提督一家と愉快な鎮守府の日常《完結》   作:室賀小史郎

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明けましておめでとうございます!
今年もよろしくお願い致します!

今回は一つのお話にしたかったけど、話が膨らまずに書けず仕舞いになっていたお話をまとめてみました♪
お正月特大号ってことで!
しかしお正月要素が多いとは言ってない←


天使がいる日々

 

 ◇春の一幕◇

 

「は〜い、あがのちゃ〜ん、お口あーん♪」

「あ〜……」

 

 この日、あがの(3歳)は母親に連れられて明石の元を訪れていた。

 その理由は予防接種。あがのには艦娘の血が入っているものの、普通の人間の血も混ざっている。よって純粋な艦娘に比べると免疫系が劣っているため、普通の人間と同じように予防接種を受ける必要があるのだ。

 

 注射……それは歳がいくつになっても気が滅入るもの。

 それが子どもならばリーサルウェポン並みの驚異だ。

 

 しかし―――

 

「あがの〜、ほら見て〜? お父さんみたいなぬいぐるみがあるよ〜?」

「おとーたん!」

 

 ―――あがのは少々ぽやっとしたところがあるため、気を逸らせばその間に明石が熟練された手さばきであがのの二の腕に注射をする。

 

「ね〜、お父さんみたいだね〜?」

「うん、おとーたん!」

 

 父親……提督に似ているというぬいぐるみは明石がこういう時のために夕張や妖精たちと仕上げたブタのぬいぐるみ。

 ブタではあるが、その愛くるしい見た目にあがのは夢中。

 しかし―――

 

「…………?」

 

 ―――流石のあがのも腕に違和感を覚え、それを子どもなりにも認識すると痛みが生じた。

 

「ふぇ……」

「は〜い、終わったわよ〜♪」

「わぁ、あがのすご〜い♪ 泣かなかったよ〜♪」

「……えへへ」

 

 泣き出しそうなところで注射が終わり、母親に「すごいすごい」と言われれば、あがのは痛みなど消えて笑い出す。

 普通ならば泣いてしまうだろう。しかしあがのの反応が少々鈍いからこそ、大人側としては一手間を加えるだけで済むので楽ちんなのだ。

 

「はい。では、泣かなかったご褒美に好きな飴ちゃんをどうぞ〜♪」

「わぁ、ありがとー、あかしおねーたん!」

「いえいえ〜♪」

(はぁ、可愛いなぁ。来年はもっと豪華なご褒美にしようかなぁ)

 

 そんなこんなであがのはご褒美として、いちご飴(縁日などで売ってるりんご飴のいちご版)を貰い、母親に抱っこされて明石の診療所(酒保の店舗部分の奥)をあとにした。

 その際、あがのはドアを閉じる直前まで明石に満面の笑みで手を振っており、ドアが閉じられても大きな声で『ばいばーい!』と元気に言っていた。

 なので明石はそのあがのの愛くるしさに身悶え、暫く身動きが取れなかったという。

 

 ―――――――――

 

 ◇夏の一幕◇

 

「おかーたん……」

「ん〜、どうしたのあがの〜?」

「あつ〜い……」

「うん、暑いね〜」

 

 猛暑日となった泊地。よって鎮守府も夏の暑さに見舞われ、流石のあがの(3歳)もへばってしまっている。

 しかもあがのは先程まで蝉の抜け殻を鎮守府の裏にある丘まで母親や駆逐艦の者たちと取りに行って、みんなと別れて中庭の木陰にやってきて休憩にしているのだ。

 

 阿賀野は手提げ袋の中から水筒を取り出し、まだ冷たい麦茶(塩入り)を娘に与える。

 すると娘はその喉をコキュコキュと可愛らしく鳴らし、麦茶を飲み干した。

 

「ぷはぁっ!」

「いい飲みっぷり♪ もっと飲む?」

「こんどはおかーたんのばん!」

「いいの?」

 

 母親の問いにあがのが「うん!」と眩い笑顔で返すと、母親は『嗚呼、なんて我が子は天使なのだろう』とその愛くるしさに胸がキュンとなる。

 

「あがのがおかーたんのぶんいれる〜!」

「お願いしま〜す♪」

 

 チャプチャプと控えめに麦茶を注ぐあがの。しかもこぼさないように一生懸命注いでいるため、母親としては嬉しいやら可愛いやらでなんとも言えない。

 

 阿賀野は娘から注いでもらった麦茶を「いただきます」と言って飲み干すと、すぐに娘をその胸に収めた。

 

「あがのが注いでくれたから、いつもより美味しかったよ〜♪ ありがと〜♪」

()()()()()()()!」

「そういえば、あがの」

「なぁにぃ?」

「蝉さんの抜け殻、袋にいっぱい持ってきたけど、どうするの?」

 

