ある日のことです。廊下を歩いていると、怒声が聞こえました。この声はヴィーフリちゃんです!
ヴィーフリちゃんはとても面倒見がよくて寛大な性格です。それがこんな怒声を上げているとは、珍しいです。何かあったのかもしれません。
これはいけません。G41は声の方に飛んでいきます。ヴィーフリちゃんに何かあったのかもしれません。
ヴィーフリちゃんはG41隊の副官であり、
ヴィーフリちゃんに何かあったのなら、G41が救助します。G41はヴィーフリちゃんが大好きです。
「ちょっと、Saiga-12!! 人のパンツ盗まないでよ!?」
「ち、違うんです、SR-3MP! 洗濯物を取り込もうとしたら、巻き込んでしまって」
「普通巻き込まないでしょ、そんなの!!」
何と、ヴィーフリちゃんはSaiga-12さんに怒っていたようです。パンツを盗まれたそうなのです。
うーん、とG41は首を捻ります。Saigaさんがヴィーフリちゃんのパンツを盗むものなのでしょうか?
Saigaさんはこの基地では新参の部類に入りますが、G41のためにほねっこをくれたりします。礼儀正しいです。
それにSaigaさんとヴィーフリちゃんではパンツのサイズも違うでしょうし、第一Saigaさんは潔癖症のきらいがあります。人のパンツを盗んで穿いたりするようなことはないでしょう。
これはきっと誤解です。G41が解決しようと思います。序列5位のG41は基地の秩序や治安にも気遣って動かねばなりません。G41はとってもいい先輩です。えっへん!
「ヴィーフリちゃん、落ち着いて」
「あ、G41。ごめん、気を遣わせた?」
「ううん、いいの」
G41の言葉にヴィーフリちゃんが謝るのを聞いて、首を横に振りました。こんなこと、大親友のヴィーフリちゃんのためならば何の労苦も感じません。それに、G41はまだ事情を把握していないので、完全にヴィーフリちゃんの誤解と断言できませんし。
「こんにちは、G41さん! ハグしてもいいですか!?」
「こんにちは、Saigaさん。別にいいですよ?」
Saigaさんの申し出をG41は快く受け入れてあげます。後輩の要望を快く受け入れてあげるG41はとってもいい先輩です。えっへん!
「嗚呼…G41さん、可愛すぎる…いい匂い…」
Saigaさんは早速G41を抱き締めて言いました。気持ちいいです。G41はハグされるのが大好きです。でも、ハグだけでは物足りません。
「Saigaさん、頭撫でて?」
G41はSaigaさんになでなでをおねだりします。後輩に無茶な要求をしてはいけませんが、なでなでぐらいなら問題ないと思います。そして、G41はハグも好きですが、なでなではもっと好きなのです。
「嗚呼…G41さんの髪…ふわふわでさらさら…」
SaigaさんがG41の頭をなでなでして言います。気持ちいいです。それに、Saigaさんもとても幸せそうです。二人は相思相愛です。えっへん!
