それは、ある日の昼休みの事です。G41は思い切って、ご主人様に言います。
「ご主人様! ご指導をお願いします!!」
「おお、いいとも。昨日の勉強会で得るところがあったのか?」
「はい!」
ニヤリと笑って応じてくれるご主人様に、G41は堂々と答えます。勉強会の成果をご主人様に披露したいのです。
昨日の勉強会はFALさんとFive-sevenさん、そしてM-16さんとROさんが参加しました。全員でレギュレーションを決めて、模擬戦闘の繰り返しで切磋琢磨するのです。その中で、G41はかなり勝つことができました。FALさん相手にも、一度は裏をかいて勝利しました。
みんなからは物凄く褒めてもらえました。特にFALさんは、もう物凄くなでなでしてくれて、これからはもっと頼りにさせてもらうわ、と褒めてくれました。G41も手加減抜きのFALさんに勝ったのは初めてなので、物凄く誇らしかったです。えっへん!
というわけで、今日はご主人様に本気で勝負してもらうことにします。いつもの机上演習では、G41はご主人様に勝つことがしばしばありますが、明らかに手加減されているのがわかります。なので、今日は本気のご主人様と戦いたいのです。
「ご主人様、本気でお願いします」
「わかった。お前の実力を見せてもらうぞ、G41」
というわけで、G41とご主人様はシュミレーターで戦闘を行います。5部隊同士の模擬戦です。
そして、10分ほどして、G41はご主人様に負けてしまいました。最初はG41が押していたのに、呆気なく盤面をひっくり返されて、包囲殲滅の憂き目にあいました。完全敗北です。
「G41、これはな、昔の英雄ハンニバルの戦術を応用した戦法でな…」
模擬戦が終わった後、G41は戦闘の詳細をご主人様から講義していただきました。なるほど、一から説明して貰うとよく分かります。G41は最初からご主人様の手の上でした。
でも、G41がなかなか隙を見せなかったから、実は突破される寸前だったと、ご主人様は言ってくれました。なんと、G41は本気のご主人様を苦戦させたのです。とっても誇らしいです。えっへん!
「G41は物凄く頑張り屋さんないい子だな」
そして、物凄く褒めてもらえてなでなでもして貰えました。嬉しすぎます。やっぱり、お勉強は大切です。今後も一生懸命お勉強して、もっとご主人様に褒めてもらえるようにしたいです。
というわけで、その日の午後は秘密基地でまるまるしてました。夜には巡回に出るので、今の内に英気を養っておくのです。
傍らにはTMPちゃんとPA‐15さんがいます。三人でめいめいにまるまるしているのです。互いに寛いでいます。
「G41、はい」
PA-15さんがぽてちを目の前に差し出してくれます。G41はそれをぱくってしました。美味しいです。なので、お返しにささみジャーキーを差し出します。PA-15さんもG41の手からぱくってしました。美味しそうです。
「G41、こっちこっち」
PA-15さんはG41に、自身の咥えている方とは逆の方を指さして言いました。意図を察したG41は、そっちに食いつきます。なんと、PA-15さんとささみジャーキーゲーム状態になりました!
「あはは。ちゅーしちゃうかも?」
PA-15さんがもぐもぐしながら、楽しそうに言います。確かに、食べる度にささみジャーキーは短くなるので、このままではPA-15さんとちゅーしてしまうかもしれません。でもまあ、G41とPA-15さんは相思相愛なので、気にしません。もぐもぐもぐもぐ…
はむっ。
「うわあ!」
G41は思わず素っ頓狂な声をあげて、ささみジャーキーから口を放してしまいました。TMPちゃんがG41のミミをはむってしたのです!
「ご、ごめんなさい、G41さん…」
驚くG41に、TMPちゃんは謝ってくれました。いきなりはむってするのは、TMPちゃんに有るまじき失礼な行動ですが、これはG41とPA-15さんの遊びに混ざりたかったのでしょう。きっと、PA-15さんとばかり遊んでいるのでヤキモチを妬いてしまったのでしょう。
なので、G41はTMPちゃんを抱きしめます。
「じ、G41さん!?」
「TMPちゃん、かくご~」
慌てるG41ちゃんを抱きしめたまま、床でゴロゴロします。必殺のごろごろ地獄です!
