、みんなにどう話していいのかわからなくて」

 

(成程ね)

 

「まあでも、兄さんは兄さん、ライアンはライアンだし。言う機会ができれば話せばいいよね」

 

「う、うん」

 

そんな事を話しているうちに、

 

「状況を開始する!!」

 

カイン教官の号令が聞こえた。

 

 

「皆、廃墟の影に隠れて!!」

 

ルオは廃墟の入口で陣取って、迎撃をする。

 

その後、皆で一斉に攻撃する。

 

予定だったが。

 

 

「とぇやぁあああああっ!!!」

 

ズバァッ!! ザンッ!!

 

(・・・ええ!?)

 

「ル・・・ルオ君? やりすぎじゃあ・・・」

 

シーダ様にも咎められてしまった。

 

「こらタレルオ!!なんで俺達の活躍の場を残しておかないんだよ!?」

 

「い、いや・・・ごめん」

 

ルオはこともあろうに、迎撃するだけで先陣部隊を全滅させてしまった。

 

これにはジョルジュも呆れた。

 

「これはこれは・・・・・・なかなかワンマンな隊長さんだな」

「い、いえそんなつもりは・・・・・・」

 

この短期間でも、ルオは力をつけたようで、一般兵相手なら手加減が必要になっていた。

騎士見習いとなるものは、厳選された才あるものであるから、おかしなことではない。

しかしそれにしても、この攻撃力は飛び抜けていた。

 

(まずいな。僕が前面に出ると、みんなの経験が積めない。二面作戦や部隊を分ける必要が出来た時のために、折を見てみんなにも戦ってもらわないと)

 

流石に若干のダメージはあり、リフにライブをかけてもらったが・・・

 

「まあいい。俺も実は仲間を率いるよりも、個人技の方で取り入れられたい方でね。

さあ、始めようか!!」

 

(えええええ!?)

 

速い。

 

セリフの終わらないうちに駆け出し、廃墟を利用して仕掛けてくるジョルジュ将軍。

 

(市街戦慣れしている・・・そういえば先の戦争では、アカネイア騎士団内で唯一人脱獄を成功させてゲリラ活動をしてたって)

 

そんなことを考えている間に、接近を許す。

 

「一手ご教授願おうか!!」

「セリフ取らないでくださいよっ!!?」

 

ヒュオンッ!!!

 

「っ!!!」

 

(なんて鋭い攻撃っ・・・)

 

注;ルオ君は幸運が4と低めなので、この時必殺率が6%ありました。

 

「皆、取り囲んで!!」

 

弓騎士の弱点は、利点である間接攻撃の逆である。

近接攻撃が出来ないので、取り囲むのが正解だ。

 

「くっ。やはりそこは抑えてくるか!」

「ジョルジュ将軍、ご覚悟を!!」

「シーダ姫!? ち、多勢に無勢か!!」

 

穂先を首に向けたのはロディであった。

「勝負あり、ですね」

どうやらこのセリフ、気に入ったらしい。

 

LVUP!!

ロディの速さと幸運がUP!!

(ロディは技や速さが上がりやすい傾向があります)

 

「見事だ。特に隊長のお前。

後半の指揮はなかなかだったし、前半の腕も流石だった。

名は?」

 

「ルオといいます」

 

「覚えておこう。

ゴードン、いるか?」

 

「はい」

 

(え、補助教官だと思ってた!! あの人が撃墜王ゴードン!?

影うっす!! でもライアンそっくり!!)

 

僕にはただの兄さんだ、と言ったのがわかる。

見た目ぽやっとしていて、英雄っぽくない。

 

(人のことは言えないか)

 

アイシャにはよく『強そうに見えない』と言われた。

 

「ゴードン、こいつらに俺から学んだことを叩き込んでやれ。人に教えるというのも、修行にはいいもんだ。

責任がある分、身が締まるし、基本をやり直すのにいい。誰にでもわかるように噛み砕くということは、本質を掴んでないとできないことだ」

「分かりました。第七小隊のみんな、よろしくね!」

 

こういってはなんだが、先生というより、同僚が増えた気分だった。

 

後で勿論ライアンとの関係の話になり、驚かれたが、皆がもっと驚いたのは、彼があのアリティアの撃墜王であるという話になった時であった。

何度も名前がでているのに、なぜ誰も気づかないのだろうか。

 

「ところで、ここで中間発表だ。

約20ある部隊の中で・・・・・・

お前たちは・・・第一位だ!! 自己評価はどうだか知らんが、脱落者や解散するグループも多い中、一人も欠けていないのはここだけだ!!

