お正月企画三題噺シリーズ・アドヴァンスドサード   作:ルシエド

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お題は「ボンドルド」「featワイルドアームズのディーンハイム一家」「ゾンビランドサガ」

 シンフォギアで敵をやってる長生きジジイとババアの話。
 ガリィちゃんは舌が回る


ある物語の後日談、シンフォギアの長命者の考察投稿

 ディーンハイム一家のガリィはアニメを見て、原作を買って、日々ゴロゴロしながら毎日を過ごしていた。

 キャロルのお叱りが飛ぶ。

 食費がかからないガリィだが、アニメや漫画を買いまくることは結構な金銭問題だった。

 

「おい、働けガリィ」

 

「えー、いいじゃないですかぁこのくらい」

 

「世界が平和になってからというもの、お前はジュードをからかうか遊ぶかばかり……

 いいかげん働くか何かしたらどうだ。

 ジュードなんてゼファーと組んで本業他に、他世界の装者を助けに行ったりしてるんだぞ」

 

「パン屋とマジシャンのついでに世界救ってる奴らなんて知ーりませんよぉ。

 あ、これ最近ハマってる奴ですマスター。

 メイドインアビスとゾンビランドサガってやつでしてぇ。

 もう、マッドサイエンティストが見てて楽しいですし?

 その辺の何の罪も無いやつを突然ゾンビにした反応を見てみたいんですよねー」

 

「まったく」

 

「あ、そうだ。

 ジェネレーションギャップってやつあるじゃないですか。

 私達が大昔と現代の間で何度か感じたアレです。

 ゾンビランドサガはその辺扱ってて面白いっていうか、どこどなーく共感できますよ」

 

「ほう」

 

 興味を持った風なキャロルが、ガリィの入っていたコタツに入った。

 

「長生き組はジェネレーションギャップ中々大変そうですよねえ」

 

「まあ、そうだな。

 俺達錬金術師組。

 今はもういないがフィーネ。

 それにパヴァリア光明結社。

 長生きしてる人間は、旧世代の思い出や倫理を引きずっているとも言える。

 それは良くも悪くも現代人との常識との違いとして結実する。軋轢になるわけだな」

 

「ババアもジジイも大変ですねえ」

 

「おい、他の勢力の長生き勢の前でそういうことは言うなよ。

 たとえばだ、あのサンジェルマンという女。

 あの女の生きた時代は奴隷なんぞ当たり前な認識だった時代だ。

 地球の総人口もせいぜい6億人。

 つまり人がガンガン死ぬため、それ以上増えなかった時代。

 人の命がとても軽かった時代なんだな。今の時代では普遍の倫理だが、

 『人の命は何よりも重い』

 という倫理が生まれたのはいつ頃だ? 相当に最近だろう、この概念は」

 

「てーか、平和な先進国だけでしょそれ。

 そんな倫理が無い国なんていくらでもあるんじゃないですかぁ?

 地球全体がそういう倫理と道徳で包まれるには、もうちょっとかかりますよ」

 

「だろうな。バラルの呪詛がある世界というのは、そういうものだ」

 

「『人間を一人でも殺したら悪』の現代人。

 『数百人の犠牲で世界平和とかなんて素晴らしいんだ』の中世人。

 この辺の許容できる犠牲の数って相当に違いそうですねえ。

 サンジェルマンとかを基本善人だって言ってたんでしたっけ、ジュード」

 

「ああ。一番良く分からんのはカストディアンとアダムが一緒にパン屋やってるあそこだが」

 

「あそこは魔界ですよ」

 

「あそこが一番ジェネレーションギャップあるはずなんだがな……」

 

 キャロルがこたつでみかんを食べ、お茶をすする。

 

「この世界にはもうバラルの呪詛が無い。ここからだ」

 

「ですねえ。あ、そういえば。

 ゾンビランドサガ見てて思ったんですけどね?