 母親の質問にあがのは「う〜ん」と悩み出す。何しろ子ども故、集めるという行為が楽しかっただけで、集めたあとはどうするかなんて考えていなかったのだ。

 

「……おとーたんにあげるぅ……」

「そっか〜」

 

 悩んだ末に、汗水垂らして集めてきた蝉の抜け殻は父親にあげてしまうらしい。ぶっちゃけてしまえば、あがのとしては"蝉の抜け殻集め"は好きだが、抜け殻自体は別に好きではないのである。

 なので大好きな父親にあげちゃおうと思ったのだ。

 

「喜んでくれるといいね〜♪」

「うん!」

 

 こうして執務室に戻った母娘。あがのの宣言通り、戦果(蝉の抜け殻一袋分)は提督に寄贈。

 提督もお礼は言ったが、その夜に高雄や飛鷹、天龍、龍田、電たちに手伝ってもらってこっそりと蝉の抜け殻を裏の丘へと戻した―――

 

 が

 

 ―――次の日、またその抜け殻たちは自分の手元へと娘の手によって運ばれてくる。しかもあがのとしては大好きな父親にプレゼントしている気になっているので超ご機嫌……なので暫く、そのキャッチ&リリースが続いたそうな。

 

 ―――――――――

 

 ◇秋の一幕◇

 

「うぅん……」

 

 執務室でお昼寝から目覚めたあがの(2歳)。執務室は秋ということで、この前和室仕様に改装された。

 なのであがのは畳の上に敷いたふわもこカーペットの上で、いつの間にか眠ってしまっていた……と子どもなりに思う。

 両親がいつも座っている方へと視線をやるあがの。

 

 しかし、その姿はない。

 あれ?と思い、小首を傾げるあがのだったが、すぐ側から「ぐぉ〜」といういびきが聞こえた。

 

 その正体は提督でぐっすりと眠っている。しかもその左腕にはその腕を枕にして眠る阿賀野の姿も。

 

 本日の執務は少なく、普段はあがののために侍る高雄たちも訓練等で席を外している。

 

「………………」

 

 あがのはおもむろにはいはいして、よちよちと両親の元へやってきた。

 するとあがのは「うんしょうんしょ」と両親の間にある狭い隙間に入り、満足げの表情を浮かべてまたお昼寝を再開。

 当然―――

 

『………………』

(俺たちの娘が超天使なんだが……)

(私たちの娘が超天使なんだけど……)

 

 あがのが無理矢理入ってきたために起きてしまった両親。しかしその娘の取った行動の可愛さに身悶えていた。

 

「…………愛してる」

「…………うん♡」

 

 夫からの家族へ対する愛の言葉に、妻は思わずその顔をふにゃりと破顔させて頷く。そして夫婦は娘の頬に両方向から小さくキスをすると、もう暫くはこのままでいようとまた眠りに就くことにした。

 

 そんな一家を―――

 

「…………尊い」

「守りたいこの一家」

「守りましょう」

「頑張るのです♪」

 

 ―――戻ってきた天龍、龍田、高雄、電が目撃し、身悶えた。

 後、矢矧が鼻血を流してドックへと搬送されたとか。

 

 ―――――――――

 

 ◇冬の一幕◇

 

「ごめんね、祥鳳さん」

「いいですよ。それに私も背中が温かいですし♪」

 

 昼でも今日は一段と冷え込んでいる。そのため多くの艦娘たちも普段の制服の上に上着を着用したり厚着したりしていた。

 あがの(2歳)も可愛い赤いポンチョを着ていたが―――

 

「すぅ……すぅ……」

 

 ―――今はそれを脱いで、祥鳳のどてらの中。

 詳しくは祥鳳が防寒のためにどてらを羽織り、それを珍しく思ったあがのがポンチョを脱いで祥鳳の背中に潜り込み、居心地が良かったのでそのまま祥鳳の背中でお昼寝してしまったのだ。

 

「辛かったら言ってね?」

「軽いから大丈夫ですよ」

「でも暫くは起きないよ?」

「いいんです」

 

 阿賀野の申し出をやんわりとだが頑なに拒否する祥鳳。阿賀野としてはあがのは寝れば滅多なことでは起きないため、今なら取り外せるチャンスなのだ。

 しかも今母娘と祥鳳が居るのは、食堂の外で出入り口の横に設置してある縁台。あがのはまだいいが、祥鳳が寒くないか阿賀野は心配なのだ。

 

「……思っていたよりも重いんですね」

「だから阿賀野が代わるよ? 無理しないで?」

「あ、いえ、そういう意味ではないんです」

 

 祥鳳はふと阿賀野から視線を外し、慈愛深く目を細めて眠るあがのの方へ目をやってから、また阿賀野と目を合わせる。

 

「護るべき存在はこんなにも尊く、こんなにも重たいのですね」

 

