お正月企画三題噺シリーズ・アドヴァンスドサード   作:ルシエド

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お題は「竜胆の花言葉」「かぐや様は告らせたい」「インフィニティ・シリンダー」

そうか……わかったぞ……ゲッター線とは……ラブコメとは……!

ラブコメに鬱展開って要る? 要るって答えた? じゃあ君、次のスパロボのラスボスね


宇宙の揉め事が粗方片付いた後でラブコメの神になったアストラナガン

 アストラナガン。

 それは、スパロボ系列の作品に登場する、男の子が好きな最強チートをこれでもかと詰め込んだオリジナルの機体である。

 

 スパロボという色んなロボ作品の設定がごちゃごちゃァ! と混ざってる作品における禁じ手スレスレの強手、色んな作品の技術を混ぜ込んで作ったという最強機体。

 平行世界移動!

 時間操作!

 ブラックホール、念動力、因果律がうんたら!

 強い。

 これでもかと強い要素が詰め込まれている。

 強すぎてシナリオの中でもうほぼ動かせないというレベルの存在だった。

 

 それはそれとして。

 アストラナガンは脇に置いておいて。

 

 

 

 

 

 私立秀知院学園!

 かつて貴族や氏族を教育する機関として創立された、由緒正しい名門校である!

 貴族制が廃止された今でなお、富豪名家に生まれ、将来国を背負うであろう人材が多く就学している。

 そんな彼らを率い、纏め上げる者が、凡人であるなど許される筈もない!

 

 秀才にして天才!

 秀知院学園生徒会、生徒会長・白銀御行!

 天才にして富豪令嬢!

 秀知院学園生徒会、副会長・四宮かぐや!

 

 これはとても頭の良い彼らによる、「相手のこと好きなんだけど、相手が自分のこと好きなのは分かってるから、自分に告白させよう」という天才たちの恋愛頭脳戦!

 頭の良いバカ達の駆け引き!

 言うなれば、スーパーコンピューターを頭に積んだチンパンジーのラブコメ!

 彼らはスーパーコンピューターで計算し尽くした行動を取るのではなく、スーパーコンピューターで殴ることで恋愛を進展させんとする!

 

 そう、彼らは頭のいいチンパンジー!

 恋愛となれば猿!

 勉強となれば最高レベルの文明人!

 書紀の藤原のことを時々チンパンジーを見るような目で見ている生徒会の者達であるが、恋愛時は所詮同レベルのチンパンジー!

 

 だが仕方ない。

 彼らは高校生。

 ちょっとしたことで恋人になってしまうような軽い男、軽い女には見られたくない。

 それは当たり前のことなのだ。

 三分で彼女になるようなインスタントマンコヤリマンビッチに見られたいか?

 セックスと異世界のファンタジーを同じ目で見ているモンスター童貞に見られたいか?

 否!

 否!

 余裕ぶった感じに相手から告白させ、それで付き合いたい!

 

 この世界は、そんなバカ達のほんわかふんわりした頭を最大限に使う頭脳戦の物語だ!

 

 だからこそ!

 

「幻滅しました、会長」

 

「ふん、こちらこそ幻滅したぞ。二度とその顔を見せるな」

 

 気楽に見ていられるラブコメ世界が破綻した、その時!

 好き合っていた男女が、未だに心の中で好き合いながらも、些細なすれ違いで修復不可能なほどにまで関係が崩壊した、その時!

 優しくも甘酸っぱい時間が終わりを告げた、その時!

 

「はい、巻き戻し」

 

 発生する十個の中性子星!

 中性子星が白銀達の宇宙の周りを回転し―――宇宙の時間が巻き戻り始めた!

 そして僅かに時間が巻き戻された宇宙が、別の流れをやり直し始める!

 起動せよインフィニティ・シリンダー!

 其は時間を巻き戻すスーパーロボットの力なり!

 

 そう!

 彼はアストラナガン!

 因果律の番人!

 ラブコメの守護者!

 『いやーこの展開ないわー』となった時に時を巻き戻す者!

 

 確率論的には起こることがありえないような奇跡的なめぐり合わせで、ほとんど不快にならない見ていて楽しいだけのラブコメの世界とは全て、アストラナガンによって作られている!

 

 ToLOVEるは必ずスカートの中に入り!

 ニセコイは中々決着がつかずぬるま湯のような時間が続き!

 寄宿学校のジュリエットは面倒臭い設定が致命的なところまで行かず!

 堀さんと宮村くんは致命的な事態を回避し!

 古見さんはコミュ障ですは優しい世界が継続され!

 からかい上手の高木さんは決定的な関係変更線を越えず!

 ギリギリアウトは毎回必ずヒロインが放尿する!

 うる星やつらは『告白しない』という意志を貫いてもいい世界が約束される!

 

 全てはアストラナガンのおかげ! ありがとうアストラナガン!

 

「四宮、貰い物の花束だけど、これやるよ」

 

「まあ。ありがとうございます、会長」

 

(さあどう出る四宮……この俺の一手、最後の一手まで読み切れるか……?)

 

(ふふ、会長ったら私を好きにもほどがあるわ……

 花なんて送っちゃって……でもきっとこの裏の真意は……

 わー、わー、会長に花貰っちゃった、花貰っちゃった、頬に手を触れないと)

 

 だが再び窮地!

 このままでは上手く行き過ぎて、白銀とかぐや様のカップリングが成立してしまう!

 アストラナガンの干渉の結果のカップリングが成立してしまう!

 それでは駄目だ!

 カップル成立は極めて自然でなければならない!

 ここだ! と、名演出家アストラナガンの手腕が光った!

 

 起動せよアキシオン・キャノン!

 暗黒物質・ダークマターの構成材質・アキシオンが宇宙に撃ち込まれる!

 生成される巨大宇宙重力異常(グレート・アトラクター)ッ!

 ブラックホールをも超える宇宙規模の極大重力滑落点が宇宙に大いなる影響を与えるッ!

 

 それこそがバタフライエフェクトを生み!

 藤原書紀と石上会計を生徒会室に呼び込んだ!

 アホの襲来、ラブコメの終焉、コメディの開始である!

 

「あ、お花だ!」

 

「生徒会室に花ってなにやってんですかまた……ん? あれ、それ竜胆ですね」

 

「竜胆?」

 

「花言葉は正義、誠実、悲しんでいるあなたを愛する……だったかな」

 

「―――!?」

 

 ここでアストラナガン演出師の誤算!

 石上は花言葉に詳しい!

 時間を巻き戻すか、アストラナガン演出、迷う!

 

「は? あ、いや……」

 

「え、いや、その」

 

 一瞬、ほんの一瞬のみ、白銀とかぐやのポーカーフェイスが誰にも見えない角度で崩れた。

 照れた白銀とかぐやがなにやら誤魔化し始めたので、時間を巻き戻すのはやめた。

 

 アストラナガンは因果律の番人。

 今日も今日とて、ラブコメの因果律を守護していく。

 世界のどこかでラブコメのあるべき因果が崩壊した時……その時こそ、宇宙を崩壊させ、ラブコメの因果を崩壊させる、アストラナガンが倒すべき邪悪が現れた時!

 

「本日の勝敗、白銀&かぐやの敗北……っと」

 

 この二人のラブコメのワンエピソードが終わった時、一言感想を付ける。

 

 それが最近のアストラナガンのライフワークであった。

 

 

 

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