GODGRID ─決戦機動電光超人─   作:ミレニあん

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第2回 邂・逅 ‐フツアの村‐

「……ん……」

 

 真っ暗な視界が少しずつ開けられる。

 最初に入ったのは仄かな光だった。それに慣れてくると、見慣れない天井が目に入る。

 

「……ここは……洞窟……?」

 

 裕太は軽く辺りを見回した。どうやら洞窟のようだが、燭台が灯されたりと人の手が加えられているようだ。

 さらに誰かが横で寝ているのが見える。友達の六花と内海だ。

 

「内海、六花! 二人とも大丈夫!?」

 

「……んん……ん? 響君……」

 

 六花が目を覚ます。その後に内海を起き上がり、辺りを見回す。

 

「……あれ? そういや俺達、怪獣の攻撃に巻き込まれて……」

 

「攻撃……もしかしてあの空間転移に?」

 

「あ、ああ……。これは逃げないとまずいってキャリバーさん達に言われたんだけど、それが間に合わなくて……というかキャリバーさん達は?」

 

 そういえば新世紀中学生の姿が見当たらない。あるいは先に起きてどこかに行ったのかもしれない。

 そう思った裕太が起き上がろうとした所、洞窟の奥から足音が聞こえてくる。それも少しずつこちらに向かってくる。

 

「……えっ?」

 

「あっ、どうやら起きたみたいだね。具合はどうかな?」

 

 裕太は新世紀中学生が帰ってきたかと思っていた。しかし実際来たのは大人の男女二人だ。

 

 男の方は二十代後半~三十代辺りの外国人男性。声を掛けてきたのはこちらの方である。

 そして女の方は裕太達とあまり変わらない歳の見た目をしている。切り揃えた茶髪のショートをして、カチューシャのような物を着けている。おそらく日本人あるいは日系人か。

 

 ただ問題は、共通点として白い服のような物を着ている事だ。まるでSFの特殊部隊が着るようなデザインをしている。

 

「ああ、すまない。言葉は分かるかな?」

 

「……ええ、何とか」

 

「ならよかった。僕はマーティン・ラッザリ。環境生物学者をやっている。で、こちらは同僚のユウコ・タニ曹長」

 

「よろしく。それで……あなた達の名前は?」

 

「あっ、はい。えと、俺は響裕太、それと友達の内海将と宝多六花です……」

 

「よろしくっす……」

 

「どうも……」

 

 二人して呆然としながら挨拶した。裕太自身も同じような感じなので突っ込む事も出来ない。

 見た所マーティン達から危害を加えようとか敵意とか感じない。それに気絶していた裕太達を介抱していたので、いわゆるいい人なのだろう。

 

 しかし服とか洞窟とかで中々安心は出来ない。

 

 そもそも裕太達はさっきまで怪獣と戦っていたのだ。何でこんな所にいるのかが分からない。

 

「ある部屋で倒れてたから皆驚いたよ。それと簡単な検査はしておいたけど、これといった怪我とかはなかったね」

 

「そうですか……。あの、ここはツツジ台でしょうか? それと黒服を着た人達は?」

 

「ツツジ台? 何だいそれは? 黒服の人達なら奥にいるけど」

 

 マーティンが洞窟の奥へと指差す。

 

 裕太は違和感を感じつつも、六花達と一緒に向かう事にした。洞窟を出ると、思いもよらない光景が広がっているのを目にする。

 

 まるで広大なアリの巣のような空間。そこに穴が無数開けられて、その上に規則的に結ばれた紐が垂れ下がっている。

 人もたくさんいる。見る限り民族衣装のような服を着ながら、壺を運ぶ槍を作るといった作業をしていた。

 それにボディペイントだろうか、身体中には塗料のような物が塗られている。

 

「……何ここ。内海君、何か分かる?」

 

「いや俺にもさっぱり……ただモスラでこんな原住民の描写あったけど……」

 

 六花と内海が話している間、原住民が物珍しそうに見てくる。

 きっと裕太達の姿に不思議がっている事だろう。裕太はぎこちなく愛想笑いしながら自分の服を見つめる。

 

「……この服、ちょっと違和感あるかもな……」

 

「裕太、やっと起きたみたいだな」

 

 ふと声がしてきた。

 振り向くと見慣れた黒スーツが二人、こっちに向かってくる。

 

「マックスさん、キャリバーさん! ……あれ、ヴィットさん達は?」

 

「様子を見に行くと外に行った。それよりもここは奇妙な場所だ」

 

「……住民達に敵意がないのが幸いかもしれない。言葉を話せない所が不気味だが……」

 

 マックスに続いてキャリバーも言う。

 確かに原住民は一度も言葉を発していない。マーティン達が流暢に喋っているのとは全く真逆である。

 

 ますます裕太は不思議な感覚に囚われてしまう。ここがどこなのか、何で怪獣の戦いからここに飛ばされたのか。

 こんな時にグリッドマンがいれば何か分かるかもしれない。そう思いたくなる。

 