 そう言う祥鳳の顔はとてもいい笑顔だった。

 

「……そうだね」

 

 だから阿賀野も愛する我が子に目を細め、一言だけ返した。

 するとあがのが―――

 

「おしゃきゃにゃしぁん」

 

 ―――と、謎の寝言を言う。

 阿賀野も祥鳳も顔を見合わせ、またあがのの方へ注目すると、

 

「それ、あがのの……おさかなさんの、あっち〜……」

 

 むにゃむにゃと、それだけ言うとあがのはまた可愛らしい寝息を刻んだ。

 しかし母親とその友人は声を押し殺して笑った。祥鳳に至ってはあがのを起こさないよう、必死に揺れる己の体を止めようとかなり頑張っている。

 

「お、お魚さんと何があったのでしょう?」

「わ、分かんない……起きたら訊いてみよ」

 

 涙を拭きながら、二人はあがのが目覚めるのをのんびりと待つのだった。

 因みに起きたあがのにその質問をすると―――

 

「わかんない!」

 

 ―――とのこと。

 でもその日の夕飯であがのは間宮特製のブリの煮付けを所望したという。

 

 ―――――――――

 

 ◇あがのと節分◇

 

「わっはっは! 鬼はこの私だ! 子どもの肉は美味いと聞く! だから先ずは貴様から食べることにしよう!」

 

 今年も節分がやってきた。

 あがのももうすぐ3歳になるため、今年の節分はあがのが豆を投げる。

 そして鬼役としてガングートがあがのの前に立ちはだかった。

 でもあがのが怖がらないようにガングートはちゃんと顔を出していて、頭に鬼の角を模したカチューシャをしている。

 

「ほらあがの、豆」

「鬼さんに食べられちゃうよ?」

 

 夫婦はあがのにそう言って豆の入った枡(正面と分かるようにその面には『あがの』と焼き印してある)を渡すが―――

 

「おまめおたべ!」

「いただこうっ!」

 

 ―――投げて撃退するのではなく、与えて仲良くなるという手段に出た。

 しかもガングートも鬼役の役割が彼方へとすっ飛び、普通にあがのから豆を食べさせてもらってご満悦。もし尻尾があれば、それはもう千切れんばかりに振っていることだろう。

 

「俺たちの娘って……」

「天使だよねぇ……」

 

 そして夫婦もそんな愛娘の行動に胸キュン。

 

 結局、この年の鎮守府の節分は天使を前に鬼たちは浄化された。

 

 ―――――――――

 

 ◇超難関任務!?◇

 

「ごふっ……」

 

 幾多の戦場を駆け抜けてきた鎮守府の猛者たち。

 しかし、ここにまた生ける屍が転がることになった。

 

「あぁ、かのウォースパイトでもやっぱ無理だったか……」

 

 天龍の声と共に、浄化されたウォースパイトは龍田と高雄の手によってドックへと搬送される。

 

「今あいつら遠征と演習で留守だし、提督も阿賀野もテレビ会議中だしなぁ」

 

 どうすかっなぁ、と頭を掻く天龍。

 

「寝かし付けるだけなんだけどなぁ」

 

 そう、育児時間が終わればあがのはお昼寝の時間。しかし今日のあがの(2歳)は思いの外テンションが高く、なかなか寝ないのだ。

 こういうことが得意分野である、雷や浦風、夕雲、フレッチャーもことごとく浄化され、打つ手なしの状態。

 そもそもこういう場合、寝かし付け職人と呼ばれる艦娘が複数いる。

 それは電・榛名・羽黒・筑摩だ。が、天龍が先にぼやいた通り、職人たちは留守。よって残りの皆でどうにかするしかないのだが、誰がやっても先のウォースパイトのように浄化されてしまって、逆に寝かし付けられてしまうのだ。

 どういうことかと言うと―――

 

「しょうがないなぁ、じゃあ那珂ちゃんと一緒に寝よ♪」

「は〜い♪」

「うん、じゃあぎゅ〜っ♪」

「ぎゅ〜っ♪」

「なかちゃ、なかちゃ!」

「なあに〜?」

「なかちゃとぎゅ〜っとするとうれしくてねれないっ!」

「ごふっ……!」

 

 ―――このように天性の尊き笑顔と発言でノックアウトされるからだ!

