ご~るでん☆れとりば~ず!   作:カール・ロビンソン

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25・G41と新しいお友達(その2)

 ある日の事です。基地から少し離れた場所を、珍しく一〇〇式隊で巡回しているときのことでした。

 凄い銃声がするので駆け付けると、よく分からない黒ずくめの集団に出くわしました。FALさんが即刻攻撃を開始したので、G41達もそれに続いて攻撃を仕掛けました。

 FALさんの曰く、こいつらが今グリフィンを騒がせている敵らしいです。

 むー。G41はそれを聞いてやる気が出ました。容赦も遠慮もなく撃ち倒していきます。こいつらのせいでG41は物凄く切ない思いをしました。その悲しみを倍返しします!

 

 敵の数は物凄く多かったですが、最精鋭である一〇〇式隊の敵ではありませんでした。特にFALさんのグレネードは物凄い勢いで敵を薙ぎ倒しました。完全に今日のMVPです。流石FALさんです!

 

「さて、そこに隠れてるの。出てきてくれない?」

 

 敵を全部倒した後で、FALさんが瓦礫に向かって銃を向けて言います。G41もそこに何かが潜んでいるのを感知しています。敵ならば倒さなければいけません。銃を向けます。

 

「わ、分かったから、撃たないでよ!?」

 

 そう言って出てきたのは意外な人形でした。あれはデストロイヤーっていう鉄血のBOSS級の娘です。

 なんだかボロボロな様子で、戦闘力はなさそうです。でも、油断をしてはいけません。G41は銃を構えて、動態センサーを最大レベルで稼働しています。おかしな動きをすれば一撃で頭を撃ち抜けます。

 

「…どうして貴女がこんなところにいるの?」

 

 そう言ってFALさんが銃を下ろします。一〇〇式(モモ)ちゃんやFive-sevenさんやTMPちゃんもそれに倣います。でも、G41は銃を下ろしません。警戒する人形は一人は必要だからです。

 

「奴らに襲われたのよ!! 部隊は全滅するし、弾は切れるし… 仕方なく逃げたのよ!!」

 

 デストロイヤーちゃんは半泣きでそう言います。後でFALさんに聞いたのですが、例の敵は1000人単位で襲ってくるという非常に恐ろしい連中らしいです。今回G41達が戦ったのは、デストロイヤーちゃん達が頑張って減らした残り、ということでしょう。

 

「それはご愁傷様ね」

 

 Five-sevenさんがため息交じりにそう言います。FALさんとFive-sevenさんに敵意がないので、デストロイヤーちゃんをここで撃つ必要はなさそうです。G41は銃を下ろしました。

 

「あ、あの…どうするんですか?」

 

「とりあえず連行しよう。…ついてきて」

 

 TMPちゃんの問いに、一〇〇式(モモ)ちゃんが答えて、デストロイヤーちゃんに銃剣を突きつけます。

 

「わ、分かったわよ!」

 

 デストロイヤーちゃんは両手を上げて従います。というわけで、G41達はデストロイヤーちゃんを連行して基地に帰り、ご主人様のところに行きました。

 

「…また妙なもんが釣れたな」

 

 ご主人様は呆れたように言いました。どうするのか、みんなで固唾を呑んで注視していましたが、とりあえずいきなり解体処分とかはなさそうです。

 

「とりあえず、どうするの、これ?」

 

「しばらく自習室に放り込んでおけ。見張りは一〇〇式(モモ)とG41に任せる」

 

 FALさんの問いに、ご主人様はそう答えました。確かに鉄血のBOSS級を見張るのですから、最精鋭の一〇〇式(モモ)ちゃんやG41が見張るのがいいと思います。

 というわけで、G41達はデストロイヤーちゃんを自習室に連れて行きました。デストロイヤーちゃんは怖がって黙っています。でも、少なくともG41は今のところデストロイヤーちゃんを撃つつもりはありません。ご主人様に危害を加える可能性は低いですし、過去のことは全て戦場の事と割り切っているからです。一〇〇式(モモ)ちゃんもどうもそういうスタンスのようです。

 

「とりあえず座って。手当してあげるから」

 

「え!? い、いらないわよ!?」

 

「駄目。人工血液が流れすぎたら、運動機能停止しちゃうから」

 

 戸惑うデストロイヤーちゃんにそう言って、一〇〇式(モモ)ちゃんは手当を開始します。損壊個所に応急修理用の傷パッドを貼っていくのです。全身傷だらけなので、結構いっぱい貼らないといけません。G41もそれをお手伝いました。

 

「はい。これでよし」

 

「…べ、別に、感謝とかしないんだからね!?」

 

 応急処置が終わると、デストロイヤーちゃんはそう言って、顔を赤くしました。怒っているのかもしれませんが、仕方ありません。一〇〇式(モモ)ちゃんの処置は適切だと思います。

 

「応急処置も終わったし、ちょっと遊ぼう?」

 

 そう言って、一〇〇式(モモ)ちゃんはポケットから布でできた小さな玉を取り出しました。あれはお手玉です。

 

「な、なによ、それ!?」

 

「お手玉。こうして使うんだよ」

 

 そう言って、一〇〇式(モモ)ちゃんは玉二つでお手玉します。一〇〇式(モモ)ちゃんの手の上で玉が躍り、一定の間隔で見事なアーチを描きます。流石、一〇〇式(モモ)ちゃんは上手です。G41は一〇〇式(モモ)ちゃんのお手玉を見るのが大好きです。

 

「…へぇ…」

 