「わああぁぁ~、目が回るぅ~」
「えーい!」
TMPちゃんが弱弱しく言うので、G41は調子に乗って更にごろごろします。とっても楽しいです。
「ちょっと~、私も混ぜてよ~」
そこにPA-15さんも抱き着いてきて、三人でくんずほぐれつしながら、床をゴロゴロと転がりまわります。もう、TMPちゃんとPA-15さんの臭いが混ざり合って、柔らかい感触でもみくちゃになります。超楽しいです。
しばらくごろごろして、G41達は大の字になって、みんなで笑います。楽しいです。今日もG41達は幸せいっぱいです。
その時、何やら得体のしれない気配を感じました。ふと、秘密基地の入り口あたりを見ると、なんだか大きな獣さんがいたのです。真っ黒な体毛の、猫さんみたいな獣さんでした。
「じ、G41さん! は、早く隠れないと…!」
TMPちゃんが怖がって、隅に避難します。秘密基地はそんなに広くないので、意味はないと思うのですが、TMPちゃんが怯える気持ちも分かります。G41もこんな獣さんは見たことありません。
「うわぁ…もしかして、豹? なんでこんなところに…」
PA-15さんが冷静にライブラリィと照合して分析します。豹という獣さんは聞いたことがあります。でも、なんでこんなところにいるのでしょう。確か生息域は南米の方だと思うのですが…
豹さんが近づいてきます。さすがのPA-15さんも後ずさりしますが、G41は豹さんを見つめてじっとしています。豹さんは大きいですが、怖い感じはしません。
やがて、目と鼻の先に顔を突き合わせて見つめ合う形になります。G41は豹さんの赤い目を見つめます。豹さんもG41の瞳を見つめてきます。
やがて、なんだかくすぐったい感じがしました。豹さんがG41の頬をぺろってしたのです。G41は笑顔になりました! 豹さんからの友好を感じたからです。
G41もお返しに鼻先をぺろってしました。豹さんは、なんだかくすぐったそうに目を細めました。でも、気持ちよさそうです。
なんだか、心が通じ合った気がしました! G41は豹さんが大好きです! 豹さんもG41が大好きです! 二人は相思相愛です! えっへん!
豹さんは、その場に寝そべりました。G41はそんな豹さんの胴にもたれかかりました。毛皮がふわふわで、暖か良くて気持ちいいです。思わず、すりすりしてしまいました。
「…あの、大丈夫なんですか…?」
「う~ん、なんだか、危なくないのかな…?」
「うん!」
まだ警戒しているTMPちゃんとPA-15さんを、G41は手招きします。豹さんはもうお友達です。近寄っても危ないことはないです。
二人もおずおずと近づいてきて、G41の隣に寝そべります。豹さんは怒った様子もなく、むしろリラックスしていているようで、長閑にあくびをしていました。
というわけで、まるまる再開です。みんなで、まるまるするのはとっても気持ちのいいものです。
「豹さん、はい!」
G41は豹さんに、ささみジャーキーを差し出しました。肉食動物のはずなので、きっとささみジャーキーは好きなはずです。
豹さんは遠慮なく、ジャーキーを食べてくれました。目を細めて、美味しそうに食べてくれます。嬉しいです。
「じゃあ、ぽてち食べるかな?」
「じゃ、じゃあ、私も煮干しを…」
PA-15さんやTMPちゃんも打ち解けてきたみたいで、用意していたおやつをあげることにしました。もちろん、豹さんは美味しそうに食べてくれます。もう、みんなすっかり仲良しです。
ふと、G41はご主人様に報告をしようと思いました。まあ、基地の中に部外者がいたら、報告はしないといけないですし、それが珍しい豹さんならなおさらです。でも、G41の新しいお友達なので、怖がらないで欲しいと申し添えしないといけないと思うのです。
というわけで、通信モジュールでご主人様に繋ごうとしたのですが…どうも、上手く繋がりません。通信ネットワークが不調なのでしょうか。基地の中で通信がつながらなかったのなんて、ハロウィーンの停電の時ぐらいなのですが…
でもまあ、繋がらないものは仕方ないです。後で、報告すればいいと思いますし、見つかったらその時申し添えれば、ご主人様は許してくれると思います。
というわけで、引き続き豹さんにもたれてまるまるしていたのですが、なんだか眠くなってきました。豹さんはふわふわで、温かいからです。高級なクッションよりも、豹さんの感触は気持ちいいです。それに、他のみんなも眠そうだったので、お昼寝をすることにしました。みんな、お休みなさい。ZZZzzz…
どれぐらい時間が経ったのでしょう。G41は頭を撫でる感触で目を覚ましました。つい手にすりすりすると、ヴィーフリちゃんが微笑んでくれました。
「おはよう、G41。ちょっと早いけど、巡回の準備しよう?」
「うん!」
G41はヴィーフリちゃんの言葉に頷いて、意識を覚醒させます。同時に、隣で寝ているPA-15さんとTMPちゃんも起こしました。二人とも今日の巡回のメンバーだからです。
そこで気づいたのですが、豹さんがいなくなっていました。早起きして、どこかに行ってしまったのでしょうか?