 

「那珂でもダメか……」

 

 那珂までもが浄化されてしまった。天龍たちも天龍たちで自分がやってもあの笑顔と言葉で浄化される自信がある。なので出来ないのだ。

 

「お困りのようね?」

「陸奥か……お前なら出来るってのか?」

「無理。だから別の案を出しにきたの」

「別の案?」

「こ・れ♪」

 

 陸奥が紙袋から取り出したのはあがのの大好物である、間宮と伊良湖印が眩しいどら焼き。しかもあんが入っていない皮のみ。

 特にあんこが食べられない訳ではないが、どら焼きの皮があがのは好きで堪らないのだ。

 

「は? これでどうすんだよ?」

「毎日お昼寝してるんだし、今日くらいは大目に見ましょってこと♪」

 

 つまり本人が眠くないならお昼寝させなくてもいいだろう、ということらしい。

 なので天龍は高雄たちと相談した。しかしその相談はあがののためであるために熟考され、しびれを切らした陸奥が独断であがのにどら焼きを食べさせると、お腹が膨れたのかあがのはすやすやと夢の中へ。

 因みにこの超難関任務の報酬は"天使の寝顔を堪能する権利"が与えられる。よって陸奥はすやすやと眠るあがのの寝顔を堪能し、暫くデレデレした顔が戻らなかったそうな。

 

 ―――――――――

 

 ◇母のいたずら◇

 

 本日ももう寝るだけ。

 お風呂を一家揃って済ませ、一家は部屋に戻ってきた。

 提督が湯上がりで寝る前の楽しみとして、小さなコップ1杯の日本酒を楽しんでいると、阿賀野があがの(2歳)を呼んだ。

 

「あがの〜」

「なあに、おかーたん?」

「お部屋にハエがいるの!」

「たいへん!」

 

 もちろん、この部屋に今はハエなんていない。これは阿賀野が唐突にやりたくなったいたずらで、可愛い娘をちょっと困らせたいだけ。

 なので提督はそんな愛くるしい妻と娘を肴に、ちびちびと美味い酒を飲む。

 

「ほら、あそこ」

「いなーい」

「今度はあっち」

「いないお?」

「あ〜、今度は向こうだね〜」

「いないっ!」

 

 あっちへこっちへと娘をからかう阿賀野。阿賀野としては翻弄される我が子が可愛くて仕方ない様子で、提督も可愛いので「もう止めてやれよ」と言えないでいる。

 

「あーん、どこなのー!?」

「あ、お父さんの背中に止まってる!」

「たいへん!」

 

 矛先が自分に来たと驚いた提督。しかし既にあがのが接近しており―――

 

「おとーたんはあがのがまもるのー!」

 

 ―――ペチンペチンと背中を叩かれてしまった。

 あがのとしては提督を守ろうとしているが、ハエなんていないので叩かれ損……ではあるが、もう可愛過ぎて提督は胸が苦しくなっている。

 

「ふふ、ハエがお外に飛んでったよ♪」

「ほんと!?」

「うん、あがののお陰だね」

「やったー!」

「ありがとうな、あがの」

「えっへん♪」

 

 両親からお礼を言われて胸を張るあがの。それを見た夫婦は『はぁ、ぐうかわ』と浄化された。

 

 ―――――――――

 

 ◇●REC◇

 

「あがの〜」

 

「…………」

「お母さんが呼んでるぞ?」

「…………」

 

 両親の声は聞こえてはいるが、今のあがの(2歳)はおとぎ話の映画に夢中。

 うつ伏せに寝そべる父親の背中に自分も真似してうつ伏せになってねそべり、父親と同じく頬に手をやっている。

 ついている肘が痛そうだが、提督に指定された場所に置いておくことであがのの軽い体重と相まって、適度な指圧をされている感覚で逆に心地良いらしい。

 

 阿賀野はそんな愛する夫と娘をカメラで撮影しており、少しだけでいいのでカメラ目線になってもらいたいのだ。

 

「あがの〜、お母さんの方にお顔向けて〜」

 

「いまいそがちいの〜」

 

 母の願い叶わず。普段のあがのなら言うことを素直に聞くが、何かに夢中になるとあがのは余所見をしないのだ。

 なので提督としてはそろそろタバコを吸いに喫煙所へ行きたいのだが、あがのがこの調子なので行けないでいる。

 退いてとお願いしても「ちょっとまってね」と言われて終わりだからだ。

 

 提督としては今日はあがののことをあまり構ってやれなかったので、娘のためにタバコくらいは我慢しようと今に至る。

 

「お母さんが泣いちゃうぞ?」

「おかーたんはおとなだからなかないよ〜」

 

 父の説得も虚しく空振り。なので提督は阿賀野の方へ顔を向け―――

 

「(諦めろ)」

 

 ―――と苦笑いを浮かべて口パクで伝えた。

 すると阿賀野は小さくため息を吐き―――

 

「え〜いっ♪」

 

 ―――カメラを三脚に固定して、あがのの上に自分も寝そべることに。

 

「わぁ、おかーたん、なに〜?」

「お母さんを無視するからお母さんもあがののこと無視することに決めたの〜♪」

「え〜!」

 

 不満は口にするものの、声はどこか弾んでいるあがの。あがのとしては大好きな両親にサンドイッチされているので、本音のとこは嬉しいのだ。阿賀野も提督の両サイドに膝をついているため、あがのに全体重を掛けないようにしている。