 デストロイヤーちゃんもその様子をまじまじと見つめます。なんだか珍しそうな目です。きっと、お手玉とか見たのは初めてなのでしょう。

 

「はい、デストロイヤーちゃんの番」

 

 そう言って、一〇〇式(モモ)ちゃんはお手玉をデストロイヤーちゃんに投げて渡しました。

 

「え、ええ!?」

 

 それを受け取ったデストロイヤーちゃんは戸惑いながらも、それでも見様見真似でお手玉しようとします。ぎごちない動きですが、数回お手玉はアーチを描きました。

 

「すごーい、デストロイヤーちゃん!」

 

 G41は感心しました。初めてでお手玉を数回できるのは大したものだと思いました。G41も初めての時は全然できなかったのです。

 

「す、凄いの…?」

 

「うん。上手だよ、デストロイヤーちゃん」

 

 戸惑うデストロイヤーちゃんを一〇〇式(モモ)ちゃんが褒めてあげます。すると、デストロイヤーちゃんの表情に喜色が宿りました。笑ってくれました。

 

「ま、まあ、私は鉄血のハイエンドモデルだもの! 貴女達とは出来が違うわ!」

 

「うん! 凄いんだねー」

 

 ふんぞり返るデストロイヤーちゃんにG41は素直に感心します。鉄血のBOSS級はグリフィンの戦術人形に比べて性能はかなり上です。お手玉とかが上手でも不思議じゃありません。

 

「じゃあ、次はもっと綺麗にできるよね?」

 

「ええ! 任せておきなさい!」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの言葉に、デストロイヤーちゃんは意気揚々とお手玉を握りました。そして、お手玉を宙に躍らせます。

 時々、力が入って失敗することはあるものの、かなり早い段階でデストロイヤーちゃんはお手玉のコツを掴んだみたいです。しばらくすると見事にお手玉でアーチを描けるようになりました。

 

「すごーい!」

 

 G41が素直に感心すると、

 

「すごいでしょ!」

 

 デストロイヤーちゃんは素直に喜んでくれます。デストロイヤーちゃんは褒めてもらうのが好きみたいです。なんだか、G41みたいです。そこら辺はグリフィンの戦術人形も鉄血の機械人形もあんまり変わらないのかもしれません。

 

「じゃあ、次は3つで行ってみようか」

 

「ええ! やってやるわ!」

 

「がんばれー、デストロイヤーちゃん!」

 

 G41の応援を受けて、デストロイヤーちゃんが意気揚々と一〇〇式(モモ)ちゃんから受け取った3つのお手玉を構えた時でした。

 

『交渉は成立した。とっとと出て失せろ、デストロイヤー』

 

 通信モジュールを通じてご主人様の声が聞こえました。G41達は思わず顔を見合わせました。この短時間で鉄血と話をつけたのでしょうか。どうやったのでしょう? ご主人様のことなので、嘘をついているとは思えないのですが…

 

「え!? で、でも…」

 

『なんだ? 俺のために尽くしてくれるんなら基地に留めてもいいが?』

 

「そ、そんなわけないでしょ!?」

 

『なら、とっとと失せろ』

 

 ご主人様の言葉に、デストロイヤーちゃんは助けを求めるような視線で、G41達を見ます。でも、こればかりはどうしようもありません。一〇〇式(モモ)ちゃんは首を横に振りました。ご主人様の命令である以上、G41達に異論は許されないのです。

 

「…ゲートまで、送るよ」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの言葉にデストロイヤーちゃんは答えませんでした。でも、逆らったりせずに従って歩いてくれました。G41達の立場を理解してくれているのだと思います。

 

 ゲートの前で、G41と一〇〇式(モモ)ちゃん、そしてデストロイヤーちゃんはしばし黙って見つめあいました。

 なんだか、デストロイヤーちゃんは名残惜しそうです。G41達も名残惜しいとは思います。短い間でしたが心が通じ合ったからです。そして、デストロイヤーちゃんはそういう経験をしたことが少ないのかもしれません。だから、残念に思うのかもしれません。

 

「デストロイヤーちゃん。これあげるね」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんは微笑みながらデストロイヤーちゃんに近づいていきました。そして、お手玉を4つ手渡しました。

 

「これ…!?」

 

「4つでできるようになったら、勝負しよう。誰が一番長くできるか」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの言葉に、デストロイヤーちゃんは感極まった顔をして、そして、お手玉をひったくるように受け取って、背中を向けます。そして、歩いていきます。自分の住むべき場所へ。一〇〇式(モモ)ちゃんとG41は黙って、その姿を見つめていました。後姿が小さくなっていきます。

 

「あ、あんた達!」

 

 しばらくして、デストロイヤーちゃんが振り向いて言いました。

 

「せ、戦場であったら、い、一応生かしてはおいてあげるんだから!」

 

「うん! でも、出来たら銃の撃ちあいはしない方がいいね!」

 

 デストロイヤーちゃんの言葉に、一〇〇式(モモ)ちゃんがそう答えます。デストロイヤーちゃんはしばらく一〇〇式(モモ)ちゃんとG41を見つめて、やがて背を向けて走って行きました。G41達はその姿が見えなくなるまで見送りました。

 

「…いつか、戦いが終わって、仲良くできたらいいね」

 

「うん!」

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんの言葉に、G41は同意しました。せっかく心が通じ合ったのです。戦ったりせずに友達でいる方がいいです。

 みんなが仲良く手を取り合える。そんな未来が来るかどうか、G41はわかりません。でも、そんな日が来ることを信じて、G41は生きていこうと思います。

 デストロイヤーちゃん、お手玉負けないからね! まる。


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