GODGRID ─決戦機動電光超人─   作:ミレニあん

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第5回 一・致 ‐メトフィエスとアレクシス‐

『よし、ヴァルチャーの飛行試験終了。順調だったぞユウコ』

 

『先輩こそ、初めての操縦にしては中々よかったですね。Gの問題は大丈夫でしょうか?』

 

『ナノメタルが緩和しているとは言うが、やはり十分応えるな。後はシティに戻って調整するしかない』

 

『……尉……大尉!! ナノメタルが暴走してビルサルドを取り込んでいます!!』

 

『何!?』

 

 

 

 #SSSS#

 

 

 

『どういう事だガルグ!? ナノメタルで同胞を取り込むなんて、そんな事聞いていないぞ!!』

 

『落ち着けハルオ、これは我々ビルサルドの総意だ。我々がメカゴジラシティと一体化し、さらなる戦略向上に図る。このシティを見つけた時からそう考えたのだ』

 

『何だと……これは対ゴジラ兵器なんだろう!? そんなシステムが……』

 

『これがあるのだよ。このメカゴジラの真髄は物量攻撃でも、その多彩な戦術などではない。怪獣ゴジラに対抗できる唯一の存在……つまり「怪獣」と同じ存在にしてくれる力だ』

 

『ナノメタルはその怪獣になる為への必要な物質だ。これさえあれば、必ずやゴジラを倒せる』

 

『ガルグ……ベルベ……貴様ら……!』

 

 

 

 #SSSS#

 

 

 

『うわあ!! ナノメタルがぁ!! 身体が!! 身体がぁああああ!!』

 

『何が起こっている!? ガルグやめさせろ!!』

 

『……どうやらシティと一体となった同志が自律判断を行っているようだ。ナノメタルを増大化させ、ゴジラの森を喰い尽くそうとしている』

 

『もはや我々でも止められないだろう。……いや、止める意味はないと言うべきか。我々はこのナノメタルの恩恵に委ねるだけだ』

 

『くそっ……博士!! 皆を連れてシティから逃げろ!! 早く!!』

 

 

 

 #SSSS#

 

 

 

『ガルグ達から返事がない……やむを得ない、メカゴジラの頭部を破壊する! あれがナノメタルを制御しているユニットだ!!』

 

『了解……キャアアアアアア!?』

 

『砲台が俺達を……! ユウコ大丈夫か!?』

 

『か、掠っただけです!! しかしこれほどの物量攻撃じゃあ……アアアアア!!』

 

『ユウコ!? ユウコォ!!』

 

 

 

 #SSSS#

 

 

 

「皆がお聞きした通り、メカゴジラシティは勝手に暴走したのではありません」

 

 フツアの村の外れにある洞窟。

 

 メトフィエスはここを自分の教会とし、集めた信者達に教えを授けていた。今や信者の数は増え、そしてメトフィエスの言葉を心身に聞いている。

 

 彼が聞かせたのは、メカゴジラシティ暴走時に起きた会話の録音。

 

 ハルオとユウコがヴァルチャーの飛行試験を行っている時、兵士からナノメタル暴走の報告が舞い込んだ。そこからハルオとビルサルド――ガルグとベルベとの内輪揉めが始まる。

 その途中にナノメタルがガルグ達や兵士を取り込み、暴走。ハルオ達が何とかシティを止めようとしたが、ユウコのヴァルチャーが攻撃を受けて損傷。ハルオはユウコ機を連れて脱出した……らしい。

 

 らしいというのは、メトフィエスがこの目で見た訳ではなかったからだ。

 ただ先ほどの録音を聞けば、何が起こったのか手に取るように分かる。

 

「ビルサルドは怪獣と同質の存在になろうとし、メカゴジラシティのリミッターを解除したのです。今やメカゴジラシティはゴジラと並ぶ怪獣となり、我々にとっての脅威となっている。これは我々に対する裏切りに他ならない」

 

「そうだ!!」「許さない事だ!!」「あのナノメタルで俺の仲間が……くそっ!!」

 

 信者から怒りの声が聞こえてくる。

 メトフィエスは内心ほくそ笑む。その怒りが献身の後押しになってくれるのだから。

 

「しかし問題はありません、メカゴジラシティはもうじき終わりを迎えるのです。サカキ大尉などのような怪獣を憎み、そして滅ぼせんとする者の手によって。そうして機械仕掛けの偶像が消え去った後、我々は神の道へと歩むのです」

 

「神……でしょうか?」

 

「ええ。神を降臨させるには、どうしてもメカゴジラシティには消えてもらわなくてはならない。我々に必要なのはナノメタルでもゴジラに打ち勝つ戦力でもなく……ただ神を信じる心なのです」

 

 メトフィエス……ひいてはエクシフが崇める『神』。

 メトフィエスの働きは、全てはこの神があってのこそ。そうしてようやく神からの祝福が与えられる。

  

 そう考えた彼の身体が、どこか熱くなるのを感じた。

 

