お正月企画三題噺シリーズ・アドヴァンスドサード 作:ルシエド
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』のステマ……?
なんのことでしょう。
言っていることがまるでわからないな……
ガラスの仮面の主人公、北島マヤは焦っていた。
「いつまでも『紅天女』が演じられない……」
そう。
紅天女が演じられないのである!
ガラスの仮面の連載が始まった1976年頃からの、最初期からの目標である『最高の演劇・紅天女を演じる』こと……それが、達成できないのである!
49巻が2012年に出てから、続巻が出ていないのである!
「どうしたらいいの……」
「そこに言及するとはね……マヤ! 恐ろしい子!」
「その声は……亜弓さん!
その目は! ガラスの仮面特有の、なんか黒目が消えて真っ白な目で驚いてるやつ!」
「ほうっておきなさい」
主人公マヤの前に現れたるは、ライバルの姫川亜弓。
マヤの味方をする誰よりも、マヤを理解する女。
恵まれぬ天才がマヤなら、恵まれた相対的非才の努力型が亜弓であると言えよう。
「作者が轢き逃げアタックを食らって今リハビリの最中だと考えるの。
それなら何十年でも耐えられる。
いいえ、むしろ、作者の方を応援しようという気持ちが湧いてくる……!」
「亜弓さんっていつも気の持ちようで余計なくらいに自分を追い込んでますよね」
「マヤ!」
ガラスの仮面の月影先生の声優さん・藤田淑子が2018年12月28日に亡くなられ、ファンが皆喪に服し冥福を祈っている今、マヤを止められるものはどこにもいなかった!
「紅天女より『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の再演の方が早そうですよね!」
「ええっ、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の舞台演劇の再演ですって!?」
「そうですよ、大好評だったので再演するんですよ!」
「『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』……
聞いたことがあるわ。
ミュージカルを原作としたアニメ……
イマイチ最近は集客が見込めないミュージカルをアニメにし、成功したという……
まずミュージカルのキャストを決定し、その人達をアニメ声優に抜擢……
アニメとミュージカルの二層構造、二媒体で作品で展開……
ミュージカルらしい独特のアニメを作りながらも……
アニメ声優で舞台演劇をやるわけではないために、舞台の質も保った恐ろしい子……!」
「そうです! ミュージカル初公演で大人気!
翌年リバイバル公演! そして更に人気だったので、アンコールのアンコール!
2019年7月12日からの公演が決まったそうなんですよ。これは見逃せませんね亜弓さん!」
「ええ、女優として負けてられないわ」
「露崎まひる役の岩田陽葵さんは叔父と叔母がプロの声優という声優の血脈らしいですよ!」
「ふふっ、親世代に芸能の人間がいるとやはり違うのね。
似た遺伝子の先人。
どうしても比べられる出来栄え。
その血の運命、その芸能に魂まで浸かる遺伝子というのは、どこにもあるわけね……」
「なんと第一幕はBDで2018年6月にも発売! 第二幕も2019年2月にBDで発売ですよ!」
「なんて素敵なことなの。紅天女を演じるまで暇だし買ってきましょうか」
「近年他の娯楽に人を取られがちな舞台演劇。
ガラスの仮面連載中に随分人気が落ちてしまった舞台演劇。
そこに舞台演劇のアニメ化と平行化という道を見出してくれたこの、
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』
のミュージカルは来年の公演も見に行ってもらいたいものですよね!」
「ええ。最初から舞台俳優を用意してあるんだもの。
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の舞台の出来が悪くなるはずもないわ。
舞台の世界に多くの人を引き込めるし……
仕事がない舞台女優に、副業として声優の仕事をあげることもでできるのは良いことだわ」
「アニメに興味がない舞台好きの人をアニメに。
舞台に興味がないアニメ好きの人を舞台に。
それぞれ引き込んで活性化させてるんですね、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は!」
「そうよ、期待値を高め過ぎなければ十分楽しめるはずよ。
『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は。
舞台演劇に興味がある人は漫画『アクタージュ』を読んでから見てもいいんじゃないかしら!」
「ガラスの仮面は巻数が多すぎて舞台に興味がある人に勧められませんからね」
「やめなさい、マヤ」
「舞台らしいアニメも。
アニメらしい舞台も。
どちらも楽しめる『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は誰にも勧められていいですね」
少女二人の会話の合間に、颯爽と現れる顔がいい男。
「ちょっと失礼するよ」
「あなたは……真澄さん!
少女漫画特有の面倒臭いポジションにいる中々くっつかない優良物件のイケメン!」
「やあ」
「真澄さん、私の最新刊での恋のライバルポジの紫織さんいるじゃないですか」
「いるね」
「主人公の私とくっつくのか、紫織さんとくっつくのか……
って不安がられてるのが、イケメン相手役のあなたじゃないですか」
「そうだね」
「2017年の『週刊女性』でのガラスの仮面・作者美内すずえさんのインタビューなんですけど。
『紫織が読者にもアシスタントに嫌われすぎている』
『アシスタントが"嫌いだから"と紫織にスクリーントーンすら貼ってくれない』
って作者さんが言ってたんですけど……
これってもしかして……ガラスの仮面の続きが出ない理由って……」
「それ以上いけない」
「真澄さん、マヤさん、余計なことはそろそろ語るのも辞めにしましょう。行きますわよ」
「ゆこう」
「ゆこう」
そういうことになった。