GODGRID ─決戦機動電光超人─   作:ミレニあん

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 アニゴジとグリッドマン、同時期に発表された特撮アニメで、どっちも好きな作品です!
 この二作品をクロスさせるのが夢でしたが、こうして陽の目に出す事が出来ました。ぜひともご覧ください!


第1回 転・移 ‐右往左往怪獣エニグリム出現‐

「よし、出来た~」

 

 カーテンを閉めきった薄暗い部屋に、明るい声が響き渡った。

 

 新条(しんじょう)アカネ。きめ細かいショートヘアーとダボダボのパーカー、そして可愛らしい顔つきが特徴的。

 また無頓着な所もあってか、ヒビが付いた眼鏡を着用している。

 

『ほほぉ、これまた特徴的な姿だねぇ』

 

「でしょう? 今回はブルトンとかイメージして作ったんだよ~。空間を操作してグリッドマンを翻弄するの」

 

 アカネの前には電源が付いたパソコンが置かれていた。

 画面にはゴーグルをした黒い怪人が大きく写っている。アレクシス・ケリヴ──色々とあってアカネと協力し、数々の暗躍を行っている人物だ。

 

 アレクシスとアカネの間には一つの粘土があり、まるで抽象化させたようなウニのような形状をしている。一見すれば斬新かそうでないか曖昧なアートにも見えなくもない。

 

 これこそがアカネが作った怪獣の粘土。

 

 彼女は大の怪獣好き、その証拠に多数の怪獣ソフビがケースに保管されている。

 

『なるほどぉ、物理攻撃じゃなく空間操作を重視した訳だね。ちなみに名前は?』

 

「『右往左往(うおうさおう)怪獣エニグリム』。エニグマって英語があったからそれをもじったの。それよりも早く実体化させてよぉ」

 

『おっと、すまない。では早速……インスタンス・アブリアクション!!』

 

 アレクシスがコマンドを口にする。それこそが怪獣を実体化させる一種の呪文となっている。

 直後としてアレクシスのゴーグルアイが赤く発光。そうして怪獣の粘土を包み込み……

 

 

 

 #SSSS#

 

 

 

「内海……そろそろ帰る時間なんだけど」

 

「ああいや待ってくれ! ちょっといいページが見つかったからさぁ」

 

「……はぁ……」

 

 友達の行為に、響裕太(ひびきゆうた)はため息を吐くしかなかった。

 彼は内海将(うつみしょう)と共に本屋に出かけていた。それから目当ての小説を買ったので帰ろうとした矢先、内海が特撮系の雑誌を読みふけてしまったのだ。

 

 かれこれ30分近くそうなっている。そろそろ内海を置いて帰ってしまおうかと彼は考える。

 

「やっぱりレジェゴジはいいよなぁ……何かこう……このパワフルなフォルムとか鋭い目つきとかさぁ。裕太もそう思わねぇ?」

 

「あ、うん……まぁかっこいいんじゃないかな? 俺はよく分からないけど」

 

 どうもレジェゴジとかいうページを見ているらしい。

 以前にハリウッドのゴジラが上映されたのを裕太は覚えている。ただゴジラに詳しくないので、内海の話に全く付いていけない。

 

「……ん?」

 

 裕太の左腕からアラームが鳴り出している。

 そこには『プライマルアクセプター』という特別なアイテムを装着していた。これが鳴っているという事はただ一つ。

 

「内海戻ろう! 怪獣が出てきた!」

 

「お、おう! いい所だったけどしょうがねぇかぁ」

 

 この街――ツツジ台では侵略を受けている。それを食い止めるのが、裕太達グリッドマン同盟の役目。

 

 二人が急いで街中を走り出す。その途中、ある物が目に入る。

 

「あれか、怪獣は!」

 

「うぉ!? ブルトンかあれ!?」

 

「えっ、ブルトン?」

 

 ビルの上から覗き込んでいる巨大な物体。

 

 まるで青と赤の絵の具をぶちまけたような体色。獣的な要素はなく、まるでウニを思わせるような針の固まり。

 今まで裕太達は『怪獣』という巨大生物と戦ってきた。しかしその怪獣はそんな生物的な雰囲気はなく、まるでそれ自体がオブジェのようにも見える。

 

 それが街のど真ん中に鎮座されているのが、なんとも不気味だ。

 

「すいません遅れました!」

 

「あっ、お帰り」

 

「おう、おせーよお前ら。ちゃっちゃと終わらせようぜ」

 

 着いた先はリサイクルショップ『(あや)

 

 まず声を掛けてきたのは『絢』の娘である宝多六花(たからたりっか)。クールな雰囲気を醸し出した黒髪の少女。

 次に言ってきたのが、女の子にも見える黒スーツの少年ボラー。彼の他にも黒スーツを着た三人がおり、口元にマスク、腰に携えた刀、呑気にコーヒーを飲んでいたりと色々と個性的。

 

