ある日のことです。G41はヴィーフリちゃんと台所にいました。お茶の淹れ方を教えているのです。
ご主人様はヴィーフリちゃんが気に入ったようで、早速明日の副官に指名しました。なので、G41が副官業務について教えているのです。G41はいい隊長さんです。えっへん!
「こんな感じかな?」
ヴィーフリちゃんがカップにお茶を注いで言います。とってもいい色です。G41は早速いただいてみます。ふーふーしながら飲んでみると、程よい苦みと甘さが感じられました。とっても上手だと思います。
「うん! ヴィーフリちゃん、すごく上手!」
G41は感心して言いました。少し教えただけでこれだけできるようになったのだから、凄いと思います。ヴィーフリちゃんは凄く物覚えがいいです。
「ありがと。でも、G41の教え方が上手だったからだよ」
そう言って、ヴィーフリちゃんが頭を撫でてくれます。気持ちいいです。G41とヴィーフリちゃんは仲良しです。
「すみませーん、お茶を一杯貰えますか?」
「それは隊長に頼むことじゃないだろう、ウェル」
「あの、私が淹れますから…」
入口からみんなの声が聞こえました。どうやら訓練が終わったみたいです。
幸い、お茶はまだいっぱいあります。みんなに席に座って貰って、G41がお茶を淹れて出しました。
「ああ…G41さんのお茶は美味しいですね…」
ウェルロッドさんがG41のお茶を褒めてくれました。それはそうです。G41はご主人様に美味しいお茶を飲んでもらうために、いっぱい練習したのです。
「お嬢様、申し訳ありません。本来なら私が…」
「ううん、いいの」
謝るG36ちゃんにG41は首を振って言いました。みんな訓練の後なので、お茶を淹れて労うのも隊長の務めだと思うからです。
「ふふふ。うちの隊長殿はとてもいい娘で助かるよ」
ドラグちゃんがそう言って、お茶にイチゴジャムを入れて混ぜ混ぜします。あれはドラグちゃんが好きなロシアンティーの飲み方です。ちなみに、ドラグちゃんは甘党なので結構いっぱい入れます。
「うん。仕事も丁寧に教えてくれるし。この隊に入って良かったよ」
ヴィーフリちゃんもG41を褒めてくれます。嬉しいです。
というわけで、仮設G41隊のお茶会が始まりました。みんな和気あいあいとお茶や会話を楽しみます。とってもいい雰囲気です。G41隊はみんな仲良しです。
「全く、G41はこのままいい娘でいて欲しいな」
「ええ。そういうところは指揮官に似ないで欲しいですね」
ドラグちゃんとウェルロッドさんがG41を見て言います。G41は首を傾げました。G41をいい娘と褒めてくれているということは、ご主人様は悪い人と言ってるようなものだと思うのですが…
「ウェルロッドさん。ご主人様はそんなに悪い人なの?」
「…えーと」
G41の言葉にウェルロッドさんとドラグちゃんはバツが悪そうに顔を合わせます。そんな二人をG41とG36ちゃん、それにヴィーフリちゃんが興味津々で見ます。
「ああ…うちの指揮官は相当な悪党だな…」
「…ええ。鉄血の連中が可愛く見えるレベルですよね…」
ちょっと目を逸らしながら、ドラグちゃんとウェルロッドさんが言います。
そういえば、ご主人様とFALさんは、任務のためにちょっと悪いことをすることもあるって言ってました。今回の事件もそうやって解決に導いているのかもしれません。
でも、G41はたとえご主人様がとっても悪いことをしてても嫌いになることはありません。なぜなら、ご主人様はG41達のために悪いことをしているのですから。ウェルロッドさんやドラグちゃんもそれが分かっているので、ご主人様を悪いと思いながらも好きなのだと思います。
ふと、G41は思いました。ご主人様を含めたみんなはG41をいい娘と褒めてくれます。でも、ご主人様のために働くのなら、少しは悪いこともできたほうがいいのかもしれません。そうしたら、FALさんみたいに特別任務を受けることもできるかもしれません。FALさんはG41の憧れです。FALさんみたいに活躍したいです。
というわけで、お茶会が終わった後、G41はトンプソンさんのところに行きました。
トンプソンさんは昔結構やんちゃをしたもんだ、って言ってました。悪いこともいっぱいしたらしいので、トンプソンさんならG41にもできる悪いことを教えてくれるかもしれません。
「あん? 手軽にできる悪いこと? …そうだな。スリとかカツアゲとかか?」
ま、お前にできるとは思えないけど。トンプソンさんは笑ってそう言いました。
むー。そんなことはありません。G41は悪戯の達人です。悪戯でご主人様に勝ったこともあります。なので、G41はスリやカツアゲもできます。今日のG41は悪い子です。
というわけで、G41はご主人様のところに行きました。ご主人様にスリとカツアゲをするのです。
「G41、入ります!」
指揮官室に入るとご主人様は一人でいました。副官の
「やあ、G41。どうしたんだ?」
ご主人様がG41に笑顔でそう言います。ご主人様がいるので、G41は嬉しい気持ちでいっぱいになりました。でも、今日のG41は悪い子です。早速ご主人様にスリをします。
「ご主人様、こっち向いててね?」
「うん? ああ…」
ご主人様に正面を向いていてもらって、行動開始です。G41はご主人様の右側に回り込んで、近づいていきます。
そして、ご主人様の左のほっぺに、自身のほっぺを近づけて、すりってしました!
