ご~るでん☆れとりば~ず!   作:カール・ロビンソン

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35・甘えんぼG41(その4)

 今日も一日が終わりました! G41はパジャマに着替えて就寝準備完了です! デフォルメされたゴジラとかガメラがプリントされた薄紅色のパジャマです。FALさんがくれたパジャマはG41のお気に入りです! ご主人様がくれた猫さんみたいな枕も抱えているので完璧です!

 

 というわけで、G41は早速自分のベッドに潜り込みます。ちょっと子供っぽい意匠の二段ベッドの下です。上にはヴィーフリちゃんが寝ます。

 

「お休み、G41!」

 

 ヴィーフリちゃんが上から言ってくれます。G41も布団から右手を出して応えました。

 

「お休みなさい、皆さん」

 

「また明日、諸君」

 

「はい。おやすみなさい」

 

 隣の普通な二段ベッドに寝るウェルロッドさんとドラグちゃん、間に吊っているハンモックで寝るG36ちゃんがそう言ってお布団を被ります。それを確認して、G41は無線で部屋の電気を消しました。真っ暗になります。みんな、お休みなさい。

 

 …

 ……

 ………

 

 む~、眠れません。電脳のシャットダウン処理が終わらないのです。どうしたのでしょう。

 G41達戦術人形にとっても睡眠は大事です。寝ている間に人工筋肉なんかの修復をしたり、電脳内のクラスタの排除をしたりするのです。眠れないと困ります。

 こういう眠れないとき、G41は概ね一〇〇式(モモ)ちゃんのベッドに飛び込んで一緒に寝ていました。そうするとよく眠れるのです。

 でも、今G41は一〇〇式隊じゃないので、一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒の部屋じゃないです。一応、隣の部屋に一〇〇式隊のみんながいますが、流石に部屋をまたいで一〇〇式(モモ)ちゃんのベッドに入ったりすると、FALさんに叱られると思います。

 そして、大親友の一〇〇式(モモ)ちゃんはともかく、他のみんなのベッドに飛び込んだら流石に嫌がられると思います。

 というわけで、G41はベッドから降りて、枕を抱えてスリッパを履いて部屋を出ました。こういうときはご主人様に甘えるのです。

 

 ご主人様の部屋のドアの鍵を開けて、中に入ります。やはり、ご主人様はいません。時間は2230です。ご主人様はまだお仕事中です。でも、もうすぐ帰ってくると思います。

 というわけで、G41はご主人様のベッドに飛び込んでころころします。気持ち良いです。ご主人様の匂いでいっぱいです。G41は嬉しい気持ちでころころします。

 ご主人様の匂いは安心します。でも、今日のG41はなんだかこれだけでは眠れそうにないです。ご主人様の声が聞きたいです。というわけで、G41はひたすらころころしてご主人様を待ちます。

 

 …ちょっと飽きてきました。

 というわけで、G41はベッドの下に手を差し入れました。案の定エロ本がありました! また新しい本です!

 G41はそれをぺらっとめくって読み始めます。ご主人様をのーさつするお勉強をするのです。一枚めくると、やっぱり一〇〇式(モモ)ちゃんみたいな服の女の人がいました。やっぱり、ご主人様は一〇〇式(モモ)ちゃんみたいな服が好きなのでしょうか?

 そう思いながら、G41が次のページをめくろうとしたとき、

 

「こら、G41!」

 

 入り口からご主人様の声が聞こえました。そして、足早に近寄ってきてエロ本を取り上げます。

 

「勝手にこんな本を読むんじゃない!」

 

 そう言って、ご主人様はG41の頭をぺちっしました。とっても優しいぺちっだったので痛くはないですが、怒られてしまいました。ごめんなさい、ご主人様。

 

「で? どうしたんだ。G41? 甘えに来たのか?」

 

「はい、ご主人様!」

 

「そうかそうか。よしよし」

 

