眠気を殴り飛ばし、疲れてきた腕に全力で鞭打って、書こうとしております。
大体、課題もやらずに小説を書いている時点で不真面目な生徒というのは火を見るより明らか。
授業中に爆睡する予定なので、多分大丈夫です。
「あれ、分身体とのリンクが外れたぞ?」
意識が朦朧としている中、そんな可愛らしい声が聞こえる。
ああ、なんとか死なずに済んだのか?
そんな疑問が浮かぶ前に、目を開けた先には、まるで生まれた時からそうだったかのように、綺麗に染められた水色の髪で、毛皮を身体に纏った中性的な子が俺の身体を凝視していた。
うん。なんだろうね、この高揚感。
なまじ容姿が優れているだけに、意味がわからないこの状況でも、この状況を楽しめてる。
「んー、大賢者でも分からないか?」
おっと、そんなことを楽しんでる状況でもなさそうだ。
大賢者とか、よくわからないことを言ってはいるが、こうやって向かい合ってる以上、赤の他人でも挨拶ぐらいはするだろう。
とりあえず、こんにちは、とでも言っておけば良いのかな。
「こんにちは」
「えっ、ああ、どうも…ってえぇ?!」
目の前で突然大声で叫ばれて、ちょっとびくっとしてしまった俺だが、平然を装う。
こんな可愛い子相手に、情けないところは見せたくないからなっ。
と、そんなことはいいとして、何故この子は驚いたのだろうか。
挨拶をしただけ、だよな?
そこで、何故か目の前の子と目線が同じだということに気づく。
この子が大きいのか?てか、この時代に毛皮纏ってるってどゆこと?あれ、てかなんで意識失った後、立った状態で目が覚めたんだ?まず、ここどこだ?
一度おかしいことに気づいてから、どんどん疑問が溢れ出していく。
そして一番やばいことに気づいた。
…俺、服着てなくない?
「えぇ?!」
びくっと目の前の子が反応する。
目の前のやつが突然大声出したのだから当たり前だろう。
誰だってする。俺だってした。
が、そんなこと言ってる場合じゃないっ!
すぐさま手を我が聖剣に持っていく。
勿論お触りが目的ではなく、隠すことが目的だ。
やけに遅く感じる時間の中、やっと隠せた!と思ったのもつかの間。
スカッ、と。
そこに収まっていた聖剣は、いつのまにかどこにもなく、追加でいうなら、女性らしきものもない。
つまり、無性。
「えぇぇ?!?!」
あそこを抑えながら叫ぶ俺。
そんな俺を見ながら、ずっと何か考えてる様子の美少女。
謎のカオスがそこにはあった。
▼
あの後、俺の叫び声で駆けつけた、筋肉ムキムキで、肌が緑色なところを除けばナイスガイな人?が来て、それを目の前の子がとりあえず下がらせて、その子と二人っきりの状況に戻った。
存在しない聖剣を隠したままの俺と、毛皮を纏った美少女。
…気まずい。とても。
そんな空気を打ち破るかのように、この子は口を開いた。
「えっと、話せる、よな?」
「まあ、うん」
さっき叫んでたんだから、当たり前だろ、と思いながらも返す。
「俺の分身体、だよな?」
「え?分身体?クローンってことか?」
「「え?」」
分身体だよな?という質問に、思ったことをそのまま返す。
分身体って、中二病か何かだろうか。
まあ、この子ぐらいの身長なら、まだ中学生か、小学生だろうし、そういう超能力的なものに憧れるのもわかる。
かく言う俺も、中学1年生の頃、授業中にそういうことを想像して、一人ニヤニヤしてたものだ。
「クローンって、まさかお前、異世界人、いや、地球にいたやつか?」
数十秒時間を置いてから、また来た質問に俺は少し困惑する。
異世界人?地球に"いた"?
まるで今ここは地球じゃないかのような言い方だな。
中二病もここまで来ると、一種の才能なんじゃないだろうか。
そう思って、少し尊敬の眼差しでもう一度しっかり目の前の子を見ると、とても真面目で、俺以上に困惑している顔で俺を見ていた。
空気を読む能力が大して優れていない俺でもわかる。
これ、本気で言ってるやつだ。
ってことはここは地球じゃない?
