ご~るでん☆れとりば~ず!   作:カール・ロビンソン

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追記12:ひっつきG41

 ある日のことです。G41隊は巡回に出ていました。今回は基地周辺なので、トラックも使ってないですし、キャンプもしません。のんびり歩いて、その日の内に帰れます。お気楽に散歩しているようなものです。

 

 その途中で、G41達はオナモミがいっぱい生えているのを見つけました。

 オナモミは訓練の際には嫌われます。ひっつきむしだからです。この前89式さんが藪の中の訓練でいっぱいひっつかれて、みんなでそれを取ってあげたのを思い出します。

 でも、オナモミの茎は刻んで乾燥させるといい入浴剤になります。それをネットに入れてお風呂に漬けると、とってもいい香りがしてぬくぬくになります。

 G41はぬくぬくなお風呂が大好きです。なので、刈って帰ることにしました。

 

 みんな服にひっつきむしが付かないように、注意しながらハチェットやナイフで枝を落としていきます。入浴剤にするのは茎だけなので、枝はいらないのです。

 

 というわけで、一杯オナモミの茎が手に入りました。適当な大きさにカットしてビニール袋に入れます。明日のお風呂はぬくぬくです。G41は嬉しいです。

 

 あたりを見ると、ひっつきむしが一杯地面に転がっています。アスファルトの上では流石に芽は出せないでしょう。なんだか、オナモミが可哀想です。

 

 ふと、G41はいけないことを思いついてしまいました。オナモミの実をいっぱい拾って、ヴィーフリちゃんに近づきます。

 

「ヴィーフリちゃん。えーい!」

 

 そう言って、G41はヴィーフリちゃんの服にオナモミの実を投げつけました。もちろん、オナモミの実はひっつきむしとしてヴィーフリちゃんの服にひっつきました。悪戯成功です! えへへ。

 

「もう、G41ったら! いたずらっ子なんだから!」

 

 そう言ってヴィーフリちゃんもまた足元のオナモミを拾います。G41は笑顔で土のある所まで逃げます。ヴィーフリちゃんはG41を追って、オナモミを投げつけました。もちろん、G41の服にもひっつきむしが付きます。

 

「あ、G41さん楽しそう! 私も混ぜてください!」

 

「あ、あの…私も、G41さんと遊びたいです!」

 

「うひひひ、59式にオナモミ合戦で勝てるかな~?」

 

 89式さんとTMPちゃん。それに、59式ちゃんも楽しそうにオナモミを拾ってみんなでぶつけ合います。G41隊対抗オナモミ合戦です! みんな笑顔でオナモミをぶつけあってとっても楽しい時間が過ごせました。

 

 ひとしきり遊んだところで、G41達は服に着いたオナモミを土の地面に落として、基地へ帰還しました。作戦は成功です。土の上ならオナモミも芽を出せるでしょう。お風呂のお礼です。

 

 というわけで、G41隊はまず検査を受けてシャワーを浴びて、カリーナさんに報告書を提出して宿舎に帰ることになりました。

 隊長であるG41は帰る前にご主人様に報告に行かなければなりません。G41は嬉しいので、スキップしながら指揮官室に向かいました。

 

 G41はうきうきです。今日もこんなに楽しいことがありました、とご主人様に報告するのはとっても幸せなことです。ご主人様はG41のお話をよく聞いてくれますし、面白ければご褒美としてコーラの飴をくれることもあります。そうでなくても、G41はご主人様が好きすぎるので、会えるのが楽しみなのです。

 

「あ! G41ちゃん、おかえりなさい」

 

 廊下を歩いていると前方から一〇〇式(モモ)ちゃんがやってきました。一〇〇式(モモ)ちゃんは今日の副官です。G41を迎えに来てくれたのかもしれません。

 ふと、G41は一〇〇式(モモ)ちゃんともひっつきむしの楽しさを共有したくなりました。あんなに楽しかったのです。大好きな一〇〇式(モモ)ちゃんにもその楽しさを味わってほしいです。

 

 でも、もうひっつきむしはありません。全部、土の上に落としてきました。これではひっつきむしの楽しさを伝えることができません。

 

 いいことを思いつきました!

 

一〇〇式(モモ)ちゃ~ん!」

 

 G41はおもむろに一〇〇式(モモ)ちゃんに駆け寄ります。そして、遠慮なく抱きついてスリスリしながら言いました。

 

「ひっつきむし~♪」

 

 そう言ってG41は一〇〇式(モモ)ちゃんに固く抱き着きます。ひっつきむしがないなら、G41がひっつきむしになればいいのです。これは名案です!