 そう言って、ご主人様はG41の隣に腰掛けて頭を抱えてなでなでしてくれます。気持ち良いです。G41は幸せです。

 ひとしきりなでなでして、ご主人様はベッドから立ち上がろうとします。シャワーを浴びたいのかもしれません。

 ご主人様は仕事を終えて帰ってきたばかりです。シャワーを浴びたいのは当然です。そんなご主人様に我が侭を言うと負担になってしまいます。

 でも、G41は右手でご主人様にちょいってしてしまいました。もっと撫でて欲しいのです。もっとご主人様に構って欲しいのです。

 もちろん、我が侭はいけません。でも、ご主人様はちょっとぐらい悪戯をしたり、我が侭を言ってもいい、って言いました。なので、ちょいってしても怒られないと思います。

 

「甘え足りないのか。よしよしよし」

 

 すると、ご主人様はもう一度座って、G41の頭を抱えてなでなでしてくれます。喉の下をさすさすしてくれます。耳の後ろをさすさすしてくれます。気持ち良いです。G41は幸せです。つい喉をごろごろと鳴らしてしまいました。

 

 ひとしきりG41をなでなでして、ご主人様はG1をお膝に乗せて抱っこしました。そして、更になでなでしてくれます。G41は幸せいっぱいです。やっぱり、G41はご主人様に甘えているときが一番幸せです。

 

「でも、最近夜中来なかったのに、珍しいな?」

 

 ご主人様はG41のお腹をさすさすしながら言います。そういえば最近夜中ご主人様の部屋に来てないです。一〇〇式(モモ)ちゃんのベッドに入ることで寂しさが癒されてきたからです。でも、今は一〇〇式隊じゃないので一〇〇式(モモ)ちゃんに甘えるわけにはいかないのです。

 

「はい。今は一〇〇式隊じゃないので一〇〇式(モモ)ちゃんがいないです」

 

「そうか。一〇〇式(モモ)がいないなら寂しいな」

 

 G41の言葉に、ご主人様はG41のほっぺをむにむにしながら言いました。なんだか視線がちょっと高い気がします。視線を追ってみると、部屋の入り口です。少し開いています。あれ? なんだか人影が…

 

「でも、新しい隊の娘ももっとG41に甘えて欲しいと思ってると思うぞ? なあ、ヴィーフリ?」

 

「…あははは。ばれちゃった」

 

 そう言って、ヴィーフリちゃんが部屋に入ってきました。なんと、ヴィーフリちゃんは起きていてG41の後をつけていたのでした!

 

「ヴィーフリちゃん」

 

「…あのさ、G41」

 

 G41の視線を受けて、ヴィーフリちゃんは少し照れくさそうに言いました。

 

「寂しかったら、甘えても良いから。添い寝ぐらいするし」

 

 ヴィーフリちゃんの言葉に、G41は笑顔になりました。ヴィーフリちゃんはG41のことが大好きみたいです。G41もヴィーフリちゃんが大好きです。二人は相思相愛です! えっへん!

 

「でも、今日は俺と一緒に寝ような、G41」

 

「ちょっと! ふしだらよ、指揮官!」

 

 G41を抱きかかえて寝ようとするご主人様と、G41を取り返そうとするヴィーフリちゃん。夜中なのに大騒ぎです。G41は嬉しいです。一〇〇式(モモ)ちゃんは大親友です。それは未来永劫変わりません。でも、ヴィーフリちゃんもまたG41の親友になりつつあるのかもしれません。友達の輪が広がると未来が広がる。そんな気がしました!

 

 というわけで、G41は今日は部屋に帰って、ヴィーフリちゃんと一緒に寝ることにしました。ご主人様はちょっと寂しそうでしたが、引き止めずに見送ってくれました。ごめんね、ご主人様。でも、G41がご主人様が一番好きなのは変わらないことなので、勘違いしないでね? まる。


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