本日、ご主人様はお外にお出かけです。何でも、秘密の交渉事があるらしいです。
護衛にはFALさんとトンプソンさん、それにFive-sevenさんが着いて行きました。
でも、G41は寂しくないです。なぜなら、G41達は今娯楽室で野球盤大会をしているのです。
「ふっふっふ、この打者で終わりだよ、G41ちゃん!」
ステンちゃんが不敵に笑って勝利宣言をします。
G41はステンちゃんと対戦中です。ステンちゃんはかなり野球盤の練習をしていて、凄く上手です。でも、G41も動態センサーや狙眼を用いて頑張りました。試合は完全打撃戦で25対24とかいう野球だとありえない点数になってます。
今9回裏でG41の打順です。2アウト満塁で、ここで打てばG41の勝ち。アウトになればステンちゃんの勝ち、という状況です。
「いっちゃえ、ステン!」
相棒のスコーピオンちゃんがステンちゃんを応援します。スコーピオンちゃんとしては、さっきG41に3回コールドで負けたのが悔しいのだと思います。
「大丈夫、G41。勝利はすぐそこよ!」
ヴィーフリちゃんが対抗して応援してくれます。G41はやる気が出ました。G41隊の隊長として、カッコいいところを見せます!
「えーい!」
さっそくステンちゃんが玉を撃ち出しました。G41のミミがピン!と立ちます。ボールはまっすぐに来ます。速度もあんまり速くないです。これはもらいました。逆転サヨナラホームランです!
G41は狙いを澄まし、バットを振ろうとしました。
すると、突然グラウンドが凹んでボールが下に入ってしまいました。G41はバットを止められず、空振ってしまいました。
「ふっふっふ、G41ちゃん。切り札は最後まで取っておくものだよ!」
ステンちゃんがとっても得意な顔で言います。そんな機能があるとは知りませんでした。む~、そんなの反則です。
「G41ちゃん、振らなかったらボールになるよ」
「そうなの?」
横で見ていたM14さんがアドバイスをくれました。
「はい。でないと、流石にずるいですからね」
M590さんも肯定してくれます。そっかー。ならば、今度は見送ります。これで万事解決です!
「えーい!」
ステンちゃんがまたもや玉を撃ち出しました。さっきと同じぐらいの速度の真っ直ぐの玉です。これはきっとさっきのアレです。G41は見送ることにしました。
ところが、グラウンドは凹まずに玉は素通りしていきます。む~、2ストライクです。
「頑張って…! G41さん!」
「はい! 落ち着いて球を見極めてください!」
TMPちゃんとM99ちゃんも応援してくれます。G41はますますやる気が出ました。でも、次が最後の一球になるかもしれません。何とか二択に迷わされずに打てる手はないものか。G41はグラウンドと穴の位置、それにバットの長さを見て考えました。
ぴこん! 思いつきました! これで勝てます! ステンちゃん、かくごー!
「えーい!」
ステンちゃんがまたまた球を撃ち出しました。やはり同じような球です。でももう通じません。
「えーい!」
G41はジャストなタイミングより大分早く振りました。G41の見るところ、穴の位置よりも先に、バットの先端の届くタイミングがあります。それを目掛けて振ったのです。
案の定、バットは球に当たりました。カス当りなので勢いは弱いです。でも、それもG41は計算済みです。
ボールはへろへろと転がっていき、何とか2塁打の窪みに落ちました。やったです! 作戦大成功です!!
「ステンちゃん、どうだぁ!」
「うあー! 負けたー!!」
G41が勝ち誇ると、ステンちゃんは頭を抱えて畳の上でゴロゴロしました。この勝負、G41の勝ちです!えっへん!
「凄い試合でしたね。二人とも、お疲れ様」
「うん、お疲れ様。…でも、あんな試合されちゃうと次からが辛いかも」
M590さんとM14さんがG41達の戦いを褒めてくれました。確かに凄い戦いだったと思います。ステンちゃん、お疲れ様でした。
「じゃあ、次にアタシがTMPに勝ったら、隊長と勝負ね。…手加減しないわよ?」
「…絶対負けません!」
次に勝負をするヴィーフリちゃんとTMPちゃんが言葉を交わします。ヴィーフリちゃんは普通なのですが、何だかTMPちゃんの声に秘められた闘志が凄いです! 訓練のおかげで、TMPちゃんも気弱さを克服できつつあるのかもしれません。
「暇だから、私達解説でもする?」
「そうですね。…あはは」
すでに負けてるスコーピオンちゃんとM99ちゃんが言います。ごめんね、スコーピオンちゃん。でも、これも勝負の世界の厳しさです。
『みんな、基地は変わりないか?』
ぴこん! 通信モジュールが開いてご主人様の声が聞こえました! ご主人様の声が聞けたのでG41は嬉しい気持ちでいっぱいになりました!
