G41はうきうきです。もうすぐバレンタインデーだからです。
バレンタインデーというのは好きな人にプレゼントをあげる日らしいです。なので、みんなどんなプレゼントを準備しようか、とうきうきしています。
もちろん、この基地の戦術人形の好きな人というのは概ねご主人様です。もちろん、G41もご主人様が大好きです。
なので、去年はほねっこをプレゼントしましたが、すごく微妙な顔をされてしまいました。なんでも、人間はほねっこを食べられないんだそうです。しょんぼりです。
なので、今年こそは人間の食べられるプレゼントを贈ってご主人様に喜んでもらいたいです。
FALさんの話だとこの国では主にチョコレートをあげるらしいです。
G41はこの日のために貯金して来ました。チョコレートなら十分買えます。後はカリーナさんに陳情するだけです。わくわく。
ところが、陳情しに行く一日前になって、FALさんがみんなを娯楽室に集めて言いました。
「みんな、チョコレートをあげるのは禁止ね」
その一言に、みんなショックを受けました。G41もショックです。せっかく今年こそご主人様にチョコレートをあげようと思ったのに…
「ぶーぶー! FALさん、横暴だー!」
「ちょっとFAL! どういうつもり!?」
SOPMODちゃんとAR-15さんがFALさんに抗議します。他のみんなも不満顔です。一体FALさんはどうしてチョコレートを禁止したのでしょう?
「あのねぇ… みんなが買えるチョコって言ったら戦術人形用の擬似チョコレートだと思うけど、あれって人工甘味料の塊みたいなものだから、人間の身体には悪いのよ?」
FALさんの言葉に、みんなしん、となります。確かにFALさんの言うとおり、G41達の食べているのは擬似チョコレートです。確かに、あれはあんまり人間の身体に良さそうなものじゃないです。指揮官への好意を表そうとして、指揮官が身体を壊したら本末転倒です。
「あの、FALさん。天然物のチョコレートならいいんですか?」
「そうね。できたら、ダークチョコレートがいいわね。指揮官、甘いもの好きじゃないし」
でも、天然物のチョコレートはとんでもない贅沢品で、上級市民の人でないとなかなか食べられるようなものじゃないです。G41達戦術人形では買うのはかなり難しいです。
「じゃあ、チョコレート以外に指揮官には何を送ったらいいんですか!?」
ステンちゃんが不満顔で聞きます。ステンちゃんもご主人様が好きなのでチョコレートをあげようとしていたに違いありません。なので、別の何かを送りたいのでしょう。G41もそれを聞きたいです。
「うーん、クッキーとかキャンディーとかでいいんじゃない?」
FALさんはなんだかテキトーな様子でそう答えました。食べ物のことになるとFALさんはあまり頼りにならなくなります。凄いFALさんにも苦手なことはあるみたいです。
というわけで、集会は解散になりました。
G41は部屋に帰って貯金箱をひっくり返しました。じゃらじゃらじゃら、とコインが出てきました。結構いっぱいです。がんばって貯めた甲斐がありました。でも、天然物のチョコレートにはとても手が届きません。桁が違います。
困りました。チョコレートも駄目でほねっこも駄目となると難しいです。クッキーを作ったらいいかもしれませんが、みんなでクッキーばかり上げるのもご主人様としては困ると思います。何か別のものにしたいです。
いいことを思いつきました!
G41は貯金箱を抱えてカリーナさんのところに行きました。物品を陳情するのです。
「カリーナさん、はい!」
G41はカリーナさんの机のところに行って、どちゃっと貯金箱を置きました。お金が好きなカリーナさんの目が¥マークに変わりましたが一瞬で元に戻りました。カリーナさんはいい人なので、戦術人形の持ってきたお金を横領したりはしません。
「ええと? 物品の陳情?」
「はい! ささみジャーキーをお願いします!」
カリーナさんの質問にG41は元気に答えます。ささみジャーキーのことを思うと幸せいっぱいです。
G41はささみジャーキーをご主人様にあげることを思いつきました。ささみジャーキーはほねっこより好きなおやつです。G41の憧れです。ささみジャーキーなら、ご主人様も喜んでくれると思いました。
もちろん、ささみジャーキーは天然物の肉を使うのでほねっこよりずっと高いですが、天然物のチョコレートよりはずっと安いです。貯金箱の中身で十分足ります。
もちろん、G41はささみジャーキーを食べたいです。でも、ご主人様の喜ぶ顔を見るのが何よりも優先です。惜しむことはありません! …でも、一つ貰えたら嬉しいな、と思います。
「うん、わかったわ。ささみジャーキーなら一週間もあれば届くと思うし」
あう。カリーナさんの言葉にG41は困りました。バレンタインデーは明後日です。とても間に合いません。
でも、G41は一応カリーナさんにお願いしました。もしかすると何かの弾みで早く届くかもしれませんし。それにご主人様はあまりそういうことを気にしないと思うので、遅れてあげても喜んでくれると思います。
でも、やっぱりG41はすっきりしないです。明後日、みんながプレゼントをあげている中、G41だけ手ぶらだとしょんぼりです。
どうにかできないものか、FALさんに相談しに行くことにしました。FALさんなら物品を早く移送する方法を知ってるかもしれないからです。
というわけで、G41は宿舎にFALさんを探しに戻りました。
「あ、G41ちゃん!」
途中で
「G41ちゃん、指揮官へのプレゼントは決まった?」
「うん、
G41は
「よかった、役に立てて」
そして、手にしていたものをG41に差し出しました。それは、ビニールに包まれたチョコレートの塊みたいでした。
「
「天然物のダークチョコレート。これで指揮官へのプレゼントが作れるね!」
驚くG41に
「でも、
「いいの。G41ちゃんが喜んでくれる方が嬉しいから」
G41ちゃんは大切な友達だから。そう言って、チョコレートをG41に渡してくれました。
信じられません。どうやって手に入れたかは知りませんが、こんなのを準備しているのはきっと
でも、
何だか、G41は感動しました。
「じゃあ、行こう。チョコレート作るの、手伝うよ」
「うん! ありがとう、
そして、いよいよ迎えたバレンタインデー。G41はご主人様にチョコレートを渡しました。アーモンド入りのハート型の小さいチョコを一杯です。
ご主人様はきっとブランデーとかと一緒にこのチョコレートを食べるらしいので、小さくて沢山の方がいいと
ご主人様は凄く喜んでくれて、G41を超なでなでしてくれました。俺、G41と誓約するとまで言ってくれました。物凄く嬉しいです。
ちなみに、
というわけで、G41と