ナギサ忍法帖〜求めるは平穏〜   作:檸檬ソーダ

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第十話 対やなぎカオル

「戦え…ですか?」

 

  父さんの一言は、僕を驚かせるのに十分だった。

 

「そうだ。お前は組手や忍術の修行ならばたくさんやってきた。が、実戦形式の訓練、忍術を組み合わせた戦闘などは経験していないはずだ。だから、今回オレが直接それを教えてやる」

 

  父さんの話を聞きながら、自然と気持ちが昂ぶるのを感じていた。ずっと目標としていた父親に、自身の成長をみてもらえると思ったからである。

 

(それに…)

 

  今までただ修行をつけてもらっていたわけではない。修行中、父さんの動きや術を見ながら、その対策を長年考え続けていたからだ。全ては偉大な父を越えるために。

 

「その勝負、受けて立ちます」

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

  木の葉の里の訓練場、そこに立つ二人の表情は、対照的ともいえた。

 

  一方は、まだ少年と言える立ち姿で、その顔は目の前の戦いを前に真剣なもので、その目は目の前の男をじっと見つめていた。

 

  もう一方の男、やなぎカオルの方はというと、立ち振る舞いからは余裕が感じられ、反面、付け入る隙が見当たらないほどに実力の高さが伺えた。

 

「ルールは、一つ直接命に危険のある技は使わないことだ。それ以外ならば何をしても構わん」

 

  ナギサは、その発言に少し恐怖を覚えた。やはり今から本気で戦うのだと。もともとナギサは前世であまり争いを好まなかったため、喧嘩などの経験はほとんどなかった。それは生まれ変わっても同じで、組手などの経験こそあるものの、全力の戦闘などやった試しがなかったからである。

 

  そんなナギサの心境を、察したかのようにカオルはこう言い放った。

 

「心配するな。オレからの攻撃は急所には当てんし、オマエからの攻撃もモロにもらうつもりはない。オマエはただ、全力で攻めればいい」

 

  カオルの言葉は、ナギサの闘争心に火をつけるものだった。

 

「随分と余裕なんですね」

 

「まあな。話は終わりだ。どこからでもかかってこい」

 

「吠え面かかせてやりますよ…!!」

 

  ナギサはそういい終わると同時に自身を中心に円を発動させた。限界の25メートルまでである。そして全身のチャクラを足に集中させ、蹴り込みとともに放出させる。

 

  蹴り込みを受けた地面はその衝撃によって大きくヒビ割れ、それはそのままナギサの初動の勢いを意味していた。

 

  ナギサはその勢いのままカオルに一気に肉薄し、一撃を加えようとその拳を振り上げる。

 

(なかなか速いな。だが直線的だ…!!)

 

 カオルはナギサの動きに攻撃を合わせようとする。 確かにナギサの動きは速かった。しかし、それと同時にそれに合わせられるカウンターは、回避が困難なものだった。

 

「普通ならな!!」

 

  だが、そのカウンターの回避を可能とするのが最初に展開した「円」なのである。ナギサはカオルのカウンターの初動からその動きを見切り、振り上げた拳を振り下ろすとともに、その掌から大量の水を噴射し、その勢いで空中の身動きが取れない状況からその軌道をさらに上に変えてみせた。

 

「なに!?」

 

  放出された水はそのまま目くらましとなり、カオルの視界は一瞬ゼロになる。ナギサはそのうちにナギサの頭上から後ろへ回り込む。

 

 ーー桜花掌!!

 

  チャクラの一点集中させた拳。威力を落としたといえどそれは必殺の一撃であり、戦闘を終わらせるには十分な攻撃だろう。

 

「くっ!!」

 

  しかしカオルもさすがというべきか、背後からの気配を感じとり、咄嗟に身を翻すことで腕でガードした。

 

  当然その腕にもチャクラが集中されていたが、桜花掌を完全には防ぎきれなかったようで、そのガードした腕は痺れている。

 

(まずいな、これでは印も結べん…)

 

  これ以上の近距離戦は不利と判断し、カオルは距離を置こうとするが。

 

「まだまだァ!!」

 

  突如カオルの腕が体ごとナギサに引き寄せられた。

 

「なんだと!?」

 

  先ほどの一撃を加えた時にナギサがつけたチャクラ布である。その性質は元となったチャクラ糸と同様で、術者の意思によって付着と伸縮が自在にできるのだ。

 

「これで!!」

 

  チャクラ布が縮むことで二人の距離はどんどん迫っていった。

 

「終わりだァ!!」

 

  再度叩き込まれる桜花掌。しかしその一撃はカオルによっていなされ、逆に隙を狙った蹴りの反撃をくらう。

 

  大きく吹き飛ばされるナギサ。そしてカオルはその内にクナイによってチャクラ布を断ち切ろうとするが、

 

(なかなかの硬度だ。ただのクナイじゃ無理か。)

 

  そう判断し痺れの取れてきた腕を使い印を結ぶ。

 

 ーー水遁・水断波!!

 

  カオルは口から放出されるウォーターカッターのような術でチャクラ布を断ち切った。

 

  そうしてる内にナギサはダメージから回復し、立ち上がっていた。

 

(やっぱ格上相手に体術での近接は無理か。なら…)

 

 ーー水遁・水乱破!!

 

  ナギサは口から瀑布のような水を吹き出しカオルを押し流そうとする。だがそんな見え透いた攻撃をもらうカオルではない。

 

  カオルは大きく横に飛ぶことでその攻撃を回避する。だが避けたはずの爆流から何かが向かってくるのを感じた。

 

「これは…!?」

 

  二体の水分身。先ほどの水遁から生み出されたそれらが、カオルに追撃をくわえようと迫る。

 

(この程度…!)

 

  水分身はオリジナルに比べてその能力は大幅におちる。たとえ二体いるとはいえ、カオルにかかれば一瞬の内に対処可能であった。

 

  しかしナギサの狙いはその瞬間を作り出すことにある。

 

 ーー水遁・水龍弾の術!!

 

  瞬く間にチャクラを練り上げ放たれた大量の水流は、龍を形どり、水分身の一体を殲滅したところのカオルに向かっていった。

 

(分身は陽動か!!)

 

  すぐに飛び退いてその場を離れようとするカオルだったが、体が水分身に引きつけられるようにして態勢を崩す。

 

「まさか!?」

 

  そう、水分身が組みあった時、すでにチャクラ布がつけられていたのである。

 

(薄く伸ばされていたために気がつかなかったのか!)

 

  空中で身動きが取れないカオルに巨大な水龍の顔が迫る。

 

(かわしきれないっ!!)

 

  瞬間、訓練場に大きな水しぶきが上がった。

 

 

 

 




初めての戦闘シーンです
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