『ご主人様!』
『おお、G41! いい子でお留守番できているか?』
『うん! みんなで野球盤して遊んでるの!!』
『そうか。楽しそうで何よりだ』
G41の言葉にご主人様は優しい口調でそう言ってくれます。嬉しいです。帰ってきてなでなでして貰う事を考えると、G41は更に幸せな気持ちになります。早く帰ってきて欲しいです。
『指揮官、もうすぐお帰りですか?』
『ああ。後5分程で着きそうだ。すまんが、お茶を用意してくれないか?』
M590さんの問いにご主人様が答えます。やりました! ご主人様が帰ってきます! 嬉しいです。
「みんな! ご主人様のお迎えに行こう!」
「あ、はい!」
G41の提案にTMPちゃんが同意してくれました。他のみんなも頷いてくれました。というわけで、大会は一時中断して、みんなでゲートのところに行くことにしました。
『しかし、野球盤人気のようだな。ステンも大事に使ってくれているみたいだし』
『大事になんてしてません。…でも、ありがとうございます、指揮官』
ステンちゃんが照れくさそうに言います。ステンちゃんはご主人様が大好きなのでちょっと天邪鬼しちゃうみたいです。可愛いです。
『ねえねえ、指揮官。お土産とかある?』
『ああ。お菓子を買い込んできたから、後でみんなで食ってくれ』
『やったー!』
ご主人様の言葉に、スコーピオンちゃんが喜びます。スコーピオンちゃんもご主人様が大好きです。
他にも、
『ねー、M4。私も指揮官お迎えに行きたい』
とSOPMODちゃん。
『まだ訓練中でしょ? ちゃんと終わってからにしないと』
『と言いながら、本当は自分が』一番先に迎えに行きたいんでしょ?』
『そ、それは…!』
とM4さんとAR-15さん。
『全く、指揮官は人気者だな』
『それはそうよ、M16』
とM16さんとROさん。
『指揮官、お茶とマフィンを用意して待ってますね』
『後、秘蔵のマーマイトも用意してますよ、指揮官』
とスプリングフィールドさんとウェルロッドさん。
『指揮官…特に電話などもありませんでした』
『事態も動きはないみたいですわ、指揮官様』
と
その後も、64式さんやM500さん等、基地のみんながわいわいして、通信モジュールがとっても賑やかになりました。みんなご主人様の帰りを喜んでいます。みんなご主人様が大好きです!
『はいはい、みんな待っててね? でも、一番先にハグするのは私ね、指揮官?』
『じゃあ、いっそここでハグしておくよ、Five-seven』
『おいおい、ボス。そんなお色気シーンがあるなんて、聞いてないぞ?』
『せめて基地についてからにしてよ。狭いんだから』
車の中の声も通信モジュールに乗って聞こえてきます。何だか楽しそうです。みんな仲良しなので、G41は嬉しいです。
「なんていうか、和気藹々とした基地ね」
ヴィーフリちゃんが何だかしみじみとそう言いました。
「実を言うとね、結構不安だったの。指揮官は悪魔みたいな人って言われてたし、味方殺しで有名なFALもいるっ言うし、でね」
ヴィーフリちゃんが少し笑って言います。確かにご主人様とFALさんはグリフィンの中では評判が良くない、と聞いたことはあります。でも、二人とも優しくて素敵です。それが分かったので、ヴィーフリちゃんも不安じゃなくなったのでしょう。ヴィーフリちゃんが基地の雰囲気になじんでくれているみたいで、とっても嬉しいです。
「うん! これからも一緒に頑張ろうね、ヴィーフリちゃん!」
「うん。アタシの可愛い隊長さん?」
G41とヴィーフリちゃんは笑顔を交わします。G41とヴィーフリちゃんはすっかり仲良しです。もう相思相愛です。えっへん!
やがてG41達はゲートの前に着きました。G41が狙眼で確認すると、車らしいものがうっすらと見えています。もうすぐご主人様が帰ってきます! 嬉しいです!
G41はみんなと一緒にご主人様を待ちました。今日もご主人様にみんなであまあまするのです。G41達とご主人様は今日も仲良しでした! まる。