GODGRID ─決戦機動電光超人─   作:ミレニあん

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 本来月曜日投稿でしたが、諸事情で今日に投稿することにしました。

 またお気づきかと思いますが、場所場所な故に六花ママは登場しません……。
 何とか出そうと思ったのですがタイミングがタイミングだったもので……申し訳ございません!


第3回 浸・食 ‐機動増殖都市メカゴジラシティ‐

「んん……ん? あれ?」

 

「おお、やっと起きたか。心配していたぞ」

 

 目を開けると強面の顔が飛び込んできた。アレクシスである。

 さっきまでパソコンの中にいた彼だが、今は実体化してアカネの近くにいる。その姿を久々見たなと思いつつも、周りを見渡すアカネ。

 

 どうもここは薄暗い洞窟の中、どう見ても彼女自身の部屋ではない。

 

「ここどこ? というか私達……」

 

「エニグリムの暴走に巻き込まれて転移したらしい。まさかああなるとは私も思わなかったな」

 

「……ああ、確かそうだったねぇ……」

 

 右往左往(うおうさおう)怪獣エニグリムとグリッドマンの戦闘はドローンで把握していた。

 空間操作が思いのほか優秀で、最初はイケるとアカネは思った。ただそこに()()アンチの乱入だ。

 

 彼の行動でエニグリムが暴走し、自分の家ごと巻き込まれてしまった。

 

 それで自分達がどこかに転移されたらしい。しかも薄暗い洞窟という訳の分からない場所にだ。

 

「うわぁ、湿っているなぁここ……。アレクシスぅ、ここどこなの?」

 

「フツアの村の外れにある洞窟だ。君達は突然ここに現れたのだ」

 

「……えっ?」

 

 アレクシスではない誰かの声。

 どうも彼の背後にある暗闇から聞こえてきたらしい。そこから微かに、そしてゆっくりと靴音が聞こえてくる。

 

 そうして誰かが姿を現してきた。思わずアカネは眉を潜んでしまう。

 

「……誰?」

 

「彼が私やアカネ君を匿ってくれたのだ。名前は……」

 

「メトフィエス。以後お見知りおきを、麗しきお嬢さん」

 

 特徴的な結び方をして、病的なほどに白い髪。

 まるで人形のようにどこか無感情で、それでいて端正な顔つき。

 

 身長はアカネよりも大きく、アレクシスよりもやや小さい辺り。ただ身体つきが華奢なので、大きいといっても大柄な印象は全くない。

 着ている服はまるでSFに出てくるような白い戦闘服。顔つきの不釣り合いさが、どこか奇妙さと違和感を感じさせる。

 

「……はぁ、どうも」

 

 いきなりの事で戸惑うアカネだが、とりあえず会釈をする。

 同時に男性への違和感がさらに強まる。何故ならツツジ台の人間達は自分が手を加えた存在。こんな男性を手掛けた覚えは全くない。

 

「どうしたのかね?」

 

「あいや、何でもないです。ちょっとアレクシス、話が」

 

「ん、何々?」

 

 ひとまずアレクシスを連れて洞窟の隅へと移動した。

 共同者である彼なら何か知っている、そう彼女が思ったのだ。

 

「……今さっきあの人、フツアの村とか言ってたよね? ここって本当にツツジ台なの?」

 

「うむ、結論から言うとここはツツジ台じゃないね。正直言って、私もここがどこなのかハッキリと分からないんだ」

 

「はぁ? どういう……」

 

 おもむろにメトフィエスを見てみる。彼は二人を置いて洞窟の外に行っているようだ。

 外に行けば何か分かるのではと、アカネはひとまずメトフィエスの後を付いて行く。出るにつれて光が差し込み、思わず目を塞いでしまう。

 

「ようやく起きたか」

 

「……うっ」

 

 外に出ると一人の少年が立っていた。切り揃えた銀髪に鋭くも赤い目、黒い学ランにデザインされた炎のペイント。

臥薪嘗胆(がしんしょうたん)怪獣アンチ』。今の姿はあくまで仮の姿であり、戦闘時には青い怪獣に変化する。

 

