ある日の事です。基地から少し離れた場所を、珍しく一〇〇式隊で巡回しているときのことでした。
凄い銃声がするので駆け付けると、よく分からない黒ずくめの集団に出くわしました。FALさんが即刻攻撃を開始したので、G41達もそれに続いて攻撃を仕掛けました。
FALさんの曰く、こいつらが今グリフィンを騒がせている敵らしいです。
むー。G41はそれを聞いてやる気が出ました。容赦も遠慮もなく撃ち倒していきます。こいつらのせいでG41は物凄く切ない思いをしました。その悲しみを倍返しします!
敵の数は物凄く多かったですが、最精鋭である一〇〇式隊の敵ではありませんでした。特にFALさんのグレネードは物凄い勢いで敵を薙ぎ倒しました。完全に今日のMVPです。流石FALさんです!
「さて、そこに隠れてるの。出てきてくれない?」
敵を全部倒した後で、FALさんが瓦礫に向かって銃を向けて言います。G41もそこに何かが潜んでいるのを感知しています。敵ならば倒さなければいけません。銃を向けます。
「わ、分かったから、撃たないでよ!?」
そう言って出てきたのは意外な人形でした。あれはデストロイヤーっていう鉄血のBOSS級の娘です。
なんだかボロボロな様子で、戦闘力はなさそうです。でも、油断をしてはいけません。G41は銃を構えて、動態センサーを最大レベルで稼働しています。おかしな動きをすれば一撃で頭を撃ち抜けます。
「…どうして貴女がこんなところにいるの?」
そう言ってFALさんが銃を下ろします。
「奴らに襲われたのよ!! 部隊は全滅するし、弾は切れるし… 仕方なく逃げたのよ!!」
デストロイヤーちゃんは半泣きでそう言います。後でFALさんに聞いたのですが、例の敵は1000人単位で襲ってくるという非常に恐ろしい連中らしいです。今回G41達が戦ったのは、デストロイヤーちゃん達が頑張って減らした残り、ということでしょう。
「それはご愁傷様ね」
Five-sevenさんがため息交じりにそう言います。FALさんとFive-sevenさんに敵意がないので、デストロイヤーちゃんをここで撃つ必要はなさそうです。G41は銃を下ろしました。
「あ、あの…どうするんですか?」
「とりあえず連行しよう。…ついてきて」
TMPちゃんの問いに、
「わ、分かったわよ!」
デストロイヤーちゃんは両手を上げて従います。というわけで、G41達はデストロイヤーちゃんを連行して基地に帰り、ご主人様のところに行きました。
「…また妙なもんが釣れたな」
ご主人様は呆れたように言いました。どうするのか、みんなで固唾を呑んで注視していましたが、とりあえずいきなり解体処分とかはなさそうです。
「とりあえず、どうするの、これ?」
「しばらく自習室に放り込んでおけ。見張りは
FALさんの問いに、ご主人様はそう答えました。確かに鉄血のBOSS級を見張るのですから、最精鋭の
というわけで、G41達はデストロイヤーちゃんを自習室に連れて行きました。デストロイヤーちゃんは怖がって黙っています。でも、少なくともG41は今のところデストロイヤーちゃんを撃つつもりはありません。ご主人様に危害を加える可能性は低いですし、過去のことは全て戦場の事と割り切っているからです。
「とりあえず座って。手当してあげるから」
「え!? い、いらないわよ!?」
「駄目。人工血液が流れすぎたら、運動機能停止しちゃうから」
戸惑うデストロイヤーちゃんにそう言って、
「はい。これでよし」
「…べ、別に、感謝とかしないんだからね!?」
応急処置が終わると、デストロイヤーちゃんはそう言って、顔を赤くしました。怒っているのかもしれませんが、仕方ありません。
「応急処置も終わったし、ちょっと遊ぼう?」
そう言って、
「な、なによ、それ!?」
「お手玉。こうして使うんだよ」
そう言って、
「…へぇ…」
デストロイヤーちゃんもその様子をまじまじと見つめます。なんだか珍しそうな目です。きっと、お手玉とか見たのは初めてなのでしょう。
「はい、デストロイヤーちゃんの番」
そう言って、
「え、ええ!?」
それを受け取ったデストロイヤーちゃんは戸惑いながらも、それでも見様見真似でお手玉しようとします。ぎごちない動きですが、数回お手玉はアーチを描きました。
「すごーい、デストロイヤーちゃん!」
G41は感心しました。初めてでお手玉を数回できるのは大したものだと思いました。G41も初めての時は全然できなかったのです。
「す、凄いの…?」
「うん。上手だよ、デストロイヤーちゃん」
戸惑うデストロイヤーちゃんを
「ま、まあ、私は鉄血のハイエンドモデルだもの! 貴女達とは出来が違うわ!」
「うん! 凄いんだねー」
ふんぞり返るデストロイヤーちゃんにG41は素直に感心します。鉄血のBOSS級はグリフィンの戦術人形に比べて性能はかなり上です。お手玉とかが上手でも不思議じゃありません。
「じゃあ、次はもっと綺麗にできるよね?」
「ええ! 任せておきなさい!」
時々、力が入って失敗することはあるものの、かなり早い段階でデストロイヤーちゃんはお手玉のコツを掴んだみたいです。しばらくすると見事にお手玉でアーチを描けるようになりました。
「すごーい!」
G41が素直に感心すると、
「すごいでしょ!」
デストロイヤーちゃんは素直に喜んでくれます。デストロイヤーちゃんは褒めてもらうのが好きみたいです。なんだか、G41みたいです。そこら辺はグリフィンの戦術人形も鉄血の機械人形もあんまり変わらないのかもしれません。
「じゃあ、次は3つで行ってみようか」
「ええ! やってやるわ!」
「がんばれー、デストロイヤーちゃん!」
G41の応援を受けて、デストロイヤーちゃんが意気揚々と
『交渉は成立した。とっとと出て失せろ、デストロイヤー』
通信モジュールを通じてご主人様の声が聞こえました。G41達は思わず顔を見合わせました。この短時間で鉄血と話をつけたのでしょうか。どうやったのでしょう? ご主人様のことなので、嘘をついているとは思えないのですが…
「え!? で、でも…」
『なんだ? 俺のために尽くしてくれるんなら基地に留めてもいいが?』
「そ、そんなわけないでしょ!?」
『なら、とっとと失せろ』
ご主人様の言葉に、デストロイヤーちゃんは助けを求めるような視線で、G41達を見ます。でも、こればかりはどうしようもありません。
「…ゲートまで、送るよ」
ゲートの前で、G41と
なんだか、デストロイヤーちゃんは名残惜しそうです。G41達も名残惜しいとは思います。短い間でしたが心が通じ合ったからです。そして、デストロイヤーちゃんはそういう経験をしたことが少ないのかもしれません。だから、残念に思うのかもしれません。
「デストロイヤーちゃん。これあげるね」
「これ…!?」
「4つでできるようになったら、勝負しよう。誰が一番長くできるか」
「あ、あんた達!」
しばらくして、デストロイヤーちゃんが振り向いて言いました。
「せ、戦場であったら、い、一応生かしてはおいてあげるんだから!」
「うん! でも、出来たら銃の撃ちあいはしない方がいいね!」
デストロイヤーちゃんの言葉に、
「…いつか、戦いが終わって、仲良くできたらいいね」
「うん!」
みんなが仲良く手を取り合える。そんな未来が来るかどうか、G41はわかりません。でも、そんな日が来ることを信じて、G41は生きていこうと思います。
デストロイヤーちゃん、お手玉負けないからね! まる。