「どうしたの、G41?」
「あのね、ヴィーフリちゃん。豹さん見なかった?」
G41はヴィーフリちゃんに尋ねました。あれだけ大きい動物が基地をうろついていたら、流石に見つかるでしょうし、そうなればヴィーフリちゃんもそのことを聞いていると思うのですが。
「豹って、あの動物の? そんなの見てないし、目撃の報告も入ってないわよ?」
ヴィーフリちゃんは苦笑して言いました。どうも豹さんは発見されていないみたいです。監視システムもあるし、他の人形もたくさんいる宿舎内を、大型の動物が歩いていて見つからないはずはないと思うのですが…
釈然とはしないですが、巡回の事件も迫っています。とりあえず、豹さんのことは置いといて、巡回に出る準備をしました。一応、出発の際にご主人様にも豹さんのことはお伝えしたのですが、ご主人様は苦笑してそうか、としか言いませんでした。どうも、ご主人様も豹さんのことは知らないみたいです。う~ん、よくわかりません。謎は深まるばかりです。G41達戦術人形は夢とか見ないので、そういうものではないと思うのですが…
そして、巡回が始まって2時間。G41達は苦境に陥っていました。パロディウスの残党と鉢合わせをしたのです。残党といっても数はなかなか多く、ロボットや戦車も引き連れているので、G41隊単独では対処は困難です。
恐らく、基地を襲撃しようとしていたのかもしれません。既に、ご主人様には報告しており、現在援軍がヘリで向かってきています。M4さんやM14さん達が、10分もあれば到着するとのことですが、それまでは頑張って耐えるしかありません。
『すっかり囲まれてる。何とか退路を切り開くしかないね』
偵察に出ているPA-15さんから報告が入ります。敵の数は想像以上です。何とか弱いところを探して、突破しないといけません。PA-15さんの方は無理臭いので、後は、TMPちゃんとヴィーフリちゃんの報告を待ちます。
ふと、建物の影から敵が姿を現しました。ガンダムとかいう、白くて大きなロボットです。他の歩兵も多数います。G41と89式さんだけで対処は不可能です。
「G41さん!?」
「G41がけん制するから、89式さんは後退して、新たな合流地点を確保して」
「は、はい!」
89式さんの後退を確認して、G41は遮蔽を確保し、敵を待ち受けます。でも、G41の弾では敵にほとんどダメージを与えられません。厚い装甲と、偏向フィールドとかいうのに阻まれるからです。そうでなくても、敵はかなり多くG41は単独です。かなり危険な状況です。でも、負けません。ご主人様にために、G41は精いっぱい戦います。
ふと、その時鈍い音と共に、ガンダムが飛んでいきました。機体を半壊させながら、水平に10mぐらいぶっ飛んで、地面に転がってバラバラになって破壊されたのです。
そして、ガンダムがいた場所に、豹さんがいました。まさか、さっきのは豹さんの仕業なのでしょうか? だとすると、野生の力って凄いです!
敵の集団と豹さんが交戦を開始します。でも、まるで勝負になっていません。豹さんは物凄い速さで、敵に突撃して、前足の爪や牙で敵を薙ぎ払い、肩の辺りから生えた触手で、敵を捕まえては投げ飛ばしていきます。敵の放った銃弾は、何故か豹さんの身体をすり抜けて、地面を穿っているのです。
瞬く間に、敵を薙ぎ倒した豹さんは、G41の方に近づいてきます。嬉しくなったので、G41も物陰から飛び出て、豹さんに抱き着きました!
「ありがとう、豹さん!」
G41のお礼を聞いて、豹さんは嬉しそうに唸って、G41の頬をぺろぺろしてくれました。嬉しいです。G41は豹さんが大好きです。豹さんもG41が大好きです。二人は相思相愛です! えっへん!!
『G41、大丈夫!?』
『皆さんと合流しました! 今からそちらに向かいます!!』
ヴィーフリちゃんと89式さんが連絡を入れてきます。どうやら、無事みたいです。後、TMPちゃんが包囲の薄いところを見つけたみたいです。合流して、そこを突破します。
「豹さん、脱出を手伝ってくれる?」
G41の言葉に、豹さんは短く唸って頷いてくれました。豹さんがいれば、脱出は格段に容易になります。実に頼りになります。G41はいいお友達に恵まれました。
ふと豹さんがG41を触手で抱え上げました。そして、G41を背中に乗せて、凄い速度で走り出しました。なんだか、アニメや映画の主人公になったかのようです。えへへ。
というわけで、G41は新しい友達になった豹さんと共に、戦うことになりました。きっと、今回も大丈夫です。G41達は勝って、必ずご主人様のところに帰ります。みんなに豹さん、頑張ろうね!! まる!