ファミレスを出て、通っている高校の最寄駅まで来ていた。どうやらこの付近にあの怪物達を生み出しているヤツが潜伏しているらしく、組織のメンバーで捜索している最中だったらしい。
「会長〜!こっちですよー!」
「君が
差し出された手を握り返しながら。
「よろしく会長と感連さん。仮のメンバーとして入る事になったのは聞いてるのかな?」
会長は愛夜にちらりと視線を向けながら。
「ええ、聞いてますよ。いきなりよく分からない組織に入らされそうになってるんですから、当然の対応ですよ。」
秘書の感連さんが会長を守るように一歩前に出る。
「神咲様、私は彼が組織に入る事には反対です。スパイの可能性も考えられるのに、初対面の人物をを組織に入れるなど危険過ぎます。それに、愛夜様と会ってからまだ1日もたっていないでは無いですか。」
感連さんからの根拠のない疑いの目に少し不快感を覚える。いくら初対面だからってそこまで言われる筋合いは無いだろう。
「感連君、それは夜空君が僕たちを裏切ったり傷つける未来を見てきた、そういう事かい?」
「いえ…そういうことでは…」
「裏切らないのであれば、組織に入る資格は十分にあるでしょう。それに根拠のない否定は他人を傷つけますよ。」
「はい…わかりました…」
「済まないね夜空君、彼女も悪気があってこんな事を言っているわけでは無いんだ。ただちょっと心配症でね、僕のかわりにそういう事に気をつけてくれるんだ。許してほしい。感連君、僕に代わって組織のルールを夜空君に教えてくれるかい。」
「そんなに気にしてないんで大丈夫ですよ。」
渋々と、といった感じで僕に説明を始める。まぁ、知らない奴がいきなり組織のメンバーに仮とはいえ入るんだ。多少警戒されるのはしょうがないか。
「はぁ、神咲様がそう仰るのなら。この組織には、いくつかルールがあります。緊急時を除いてこのルールに逆らった場合は、組織を抜けてもらいます。違反の程度によっては敵対する可能性もあります。」
違反者は即脱退か、なかなかに厳しい罰だな。しかも敵対する可能性もあるのか、仮とはいえ入るからには気をつけよう。
「①組織内の情報を外部の人間に漏らさない。
②自分の持っている能力を悪用しない。
③仲間を裏切らない。
④
この4つのルールが守れないようなら今すぐ組織に入るのを辞退してください。」
「いや、大丈夫だ。それぐらいのルールは守れる。能力の悪用も考えてなかったしな。」
これぐらいのルールなら大丈夫だろう。どっちかってゆうと縛り付けるわけでなく、敵から組織を守るためのルールみたいだしな。
「肯定してくれて良かったよ。これで君は仮だけど組織の一員だ。あぁ、後僕は神咲財閥の御曹司でね、組織のメンバーとして働いてもらうとペーパーカンパニーのバイトとしてのお給料が出るので交通費などは心配しないでください。」
ペーパーカンパニー?なんか凄い組織だな…
「ところで能力者を見つけ出すって言っても、一体どうやって探すんだ?この街の住人全員を見て回るなんて不可能だろ?」
「それなら心配いらないさ。怪物を生み出している能力者の近くには、怪物が多くいるはずだ。だから怪物を倒し続ければいずれたどり着くんだ。だから君には怪物を倒して欲しい。歌の名前が分からなくとも怪物を倒せる程度の力は持っているんだろう。」
それに、と会長は続ける
「夜空君は新人だから、愛夜君とペアを組んで一緒に動いて貰おうと思うんだ。愛夜君が前回怪物に敗北してしまったのは、情報収集の為に動いていたからなんだ。愛夜君はロイド・ミュージック症候群の最終段階である第四段階、『ライベン』まで到達している。純粋な戦闘力だけ見るなら、今の夜空君よりかは遥かに強いとはずだよ。」
愛夜が会長に向かって敬礼をする。顔はキリッと締まっているが、どう見てもふざけているようにしか見えない。
「了解です!
張り切った愛夜は僕の手を引いて走り出す。その時、会長がサッと名刺を手渡してきた。
「愛夜君の能力だとスマートフォンがよく壊れてしまうからね。そうなってしまった時、夜空君から連絡して欲しい。」
そう言って会長は僕たちが見えなくなるまで手を振っていた。