 ああいうゾンビ式の不死者って見ないなあって」

 

「フィーネは転生式。

 オレの保有技術は躯体交換式。

 パヴァリアは完全な肉体の実現、だったか。

 錬金術の観点から見ると死体は『あまりにも完全から遠い』からな」

 

「ふむふむ」

 

「生命として完成するには生者である方が良い。

 ついでに言えば女性体である方が良い。

 より完成された肉体は、より大きな力を出す。

 自らの存在をより上位のものへと置換する。

 オレは一定以上長生きできればそれでよかったが……

 パヴァリアは"自分を高める"という目的があったようだからな」

 

「私とんだド変態性癖野郎どもですねとか言っちゃいましたよ」

 

「お前は……お前は、本当にな!」

 

「寿限無寿限無性器の擦り切れパイ砂利パイ魚のパイ行末チン来末風来末パイ出るところに無いところやぶらこうじのぶらこうじチンポチンポチンポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのチンポコピーのマンポコナーの長久命の長助、とかガリィちゃん反射的に罵倒してしまいましたぁ」

 

「罵倒されてた方が罵倒されてることを理解できないレベルの舌回しはやめろ!」

 

 キャロルが茶飲みをコタツに叩きつけた。

 

「ともかく。

 産むことができる、という女性体は錬金術においてより優れた肉体と定義される。

 生きているということは大前提だ。

 錬金術師であればゾンビではなく、生きた何かを産める女性体となっていくものなんだ」

 

「ですよねえ、子供産めるのは大事大事」

 

「おい、なんでオレを見て言う?」

 

「べっつにー? ガリィちゃん何のことかわっかんなーい」

 

 キャロルはコタツに入ったまま、ネットで検索してガリィがハマっている作品の概要を大まかに掴んでいた。

 

「ただ、共通点はある。

 お前が見ているその作品の……ええと。

 メイドインアビスのマッドサイエンティスト。

 ゾンビランドサガのゾンビ。

 そしてオレ達のような人種が使う技術。それは自己の連続性を保っているというものだ」

 

「ですねえ、ボンドルド卿やゾンビィはそんな感じです」

 

「不死、蘇生、復活とは、つまりはそういうことだ。

 今ここにいる自分をどこまでも継続していたい。

 まだ終わりたくない。

 死という終焉が怖い。

 定命では果たせない悲願を達成したい。

 自己を喪失しかねない領域を、喪失しないまま踏破したい。

 既に終わってしまっている何かを、今ここに繋いで連続させたい」

 

「人間は大変そうですねぇ、あれやこれやと心配することがあって」

 

「オレはここにいる。

 だがオレの細胞から作ったクローンはオレではない。

 当時に、ジュードと俺のクローンが会っても、それは再会とはならない。

 自己の連続性とはそういうものだ。

 人間はその歴史の中で、この概念だけは捨てられなかった。残念なことにな」

 

 キャロルが茶を飲み干す。

 

「自分が死ぬ。

 原子レベルで一つの違いもない複製品の自分が、自分の代わりに生きる。

 自分の複製品が自分の代わりに社会を生きる。

 これを、人間は自分が不老不死になることなのだと思うことができなかった」

 

「そりゃそうでしょうよ、ガリィちゃんそれで不死名乗ってる人いたら笑っちゃう」

 

「この観念を捨てられないのが人間の限界。

 同時に、人間を人間たらしめるものなんだろう。

 死んだ人を蘇らせるとなっても……

 その人の細胞から作ったクローンでは納得せず、本人のゾンビの方が良いと思うんじゃないか」

 

「自己の連続性ねぇ」

 

 ガリィはキャロルが剥いていたみかんを横からかっぱらう。

 キャロルはイラッとした。

 

「ちょっとこのみかん手土産にパヴァリア光明結社煽ろっかな?

 『男の意識の連続性保ちながら女体でする自慰は楽しいか?』って!

 ガリィちゃん天才! さあ待ってなさいよオナニーディちゃん!」

 

「お前本当やめろ! プレラーティに殺されるぞ!」

 

 ガリィが全力疾走し、キャロルがその後を追った。

 

 

 

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