お正月企画三題噺シリーズ・アドヴァンスドサード   作:ルシエド

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※この作品はお正月三題噺企画で書かれたものです。
 三題噺(さんだいばなし。三題話、三題咄とも)とは、落語の形態の一つで、寄席で演じる際に観客に適当な言葉・題目を出させ、そうして出された題目3つを折り込んで即興で演じる落語である。
 出典:Wikipedia
 活動報告で三人の方からお題を頂き、それを元に作品が執筆されています。

 お題は「かっちゃん」「貴方に忠誠を誓おう」「魔法少女まどか☆マギカ」

 全てを破壊し、全てを創れ!


仮面ライダービルドの内海がその頭脳で魔法少女まどか☆マギカの全てを救いハッピーエンドにする話

 仮面ライダービルドの物語は、ひとまずは幕を閉じた。

 かつてあった世界の危機は去り、まだどこかに火種は残り、されども間違いなく以前よりは平和となった『再構成された世界』。

 

 『仮面ライダービルドの地球』は『魔法少女まどか☆マギカの地球』と融合することで、ひとまずの平和を迎えていた。

 

「うう……くそう……」

 

 そんな中。

 内海成彰は、号泣していた。

 これでもかと号泣していた。

 駅前で、大人としてちょっとどうかと思うくらいに号泣していた。

 彼は今日、就職先の難波重工を解雇されたのだ。

 

「ちょっと会社にうっかり三億程度の損害を出しただけじゃないか……! ううっ……!」

 

 自分は会社に三億以上の利益をもたらしてきたとナチュラルに認識しているがゆえの台詞。

 思いっきりの思い上がりである。

 内海は自己評価が高いわけではないが、自尊心は妙に高いところがある男でもあった。

 結構根に持つ男であった。

 

「これからどうすればいいんだ……バイトなんてしたことないのに……」

 

「良い勤め先があるわよ」

 

「! 何者!」

 

「私は暁美ほむら。あなたには前の時……いえ、なんでもないわ」

 

 内海にとっては初対面。

 ほむらにとってはノット初対面。

 運命の出会いであり、運命の再会であった。

 

「一日五時間の拘束で、日給1万5000円でどうかしら。あなたを雇いたいの」

 

「―――!」

 

 迷うことなどない。

 破格の条件。

 内海は一瞬で魅了された。

 次の職が見つかるまでは、と。

 そこにひょっこりと現れる白い小動物。地球外生命体、インキュベーター!

 

「暁美ほむら、今度は何を企んでるんだい?」

 

「内海」

 

 すっとほむらが指を振ると、インキュベーターの頭と尻尾を内海が掴む!

 

 其が腹に叩きつけられるは内海の天衝く膝蹴り!

 

「あなたに、忠誠を誓おうぅぅぅっ!!」

 

「ぐぁぁぁぁぁッ!?」

 

 銃で撃たれても顔色一つ変えないQBの表情が無残に歪み、哀れその体は真っ二つ!

 

 見滝原に平和が訪れた!

 

 

 

 

 

 見滝原の平和は守らねばならない。

 そう、内海は元仮面ライダー!

 仮面ライダーでなくなっても、難波重工系列の工場員でなくなっても、彼の魂には人間の自由と平和を守る使命が根付いている!

 そう、鹿目まどかの自由と平和も守らねばならない!

 

「かっちゃんさん、魔法少女になってはいけませんよ……いけませんよ……」

 

「内海さん……

 ほむらちゃんに頼まれなかったからって耳元でサブリミナル囁きやめてください……

 というか、鹿目まどかで『か』が二つあるからってかっちゃんって呼ばれたの初めてです」

 

「ほむらさんがノートに書き溜めてる

 『こんなあだ名で呼び合いたいなリスト』

 の一番だったので、これで呼ぶのが一番いいかなと」

 

「内海!」

 

「ほむらさん! かっちゃんとこちらから呼びましょう!」

 

「内海!」

 

 まどかに余計なことを吹き込まれたほむらが怒る!

 だが解雇はしない。

 内海は役に立つ男であるからだ!

 

 時は流れ、運命の分岐点。

 マミ達に忠告するほむらに、マミのマスケットが突きつけられる!

 

「暁美さん。何を企んでるか知らないけれど……」

 

「内海。日給1000円アップ」

 

「あなたに忠誠を誓おうッ!」

 

「私のマスケットぉぉぉぉぉ!?」

 

「なんだこのおじさん!?」

 

 魔法少女の武器といえど!

 なんか杖のように細長くて、内海の両手に掴まれた時点で蹴り折られるは必然!

