今年もバレンタインデーがやって来ました。
G41はうきうきです。今回は事前にプレゼントも決めて、前日には準備を終えていました! 去年みたいに大慌てする必要はありません。
ご主人様にプレゼントするのは何とチョコレートケーキです! G41は心を込めて一生懸命作りました!
もちろん、天然物のチョコレートではありません。
でも、合成チョコレートでもありません。キャロブ豆というものを栽培して使ったのです! 見た目と味はかなりチョコレートしています。おからとか炒ったヒマワリの種とかも混ぜているので健康にもいいです! G41は気が利きます!
後は小さいケーキもいくつか作りました! これは友チョコというものです!
この前FALさんの雑誌を見ていると、バレンタインには友達にもチョコレートをあげるといい、って書いてた気がします。
G41には
その中でも少し大きいのはFALさん用です! G41はFALさんが大好きです! FALさんはチョコレートが好きなのでとっても喜んでくれると思います。
というわけで、
指揮官室に行く途中、中庭に通りかかると二人がベンチに座ってました。二人は仲良くおしゃべりしています。お仕事が終わったのかもしれません。
G41は中庭の入り口で様子を伺います。二人が仲良くおしゃべりしているのです。お邪魔をしてはいけません。話が終わった後に、G41はプレゼントを渡すのです。
「今回の件はお疲れ様ね、指揮官」
「ああ、マジ疲れた。ったく、二度とやんねぇ」
「その割にはずいぶん楽しそうだったって、M14が言ってたけど?」
「馬鹿を嵌めるのはまあ楽しいさ。疲れるのとは別問題だ」
だらけるご主人様にFALさんが苦笑して言います。
実はこの前、ちょっと大きな事件がありました。下手をするとこの地域全体の危機になりそうなぐらい大きな話でした。G41隊も前線基地で戦闘待機していたのです。
でも、ご主人様はなんだかよく分からない内に事件を解決してしまいました。本当にあっという間でした。あんな事件でもご主人様にとっては朝飯前なのです! やっぱりご主人様は凄いです!
「FALもよくやってくれた。しかし、今回は画龍点睛を欠いたな」
「…仕方ないでしょ? あんな裏技みたいな手、誰も読めないわよ」
揶揄う様に言うご主人様に、頬を膨らせてFALさんが言います。FALさんは今回基地で色々と裏工作をしていたらしいです。仕事そのものはほぼ完璧だったみたいですが、少しだけ読み違えて昔のご主人様の上司の人に笑われたそうです。画龍点睛を欠く、というのはそのことでしょう。
でも、G41はご主人様が何をやったかさえ分かりません。ほんの少しだけ読み違えるぐらいで、仕事を完璧にこなしたFALさんは凄いです! FALさんはG41の憧れです!
「それと指揮官、ハッピーバレンタイン」
「おお! マジか、FAL! こんなのどこで手に入れたんだ!?」
FALさんが傍らに置いていた紙袋から、高級そうなお酒の瓶を取り出してご主人様に渡しました。ご主人様は物凄く嬉しそうです!
「秘密よ、指揮官。…私もグリフィンドール総選挙10位以内だってこと、忘れないでね?」
「なんだよ~、言えよ~」
「だ~め。今回の策で騙されたから、これでおあいこよ」
FALさんの肩を抱いてゆさゆさするご主人様に、FALさんは悪戯っぽく笑って言います。FALさんは現在総選挙7位の戦術人形です。どこかでCMやモデルのお仕事をして、報酬として貰ってきたのかもしれません。
G41はにこにこです。ご主人様とFALさんの仲が良くて嬉しいです。
ご主人様とFALさんはたまに口喧嘩もしますが、でもその実とっても仲良しです。G41は二人のことが大好きなので、仲がいいと嬉しいのです!