「ちょっと! G41に変な気を起こさないでよ!!」
「ち、違います! そういうのじゃないですから…((*´Д`)ハアハア…)」
そうしていると、ヴィーフリちゃんがSaigaさんの手をぺちっしました。別にSaigaさんが変な気持ちになっているとは思いませんが…
なるほど。ヴィーフリちゃんはもしかするとやきもちを妬いているのかもしれません。G41はニコニコです。G41はヴィーフリちゃんが大好きなので、やきもちを妬いてもらえるとちょっと嬉しいです。えへへ。
「それで、どうしたの?」
「うん。Saigaが乾燥室で私のパンツを盗んで…」
「だから、誤解です! 事故なんです!!」
G41の問いに、ヴィーフリちゃんがSaigaさんを睨みながら言って、Saigaさんが弁明します。
うーん。これに関してはちょっと、ヴィーフリちゃんが考えすぎな気がします。でもまあ、面倒見がよくて理知的なヴィーフリちゃんがそこまでいうということは、Saigaさんにも問題があるのかもしれません。一応Saigaさんにも問い詰める必要があると思います。
「Saigaさん。本当に事故ですよね? 嘘じゃないですよね?」
G41はSaigaさんの目をじっと見つめて言います。G41がじっと見つめて言うと、誰でも本当のことを言いたくなるって、FALさんは言ってました。なので、G41はいっぱいSaigaさんを見つめます。じー。
「嗚呼…G41さんの目、綺麗…邪心が欠片もない…」
すると、Saigaさんは何だか床に転がってゴロゴロしました。何だかご主人様みたいです。そういえば、ご主人様はSaigaさんを同好の士と言ってました。なるほど。SaigaさんもG41の事が好きなのかもしれません。だとすれば嬉しいです。G41は人から好かれるのが大好きです。
「ええと、ごめんなさい、G41さん。その…洗濯物を取り込もうとして巻き込んだのは嘘ではないんです」
すると、Saigaさんが正直に出来事を言い始めました。
「ただ、SR-3MPが可愛くて…ついついポケットにしまってしまって…」
「ちょっと、Saiga! やっぱり、そういうことなんじゃない!!」
「ご、ごめんなさい! 貴女があまりに可愛くてつい…」
「ちっとも嬉しくないわよ、それ!!」
そして、Saigaさんとヴィーフリちゃんが言い合うのを聞いて、G41は思います。まあ、出来心だったみたいですし、それにヴィーフリちゃんがとても可愛いのは事実です。それに、Saigaさんはご主人様の同好の士なので、ヴィーフリちゃんが好きすぎるのでしょう。
でも、盗みはいけません。これがご主人様やFALさんにバレたらかなり厳重な処分を受けることでしょう。自習室で一週間は謹慎処分を受けると思います。
その前に、G41が処分を下して何とか、許して貰おうと思います。幸い、G41は序列5位の戦術人形で、第一常設部隊の隊長でもあります。そういうことの処分を行う権限があるのです。なので、G41がお仕置きをすることで、Saigaさんを許してもらうのです。
「Saigaさん! そこに直ってください!!」
「は、はい…」
G41がそういうと、Saigaさんは神妙に頷いて、正座します。というわけで、お仕置きタイムです。G41はおもむろにSaigaさんの側面に回ります。そして、その耳をはむっとしました!!
「ああああああ!! じ、G41さん!?」
Saigaさんが素っ頓狂な声をあげます。やりました! お仕置きは成功です!!
これはご主人様がG41に対して行うお仕置きのはむはむ地獄です。G41はとってもはむはむ地獄が怖いです。なので、これをすればお仕置きは十分と言えるでしょう。Saigaさん、かくごー。はむはむはむはむはむ…
「ああああああああ!? じ、G41さんの唇、柔らかい…息、甘い…(*´Д`)(ハアハア)」
Saigaさんが物凄く悶えています。効果はてきめんです!! なので、G41はペロペロ地獄も追加します。耳をはむはむしながらペロペロもするのです。Saigaさん、どうだー!!!
「あふん…」
すると、数秒もしない内に、Saigaさんが鼻血を吹き出して倒れてしまいました。G41は大慌てです。一体何が起こったのでしょう。
「……まあ、医務室に放り込んでおこうか、G41」
戸惑うG41を尻目に、ヴィーフリちゃんは苦笑いしながらSaigaさんを引きずって医務室に行きます。むー。ちょっとやり過ぎたのかもしれません。G41は反省です。
まあでも、メンタルモデルがちょっとオーバーヒートしただけらしいので、命に別状はないみたいです。G41は安心してSaigaさんを医務室に任せて、ヴィーフリちゃんと一緒に行くことにしました。治ったら仲直りするために、アップルパイを焼くのです。一緒にお茶が出来たら、きっと簡単に仲直りできると思います。だから、Saigaさん、早く元気になってね? まる。