 

「えっと…じゃあ、私もひっつきむし~」

 

 そう言って、一〇〇式(モモ)ちゃんがG41を抱き返してくれました。一〇〇式(モモ)ちゃんのぬくもりを感じてG41は幸せです。オナモミのお風呂よりも、一〇〇式(モモ)ちゃんのぬくもりと匂いの方がいいです。何せ、G41は一〇〇式(モモ)ちゃんが好きすぎるのです!

 

 一〇〇式(モモ)ちゃんとひとしきりじゃれあったG41は、一緒に指揮官室に行きます。ご主人様への報告をして、あまあまするのです。

 

 ふと、G41は更にいいことを思いつきました!

 

一〇〇式(モモ)ちゃん、あのね…(ごにょごにょ)」

 

「う、うん、分かったよ」

 

 というわけで、G41は一〇〇式(モモ)ちゃんに作戦を伝えてから、一緒に指揮官室に行きます。扉は開いていて、ご主人様はFALさんと一緒に、一〇〇式(モモ)ちゃんとG41を待っていたのでした。

 

「お帰り、G41」

 

「ご苦労だった、G41。とりあえず、おいでおいで」

 

 部屋に入ったG41にFALさんとご主人様が声をかけてくれます。G41は嬉しい気持ちでいっぱいになりました!

 でも、幸せにとらわれてはダメです。作戦を決行しないといけません。

 

 というわけで、G41は一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒にご主人様に近づいて行きました。

 

「ん? どうしたんだ、二人とも?」

 

 不思議そうな顔のご主人様にG41は一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒に抱き着いて、そして一言。

 

「ひっつきむし~♪」

 

「ひ、ひっつきむし~」

 

 二人はご主人様にくっついてすりすりします。やりました! 作戦は成功です!

 G41はご主人様にもひっつきむしの楽しさを知って欲しかったのです。なので、G41は一〇〇式(モモ)ちゃんと一緒にひっつきむしになることにしたのです!

 

 ところが、ご主人様は無反応です。おかしいです。ご主人様は喜んでくれると思ったのですが…

 

「…うぼあー…」

 

 次の瞬間、ご主人様がいきなり倒れてしまいました。どういうことなのでしょう? G41にはよくわかりません。

 

「…二人とも、不意打ちでそういう可愛いことをするのはやめなさい。指揮官が死ぬでしょ?」

 

 そして、苦笑したFALさんに窘められてしまいました。ごめんなさい、FALさん。でも、可愛さで人は死ぬものなのでしょうか? G41にはよくわかりません。

 

「指揮官、しっかりしなさいよ」

 

「ああ…一瞬魂が天国に行っていたよ…」

 

 FALさんに手伝って貰いながら、ご主人様が立ち上がります。そして、G41と一〇〇式(モモ)ちゃんの頭をなでなでしてくれました。G41は幸せです!一〇〇式(モモ)ちゃんも幸せです!みんな相思相愛です! えっへん!

 

「とりあえず、もう夜も遅いけど、夕飯どうするの?」

 

「そうだな。今日は給料日だし、みんなにハンバーガーでも奢るよ」

 

「わーい♪」

 

 FALさんの問いに答えたご主人様の言葉に、G41は諸手を上げて喜びます。G41は嬉しいです。ハンバーガーは美味しいのでとっても好きなのです。

 

「あの…指揮官…無理しないでくださいね?」

 

「分かってるさ、一〇〇式(モモ)。さあ、行くぞ」

 

 ご主人様に従って、G41達は基地のフードコートにあるハンバーガー屋さんに行きました。そして、みんなで今日一日に会ったことをお話しします。とっても和やかで楽しい時間が過ぎました。ハンバーガーも美味しかったし、物凄く満ち足りた時間でした。

 ご主人様もFALさんも一〇〇式(モモ)ちゃんもG41の話を楽しそうに聞いてくれました。G41は幸せ一杯です。今日までもG41は素敵な皆に囲まれて幸せすぎる日々を送ってきました! そして、今日もまたG41は幸せ一杯でした! 明日もきっと幸せ一杯です! G41は過去と今の幸せを噛みしめながら、きっと幸せな明日に思いを馳せるのでした! まる!


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