ナギサ忍法帖〜求めるは平穏〜   作:檸檬ソーダ

13 / 19
第十二話 木の葉崩し

  原作開始からしばらく経った頃。待ちに待ったイベントがやってきた。

 

  中忍試験の開催である。

 

 

  一次試験、二次試験の内容をナルトに聞いたところ、自分の知っている原作と大きな差異はなかった。

  そのことに安心しつつも、試験の裏で行われているであろう木の葉崩しの事を考えると漠然とした不安に襲われる。

  父さんに相談しようとも考えたが、何故自分がそんな事を知っているのかうまく説明できる気がせず、断念した。

 

  とりあえずは自分の身と周りの安全を守るくらいしかできることはないだろう。

 

  そんな事を考えている内に、ついにその日、試験当日を迎えてしまった。

 

  父さんは警備の方で仕事があるらしく、僕は一人で試験会場へと向かった。

  木の葉崩しが行われるとはいえ、他人の全力の戦い、それも本戦まで残るような実力者達の戦闘を見逃すわけにはいかないからだ。原作のキャラを見たいって気持ちもあるけどね。みなみに入場料が思いのほか高く、数少ないお小遣いのほとんどを失う結果となった。

 

  悲しみに明け暮れながらも座席を確保すると、近くに見覚えのある姿を捉えた。日向ソーカである。

 

  近づくにつれ彼女もこちらに気づいたようだ。

 

「やっぱりナギサもきてたんだ!」

 

「そりゃあね。里の一大イベントだしさ」

 

  彼女は数少ない僕の友達であり、一応師匠としてやりとりしている。

  最近では無印忍術を様になってきて、日向流の柔拳と組み合わせてノーモーションで風遁をぶっぱしてくる極悪娘である。

 

「なんか失礼なこと考えてるでしょ?」

 

  何故ばれた。エスパーか。

 

「白眼はなんでも見通すんだよ」

 

「そんなわけない…よね?」

 

  白眼を開眼してからはその体術にも磨きがかかり、師匠としての立場も危うくなってきてる感はあった。

 

  そんな風に話していると、第一試合が始まるようだった。一試合目はナルト対ネジ。審判の合図とともに試合が始まった。

 

  試合はネジの圧倒的優勢で進んだが、ナルトの異常なほどの底力によって形成逆転し、最後には機転を効かせた一撃によってナルトの勝利に終わった。

 

(あれが回天か。水遁で再現できないかな)

 

  回転による絶対防御。少し工夫すれば攻撃にも転用できそうだ。

 

  その後の試合も概ね原作と同じように進んでいった。

 

  見所といえば、シカマルの影真似とサスケの千鳥だろうか。どちらも相手取るには厄介な能力と言える。

 

  そしてサスケ対我愛羅戦の途中、砂の殻に篭った我愛羅にサスケが千鳥を叩き込んだあたりで、観客席全体に幻術がかけられた。

 

 ーー幻術返し!!

 

  当然来ることがわかってたので対処もバッチリである。

 

  同時に里全体が急に騒がしくなり、ちらほらと戦闘が起こり始める。砂と音の忍対木の葉の忍の図である。

 

  とりあえず、隣で眠っているソーカを起こす。突然の事に混乱している彼女を尻目に僕は会場の外を目指す。

 

「ちょっとナギサ!どこいくの!?」

 

「 母さんがウチにいるんだ!!」

 

  そう言い残し、急いで家の方へ向かう。しかしいく途中で蛇の口寄せが目の前に現れた。三階建ての家以上ある巨大な蛇である。

 

 ーー桜花拳!!

 

  その土手っ腹に全力の拳を叩き込む。が、その巨大さゆえに大したダメージにはならなかったようだ。依然として暴れている上、今の一撃でこちらを敵とみなしたようで襲いかかってきた。

 

  突進による攻撃を大きく跳ぶことで回避し、敵への有効策を考える。

 

(物理的な攻撃は効果が薄いか。ならば遁術で…!)

 

  咄嗟に思いついた策を実行するために口寄せを行い、ファルコンを呼び出す。

 

「ぷぅ〜!!なんだあの蛇は〜!?」

 

「ファルコン!!お前が炎で俺が油だ!合わせろ!!」

 

「わ、わかったよぉ〜!!」

 

 ーー火遁・火龍炎弾!!

 ーー水遁・黒龍弾!!

 

  龍をかたどった炎と、同じく龍をかたどった大量の油。それらが合わさり、爆炎となって巨大蛇に襲いかかる。

 

「キシャーー!!」

 

 流石の巨大蛇も業火のにはひとたまりもなかったようで、しばらくして地面に倒れこんだ。

 

「名付けて、火遁・龍燼若火(りゅうじんしゃっか)ってとこか。あ、やべ燃えうつった」

 

  そうして鎮火作業をしつつ、急いで家の方へ向かった。

 

 ーーーーーーーーーー

 

  家についだ僕が見たものは、見違えるほどに倒壊した我が家だった。

 

「そんな…」

 

  付近の家も壊れているところが多く、救助活動が行われていた。

 

  無我夢中に救助している人の一人を捕まえる。

 

「この家の…!住んでた…!!女性は…!黒髪の!!」

 

  取り乱しているのが自分でもわかった。

 

「君はこの家の方の親族かい!?それじゃあ話が早い。第ニ病院にその女性は運ばれたんだ。かなりの重症だった。急いで向かった方がいい!」

 

  その言葉を聞いて、頭の中が真っ白になった。同時に、一緒にいなかった自分を責めた。興味本位で試験など見ずに、一緒にいるべきだったと。

 

  後悔、自責、そして木の葉崩しを行った者達に対しての怒り。思考はまとまらなかったが、行動は冷静だった。

 

  敵に備えて円を目一杯広げて、全速力で病院へ向かった。

 

  その時それを見つけたのは幸運。あるいは不幸かもしれない。

  里の外側へ向かう五人の人間を円が察知したのだ。

 

「あれは…」

 

  恐るべき存在。そしてこの時に限って言えば絶対の怒りの対象。

 

「大蛇丸…!!」

 

  前世から数えても人に殺意を覚えたのはその時が初めてだった。

 

  そしてこの選択は僕の人生で一番の間違いとなるだろう。

 

 

 




次回めちゃくちゃ書きたかったシーンです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。