ロイド・ミュージック症候群   作:羽倉

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そろそろ初めての作品を投稿した日から1年が経とうとしていますので、新作を書いてみました。
少しでも楽しんで読んでくれると嬉しいです!


プロローグ:日常の終わり

「やっぱボーカロイドの歌う曲は最高だよなぁ〜。お前も聞こうぜ!ほらイヤホン片方貸してやるよ。」

 

「いやいや、俺はいいよ。それに最高はアイドルが歌う曲でしょ!」

 

俺の名前は新音(あらと) 夜空(よぞら)ボカロの曲が好きな高校生だ。そして今友達にどれだけボカロが素晴らしいかを力説しているところだが、コイツと来たらアイドル、アイドルと全くボカロの良さを理解しない。

 

「全くお前は一体アイドルのどこが良いんだ?あんなの偶像の集まりじゃないか。その点ボカロは作り手さんが作る曲によって様々なジャンルの曲が存在する。きっとお前が好きになる曲もあるぜ!」

 

キ〜ン〜コ〜ン〜カ〜ン〜コ〜ン

 

「お前ら席につけー。授業を始めるぞ〜。」

 

「やべ、先生来ちまった。また後でな。」

 

教室に数学の教師が入って来たので慌ててイヤホンと携帯をしまって自分の席に戻り、教科書を出す。

 

「最初は前回の復習問題だ。今日は2日だから、出席番号2番の人は、、、新音かこの問題前に出て解いてみろ。」

 

黒板の前に立ち白いチョークを手に取る

 

( ついてないな〜。1番最初に当てられるなんて、、、あれ?問題の解き方を覚えてるぞ、いつもならこんな簡単に解けないのに。)

 

「新音お前なんか調子いいな!全く迷わずにスラスラ解いてるし、パッと見たところ間違いが無い。」

 

「なんか解き方覚えてて、この分野得意かもしれないです。」

 

この日からなぜか授業の問題が簡単にわかるようになった。しかもそれだけじゃない。体育の授業でも息切れがしなくなり、いつもより動きが良くなったと周りから驚かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

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(???サイド)

 

月明かりが差し込む廃墟の中で人が二人密会しているのだろうか。片方はツインテールのメガネをかけた少女、もう片方は薄暗い為男か女かの区別はつかない。

 

「君の能力は今まで君をいじめていた奴らに復讐する事が出来るよ。使い方はわかるよね?」

 

 少女は自信が無いよう態度で、下を向きながら恐る恐る言った。

 

「でも…そんなことしてバレたら……」

 

 男か女かわからない声だが、聴いた人を落ち着かせるような静かなトーンで喋り始めた

 

「何、心配は要らないよ。君の能力なら他人に気付かれずに復讐を実行する事が出来る。それに君は悔しく無いのかい?いじめを行った奴らは何も感じず平和に生きて、いじめを受けた君の事はいつか忘れるさ。そんなのは世の中は不公平だろう!だから君が壊すんだ!それに君はやられたからにはやり返す権利がある。もし何か不安な事があったらいつでも私に相談しなよ、私はいつでも君の味方だよ。」

 

「そう………ですよね。やられたんだからやり返さないと。最後に1つ聞いてもいいですか?」

 

「1つと言わずいくらでも聞いていいよ。名前は教えられないけどね。」

 

 能力者同士が戦うときにはなるべく自分の情報を隠した方が有利となる。それは、情報を知られる事によって自分の周りの人間に被害が出たりと、自分の日常が破壊されるからだ。

 

「それはわかってます、他の能力者に名前が漏れると危ないですからね。なんで私みたいな出来損ないに味方してくれるんですか?」

 

 少女は今までいじめを受けていた。その為、自分なんか価値はない存在になぜこんなにも良くしてくれるのか不思議だった。

 

「それはね、私は魂の証明がしたいんだ。そして君は私に心の強さを見せてくれた、だからたとえどんな事になろうとも最後まで君を見守り続けるよ。」

 

「答えてくれてありがとうございます!私の復讐を最後まで見ていてくださいね!」

 

 いじめを受けていた不安そうな少女はもう居ない。そこに居たのは復讐を誓った明るい雰囲気の少女だ。

 

「もちろん!もうこんなに遅い時間だ、家に帰るといい。」

 

「はい、さようなら〈先生〉!」

 

頭を下げている少女は気づかない、相談していた相手の口角が僅かにつり上がったことを…

 

「先生はよしてよ、そんな柄じゃ無い。もう暗いから気をつけて帰りなよ。」

 

5分後そこには人がいた形跡は1つもなかった……

 

 

 

 

 

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 その日から数週間後、僕は学校での評価を全て塗り替えた。成績は中の下だったのが成績優秀に、体育ではいても居なくても変わらないポジションからコイツが居れば勝てるようなポジションへと変わっていた。先生からの評価もうなぎ登りで、その活躍ぶりは今まで手を抜いていたのでは無いかと噂されるほどだった。

