お正月企画三題噺シリーズ・アドヴァンスドサード   作:ルシエド

12 / 15
お題は「三雲隊」「アニメの作画崩壊」「肛門の錬金術」

 修! 遊真! ヒュース! ジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!
 男三人のバカ話。

これは、真なる意味でのブラックトリガー。汚れても汚れが目立たないように黒く染められているアナルバイブと同じ意味でのブラックトリガーの話


ボーダー最強が実は出水先輩だったという秘密の話

 三雲修、空閑遊真、ヒュースの三人は、珍しく女子が一人もいない玉狛支部にて、三人だけで駄弁っていた。

 

「親父が言ってたな、男同士で仲良くなるなら下ネタが一番だって」

 

「……うちのクラスの男子みたいなことを言うんだな、空閑の親父さんは」

 

「オサムはそういう話絶対しなそうだよな。

 おれもあんましないけど。

 オサムは絶対にしないからクラスで変な浮き方したこととかありそうだ」

 

「うっ」

 

「おっ、図星? オサムはだめなやつだなー」

 

 けらけらと笑う遊真。

 やや焦った様子で何かを誤魔化すように眼鏡を押し上げる修。

 対し、ヒュースは眉間にシワを寄せて黙り込んでいる。

 

「ヒュースとだって連携できるよう、仲深めといた方がいいだろ?」

 

「オレはお前達と協力関係にはなった。

 だが、そんなくだらないことを話し合う仲間になった覚えはない」

 

「他の近界の話でも?」

 

「……!」

 

「ヒュースは興味あるんじゃないの、おれのこういう話」

 

 ヒュースは渋々といった顔で、ソファーに深く腰を下ろした。

 

「オサム、あちら側の世界には『肛門の錬金術世界』って言われる世界があってな」

 

「やだよなんだよその異名」

 

 修とヒュースが同時に身構えた。

 

「ちょっと特殊なトリガー使ってるところでさ。

 相手の頭の中の意味記憶を読み取って、相手の使用言語を物質化するんだよ。尻の中に」

 

「尻の中に」

 

「これは相手の文化体系とシンクロしたトリオン受容端末なんだ。

 アフトクラトルの角みたいな?

 尻の中にこの物質化言語があると、相手の体から常時トリオンを吸収できる。

 尻の中の物質化言語を入れ替えると、別の奴からも吸収できる。

 こまめに尻の中身を入れ替えると、吸収速度を維持できる。

 肛門で物質化した言語を掴んで保持したりとかするんだってさ、ドン引きだよなー」

 

「オレたちの角をそんなものと一緒にするな!」

 

「でもこれアフトクラトルの角を参考にした改良品だって聞いたぞ。

 付け外しができる次世代型の角、アフトクラトルの角の未来の姿だって」

 

「んなっ……ぐっ……!」

 

 ヒュースの表情がかつてないほどに苦悶に歪む。

 

「だから文字の形が尻から抜きにくい形になると、すぐ抜けなくて戦闘汎用性が下がるとか」

 

「いやなネイバーだ……」

 

「相手の文化形態によって強さが変わるトリガーってことなんだな」

 

 修は想像しようとして、想像できなくて、ホッとした。

 

「いやだな、ぼくは正直その辺明確に想像できないのが救いになってる気がする……」

 

「明確に想像できないのか?

 そうだな、あれだ。

 ヨータローが見ていたドラえもんの、コエカタマリン。

 あれのように口にされるべき文字が、尻内にそのまま具現化すると考えればいい」

 

「ドラえもんを汚さないでくれ」

 

「そういや人間もちょっとズレてんだよな。

 生態系もズレ気味の近界だから。

 おれが見た時は、アニメの作画崩壊の時みたいな顔の人間しかいなかったぞ」

 

「アニメがまともな顔で見れなくなりそうだ……」

 

 ドラえもんの世界の未来には、コエカタマリンで声を物質化させ、どのひらがなや漢字が尻を通りやすいのか、通りにくいのか、検証している人間もいるかもしれない。

 未来であればこそ、何があってもおかしくはない。

 何が起こるか分からない未来の可能性とは、そういうものだ。

 そうだろ迅!

 

「だが、そういえば聞いたことがある。

 アフトクラトルの兄弟世界のアナトクラトル、通称アナル……

 特殊なトリガーを持っているためにガロプラに戦争を任せた、と聞いていたが。

 そうか。

 ガロプラの文字は尻に入れば抜けにくい形をしている……

 対し、アフトクラトルの文字は凸凹もトゲも少なく抜けやすい……

 アフトクラトルの戦士は、そういった特殊トリガーの使い手と相性が悪いのか……」

 

「やめないかそういう評価の仕方!」

 

「親父の『鬼』とか鬼のように聞いたらしいぞ。フックが肛門に引っかかるらしくて」

 

「そりゃそうだよ! 空閑の親父さんが日本人なら負ける要素無いよ!」

 

「漢字はかなりエッグい形してるから肛門に引っかかるんだろうなー」

 

 遊真はふざけ半分、戦士の心持ち半分で語っている。

 ヒュースはすっかり戦士の面持ちだ。

 幾多の世界を渡り、アフトクラトルの世界にまで辿り着かんとするならば、どこかでアナトクラトルも通る可能性はある。

 その時、戦いになる可能性はある。

 ならばその時、『頭に思い浮かべて敵のケツ穴に出現させる漢字』は、今の内から想定・選別しておくにこしたことはない。

 それが、戦士というものだ。

 

 なればこそ、遊真とヒュースの議論は進む。

 それは二人にとって漢字が、"外国の文字"に近い形で認識されているからだ。

 母国語でもなんでもない文字を玩具に、あるいは武器に考えているからだ。

 だが、これが母国語の修からすればたまったものではない。

 

「実際戦うってなったらどの漢字がいいんだろうな?

 学校で見たんだけど『社』とか地味にヤバそーだけど、ヒュースはどう思う?」

 

「……『永』。『乳』や『王』にも違ったエグさがある。肛門の形状次第だな」

 

「漢字ってめっちゃ多いじゃん。

 根本的に、ネイバーなおれ達じゃすぐ全部覚えきれないじゃん?

 じゃあ知り合いの漢字で考えてみるのとか良さそうだよね。

 チカの『千佳』とかケツへの殺意に満ち溢れてるし。

 しおりちゃんの『宇佐美栞』もこなみ先輩の『小南桐絵』も全部ケツに悪そうだ」

 

玄界(ミデン)はアナトクラトルにとって絶対的な天敵だな……」

 

「やめよう! 出水先輩の名前が明日から

 『出水公平ってボーダーで一番尻に悪そうな名前』

 とかそういう風に見えちゃうから! ぼくは吹き出さない自信が無い!」

 

「チカの名字ってボーダーで一番ケツに優しそうだな、雨取で」

 

「……それは、言われてみると確かに……」

 

 その時。

 玉狛支部の扉が開き、予定外の来訪者が現れる。

 

「あ、珍しい。修くん達三人だけなんだ?」

 

「あ、ああ、ち、千佳。どうした急に」

 

「忘れ物しちゃって。どうしたの修くん、なんだか慌ててるみたいだけど」

 

「べ、別にそんなことはないって!」

 

 修が目を逸らす。

 遊真が目を逸らす。

 ヒュースが目を逸らす。

 

 今、雨取千佳の綺麗な瞳を直視できる者は、この場に一人もいなかった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。