「おおう!」
やりました! ご主人様が驚いてくれました。スリ成功です!
味をしめたG41は反対側に回り込みます。そして、ご主人様に近づいて、右のほっぺにもすりってしました!
「おおう!」
やりました! ご主人様が驚いてくれました。またもやスリ成功です!
というわけで、G41は見事スリを達成しました。G41はとっても悪い子です。えっへん!
でも、このままではご主人様に怒られるかもしれません。なので、あの手を使ってG41はご主人様に許してもらうことにします。G41は抜け目がありません。
G41はご主人様の前に座ります。そして、お膝に顔を乗せて上目遣いで言いました。
「ご主人様、許してね?」
「…G41は本当に可愛いな」
ご主人様は笑ってG41の頭をなでなでしてくれました。ということは、許して貰えたということです。
やりました! スリは大成功でした!
というわけで、次はカツアゲをしようと思います。G41は立ち上がって言いました。
「ご主人様、ちょっと待っててね?」
「ああ」
ご主人様にそう言ってG41は部屋を出ました。向かう先は台所です。
まず、スパムの缶詰を開けて、中身を取り出します。それを横半分に切ってマヨネーズを塗って、スライスチーズを挟みます。
次に小麦粉と溶き卵とパン粉で衣をつけます。そして、それをフライヤーでじっくりと揚げます。
衣がきつね色になったら、フライヤーから上げて、キッチンペーパーで油を切って、ざく切りにします。それをお皿に盛りつけて、付け合わせのザウアークラウトとケチャップを添えたら、G41特製スパムカツの完成です!
G41はお箸とカツとノンアルコールビールをお盆に乗せてご主人様のところに行きました。お昼時なのでご飯にちょうどいいです。
「ご主人様、どうぞー!」
「G41、マジか!?」
G41がカツを出すと、ご主人様は目を輝かせて言いました。そして、カツを一口食べました。
「無茶苦茶うめぇ…」
ご主人様はとっても嬉しそうにそう言いました。やりました! カツアゲも見事達成です!
というわけで、G41はカツを食べ終えたご主人様の前に座って、お膝に頭を乗せて上目遣いで言いました。
「ご主人様、許してね?」
「嗚呼…G41は物凄く可愛いな」
ご主人様は笑ってG41のことをなでなでしてくれました。ということは許して貰えたということです。やりました! カツアゲも大成功でした。えっへん!
「だが、G41… 俺は何を許したらいいんだ?」
ご主人様はG41を抱え上げて、お膝に乗せて尋ねました。
「あのね、ご主人様」
というわけで、G41は説明します。G41はFALさんみたいに、もっとご主人様のお役に立てるように悪いこともできるようになろうと頑張ってます。そのために、まずスリとカツアゲをしたのです。
「…G41、それは違う。俺もFALもG41にはいい子でいて欲しいんだ」
「ふぇ?」
ご主人様は戸惑うG41の頭をなでなでしながら言います。
ご主人様もFALさんも任務のために悪いことをすることがあります。それらに関して、特に罪悪感はないらしいですが、それでも何らかのわだかまりが心に残ることもあるそうです。
「そんな時、いい子のG41や
ご主人様はG41を抱きしめてそう言いました。
なんと、G41はいい子であることでご主人様やFALさんの役に立てていたみたいです。無理に悪い子にならなくてもいいのです。よかったです。G41は嬉しい気持ちでいっぱいになりました!
「でも、たまには悪戯をしたり、わがままを言ってもいいからな?」
「はい、ご主人様!」
ご主人様の言葉にG41は元気よく言いました。ご主人様が頭をなでなでしてくれます。気持ちいいです。G41は幸せいっぱいです。
というわけで、今日もG41はご主人様にいっぱい甘えることができました。G41はこれからもご主人様の望むとおり、いい子であり続けます! まる。