 彼ら四人の名は『新世紀中学生』。そして彼らと共に怪獣を倒すのが裕太、内海、六花……そして最後一人のグリッドマン同盟。

 

『裕太急ごう。奴は動いていないが、何をしでかすのか分からない』

 

「うん、分かった。……アクセス……フラッシュ!!」

 

 裕太が古びたジャンクパソコンの前に立ち、コマンドを叫ぶ。

 すると彼の身体がジャンクに吸い込まれ、街と怪獣の前に降り立つ。

 

 

 

 怪獣を倒す唯一の巨人、グリッドマンとして。

 

『……見た目から能力が判別出来ない……』

 

 街の中に立ち、構えを取るグリッドマン。

 彼の前には倒すべき怪獣がいる。いるのだが、攻撃はおろか特にこれといった動きを見せてこない。

 

 怪獣ではなく単なる物体では? 

 

 そう考えたグリッドマンだが、すぐに思い直す。そんな浅い考えが敗北に繋がる事をよく知っているのだから。

 そもそも立ち止まっても何も始まらない。まず牽制として怪獣に向かうグリッドマン。

 

 だが、

 

『……!?』

 

『な、なんだ……!? 身体が……!』

 

 グリッドマンの中にいる裕太の声。

 

 今、グリッドマンの動きが止まってしまっている。腕や足がピクリとせず、怪獣に近付く事もままならない。

 しかも直後、怪獣が消えてしまう。いや違う、正確にはグリッドマンが怪獣の背後へと()()した。

 

『何が起こっている……まさか空間操作……?』

 

 怪獣に振り返るグリッドマン。同時に周りにあるビル群が、一瞬にして消えてしまった。

 驚きを隠せなかったが、それでも呆気に取られている場合ではない。グリッドマンの頭上に、消えたはずのビル群が降ってきたからだ。

 

 落下。落下。落下。まるで隕石のように、ビル群がグリッドマンに襲い掛かる。

 彼は身のこなしの回避能力でかわしたが、

 

『グリッドマアアン!!』

『! グワア!!』

 

 グリッドマンに襲い掛かるタックル。吹っ飛ばされた身体がビルに叩き付けられる。

 

 そこにいたのは騎士(ナイト)と獣を複合させたような青い怪獣。

 

 人語を解し、グリッドマンの能力をコピー出来る謎の存在でもある(なお彼の名は『アンチ』と呼ぶが、その事をグリッドマン同盟は知らない)。

 

『貴様は俺が殺す! 今日、ここで!!』

 

『2対1……まずい……』

 

 裕太の言う通りだ。空間操作能力を持つ怪獣、能力をコピー出来る怪獣(アンチ)。形成不利だ。

 その前者がまたもやビル群を落下させてくる。これを回避したグリッドマンだが、突如目の前に怪獣(アンチ)が降ってくる。

 

『なっ!? グワッ!!』

 

『グウゥウ!!』

 

 グリッドマンと怪獣(アンチ)が激突。その衝撃が近くにあったビルの窓を破る。

 両者とも地面に倒れたのだが、怪獣(アンチ)の方が瞬時に立ち上がる。それも苛立っている辺りが見て取れた。

 

『こいつ俺を! 邪魔するなぁ!!』

 

 どうやらオブジェの怪獣によって転移された。そうグリッドマンが推測する。

 激怒した怪獣(アンチ)が、身体中にある発光部から光弾を発射。オブジェ怪獣に向かうも、それが消えてしまい、そして怪獣の背後に現れて飛んでいく。

 

 驚くべき空間操作。しかし怪獣(アンチ)は諦めず、光弾を何回も発射。今度がさっきよりも二倍三倍、あるいはそれ以上の数で応戦する。

 

 オブジェ怪獣は例の如く空間操作で退ける。ただ一つの光弾が向かい、怪獣に被弾――爆発。

 

『当たった……?』

 

 まさかの予想外に、グリッドマンが言葉を漏らす。もしかしたら空間操作にも限界があるのかもしれない。

 

 ただ、この時、何かがおかしくなる。

 

 

 

 ――……フオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……――

 

 

 

 

 オブジェ怪獣の咆哮だろうか。まるで怨霊の叫び声のような、そんな禍々しさ。

 

 すると、怪獣の前にあった自動車群が消滅。次にビルが消滅、またビルが消滅。そして怪獣の周り全体が消滅。

 

 怪獣の周囲にある全ての物体が、どこかへと転移されていく。

 

『クソッ! 巻き込まれ……』

 

 その消滅範囲に怪獣(アンチ)も入ってしまった。すぐに逃げようとしていたが、その身体が消えていき、跡形もなくなる。

 このままではグリッドマンも済まされない。彼もまた(きびす)を返したのだが、

 

『しまっ……』

 

 もうその時には、自分の足が消えていくのを見てしまった。

 足の感覚がなくなってくる。そうして身体がなくなっていき、果ては両肩までもが。まるでどこかへと連れていかれる感覚。

 

 グリッドマンの抵抗も虚しく、その身体がツツジ台から消え去った。

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