ご~るでん☆れとりば~ず!   作:カール・ロビンソン

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26・G41と仲間達(その3)

 G41はTMPちゃんと廊下を歩いています。訓練を終えてお腹が空いたので、キッチンで何か作って食べようと思うのです。冷凍うどんと玉ねぎとニンニクぐらいはあったと思うので、ペペロンチーノ風焼うどんにして食べようと思います。

 

「あの…本当にあんな感じでよかったんですか?」

 

 TMPちゃんがさっきの訓練を思い出して言います。

 今日G41達がやったのは突入制圧プログラムによる模擬戦です。G41がバックアップで、TMPちゃんがフロントです。

 

 G41の定めた今日の重点項目は勇気を出して突撃、です。

 

 TMPちゃんは身のこなしだけなら一〇〇式(モモ)ちゃんと比べても上回っていると言えますが、気が弱いので突っ込むべきところで二の足を踏む時があります。そして、敵の抵抗を許して怪我をするのです。

 なので、今日は勇気をもって突撃してもらうことにしました。もちろんG41が動態センサーで敵の動きを見極め、突撃の指示は出します。そして、援護射撃も見事にこなしました。G41は精密射撃は得意です。えっへん!

 

「うん! いつもより、怪我少なかったでしょ?」

 

「そういえば…いい感じだった気がします!」

 

 G41の言葉にTMPちゃんは笑ってくれました。G41も笑顔になりました。TMPちゃんの信頼を感じたからです。よかったです。少しだけFALさんに近づけたのかもしれません。G41はFALさんみたいに素敵で立派な先輩になりたいのです。

 

 ふと、目の前から誰かが歩いてきています。ご主人様です! 嬉しくなったので、G41はご主人様のところに駆けていきました。

 

「ご主人様ー!」

 

「おっ、G41とTMP。訓練は終わったのか?」

 

 ご主人様は突撃してきたG41をやんわりと受け止めて言います。今日もご主人様がいます。G41はそれだけで幸せな気持ちでいっぱいになりました。

 

「うん! 早く褒めて褒めて?」

 

「ああ。G41は偉いな。可愛いな」

 

 頭を差し出すと、ご主人様は優しく撫でてくれます。気持ちいいです。G41は幸せです。

 

「休憩したら、一応応急待機に移ってくれ。ないとは思うが、何かあったらよろしく頼むな」

 

「はい! G41にお任せください、ご主人様!」

 

 ご主人様の言葉に、G41は喜んで応じます。今日の応急対処隊はFALさんを除く一〇〇式隊です。FALさんがいないところはG36ちゃんが臨時に加わって埋めています。

 FALさんは今秘密任務を受けて動いているみたいです。流石FALさんです。G41もいつかFALさんみたいにかっこよく秘密任務をこなしてみせたいです。FALさんはG41の憧れです!

 

 ご主人様とお別れした後、TMPちゃんの方を見ると、なんだか呆けた様子で立ち尽くしていました。G41が近づいても反応がありません。視線が遠いです。どうしたのでしょうか?

 

「指揮官に撫でてもらえたら…」

 

 そして、夢見心地でそう言います。

 G41は首を傾げました。ご主人様に撫でてもらうのはそんなに難しいことではないと思うのですが。

 ご主人様は可愛い戦術人形が大好きです。なので、TMPちゃんが撫でてっておねだりすればすぐにでも撫でてもらえるはずです。おねだりすればいいと思うのですが…

 

「ご主人様に撫でて欲しいの?」

 

「きゃっ! G41さん!? き、聞こえてましたか…?」

 

「うん」

 

 G41が頷くと、TMPちゃんは恥ずかしそうにしました。

 ぴこん! G41は分かりました! 謎は全て解けました!

 TMPちゃんは奥手なのでおねだりが恥ずかしいのです! これはG41が一肌脱ぐしかありません!