 

「おかーたん、おもたーい♪」

「え〜! お母さんは軽いはずだよ〜?」

「だっておもたいもーん♪」

「なにを〜?」

 

 ムギュ〜ッと軽くプレスを見舞う阿賀野。対してあがのはキャッキャと嬉しそうにしながら「おとーたん、たすけて〜♪」と叫んでいた。

 

「……お父さんが1番重たいはずなんだが?」

「お父さんは男の人だからこれくらいいいでしょ〜? ねー?」

「ねー♪」

 

 結局、映画はそっちのけになり、一家は賑やかな夜を過ごすことになったとさ。

 

 ―――――――――

 

 ◇あぁぁぁぁぁ……◇

 

 この日、矢矧は一人だけで軽巡洋艦寮の談話室にてあがの(3歳)の面倒を見ていた。

 夫婦はテレビ会議に出席中で、高雄も天龍たちもそれぞれ任務に就いているのだ。

 でも安心して欲しい。こういう場合、矢矧は責任感の方が強くなるのであがのの可愛さの前に気絶することはない。

 ただ―――

 

「あがの〜、おやつは何がいい〜?♡」

「あまいの!」

「そっか〜、じゃあ一緒に間宮さんたちのところに行きましょうか〜♡」

「いくー!」

 

 ―――このように矢矧は常時猫なで声。

 今はもうこの矢矧の猫なで声は周知のこととなっているが、初めの頃は『談話室から奇声が聞こえる』と一部艦娘たちの間で噂になっていた。しかもその声の正体は『夜戦が我慢出来なくなって謎ハイになった川内だろう』などと、神通と那珂が言い出したので川内に濡れ衣が着せられてしまったといったエピソードがあったりする。

 

 ―――

 

「あがの〜、美味しい〜?♡」

「あま〜いっ☆」

「そっか〜♡」

 

 食堂にあがのを抱っこして連れてきた矢矧。適当なテーブルの席に座り、矢矧はあがのを自分の膝の上に座らせたまま、間宮伊良湖印のフルーツパフェを与えている。

 

「やはぎおねーたんはたべないの?」

「お姉ちゃんはあがのが美味しそうに食べてるのを見るだけで十分よ♡」

「え〜? へんなの〜」

「うふふふ♡」

 

 するとあがのがパフェのイチゴを指で摘んで、矢矧の口元に持ってきた。

 

「やはぎおねーたんにあげる!」

「え、あがのが全部食べていいのよ?」

「や」

「どうして?」

「いっしょにたべたほうがおいちいから!」

「…………」

 

 矢矧はあがのの尊さに浄化される。でもそんな叔母の気持ちを知らないあがのは、グイグイと矢矧の口にイチゴを押し当てていた。

 

「たべなきゃやぁなの〜……」

「っ……はぁい、頂きます……はむっ」

「おいちい?」

「…………えぇ、美味しいわ♡ ほっぺたが落ちちゃうくらいよ♡」

 

 それはただの例えなのだが―――

 

「だめー!」

 

 ―――あがのは本当に矢矧の頬が落ちてしまうと思い、必死になって矢矧の両頬をその小さな手で支えた。

 

「あぁぁぁぁ……っ♡」

 

 よって矢矧はその尊さにもう骨の髄まで溶かされてしまい、そのまま動かなくなってしまった。

 なのでその後は食堂に手伝いで来ていた鳳翔が矢矧を介抱し、秋津洲と瑞穂があがのの面倒を見たそうな。

 

 ―――――――――

 

 ◇実は最強ガーディアン◇

 

「でね〜、おかあさん、おとうさんのことしゅきしゅきなんだよ〜♪」

『……(こくこく)……』

 

 今日あがの(4歳)は初めて明石酒保までお菓子を買いに行くところ。

 これはあがのが『やる!』と聞かなかった。だから提督も阿賀野も鎮守府の敷地内なので、迷っても誰かしら助けてくれるだろうと許可したのだ。

 矢矧や天龍たちは背後から尾行しようとしたが、すぐにあがのにバレて『きちゃだめ!』と言われて、渋々撤退した。

 ただあがのにはお伴がいる。それは島風の連装砲ちゃんと天津風の連装砲くん。そして秋津洲の大艇ちゃんである。

 ぶっちゃければ矢矧たちの尾行に気がついたのが連装砲ちゃんたちで、それをあがのに言いつけたが故だ。

 でも―――

 

「あれれ〜? どっちだっけ〜?」

「……(くいくい)……」

「あ、こっちか〜♪ ありがと〜♪」

「……(♪)……」

 