 グリッドマンの能力をコピー出来るのだが、いかんせんおつむが弱くグリッドマンにやられてばかり。加えてさっきのエニグリム戦でも邪魔してきたので、アカネにとってはとにかく煙たい存在。

 

 そのアンチがメトフィエスと並んで、遠くの方を見ているようだ。

 

「メトフィエスさん、何でこの子を……それに二人して何を見て……」

 

 二人が見ている方を見た所、アカネは呆然とする。

 

 はるか彼方の地平線にある、巨大で異質な街。

 

 かなり遠くの方にあるはずなのに全貌が把握出来る。それほどに街が大きい。

 表面が青黒い金属に覆われて、まるでネオンのような光を灯している。それに微かに聞こえる機械の駆動音が、アカネの耳にこびりついた。

 

 まるでツツジ台が出来る以前の街にも似ている。そう思いながら、アカネがメトフィエスに向く。

 

「あの……あれ何ですか? 何かの軍事基地とか?」

 

「……『メカゴジラシティ』。かつて対ゴジラ兵器であったメカゴジラが、二万年を掛けて都市に進化した物だ」

 

「……はっ?」

 

 この場所やメトフィエスの事は知らないのだが、何故かその言葉から聞き慣れた物が出てきた。

 

 メカゴジラ。ゴジラ。

 

 アカネが好きなウルトラシリーズと双璧……というより先輩に当たる物に『ゴジラシリーズ』というのがある。作品ごとに違いがあるが、おおむねゴジラという怪獣が活躍するというのが共通点だ。

 その映画シリーズの中に、ゴジラを模したメカ怪獣『メカゴジラ』がいる。アカネはこの怪獣を知っているし、何より怪獣の中では割かし好きな部類に入る。

 

「……いやいや、あれがメカゴジラだなんておかしいでしょう? というかあれじゃあ怪獣じゃないし」

 

「お嬢さんが何を言いたのか分からないが、あれはまさしく『怪獣』だ。ナノメタルによる浸食を行い、そして取り込む。現に先ほどから我々はあのシティに手を焼かされている。このまま放っておけば我々……いや、地球その物が奴の一部になり果てるだろう」

 

「…………」

 

 会話が噛み合っていない。このメトフィエスというのは自分に酔っているのか。

 

 いずれにしてもアカネは、あの街をメカゴジラというのに抵抗を覚えた。怪獣はかっこよくて、その姿で暴れるからこそ輝いている。街の姿をしているなんて邪道以前の問題だ。

 

 誰が作ったのか知らないが、その人もろとも潰したくなる。

 

「……あんなのあり得ない……ぶっ壊したい……」

 

「ふむ、案の定メカゴジラシティにキレているねぇ。これで怪獣作成の理由が出来たという物」

 

「……どういう事、アレクシス?」

 

 アレクシスへと振り返るも、彼は答えなかった。

 代わりに隣にいるメトフィエスが言い出す。

 

「君の関する事はアレクシスから聞かせてもらった。怪獣を作っている事も。未だに半信半疑だが、もし本当ならぜひとも力を借りたい」

 

「具体的に何やるんですか?」

 

 アカネの質問に対して、メトフィエスがメカゴジラシティを見つめる。

 相変わらず何を考えているか分からないが、少しばかり目が細めているのをアカネは見逃さなかった。

 

「君達の手でメカゴジラシティを破壊してほしい。あれは存在してはいけない物だ」

 

 

 

 #SSSS#

 

 

 

 奇妙な事が起こるものだ。ハルオ・サカキは村の通路を歩きながら思った。

 

 彼の他には部下のアダム、ユウコ、博士のマーティン。そして三人の少年少女と新世紀中学生という二人組がいる。どれも服装が普通過ぎて、この場には全く似合っていない。

 

「……大尉、本当に信じるのですか? 彼らの話」

 

 ハルオへとアダムが尋ねてくる。

 本名はアダム・ビンデバルト。階級は少尉であり、血気盛んな若者。部下の中では信頼している方に入る。

 

「彼らがそう言っているのだから信じせざるを得ない。ここで嘘を言っても双方得はしないはずだ」

 

「それはそうなんですが……かと言って別世界からやって来たと言われてもすぐには……」

 

