この二作品をクロスさせるのが夢でしたが、こうして陽の目に出す事が出来ました。ぜひともご覧ください!
「よし、出来た~」
カーテンを閉めきった薄暗い部屋に、明るい声が響き渡った。
また無頓着な所もあってか、ヒビが付いた眼鏡を着用している。
『ほほぉ、これまた特徴的な姿だねぇ』
「でしょう? 今回はブルトンとかイメージして作ったんだよ~。空間を操作してグリッドマンを翻弄するの」
アカネの前には電源が付いたパソコンが置かれていた。
画面にはゴーグルをした黒い怪人が大きく写っている。アレクシス・ケリヴ──色々とあってアカネと協力し、数々の暗躍を行っている人物だ。
アレクシスとアカネの間には一つの粘土があり、まるで抽象化させたようなウニのような形状をしている。一見すれば斬新かそうでないか曖昧なアートにも見えなくもない。
これこそがアカネが作った怪獣の粘土。
彼女は大の怪獣好き、その証拠に多数の怪獣ソフビがケースに保管されている。
『なるほどぉ、物理攻撃じゃなく空間操作を重視した訳だね。ちなみに名前は?』
「『
『おっと、すまない。では早速……インスタンス・アブリアクション!!』
アレクシスがコマンドを口にする。それこそが怪獣を実体化させる一種の呪文となっている。
直後としてアレクシスのゴーグルアイが赤く発光。そうして怪獣の粘土を包み込み……
#SSSS#
「内海……そろそろ帰る時間なんだけど」
「ああいや待ってくれ! ちょっといいページが見つかったからさぁ」
「……はぁ……」
友達の行為に、
彼は
かれこれ30分近くそうなっている。そろそろ内海を置いて帰ってしまおうかと彼は考える。
「やっぱりレジェゴジはいいよなぁ……何かこう……このパワフルなフォルムとか鋭い目つきとかさぁ。裕太もそう思わねぇ?」
「あ、うん……まぁかっこいいんじゃないかな? 俺はよく分からないけど」
どうもレジェゴジとかいうページを見ているらしい。
以前にハリウッドのゴジラが上映されたのを裕太は覚えている。ただゴジラに詳しくないので、内海の話に全く付いていけない。
「……ん?」
裕太の左腕からアラームが鳴り出している。
そこには『プライマルアクセプター』という特別なアイテムを装着していた。これが鳴っているという事はただ一つ。
「内海戻ろう! 怪獣が出てきた!」
「お、おう! いい所だったけどしょうがねぇかぁ」
この街――ツツジ台では侵略を受けている。それを食い止めるのが、裕太達グリッドマン同盟の役目。
二人が急いで街中を走り出す。その途中、ある物が目に入る。
「あれか、怪獣は!」
「うぉ!? ブルトンかあれ!?」
「えっ、ブルトン?」
ビルの上から覗き込んでいる巨大な物体。
まるで青と赤の絵の具をぶちまけたような体色。獣的な要素はなく、まるでウニを思わせるような針の固まり。
今まで裕太達は『怪獣』という巨大生物と戦ってきた。しかしその怪獣はそんな生物的な雰囲気はなく、まるでそれ自体がオブジェのようにも見える。
それが街のど真ん中に鎮座されているのが、なんとも不気味だ。
「すいません遅れました!」
「あっ、お帰り」
「おう、おせーよお前ら。ちゃっちゃと終わらせようぜ」
着いた先はリサイクルショップ『
まず声を掛けてきたのは『絢』の娘である
次に言ってきたのが、女の子にも見える黒スーツの少年ボラー。彼の他にも黒スーツを着た三人がおり、口元にマスク、腰に携えた刀、呑気にコーヒーを飲んでいたりと色々と個性的。
彼ら四人の名は『新世紀中学生』。そして彼らと共に怪獣を倒すのが裕太、内海、六花……そして最後一人のグリッドマン同盟。
『裕太急ごう。奴は動いていないが、何をしでかすのか分からない』
「うん、分かった。……アクセス……フラッシュ!!」
裕太が古びたジャンクパソコンの前に立ち、コマンドを叫ぶ。
すると彼の身体がジャンクに吸い込まれ、街と怪獣の前に降り立つ。
怪獣を倒す唯一の巨人、グリッドマンとして。
『……見た目から能力が判別出来ない……』
街の中に立ち、構えを取るグリッドマン。
彼の前には倒すべき怪獣がいる。いるのだが、攻撃はおろか特にこれといった動きを見せてこない。
怪獣ではなく単なる物体では?
そう考えたグリッドマンだが、すぐに思い直す。そんな浅い考えが敗北に繋がる事をよく知っているのだから。
そもそも立ち止まっても何も始まらない。まず牽制として怪獣に向かうグリッドマン。
だが、
『……!?』
『な、なんだ……!? 身体が……!』
グリッドマンの中にいる裕太の声。
今、グリッドマンの動きが止まってしまっている。腕や足がピクリとせず、怪獣に近付く事もままならない。
しかも直後、怪獣が消えてしまう。いや違う、正確にはグリッドマンが怪獣の背後へと
『何が起こっている……まさか空間操作……?』
怪獣に振り返るグリッドマン。同時に周りにあるビル群が、一瞬にして消えてしまった。
驚きを隠せなかったが、それでも呆気に取られている場合ではない。グリッドマンの頭上に、消えたはずのビル群が降ってきたからだ。
落下。落下。落下。まるで隕石のように、ビル群がグリッドマンに襲い掛かる。
彼は身のこなしの回避能力でかわしたが、
『グリッドマアアン!!』
『! グワア!!』
グリッドマンに襲い掛かるタックル。吹っ飛ばされた身体がビルに叩き付けられる。
そこにいたのは
人語を解し、グリッドマンの能力をコピー出来る謎の存在でもある(なお彼の名は『アンチ』と呼ぶが、その事をグリッドマン同盟は知らない)。
『貴様は俺が殺す! 今日、ここで!!』
『2対1……まずい……』
裕太の言う通りだ。空間操作能力を持つ怪獣、能力をコピー出来る
その前者がまたもやビル群を落下させてくる。これを回避したグリッドマンだが、突如目の前に
『なっ!? グワッ!!』
『グウゥウ!!』
グリッドマンと
両者とも地面に倒れたのだが、
『こいつ俺を! 邪魔するなぁ!!』
どうやらオブジェの怪獣によって転移された。そうグリッドマンが推測する。
激怒した
驚くべき空間操作。しかし
オブジェ怪獣は例の如く空間操作で退ける。ただ一つの光弾が向かい、怪獣に被弾――爆発。
『当たった……?』
まさかの予想外に、グリッドマンが言葉を漏らす。もしかしたら空間操作にも限界があるのかもしれない。
ただ、この時、何かがおかしくなる。
――……フオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……――
オブジェ怪獣の咆哮だろうか。まるで怨霊の叫び声のような、そんな禍々しさ。
すると、怪獣の前にあった自動車群が消滅。次にビルが消滅、またビルが消滅。そして怪獣の周り全体が消滅。
怪獣の周囲にある全ての物体が、どこかへと転移されていく。
『クソッ! 巻き込まれ……』
その消滅範囲に
このままではグリッドマンも済まされない。彼もまた
『しまっ……』
もうその時には、自分の足が消えていくのを見てしまった。
足の感覚がなくなってくる。そうして身体がなくなっていき、果ては両肩までもが。まるでどこかへと連れていかれる感覚。
グリッドマンの抵抗も虚しく、その身体がツツジ台から消え去った。