 ―――みんなあがのをしっかりと誘導している。

 その後、あがのと3体の御一行は無事に酒保へ到着。そしてお菓子と燃料ジュース(みんなへのお礼用)を買い、仲良く執務室へと戻っていった。

 このあがのと連装砲ちゃんたちのお使いは艦娘たちの間で桃太郎みたい(あがのが桃太郎・連装砲ちゃんが犬・連装砲くんが猿・大艇ちゃんが雉)に見え、みんなして遠目からそのお使いを録画し、みんなして浄化された。因みに執務室では高雄の水上偵察機によってあがのたちの動向がPC画面に映し出され、見守っていた皆で浄化されていた。

 

 ―――――――――

 

 ◇親の願いと子の願い◇

 

 あがのが生まれて、鎮守府に5度目の七夕がやってきた。

 前々から皆でコツコツ準備をし、今日の夜の鎮守府はみんなして浴衣を羽織る。

 

「あがのはお願い事何にするか決めたか?」

 

 短冊をイベント委員会のテントで受け取った一家。ふとした父の質問にあがのは間髪入れずに首を横に振った。

 

「無いのか?」

「お願い事しないの?」

 

 父と母の言葉にあがのはコクリと頷いてみせる。

 何不自由ないよう心掛けているのに、我が子はどうしたのだろうと共に思う夫婦。

 すると―――

 

「わたしのおねがいは、おとうさんとおかあさん、それにおうちにいるみんながかなえてくれるもん。だからいいの!」

 

 ―――子どもとは思えない言葉が返ってきた。

 これには夫婦もだが、聞こえていた周りの面々に衝撃を与え、涙する者や胸を貫かれる者、己の邪さに胸を痛める者と様々。

 子どもながらに、今ある平和はここにいるみんながいるからだと思っているあがの。だからこそ出た先の言葉だった。

 提督は思わず目頭が熱くなり、また逆に子どもらしくもっと我を出してほしいと思う。

 

「おとうさん、ないてる?」

「いや、目にゴミがな……」

「いたいのいたいのとんでけぇってする?」

「大丈夫だ……でもぎゅうってさせてくれ」

「いいよ〜♪」

 

 守ろう。この平和な時をいつまでも……提督もその場にいる皆も、願いは同じだった。

 

 ―――――――――

 

 ◇正義とは◇

 

「んぁ〜、何か腹減ったなぁ」

 

 昼前だというのに、提督はふとした空腹に苛まれていた。今朝はパンだったが、提督は米派。なのでチョイスをミスった様子。

 

「とーたん、おなかくうくう(空いたの意)なの〜?」

 

 そんな父親をあがの(2歳)はその膝に座りながら心配していた。

 

「なんか今日は腹が減るんだよ」

「じゃあ、わたちがひとはだむいであげゆ!」

 

 一肌脱ごう……と言いたかったようだ。

 そんな可愛い間違いに提督はキュンキュンしながらいると、あがのは「ん〜! ん〜!」とどういう訳か、自分の頬を両手で引っ張っていた。

 

「何してんだ? ほっぺ痛くするぞ?」

「だってね、あ〇ぱんまんはおなかくうくうのこに、じぶんのおかおあげゆんだもん」

「…………」

 

 だからとーたんにわたちのおかおあげゆの!と、あがのは頑張って頬を取ろうとする。でも当然、取れない。

 そんなあがのの様子を―――

 

『(んあぁぁぁぁぁ、天使がいるぅぅぅぅぅ)』

 

 ―――阿賀野・能代・矢矧・酒匂は見ていて、その可愛さに悶ていた。当然提督は直撃弾を受けて身悶えている。

 

「あ、あがの……お母さんからお煎餅もらってきてくれ。あがのの顔を食べるのはお父さん出来ないから」

「わかった!」

 

 こうしてあがのは母親からお煎餅を受け取り、父親まで輸送。その褒美としてあがのには一口チョコが与えられ、父親と仲良くおやつを楽しんだ。

 因みにあがのはア〇パンマンより、〇イキンマンの方が好きだという。理由は実は優しいところがあるからなんだとか。

 

 ―――――――――

 

 ◇避難訓練?◇

 

「敵襲! 皆安全な場所へ避難しろ!」

 

 今日は月に一度の避難訓練。しかし子どものあがの(3歳)にとっては月に一度の催し物みたいで、キャッキャと笑っている。この歳の子どもには難しい話だろう。

 しかし、もっとも訓練にならない理由は―――

 

「ひなん〜!」

 

 ―――あがのが避難する場所は提督のお腹だからだ。

 正確には提督のお腹ら辺にムギュッと抱きついている。

 あがのにとっては父親の懐が1番安全な場所なのだ。

 

 なので―――

 

『あ"ぁぁぁぁぁ〜♡』

 

 ―――その光景にみんなが浄化されるので、ちゃんとした避難訓練になっていない。

 あがのが本当の意味で避難訓練に取り組むまで、艦隊の避難訓練は難航するだろう。

 

 ―――――――――

 

 ◇ぷれみあ◇

 

