ご~るでん☆れとりば~ず!   作:カール・ロビンソン

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24・G41と新しいお友達(その1)

 グリフィン本社から正式に非常事態宣言が解除された旨が示達されました。警戒レベルも通常まで下げられて、ようやく平穏な日々が戻りました。

 最も、この基地はご主人様が早い段階で警戒態勢を解いていたので、お気楽そのものでした。

 

 話によると、敵からの襲撃が一昨日あたりから完全になくなったそうなのです。

 きっとご主人様が何かしたのでしょうが、G41には何をしたのか皆目見当もつきません。さすがはご主人様です!

 

 というわけで、訓練を終えたG41はコーラとぽてちとクッションを持って、宿舎の部屋の奥にある倉庫に向かいます。

 そこの荷物を置いてある棚の隙間に、G41の秘密基地があります。狭い場所に茣蓙が敷いているだけですが、G41はそこがお気に入りです。G41は狭い場所が大好きです。

 

 ちなみに、そこに入ってころころしたりするのが好きなのはG41だけです。一〇〇式(モモ)ちゃんを初めとする他の娘達は、狭い場所はあまり好きではないみたいです。特にFALさんはかなり嫌いらしいので絶対に入ってくれません。しょんぼりです。

 

 というわけで、G41は今日も一人でまるまるしようと思います。このクッションはご主人様がくれたもので、とても柔らかくて気持ちいいものです。狭い場所で、このクッションでまるまるするのがG41は大好きです。

 

 ふと、人の気配を感じました。G41が秘密基地を覗き込んでみると、誰かが先に寝ていました。

 

「暗くて狭くて…いい感じかも…」

 

 それが誰かすぐに分かりました。TMPちゃんです!

 TMPちゃんは最近この基地に来たばかりの戦術人形で、一〇〇式隊の新入隊員でもあります。最近、G41はTMPちゃんの訓練を見てあげていることが多いので、仲良しです。

 

「TMPちゃん!」

 

「きゃっ! じ、G41さん…!?」

 

 驚くTMPちゃんのところにG41も入っていきます。幸い秘密基地は二人でも十分入れるスペースがあるので問題なしです。

 

「あの…もしかして、ここ…」

 

「うん! G41の秘密基地!」

 

「うわわわわわ! ご、ごめんなさい!!」

 

「ううん、いいの!」

 

 謝るTMPちゃんにG41は笑顔で言いました。どうもTMPちゃんは知らずにここに入り込んでしまったみたいです。でも、G41は構いません。秘密基地の良さの分かるお友達ができて、G41は嬉しいです。それにTMPちゃんは後輩なので優しくしてあげないといけません、G41はいい先輩です。えっへん!

 

「じゃあね、一緒にコーラとぽてちでまるまるしよう!」

 

「は、はい! あ、ありがとうございます!」

 

 というわけで、G41とTMPちゃんはコーラを飲んだり、ぽてちを摘んだりしながら秘密基地で丸くなって過ごしました。交わす言葉はないですが、なんだか満ち足りた気持ちになります。狭いところでまるまるするのは気持ちいいものです。TMPちゃんも気持ちよさそうです。二人は相思相愛です! えっへん!

 

 ふと、TMPちゃんがG41の敷いているクッションを見ていました。気持ちよさそう、と思っているのかもしれません。

 

「TMPちゃん。よかったら、クッション使ってみる?」

 

 というわけで、G41はクッションを差し出してみました。秘密基地の良さとともにこのクッションの良さも共有できたらいいな、と思うからです。

 

「え!? い、いいんですか!?」

 

「うん。寝てみて?」

 

「は、はい!」

 

 G41からクッションを受け取ったTMPちゃんはそっと顔の下に敷いて丸くなりました。ふわっと顔がクッションに沈みました。

 

「あっ! 物凄く柔らかくて、いい感じです!」

 

「でしょ~?」

 

 TMPちゃんが感激して言うので、G41は嬉しくなりました。TMPちゃんもクッションの良さを分かってくれました。今度ご主人様に頼んで、TMPちゃん用のものも貰おうと思います。

 

 しばらくすると、TMPちゃんの寝息が聞こえてきました。クッションが気持ちよかったので、すぐに寝付いてしまったのです。

 きっと疲れているんだと思います。一〇〇式隊は最精鋭部隊であるので、新入りのTMPちゃんはみんなについて行くために連日訓練を続けています。その疲れが出たのだと思うので、ゆっくり休んで欲しいです。

 

 でも、G41は困りました。このままではG41がクッションを使えません。かといって、起こしたりクッションを取り返したりすると可哀想です。どうしましょう。

 

 いいことを思いつきました!

 

 G41はTMPちゃんのお尻を枕にすることにしました。早速頭を置いてみます。なんだか柔らかくていい感じです。G41は満足です。

 ふと、目の前で何かが動いています。それはTMPちゃんの尻尾でした。黒くてふわふわしてて、可愛いです。

 目の前で尻尾が揺れています。G41はなんとなくそれを視線で追ってみます。そして、目の前にそれが来たとき…

 

 はむっ。

 

 あ。思わずはむっとしてしまいました!

 

「きゃっ!」

 

 TMPちゃんが飛び起きてしまいました。きっと、TMPちゃんは尻尾をはむっとされるとびっくりするのでしょう。G41のミミみたいです。

 

「あ、あの…尻尾の処理は自分でやりますから…」

 

「ごめんね、TMPちゃん…」

 

 起きたTMPちゃんにG41は謝ります。なんだか、ご主人様みたいなことをしてしまいました。G41は反省です。

 

「なんだか騒がしいと思ったら、二人で入ってたのね?」

 

 入り口から声が聞こえました。見ると、FALさんが覗き込んでいました。

 

「FALさん!」

 

「うわわわっ! ご、ごめんなさい!」

 

「別に謝ることじゃないわよ。それより、一〇〇式(モモ)が中華風パイを焼いてくれたんだけど、一緒に食べない?」

 

 FALさんの言葉にG41は嬉しくなりました。一〇〇式(モモ)ちゃんのおやつは大好きです。G41はうきうきです。TMPちゃんも嬉しそうです。

 というわけで、G41とTMPちゃんはすぐに秘密基地から出ました。部屋からは良い匂いがしています。G41はTMPちゃんの手を引いて、すぐにでも駆けて行こうとしました。

 

「こらこら。おやつの前に服装を直しなさい。狭いところで丸くなってたから、乱れてるでしょ?」

 

 FALさんから待ての合図があったので待つことにしました。G41達は待てもできるいい子です。

 

「おいで、直してあげるから。まずはTMPからね」

 

「は、はい!」

 

 TMPちゃんの服装を直すFALさんを、G41は嬉しい気持ちで見ていました。メンバーは変わっても、一〇〇式隊の絆は変わりません。みんな仲良しです!

 というわけで、G41達はみんなでお茶とおやつを楽しみました! おいしくて楽しくて、今日もとっても幸せでした! まる。


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