 

「TMPちゃん、ちょっと待っててね?」

 

「は、はい…」

 

 TMPちゃんにそう言って、G41はご主人様をダッシュで追いかけました。すぐにご主人様に追いつきました。

 

「ご主人様ー!」

 

「おっ、G41。どうしたんだ?」

 

 ご主人様は振り向いて、突撃したG41を優しく受け止めて頭を撫でてくれます。気持ちいいです。G41は幸せです。でも、幸せに囚われてはいけません。G41はご主人様にお願いがあるのです。

 

「ご主人様。明日の副官はTMPちゃんにしてあげてください!」

 

 G41はご主人様にお願いします。TMPちゃんが副官になれば、ご主人様は可愛いTMPちゃんを撫でたくなっておねだりなしでも撫でてあげることだと思います。これは名案です!

 ちなみに、明日の副官はG41の予定でした。もちろん、G41は副官をしたいです。ご主人様を独り占めしたいです。でも、可愛い後輩のTMPちゃんのためです。G41は涙を呑んで譲ることにします。G41はいい先輩です! えっへん!

 

「ああ、分かった。…TMPは副官初めてだから、よく仕事を教えておいてくれな?」

 

「はい、ご主人様!」

 

 ご主人様はG41のお願いを聞いてくれました。よかったです。

 というわけで、G41はTMPちゃんのところに戻りました。TMPちゃんに副官業務を教えなくてはならないからです。ご主人様の期待に応えるべく頑張ります!

 

「TMPちゃん! 明日副官だよ!」

 

「ええええ!? うわわわわ! 早く隠れないと…」

 

「こら、TMPちゃん」

 

 逃げようとするTMPちゃんを抱えて、キッチンに連行します。

 TMPちゃんは副官が初めてなので逃げたくなる気持ちは分かります。でも、逃げてはいけません。撫でてもらえません。虎穴に入らざれば虎子を得ず、とFALさんも言いました。ここで逃げてはいけません。今日の重点項目は勇気を出して突撃、です

 

「というわけで、タンポポ茶の入れ方を覚えてね?」

 

 というわけで、G41は愛用のフライパンとざる。そして、裏のプランターから植えているタンポポを幾つか採ってきました。副官業務で一番重要なのは美味しいお茶を淹れることです。他は一日の流れを覚えておけばすぐにできますが、お茶の淹れ方だけは訓練しておかないと無理です。

 というわけで、まずはG41が実践してやり方を見せます。して見せて、やらせてみて、褒めてやらねば人は動かず、とFALさんから習いました。その通りに実践します。

 

 幸い、TMPちゃんはこういうことが得意なみたいで、すぐにお茶の淹れ方を覚えました。

 

「すごーい、TMPちゃん!」

 

 G41は素直に感心しました。これならご主人様も満足します。

 

「あっ、なんか、いい感じかも」

 

 TMPちゃんも自分の淹れたお茶を見て、自信を持ったみたいです。やりました。これで第一関門を突破です! G41ちゃんとTMPちゃんの大勝利です!

 

 というわけで、後はお茶を出す訓練です。G41とTMPちゃんは指揮官室に行きました。この時間、ご主人様は副官の一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒にお出かけ中です。なので、実際の部屋を使って予行演習をするのです。

 

 指揮官室に来ました。案の定、ご主人様はいません。

 というわけで、G41はご主人様の椅子に座りました。G41はご主人様役です! えっへん!

 

「し、指揮官! TMP、は、入ります!」

 

「ああ、TMP。入ってくれ」

 

 こんこんとノックするTMPちゃんに、G41はご主人様の口調を真似して言います。G41はよく副官をしているので、ご主人様の物まねが上手いのです!

 

 TMPちゃんがおどおどしながら、部屋に入ってきます。何だか可愛いです。最初のうちは一〇〇式(モモ)ちゃんもそんな感じだったらしいです。一〇〇式(モモ)ちゃんに似ていると、ご主人様は好感を持ってくれるはずです。撫でられ率アップです!