「…で、指揮官。今回のことで進展は?」
「…いや、むしろ後退したかもな。洗わないといけないことができた」
FALさんとご主人様が真面目な口調でお話しします。お仕事のお話のようです。ご主人様はFALさんの肩を抱いた姿勢のままですが、表情が全然違います。
「…急がなければいけないのにね」
「ああ。だが、間に合わせるさ。今後も引き続き頼むぞ?」
そう言って、ご主人様はFALさんの頭をなでなでして、手を放します。そして、二人で夕暮れの空を見上げながら、しばらく黙ってしまいました。G41もじっと二人のお話を待ちます。
「…あの計画が完成したら、どうなるのかしらね?」
「大きく動くだろうな。救済となるか破滅となるか…まあ、地獄には俺が行く。心配するな」
「…指揮官、忘れないでね。貴方の後ろにはいつも私がいるってことを」
「傍らの間違いだろ? …じゃあまあ、一緒に行くか」
「…ええ、そうね」
そう言ってまたご主人様はFALさんの肩を抱きます。そして、二人の顔が近づいていきます。二人はやっぱり仲良しです。
でも、G41は悲しいです。なんだか、ご主人様とFALさんだけがどこか遠くに行ってしまいそうだからです。そんなの嫌です。G41はご主人様ともFALさんとも一緒にいたいです。なので、つい飛び出してしまいました。
「ご主人様~!」
「うおっ!?」
「じ、G41!?」
G41の声を聞いた二人は物凄く驚いて、パッと身体を離しました。なんだか、ちょっと顔が赤いです。でも、G41は切なくてそれどころではありません。二人の側に駆け寄って行きます。
「じ、G41、どうしたんだ?」
ご主人様が面食らったように言います。でも、G41は躊躇わずに言います。
「ご主人様、FALさん。G41を置いて行ったら嫌です」
G41は目に涙をためて、上向き加減で言いました。
ご主人様は地獄に行く、と言いました。FALさんもそれについて行く風でした。なら、G41もついて行きたいです。
「もう…さっきの話、聞いていたのね…」
FALさんはそう言って苦笑し、G41の頭をなでなでしてくれました。FALさんの手は柔らかくて暖かいです。G41は少しだけ安心しました。
「大丈夫だ、G41。俺達はずっと一緒だ。その時が来たらお前も力を貸してくれ」
ご主人様はそう言ってG41の頭を抱きしめて、超なでなでしてくれました。とっても安心しました。G41はご主人様について行けるのです。お役に立てるのです。こんなに嬉しいことはありません。
「せっかくG41がいるんだし、もっと夢のある話をしない?」
「そうだな…例のレストランの話でもするか…正直、お役御免したらそっちでもいいな…」
ご主人様はG41をお膝に乗せて、お話をします。G41は嬉しいです。あのレストランのお話です。幸せな未来のお話です。
「G41は料理もできるし、可愛いからフロアーとキッチンの両方を
「はい、ご主人様!」
「FALは料理できないし、接客もなぁ…どうしたものか…」
「失礼ね! できるわよ!」
「そういう嘘松はいらんと言うに」
そんなわけでG41はご主人様とFALさんと一緒に楽しくお話をしました。ご主人様とFALさんが時々言い合いを始めますが、二人とも仲が良くてとっても幸せな時間です。G41はやっぱり二人の間で過ごすのが至福の時なのです!
お空が暗くなってきたので、そろそろ晩御飯です。G41は二人に手を繋いで貰って、基地の中に帰りました。晩御飯は
「あ、ご主人様、FALさん」
その途中、G41は忘れていたことを思い出しました。二人にバレンタインのプレゼントを渡すのです。
「はい! ハッピーバレンタイン!」
そう言って、手提げ袋の中から箱を二つ取り出して、二人に渡します。
「おお、チョコレートか! ありがとう、G41!」
「G41のお菓子は美味しいから、ありがとう」
そう言って二人ともG41の頭をなでなでしてくれました。ダブルなでなでです。とてつもなく嬉しいです。G41は今日もとっても幸せでした。
ご主人様やFALさんの行く道は険しく、その先にはもしかするととっても怖いものが待ち受けているかもしれません。でも、G41は二人と一緒に進んで行きます。どんな怖いものでも、それこそ地獄でもご主人様とG41達が力を合わせて戦えば必ずぶっ飛ばせると信じています。だから、ご主人様、FALさん、ずっとG41と一緒にいてね? まる!