 マスケットなんて使ってる方が悪い!

 

 内海の膝蹴りによって武器が失われ、平和な話し合いが成立し、和解が実現した!

 だが、ほむらと共闘するマミを狙って、伸ばされるお菓子の魔女シャルロッテの首!

 あわれマミ!

 鷲尾兄弟のように後に何か残すわけでもない死体も残らぬ無駄死にをしてしまうのか!

 

「忠誠!」

 

「あれは……お菓子の魔女が首を伸ばすとその首を真ん中で蹴り折る男、内海!」

 

 救済!

 いかなシャルロッテとて、首を細長く杖のように伸ばしてしまう以上、内海の両腕に掴まれて蹴り折られてしまうという弱点は露呈する!

 内海がここにいるならば首を伸ばしてはいけなかったのだ!

 

 ほむらが時を止め、内海が掴んで膝で蹴る! 無敵のコンビネーションだ!

 蹴り・フィナーレ!

 着弾!

 爆発四散!

 

 時は流れ、佐倉杏子もやって来る!

 

「あんたは甘いんだよ、現実が見えてないんだ!」

 

「なにおぅ!」

 

 リアリストになりきれないのにリアリストの杏子!

 ロマンチストっぽいが意外と理想を見失いやすいさやか!

 二人の魔法少女が武器を突きつけ合い、その戦いをほむらが止めんとする!

 イッツミー、ウッツミー!

 レッツゴー、ウッツミー!

 

「内海。蹴ろ・フィナーレ」

 

「交わした忠誠忘れないよ 武器折り 確かめる!」

 

「あたしの槍ぃぃぃぃ!?」

 

「あたしの剣ぅぅぅぅ!?」

 

「一動作で一本しか折れないと思った? 内海の膝は―――二つあるのよ」

 

「意味分かんねえ」

 

 魔法少女の武器といえど!

 なんか杖のように細長くて、内海の両手に掴まれた時点で蹴り折られるは必然!

 剣と槍なんて使ってる方が悪い!

 

 ほむらのループにおいて見滝原に最多登場率を誇る魔法少女達の武器はマスケット、剣、槍、弓ィ! 全てに対し内海の膝蹴りがこうかはばつぐんだ!

 ピカチュウを前にしたギャラドスに等しい!

 見滝原というフィールドは、ほむら以外の魔法少女に対し内海が特攻という奇跡の世界!

 

 内海の膝蹴りによって武器が失われ、平和な話し合いが成立し、和解が実現した!

 だが、襲来するワルプルギスの夜!

 あわれマミ!

 鷲尾兄弟のように後に何か残すわけでもない死体も残らぬ無駄死にをしてしまうのか!

 

「大変だ! 内海がワルプルギスに取り込まれた!」

 

「大変よ! 膝に気を付けて!」

 

 あわれマミ!

 鷲尾兄弟のように後に何か残すわけでもない死体も残らぬ無駄死にをしてしまうのか!

 

「大丈夫よ、ワルプルギスの夜に膝はないわ」

 

「あ、なんだ」

 

「心配して損した」

 

「内海取り込んだ意味がまるでねえじゃねえか……ただの魔女かよ……」

 

「それで最悪の魔女なのってんの? 魔女辞めたら? なっさけな」

 

 だが、内海を取り込んだのが運の尽き!

 

 ワルプルギスの内部には核が!

 ソウルジェム、グリーフシードにあたるものがあった!

 ならば掴める!

 膝が当たる!

 

 消滅する敵、終わる夜、ワルプルギスの夜の最期だ!

 

「内海!」「内海!」「内海さん!」

 

「交わした忠誠忘れないよ 杖折り 確かめる」

 

 軽快な歌口ずさみ、内海成彰が帰還する。

 

「ありがとう内海……!」「ありがとう膝蹴り……!」「全てにありがとう……!」

 

 内海成彰は、号泣していた。

 魔法少女達も号泣していた。

 長い戦いが今、終わりを告げたのだ。

 かつて解雇で流された涙が、無職の悲しみで流された涙が、今別の意味をもって流されていた。

 

「ありがとう内海! 今日をもってあなたは解雇よ! 今日までありがとう!」

 

「暁美ァ!」

 

「げっふぁ!」

 

 ほむらを掴み、叩き込まれる膝蹴り!

 そう、内海の膝蹴りは、嘘か本当かは別としてかつて持っていた忠誠を捨てる儀式!

 今! ほむらへの忠誠は捨てられたのだ!

 

 雇用契約! 交わした約束! 忘れちまったぜそんな約束!

 

 見滝原は平和になった。

 

 

 

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