「見て、例の子よ」
「今度は何をしでかしたの?」
初めて彼、うずまきナルトを見かけたのはいつだったか。その時見た彼の目は、底冷えするほどに冷たい目だった。
周りのナルトに対する悪感情。それが行動に出たり、あるいは子供ながらに察知したりして、ナルトはその悪感情に触れたのだろう。
それは幼い子供が触れるには醜く、そして冷たい感情であった。
そして両親のいない彼は、年の割にあまりにも孤独だ。
そんなナルトを見ていると、自然と助けたいという気持ちが湧き上がる。
もしかしたら、孤独な彼の姿にかつての自分を重ねたのかもしれない。
同じ孤独を知るものだからこそ、彼の抱える悪感情を少しでもなくしてあげたいと思った。
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「君って、うずまきナルトくんだよね」
そう言って話しかけてきたのは、自分よりも背の低い少年だった。
目元近くまである黒い髪の毛から覗く黒い目は、なんだか自分を見透かしてるような気がして、ナルトは少し身構えた。
「…お前だれだってばよ」
そのことが無意識のうちに行動に出たのであろう。ナルトは少し冷たい態度をとった。
「僕の名前はやなぎ ナギサ。この里の上忍、やなぎ カオルの一人息子だよ」
やなぎ カオル、ナルトはその名前に聞き覚えがあった。なんでも多彩な水遁忍術を使うエリート忍者だとか。しかし同時に疑問に思う。
そんなやつの息子が、嫌われ者の自分などに何の用があるのかと。
「オレに何の用だってばよ」
「僕さ、アカデミーにもまだ入ってなくて、遊ぶ友達がいないんだ。だから、よかったら一緒に遊ばない?」
ナギサの言葉はナルトを驚かせるに十分だった。今までに、自分の名前を知って避けることはあっても、自ら近づいてくるものなどいなかったのだから。
「でもオレってば…」
不安そうな表情を浮かべるナルトに、ナギサはこう答えた。
「関係ないよ。君は君だもん。」
ナルトは素直な子供だ。それ故にその言葉はナルトにとって純粋に嬉しかった。
「へへっ…。いいぜ!一緒に遊んでやるってばよ!!」
それが二人の出会いだった。そしてこの出会いが後に木の葉の運命を大きく変えることとなる。
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ナルト少年、思ったよりもすれてました。
まあ、その扱いを考えればそれも当然なのかもしれない。
しかし、屈託なく笑うその表情は、ナルトが年相応の子供なのだと感じさせた。
自分が彼に接触することで、物語の道筋が変わってしまうとしたら、それは避けるべきなんだろう。
しかし、彼を見て、彼の目を見て、そんな考えは吹き飛んでいた。
少しでもナルトの救いになればいい。そんな思いを浮かべてながらナギサはナルトの笑顔を見守っていた。