ご~るでん☆れとりば~ず!   作:カール・ロビンソン

54 / 59
追記13:恋しいG41

 ある日のことです。G41は暗い顔でご主人様のお部屋を掃除しています。実は昨日M590さんが掃除しているので綺麗なのですが、それでもG41はご主人様のお部屋を時間をかけて丁寧にお掃除します。部屋の隅の小さな埃も見逃さない勢いです。

 

 なんでかというと、G41はしばらくご主人様と会っていないのです。

 ご主人様は今戦略研究所に出向いています。それで一週間ぐらいは帰らない、ということです。しかも、一〇〇式(モモ)ちゃんとFALさんも一緒です。

 G41は以前の事を思い出しました。ご主人様が長い間帰ってこなくなる事態になると、G41は不安で仕方ありません。今回の事は軍が絡んでいるので、いざとなったらそっちの戦力が使えるのでご主人様の身に不安はありませんが、事態が長引いてご主人様が帰ってこないとG41は心配で心配でたまりません。

 

 なので、不安と寂しさを紛らわせるためにご主人様の部屋を掃除しているのです。こうしていると、ご主人様と少しでも近づけるような気がして、ほんの少しだけ寂しさが紛れるのです。

 

 しばらくして、掃除が終わりました。徹底的にお掃除したので、これ以上掃除のしようがありません。なんだかしょんぼりです。早くご主人様に帰ってきて欲しいです。なでなでして貰いたいです。甘々したいです。遊んで欲しいです。

 

 ふと、ご主人様の枕が目に留まりました。持ち上げてぎゅっとしました。そば殻の枕は固くてざらざらしてますが、ご主人様の匂いがします。嬉しいです。G41の寂しい心が癒されました。

 

 しばらく抱きかかえてG41は枕をベッドに戻します。でも、そうすると寂しさがこみあげてくるのです。もう、4日もご主人様に会ってないG41の心は寂しさでいっぱいです。

 

 なので、ご主人様の枕を抱えてG41は部屋から出ました。こうするとご主人様が側にいるような気がして、G41は安心するのです。

 

「おや、G41さん」

 

 廊下を歩いていると、M590さんに会いました。昨日部屋を掃除したM590さんは、G41が今日も掃除をしているのを察したはずです。でも、M590さんは気を悪くしたり、怪訝に思ったりはしないみたいです。M590さんもG41の気持ちを理解してくれているのです。

 

「G41さん。枕を部屋から持ち出したりすると、指揮官に叱られますよ?」

 

 M590さんは穏やかに微笑みながらそう言いました。でも、G41は枕をギュっとして、ふるふると首を横に振りました。寂しいG41は少しでもご主人様を側に感じたいのです。

 

「…仕方ないですね。このことは黙っておきますから」

 

 M590さんは口元に人差し指を立ててそう言ってくれました。M590さんもG41の心を理解してくれているのです。そんなM590さんがG41は大好きです。M590さんもG41が大好きです。二人は相思相愛です! えっへん!

 

「私も訓練を終えて暇になりましたし、M590隊とG41隊で野球盤の対抗戦でもしませんか? もちろん、今回は勝たせていただきますけど」

 

 M590さんは笑顔のままそう言います。G41が寂しいことを知っているM590さんはG41を気遣ってそう言ってくれているのです。しかも、隊も巻き込んでのお遊びです。こうすることで、G41隊とM590隊との交流も深めようとしているのでしょう。そして、共に常設小隊であるG41隊とM590隊が交流することには意義があります。

 

「うん!」

 

 なので、G41は力いっぱい頷きました。ご主人様がいなくても、一〇〇式(モモ)ちゃんとFALさんがいなくても、G41には友達が一杯なのです。なので、そこまで寂しがることはないのです。

 

 というわけで、G41は枕を抱いたまま、G41隊に招集をかけました。ヴィーフリちゃんやTMPちゃん。それに、89式さんやAUGさんも喜んで参加してくれます。

 M590隊は最近かなり編成が代わりましたが、それでも副官のM500さんを始め、みんな快く参加してくれました。嬉しいです。G41は幸せ一杯です。

 

 というわけで、みんなでピッチャーやバッターを交代しながら野球盤をプレイしてとても楽しみました。試合は一進一退の好勝負です。M500さんが何気に上手で、AUGさんが投げた球を満塁ホームランされてしまいました。これで25対24です。おのれー。かくなるうえは…

 

『G41、聞こえるか?』

 

 ぴこん! G41のミミが立ちました! ご主人様の声です!

 

『ご主人様!』

 

『思いの外調整が早く終わった。おおよそ一時間後には帰るから、手が空いていたら、ご飯の準備をして待っててくれ』

 

 ご主人様がG41にそう要請してくれました。G41は嬉しいです。もうすぐご主人様が帰ってくるのです。嬉しすぎます。頑張ってご飯を作って待ちたいです。

 でも…とG41は野球盤を見ました。みんなで遊んでいたのに、ここでG41だけ抜けるとなんだかバツが悪いです。それに結構いいところです。ご主人様も大事ですが、G41隊のみんなもM590さん達も大事です。どうしようか、と困ってしまいました。

 

「…これでよし。スコアシートは記録しましたし、続きは指揮官をみんなで迎えてからしましょう」

 

「うん! 指揮官が還ってきたのだから、みんなでパーティしましょう! にぎやかなパーティって最高でしょう、ねえ!」

 

 M590さんの言葉にM500さんもそう言って同意します。その通りだ、とG41も思います。ご主人様と久しぶりに会えるのです! パーティしたいです!

 

『…なんか盛り上がってるみたいだけど、指揮官?』

 

『ああ。G41達が頑張ってくれるみたいだから、備蓄の放出を許可しよう。みんなにも伝えておけ。今日は朝までパーティだ!』

 

『はいはい、分かったわよ』

 

『基地に着いたらお手伝いするから、待っててね、G41ちゃん』

 

 ご主人様とFALさんと一〇〇式(モモ)ちゃんの声が聞こえました。今日はみんなでパーティです! うきうきです!

 というわけで、G41はみんなと一緒に台所に走りました。パーティのご馳走を用意するのです! しかも、備蓄も使っていい、とのことです。物凄く豪華な料理が作れそうで腕が鳴ります!

 

「よかったですね、G41さん。…枕は戻しておきますね」

 

 そう言って、M590さんはG41から枕を受け取ってご主人様の部屋に向かいました。そんなM590さんの事が大好きです。二人は相思相愛です。えっへん!

 

 というわけで、G41はG41隊とM590隊のみんなと一緒にご馳走を作ってご主人様を待つことにしました。料理が完成したらお出迎えです。ようやく、ご主人様に会えます。料理をきっちりと仕上げたG41は、ご主人様のヘリが辿り着くまでの数十分を一日千秋の気持ちで待つのでした! まる!


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。