「……そういえばグリッドマン……ジャンクは?」

 

「ん? ジャンク? もしかして前時代のパソコンの事かい?」

 

「えっ? まぁパソコンと言えばパソコン……ってマーティンさん知っているんですか?」

 

「ああ、確かそれは……」

 

 マーティがジャンクの事を知っているみたいだ。

 それを聞こうと思った矢先、彼の腕から声がしてきた。裕太達の視線が腕に向いていく。

 

『こちらアダム少尉!! セルヴァムが接近中!! 至急援護を!!』

 

「何、奴らが!?」

 

「博士、私行ってきます!!」

 

 どうも腕に付いている物は通信機のようだ。それを聞くなり、ユウコが慌ただしく走る。

 何が起こったのか裕太には分からなかった。一方でマックス達が後を追いかけるのを見て、いつしか自分も走り出す。

 

「あっ、裕太!」

 

「お、おい! 響君!」

 

 内海やマーティンから声を掛けられるが、裕太には返事する暇もなかった。その後ろを彼らが追いかけている事にも気付く余裕もない。

 ユウコがひたすら走っていると、いつしか目の前に光が見えてきた。どうやらあそこに外があるらしい。

 

 ユウコと共に外に出て、そして立ち止まった。

 

「撃てぇ!! 撃てぇ!!」

 

 マーティン達と同様の服を着た男達。その中に紛れている、三メートルはあろう顔のない白いロボット。

 それらが手に持っている銃火器を、上に向けて撃っている。

 

 裕太が見上げると、霧か雲に覆われた空があった。その空を、異形の影が無数飛んでいるのが分かる。

 まるで翼竜のような翼、長い首、耳触りな奇声。その姿はまさしく……

 

「怪獣!?」

 

「にしては小さい……メガヌロン枠か!」

 

 内海が変わった事を言っている間、小型怪獣の一体が急降下する。

 無数の弾幕をかわしつつ、一機のロボットへとしがみつく。ロボットが抵抗しようと暴れまわるが、小型怪獣が鉤爪を強く食い込ませて離さない。

 

 するとその時、その足からロボットへと何かが広がる。まるで水銀か銀色のカビのような、ともかく金属を液体にしたような物。

 その金属のような物がロボットの装甲を浸食している。

 何が起こっているのか裕太には分からないが、どう見てもまずいとしか思えない。

 

 バアアン!!

 

 小型怪獣が砲撃を喰らい、地面に倒れる。

 この場に急行してきた別のロボットからだった。ロボットが射撃を行いながら裕太達に振り向く。

 

『響君達はそこから離れない事! すぐに掃討する!』

 

「タニさん!」

 

 どうやらユウコ(あの人)はロボットのパイロットなんだ。

 

 裕太が判断するが、同時にこのままでは危険だとよぎる。未だに小型怪獣の数が減らず、なおかつ何らかの侵食を行ってくる。

 マックス達も同じ事を考えているだろう。それぞれガントレットと太刀を取り出す。

 

「我々も加勢するぞ、キャリバー」

 

「分かっている……」

 

 怪獣や世界に戸惑っている素振りすら見せない。彼らが怪獣を掃討しようと地面を蹴ろうとした

 

 

 

 その時、

 

 ――ガアアアアアアアア!!――

 

 甲高い悲鳴。小型怪獣の群れから巨大な爆発が起こった。

 爆風と爆炎が群れを呑み込み、消し炭にしてしまう。さらに別の群れからも爆発。悲鳴すらかき消す。

 

 何が起こったのか。よく見ると、上空から砲弾が発射されたようだ。

 それが怪獣に着弾し、破裂させている。

 

『……あの攻撃は!』

 

 ユウコの声。同時に上空の雲を切り裂くように何かが降ってくる。

 

 小型怪獣かと思えば、それとは全く違う。

 硬質な青黒い装甲に、機能美を感じさせる長い手足。

 背面から生やした巨大な翼。その翼から光のようなスラスターを噴射している。

 

 それはユウコが乗っているロボットと酷似していた。ただ野暮ったいそれとは違い、まるで機械仕掛けの鳥人のようだった。

 

「援軍か……?」

 

 キャリバーが鳥人を見上げながら呟く。

 

 一方、鳥人は目に留まらぬ速さで飛行し、両腕の火器を発射する。砲弾が怪獣の一体に着弾し、またもや爆発。

 突然の攻撃に、小型怪獣は混乱をしていた。さらに身の危険を感じたか、鳥人から逃げるように飛び去る。

 

「……行ったか」

 

 それぞれの武器をしまうマックス達。

 静かになったこの場に、鳥人がゆるやかに急降下してくる。祐太達と男達の前に着地すると、胸のハッチが開いてきた。

 

「すまない。偵察に時間を掛かってしまった」

 

 鳥人に乗っていたのは日本人の青年だった。

 祐太達よりもはるかに年上の印象。それでいてその瞳に、どこか感情的な強い意思が宿っていた。

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