「がんばったでしょー!」

「ありがとう、あがのちゃん」

 

 最近のあがの(4歳)はMVP獲得者(此度は飛龍)へご褒美に"肩たたき券"をあげる。少し前までは抱っこの権利を与える"抱っこ券"を阿賀野があがのに言われて書いて渡していたが、最近はあがのも自分で何かしてあげたいという気持ちと字を書く練習も兼ねてあがの自らが紙に書いているのだ。

 

 その肩たたき券の評判は―――

 

 〜両親の場合:使う派〜

 

「MVPというか、仕事を頑張ると貰えるんだよな。たまに使ってるが、娘にやってもらうと疲れが吹き飛ぶ」

「ちょっと痛い時はあるんだけど〜、一生懸命やってくれるのが嬉しくて、『私と慎太郎さんの子どもは世界一可愛いなぁ』って思ってるよ〜♡」

 

 〜高雄の場合:使わない派〜

 

「勿体無くて使えないんです。だから大切な思い出として残してます……ふふふっ」

 

 〜ガチ勢の場合:神棚派〜

 

 ラブ・ダイヤモンド

「神棚に飾って、毎日拝んでマース! きっとラブパワーがありマース!」

 

 ラブ・たけぞう

「神々しい褒美だ。そのためいつ使えばいいのかタイミングが分からない。娘よりその父親に揉んでもらいたいしな!」

 

 ラブ・アモーレ

「ほら、この国では大切な物をかみだな?というところに飾るでしょう? だから私はこの券も提督の写真も大切に飾ってるの♡」

 

 〜矢矧の場合:家宝派〜

 

「は? 使える訳ないでしょ? 今まで貰った83枚は全て私の金庫に保管してあるわ。それより見て、この券。"かたたたたきけん"って書いてあるプレミア物よ? 私のあがのへの愛が、このプレミア券を私の手元に―――(長いので割愛)―――」

 

 ―――かなりいいという。

 

 ―――――――――

 

 ◇朝の風景◇

 

 月曜日。この鎮守府では朝の挨拶活動ということで食堂の出入口横に挨拶当番が整列し、来た者たちに挨拶をしている。

 今回の当番は占守型海防艦姉妹の面々。

 

「おはようございましゅっ! 矢矧さん、酒匂さん!」

『おはようございます!』

 

「あら、おはよう」

「おはよー、みんなー♪」

 

 能代は早朝からの遠征任務のため、矢矧と酒匂だけ。

 着任当時、占守型姉妹の面々から見るとこの二人は補佐艦でもあり、提督に厚い信頼を寄せられている憧れの的だった。

 でも今は―――

 

「あ〜、あがのもいたの〜?♡ 一緒にご挨拶してて偉いわ〜♡ 流石、私の姪っ子ね〜♡」

「んゅ〜……」

 

 ―――ただの叔母バカである。

 つい先程まではいつもの憧れの矢矧だったが、その憧れの矢矧は姪っ子を見つけるや否や、バカになる。

 なので占守たち(に限らず多くの艦娘たち)の矢矧の印象はかっこいい矢矧ではなく、姪っ子にやたらデレデレしてる人になっているそうな。

 

 ―――――――――

 

 ◇痛み◇

 

 深海棲艦との戦争はまだまだ終わりそうにない。

 しかし今は艦娘と軍のお陰で国民の身に危険が及ぶようなことはほぼない。

 人々のために艦娘たちは戦っているのだ。

 

「ん〜、勝ったな〜」

「でも久々に貰っちまったよ」

 

 今回、旗艦の天龍の言葉に摩耶は苦笑いでこぼす。

 そんな摩耶に此度着任してすぐの新人艦娘はこう言った。

 

「中破もしていないのに情けないことを言うな。私たちは戦争しているのだ。怪我はつきものだろう」

 

 それに我々の傷は人と違い、綺麗に治る……そう付け加えると、摩耶だけでなく艦隊全員が『違うんだよなぁ、それが』と笑った。

 新人は皆の言っている意味が分からないまま、鎮守府へ帰るのだった。

 

 ―――

 

 艦隊が埠頭に着くと、提督が待っていた。もちろん、阿賀野とあがの(4歳)も一緒で矢矧たちは艦隊の皆にタオルや飲み物を配るために一家の脇に控えている。

 

「みんなけがしてる! いたいよね! いつもたたかってくれてありがとう! すぐになおしてね!」

 

 提督や阿賀野よりも先にあがのが皆のところへ駆け寄って、今にも泣きそうになりながら声をかける。

 すると新人は己の胸の奥がズキッと痛んだ。

 そんな新人の気持ちを察した天龍は―――

 

「な、痛えだろ? (ここ)がよ」

 

 ―――と、自身の胸を軽く指で突いてみせた。

 新人は―――

 

『あぁ、確かに……これは痛む』

 