さすが教官がいいだけあるな!!」

 

そこまで過酷なのか。

確かに普段の基礎訓練だけでもかなりきついが・・・

 

・・・

 

「そういえばカタリナは普段の基礎訓練の時はいないけど」

「あ、はい。軍師志望だと話したら、ジェイガン様が特別カリキュラムを組んでくださって、モロドフ様と勉強してます」

 

ずるい。

 

 ・

 

その日。

 

城中にまだ慣れないルオは、小隊の部屋を探していた。

 

・・・迷子になっていたとも言える。

 

「まいったな・・・」

 

さまよっていると、ふと、人の気配がした。

 

(誰だろう。見回りとは違うようだけど)

 

それは、ルオより少し年上の女性だった。

その優しげな瞳は、誰かに似ている気がした。

 

「あら・・・・・・」

 

!?

 

「誰かいるの?」

 

(気配は消したつもりだったのに)

 

ともかく、出ていくしかない。

 

「・・・あの、ごめんなさい。道に迷って・・・・・・」

「従騎士の人ね? ふふ、慣れないところでの生活は大変ね」

「あの、貴方は?」

 

彼女はニッコリと微笑み、

 

「私はエリス。あなたに分かりやすく言うと、マルスの姉よ」

「・・・! エリス姫様!? し、失礼しました!!」

「まあ、『姫』だなんて」

 

そう言ってコロコロと笑う。

 

「マルスの力になってあげてね。あの子は弱い子だから」

「はっ・・・・・・??」

 

マルス様が、弱い?

暗黒竜を打ち倒した、伝説の英雄を指して?

 

「あの子は、英雄と呼ばれる武勲をあげました。でも、あの子の優しさは知っているでしょう?

敵である者を助けようとしたり、命懸けの説得をしたり。

その優しさは、諸刃の剣。

あの子の優しさは、神すら恐れぬ、傲慢に近いとさえ思えるものです。

敵も味方も等しく、この大陸に生まれた仲間、家族のように思っているのです。

あの子は神ではない。なのにそれでも神に等しい救いの手であろうと努力します。その思いは、どれだけ多くの民を救っても、救えなかった民の事を思って、自らを蝕んでいる」

「そんな・・・・・・」

 

王とはいえ、人の子だ。神ではない。

すべての民を幸せにするなど、出来るはずがないのに。

 

「だから、貴方は死なないでね。

貴方が戦死すれば、マルスは間違いなく自分を責める。

誰の間違いでも誰のミスでも、マルスにとっては『自分の力がいたらなかったから』でしかない。

 

一人でも多く戦場から帰って来れるようにしてあげて。

一度でも多く戦わずにすむ場面を作って。

 

あの子を、守ってあげて」

 

「・・・・・・はい」

 

ルオは、アリティア軍の強さの秘密がわかった気がした。

きっと、この話は、誰もがどこかで耳にするのだ。

 

「ぼ・・・ 俺、マルス様の『命令』とか『指揮』で、アリティアを守るようなつもりでいたけど、でも」

 

自分や仲間たちを死なせない事が、マルスの心を守るというのなら。

その為の努力を惜しむ理由はそもそもないのだ。

 

「今は、マルス様を守りたいと、そう・・・思います。

ええと、家族・・・・・・や、友達と同じくらいに。

 

失礼、なのかな。けど・・・・・・」

 

雲の上の偉い人じゃなく、身近な誰かのように。

ちっぽけな自分の、でも、かけがえのないもののように。

 

 

「僕は、そんな人達をこそ守りたいから」

 

 

ルオのその答えに、もう一度月明かりの中で微笑んだエリス王女は、天女のようであった。

 

その4 新たな仲間 終

 

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