 

だが僕の生活はこの日を境に平和な日常から逸脱し始める。そしてそれの前兆はきっとあって、それから目をそらし続けたツケが一気に来たのだろう…………

 

 

 

 

朝起きると一番に感じたのは首の痛みだった。

 

 「首が痛くて回らない。寝違えたかな?」

 

 首を動かさないように注意しながら朝食を食べ、制服を着る。ふと時計を見るとそろそろ家を出ないと学校に遅刻してしまいそうな時間だった。

 

 「やべ、行ってきまーす!」

 

 慌ててカバンを片手に引っ掛け家を出る。一歩足を踏み出した瞬間僕は頭からチクッっとした、針で刺すような痛みを感じた。

 

(首の次は頭痛かよ。それにしてもなんだこの感覚?当たり前のはずのいつもの景色がまるで普通じゃないみたいな、違和感?でもなんかそんな感じじゃ無くてもっと別の、わかってるはずの事が思い出せないような不気味な感じだ。当たり前が当たり前じゃない?いつもの風景を絵が下手な奴が描き直して、それを見ている………って、こんな事考えてる時間ないんだった!やっべ、遅刻する!)

 

ズキズキと刺すような頭痛を無視して駅の改札を通り抜けると少し痛みが引いた。

 

「駅は正常みたいだな、それにしてもさっきの不快感?は一体なんだったんだ?」

 

その不快感は学校では全く無く学校が終わるまで忘れていた。

 

「夜空、帰ろうぜ!」

 

「おう、駅までな。今日は寄り道しないぜ。」

 

アイドルオタクの友人に誘われて一緒に帰る事になった。

 

「なぁ、今日なんか違和感とか不快感感じなかったか?」

 

「違和感や不快感?特にそんなの感じて無かったけど、どっか具合悪いのか?」

 

「ああ、そうかもしれないわ。学校じゃ特に感じ無かったんだがまた感じ始めてる。」

 

ーズキリー

 

ひときわ強い頭痛が僕を襲った。

 

( どこだこの吐き気を覚えるような不快感の原因は。帰宅途中の生徒。違うこれじゃ無い!道路に止まっている車。これでも無い!なんなんだこの感じは!)

 

「おい!大丈夫か!さっきから辺りを見回して、気分でも悪いのか?」

 

友人に体を揺すられて意識が思考から現実に戻ってくる。

 

その時に目に入った光景が余りにも衝撃的過ぎて自分の頭を疑った。アスファルトは所々真っ赤に染まり、骨が散らばっている。しかも人より大きな異形の怪物が僕らくらいの歳の少女を襲っている最中だった。

 

「なぁ、あれ見えるか?女の子が襲われてる!」

 

自分の見たものがあまりにも衝撃的で隣にいた友人に確認する。しかし返って来た言葉は僕を更なる混乱に陥れた。

 

「見えるけど。怪物が人を襲うのは当たり前だろ。そんな常識みたいな事を聞くなんて熱でもあるのか?」

 

まるで少女が襲われている事なんてなんとも思っていないかのように自然体で体調の心配をする。

 

(なんだこの意味不明な状況は?こいつはこんな時にふざけるようなやつじゃ無いし、声のトーンもふざけていない真面目なものだ。だけど怪物に襲われてる少女の事は見えている。周りにいる他の通行人たちも全く気にしていない、まるで別の常識の世界に飛ばされたみたいだ。)

 

そんな事を考えているうちに少女は壁際に追い込まれていた。

 

(考える事はとりあえず後だ!早く助けなきゃ!)

 

「カバンよろしく!うおおおおお!!」

 

「え、あ、ちょっ、待てよ!」

 

荷物を友人に預け、制止の声を振り切り、恐怖におののいた自分を鼓舞するために叫びながら怪物めがけて走り出した。

 

「くらいやがれ!」

 

助走のついたパンチを力一杯怪物の背中に叩き込む。すると怪物は少し痛そうな呻き声をあげ、ターゲットを僕に移した。

 

「君!今のうちに逃げて!」

 

そう叫んだ僕は怪物を少しでも引き離すために脇目も振らずに走る。嫌な予感がして後ろを振り返ると怪物が後ろに迫って発達した拳を振り上げていた。

 

「やべっ!ガハッ!」

 

かろうじて腕でガードする事が出来たが、蹴られたボールのように吹っ飛び、電柱にぶつかって止まる。

 

「あんな重そうな体してんのにっ、素早いとかっ、マジで怪物だな。」

 

目の前には大きな口を開けた怪物の顔が近ずいていた。

 

「はは、ここまでか。あの子は逃げられたかな。」

 

真っ赤な花弁が無残に散らばった…

 

 

 

 

 

 

 

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