 ―――と、痛感する。

 戦争しているのだから怪我して当たり前……ではなく、悲しませないために怪我をしないように努めよう。

 新人はそう改め、より高みを目指すのだった。

 

 ―――――――――

 

 ◇どっちが大人?◇

 

 あがのはもう5歳。よって少しだけ背伸びをするようになった。

 未だに父親にべったりなのはあの阿賀野の血ゆえなのかもしれないが、最近はやたら抱っこなどは拒否するようになっている。

 それもあがのの中に『わたしはもうあかちゃんじゃないもん』と、いう自我が出てきたから。

 艦隊のみんなはそれに最初は戸惑いもしたが、基本は『あぁ、この子ももうそんな年頃か……』と微笑ましく思っている。

 とある者を除いて……。

 

「あがの〜、矢矧お姉ちゃんが抱っこしてあげる〜♡」

「いい」

 

 それは矢矧だ。矢矧にとってあがのは何歳になっても可愛い姪っ子。それは夫婦にとってもだが、いつまでも可愛がり過ぎているとファザコンやマザコンになってしまうため、夫婦は愛情こそ注いではいるが、過度な愛情は注がないように努めている。

 でも矢矧はこのように構ってしまうのだ。

 最初こそ矢矧はあがのに拒否された瞬間、いつかのジョーみたいに真っ白になっていた。

 それを見兼ねた阿賀野が『照れてるだけだよ。そういうお年頃なの』と嘘の助言をしたことで、復活はしたがこのようになってしまった。

 

「恥ずかしがることないのよ〜?♡ ほら、おいで〜♡」

「いい」

 

「……ほら、抱っこしてあげる〜♡」

「……いい」

 

「…………あがの〜?♡」

「…………」

 

 あがのが折れる形で、渋々矢矧の胸に向かう。仕方なく抱っこされているあがのをよそに、矢矧は「もっと素直になりなさい♡」とうんと可愛がっている。

 しかも抱っこだけではなく、高い高いまでする始末であがのは「抱っこじゃない」と心の中でつぶやいた。

 

「どっちが大人なのかしら……」と能代

「矢矧ちゃん……そろそろ姪っ子立ちしないとね」と酒匂

「もう暫くは好きにさせよう」と阿賀野

「本気であがのに拒否される前にな」と提督

 

 四者は子どもの成長とは別の悩みも抱えることになっていた。

 

 ―――――――――

 

 ◇羽根突き◇

 

 新年を迎えた鎮守府。あがの(4歳)は夫婦と高雄、能代、矢矧、酒匂からお年玉を貰いホクホク。

 まだ幼いこともあって一人一人の額は千円だが、この歳にしたら大金だ。

 本当ならば艦娘全員があがのにお年玉をあげたいが、そうなるととんでもない額になるので夫婦とママ、そして叔母たちだけの特権なのである。

 なので他の皆は凧揚げに誘ったり、福袋を一緒に買いに商店街へ連れ出したりと思い出をプレゼントしていた。

 

 そして今は―――

 

「あがのちゃん行ったわよ〜!」

 

「……えーいっ!」

 

「はい、大井っちの負け〜」

「あがのちゃん、大井の顔にこの筆でバッテンを書くクマ!」

「でっかくにゃ」

「……程々にな」

 

 球磨型姉妹の皆と羽根突きをしていた。

 ルールは普通の羽根突きとは違い、みんなで円陣になってランダムに羽根を飛ばし、あがのが取れなかったらそれを放おった相手が罰を受けるというもの。

 なのであがのにデメリットは一切ない。

 

 しかしその隣では―――

 

「ほら、提督さん……由良の愛を受け止めて!」

 

 ドゴォ!

 

「青葉の愛もありますよ〜!」

 

 ドーン!

 

「バーニング、ラァァァァァブ!」

 

 バゴーン!

 

「火遊びじゃ終わらないわよ〜!」

「この武蔵の愛もあるぞ〜!」

 

 チュドーン!

 

 ―――提督がガチ勢から集中砲火を浴び、罰として顔に『由良専用』・『陸奥の旦那様』・『金剛LOVE』・『夫!』・『青葉の!』等と腕や背中に書かれる始末。

 当然、下半身に書こうとした鹿島やイタリアは阿賀野の鉄拳制裁を受けてアスファルトの海に沈んだ。

 

 因みに―――

 

「はい、提督さんの負け♡」

「加減してくれよ?」

 

 ―――提督は阿賀野からの罰として額に『愛してる♡』と書かれ、キスされた。

 それを見ていたあがのも父親の頬へハートマークを書き、キスをしたそうな。

 

 この先も鎮守府ではあがのの存在は多くの者たちへ癒やしを与え、多くは浄化されていくことだろう―――。




短編集詰め合わせでした♪
皆様良い年末年始を!

読んで頂き本当にありがとうございました!

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