いやいや。
目の前の子のアタマがパーリーピーポーしちゃってる、と考えた方が自然だろう。
でも、何故だろう。
地球じゃないと考えると、いろいろ説明がつく。
染めたようには思えないほど綺麗な水色の髪も、先程この場所に来た肌が緑色の人?も。
そして何より、あの怪我で生きているはずがない、と直感的にわかってしまうから。
異世界転生や異世界転移など。
最近の書籍ではそういうジャンルのものが流行りだし、俺も嗜む程度には見ていた。
だから、ここが地球ではない、という発想が生まれて来たのだろう。
落ち着いて考えたら、「いやそれはないだろ」と嘲笑いながら言っていたものだが、何かに背中からぶっ刺され、血を吐き、意識を失い、目が覚めたら目の前に美少女がいる。
そんなおかしな状況で、落ち着いているはずがなかった。
だから、まあ、つまり。
非常に遺憾ながら、この時の俺は異世界に転生、または転移などのことをした、というそれこそ中二病の妄想のような事を本気で考えてしまったのだ。
『解。目の前の生命体とリンクを繋げることに成功しました。元分身体で間違いないと推測します』
突然頭の中に響いた、ひどく淡々とした声。
どこかで聞いたことがある、確か、死ぬ寸前だったような…
「元分身体、つまり今は俺の分身体じゃないってことか?」
『解。あっているとも、間違っているとも言えます。何者かの魂が分身体に定着したことで、分身体でありながら、マスターの支配下ではなくなったようです』
その声と、目の前の子はそれが当たり前であるかのように会話を繰り広げていく。
なんだ、これ。
ここが異世界である、というバカみたいな仮説と同じぐらいバカみたいなことが、今行われていた。
「俺の元分身体さん。俺はリムル・テンペスト。まあ、いろいろ確認したいことはあるが、とりあえずお前は俺達と敵対する気はないよな?」
聞かれた質問と、会話していた内容を理解していく。
簡潔にすると、俺の今の身体は目の前の子の分身体で、そこに俺が憑依してきた。そこで、一応俺に敵対心があるか、確認してるって感じか。
この事から分かることは、少なくとも二つ。
一つ目は完全にここは地球ではない、ということ。
二つ目は目の前の子は、分身体を生み出すことができる能力を持っていて、尚且つ脳内に響くこの声も目の前の子の能力である可能性が高い、と同時に、それ以外にも能力がある可能性がある、ということ。
二つだけ、しかし、これからとる行動を決めるにはそれだけで十分だ。
俺は異世界に来たばかりで、地位も戸籍も、何もかもありはしない。
しかし、さっきの緑色の人?の反応を見る限り、この子はだいぶ身分が上の人のようだ。
そして、能力も持っている。
敵対するか、しないか。
そう聞いて来てはいるが、実質選択肢なんてあってないようなものである。
つまり
「ないです。逆らう気もないです。分身体に憑依したことに関しては謝ります。代わりに憑依できるものでもあるならすぐにでもします。
なんでもします。許してください」
そう、怒涛の媚び売りだ。
恥もクソもないです。
はい、情けない主人公です。
いやでも、どこかもわからなくて、目の前の人は自分より圧倒的に上で、その人の分身体を、何故か乗っ取ってしまったってなったら、多分ありえないほどプライド高くなければ全力の謝罪をするだろう、という予想です。
自分はあんまりこういうの好きじゃないので、今回限りの描写になるかもです。
それと、大賢者の声が主人公にも聞こえる理由ですが、分身体で使えるユニークスキルには制限があり、大賢者は、本体と分身体が、半径1kmの円の中にいない場合、意識のリンクが切れて、単純な命令をこなすだけになる、というのが書いてあって、意識のリンクってのは多分こういうことだろうなっていう推測です。
なぜリムルの分身体に憑依したかというと。
異形に憑依、で本来のリムル達がいる世界で、本来出現しなかったものに憑依する、つまり本来の世界にとって異常な者に憑依で。
リムルは転生者で、本来はおらず、その分身体は意識はないので、リムルに操られる人形のようなものの上、本来いないはずのリムルの分身体だから、本来いないっていう理屈。
謎理論+説明下手ですいません。
もしかしたら、リムルの分身体以外にも適したやつがいるかもしれないということを考えて、血液が不要な身体、というのを条件に追加しました。
結論謎理論。