 

「し、指揮官、お、おはうございます!」

 

「おはよう、TMP。お茶はそこに置いてくれ」

 

 挨拶するTMPちゃんにG41はご主人様の真似をしたまま言います。我ながら上手です。何だか楽しくなってきました。

 

「は、はい。失礼します…」

 

「ああ。TMPは今日も可愛いなぁ」

 

「可愛いって! そ、そんな…」

 

 G41がご主人様の真似をして褒めると、TMPちゃんは慌てて顔を真っ赤にしました。

 その瞬間、カップを持つ手が滑ってしまいました。ガチャン! カップは机の上に転がりお茶をぶちまけてしまいました!

 

 やばいです! G41とTMPちゃんの顔が真っ青になりました。机の上が滅茶苦茶です。大事そうな書類がびちゃびちゃになりました!

 

「じ、G41さん!」

 

「慌てちゃダメだよ、TMPちゃん!」

 

 半泣きのTMPちゃんに、G41は言います。こういう時こそ慌ててはいけません。こんなこともあろうかと、G41はちゃんとダスターを持ってきています。綺麗に拭いたら、元通りになります。

 というわけで、G41は頑張って机を拭きます。机の上は何とか綺麗になりました。あとは書類です。G41はもう一枚のダスターで書類を拭きます。拭けばきっと書類も綺麗に…びりっ。

 あ! 書類が破けてしまいました! G41は内心で大慌てです。TMPちゃんは今にも泣きそうです。どうしましょう。とんでもないことになってしまいました!!

 

「あれ? どうしたんだ、G41にTMP?」

 

 そのタイミングでご主人様が戻ってきてしまいました! 超大ピンチです!

 

「し、指揮官…!」

 

 TMPちゃんがご主人様を見て泣きそうになります。こうなっては仕方ありません。G41はご主人様の前に出て謝ります。

 

「ごめんなさい、ご主人様!!」

 

「あ、ああ…」

 

 戸惑うご主人様にG41は謝ったうえで事情を説明しました。そして、全部G41が悪いのでTMPちゃんを怒らないでくださいってお願いしました。

 G41が予行演習を指揮官室でしようとか言わなければこんなことにはなりませんでした。なので、全部G41が悪いのです。

 

「あ、あの… こぼしたのは私ですから…」

 

 TMPちゃんも頭を下げて、G41を庇おうとします。TMPちゃんはいい子です。でも、怒られるのはG41だけにして欲しいです。叩かれても我慢します。

 

「ああ。そんなことなら気にするな、二人とも。このぐらいの書類はどうとでもなる」

 

 ちょっと待ってろよ。そう言って、ご主人様は部屋から出ました。しばらくして戻ってきたご主人様は一枚の書類を持っていました。それは濡れてダメになった書類と全く同じものでした。G41のセンサーで見ても全く同じものにしか見えません。

 ご主人様は昔軍の情報員していたので、書類を偽造したりする訓練を受けているようです。この程度の書類を偽造するのは朝飯前だそうです。流石、ご主人様です!

 

「まあ、これぐらいの失敗は誰にでもある。これに懲りたりせず、頑張ってくれ」

 

 ご主人様はそう言って二人の頭をなでなでしてくれました。気持ちいいです。G41は幸せです。念願かなったTMPちゃんもとても気持ちよさそうです。TMPちゃんも幸せです。

 ご主人様は怒るどころか励ましてくれて、なでなでしてくれました。この失敗がG41とTMPちゃんが一生懸命やろうとした結果だとわかってくれて、なおかつ十分に反省していることを理解してくれているからです。ご主人様は優しくて、G41達のことを理解してくれます。G41達はご主人様の戦術人形で本当に良かったです!

 

 翌日、TMPちゃんは副官業務本番に挑みました。ご主人様が優しいことが分かったTMPちゃんは、そこまで緊張せずに任務をこなしました。そして、得意な機械いじりの話題で盛り上がって、カリーナさんのペットロボットを(無断で)改造して絆を深めました。TMPちゃんとご主人様が仲良くなって本当に良かったです! まる。


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