「俺達は今まで信じられない現象に立ち会ってきた。別世界の住人がいてもおかしくはないだろう」

 

 響裕太以下5名。

 

 彼らはこの世界の住人ではない、いわば別世界からの来訪者らしい。最初それを聞いた時はそんな馬鹿なと半信半疑だった。

 ただ着ている服や証言などで、ひとまず彼らの話は本当だと認める事にした。そもそも信じる信じないといった議論は時間の無駄になる。

 

「サカキ・ハルオ。そろそろ何が起こっているのか、我々に教えてもいいのではないだろうか?」

 

 背後からマスクの大男が言ってくる。

 確か名前はマックスだったか。あれから何の話もしていないので、そろそろ教える頃合いかもしれない。

 

「……俺達は旧富士山麓である物を発見した。それがこのメカゴジラシティ、対ゴジラ兵器のメカゴジラが進化した都市だ」

 

 腕の機器からメカゴジラシティの映像を出した。先ほど飛行兵器ヴァルチャーで偵察をした際、上空から撮った物だ。

 崩壊した富士山麓を埋め尽くすように広がる、金属の巨大要塞都市。

 その全貌を見せた途端、裕太達から息を呑むのが分かる。

 

「マジか……こっちの世界にもメカゴジラあんのかよ。ていうか街って……」

 

「内海知っているの、そのメカゴジラって」

 

「知らない訳ないだろう! 1974年に登場して以来、何度も登場した有名なロボット怪獣なんだぜ!? ていうかメカゴジラが存在するという事は、ここってゴジラシリーズの世界か?」

 

 どうも内海がメカゴジラの事を知っているようだ。

 もっとも別世界の情報ゆえか、ハルオ達の知るメカゴジラとは違いがあるのだが。

 

「そのメカゴジラシティをビルサルド……まぁ要は異星人だが。その一員であるガルグによって制御されていた。それさえあればゴジラを倒せる。そう彼らは信じて疑わなかった」

 

「えっ、ちょっと待って下さい。やっぱりゴジラもいるんですか?」

 

 内海が聞いてくる。

 何でここまで興味津々なのかハルオには分からなかったが、とりあえず返事をする。

 

「そうだ。この地球をゴジラから取り戻す為に俺達はやって来た。だからこそメカゴジラシティを最大活用しよう……そう思った矢先、構成素材であるナノメタルが暴走したんだ」

 

「僕達は逃げるのに精いっぱいだった。中にはナノメタルに取り込まれた仲間もいてね、あの時の光景が今でも忘れられない。それからフツアの村に戻って、あれを何とかしようと思っているって訳。まぁ、その間にナノメタルに汚染されたセルヴァムに襲われたりもしているけどね」

 

 ハルオに続いてマーティンが話してくれた。裕太達の視線が彼の方に向く。

 

「セルヴァムってさっきの怪獣の事ですよね?」

 

「ああ、簡単に言えばゴジラの亜種だ。メカゴジラシティがトラップとかで捕獲した後にナノメタルを注入させて、それで遠隔操作して操っているんだ。ナノメタルを拡散させる為の兵器としてね」

 

「……そんな事があったとは」

 

 裕太に動揺が走っている。

 

 ただ彼の仕草を見て、ハルオは違和感を感じる。シティに対しての反応が非戦力のそれじゃないからだ。

 まるでこういった事に慣れている。そんな姿だ。

 

「ここだ。ここに君が言っていたジャンクというのがある」

 

 目的地の部屋(というより洞穴か)に着いたので、ひとまず裕太に伝えた。

 いつ頃なのかよく分からないが、どうもこの部屋に古びたパソコンが現れたらしい。それが裕太の言うジャンクとの事。

 

「あっ、ありがとうございます!」

 

 慌ただしく部屋に入る裕太。

 続いて内海達も入ったので、ハルオも中に入る事にした。すると彼らが立ち止まり、絶句している。

 

「そ、そんな……」

 

 六花の声。

 

 彼らが探していたジャンクが、部屋の真ん中で粉砕されていた。辛うじてパソコンだと分かる液晶画面は、ケーブルを垂らしながら地面に垂れている。

 

 その姿を見て、裕太が絶望するように膝を突く。

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