「さぁ、信じるのです。そして迎え入れるのです。やがれ訪れる大いなる宇宙知性『金色の王』を……」

 

「金色の王……我々の神……」「神よ……我らに祝福を……」

 

 信者が神へと祈りを込める。

 全員がそうなった所で、メトフィエスは一旦その場を離れ、洞窟の奥に向かった。

 

 そこに一人の少女が物資に座りながら、粘土をカッターで削っている。

 

「作業は順調かね、お嬢さん?」

 

「そのお嬢さんはやめてくれませんかねぇ……というかあまり集中出来なかった……」

 

 別世界からやって来た新条アカネという少女。

 

 彼女は洞窟から掘り起こした粘土を使って怪獣を製作していた。この製作した怪獣を、アレクシスが実体化させる事になっている。

 未だ途中だが、メトフィエスは少し楽しみにしている。一体どんな怪獣が出来て、どんな戦いを繰り広げるのか。

 

 先の事なのに、期待で胸が踊ってしまう。

 

「集中出来なかったのはどういう事かね?」

 

「どういう事って、さっきのカルトですよ。何とか出来ませんかあれ?」

 

「それはすまない。しかしああいう事がよくあるから、出来れば我慢はしてもらいたい。これは我々にとって大事な事だからね」

 

「……ハァ……潰したくなるなぁ……」

 

「何か?」

 

「あいや、何でもないです」

 

 小言を言ったかと思えば黙々と怪獣作成を始める。

 そんなアカネに、少し世間話をしてみようとメトフィエスは思う。

 

「しかしこの頼みを嬉々として請け負ったのは意外だ。君はあくまで無関係者のはずだが」

 

「それはそうですけど、私としてはあの街をメカゴジラ扱いにする所が許さないんですよ。ロボット怪獣はかっこよくて、パワフルじゃなきゃいけないんですし。だから私の作った怪獣で粉々にするんです」

 

「……ふむ、よく分からないがこだわりを持っているという事なんだね」

 

「まぁ、そんな感じです」

 

 やや困惑するメトフィエスだが、同時に面白いとも感じてくる。

 移民船の乗員もそうだが、地球降下部隊はやや枯れている感が否めない。だからこそアカネの場違いじみた活気が逆に興味深い。

 

「……ところであっちの方に行かなくていいんですか?」

 

「ああ、そうだった。では完成を楽しみにしているよ」

 

 そろそろ信者の所に行った方がよさそうだと、メトフィエスはアカネから離れる。

 その途中、どこかに行ってしまったもう一人の客を思い出しながら。

 

 

 

 #SSSS#

 

 

 

 濃い霧に包まれた森林。

 

 立ち並ぶ樹は金属の性質を持っており、木の葉だけでも鋭い切れ味をしている。また霧も森林から放たれた花粉であり、あらゆる電波を遮断するチャフにもなっていた。

 これら全て()()()()を源流にしているとされている。

 

「ほう、やはりあそこにいたか」

 

 不気味な森林の中、アレクシスが呑気に呟く。

 彼はある物を探しに、森林を歩き回っていた。大気がある種の猛毒になっているらしいが、人外の彼には全く通用しない。

 

 それで崖から覗けば目的の物が見つかった。森の中でも目立つ青と赤のオブジェ。間違いなく右往左往怪獣エニグリムだ。

 

 ──フオオオオオオオオオオオオオオオオンン……──

 

 エニグリムから響き渡る怨霊如き咆哮。

 

 直後として目の前の広い地面がぽっかり消えてしまった。すぐに地面はかなりの高さに出現し、そして落下する。

 

 地面は目の前のある山に投下、粉砕。山の上で地面だった土が零れてくる。

 

 

 

 ──……グウウウウウウウウウウウウウウウウウ……──

 

 

 

 エニグリムとは違う、空間を震わすような唸り声。

 それは山から。山は生きているのだ。そうにしか見えない巨体を持つ獣が、アリほどのエニグリムを嘲るように見下ろしている。

 

 エニグリムはこれに対し、空間から無数の光球を発射。アレクシスはそれがアンチの物だと看破。どうも先のグリッドマン戦で防いだ物を取り出す事が出来るようだ。

 

 光球がまっすぐ巨獣に着弾。

 

 巨獣の上半身を覆い尽くすほどの爆発が起きる。しかし巨獣は倒れはせず、しかも微動だにしない。

 

 ──……オ゛オオオオオオオオオオオオオオオンン!!──

 

 巨獣の大きな口が開く。すると空間を歪ませるほどの衝撃波が放出される。

 

 まともに喰らったエニグリムが、周りの樹木ごと塵芥(ちりあくた)へとなり果てる。やがて衝撃波が消えると、エニグリムがいた場所が不毛の地に変わってしまった。

 

「あーあ、エニグリムがやられてしまったか。まぁ、あんなの相手にするのは少々無謀だったか」

 

「これでいいのか? あれがないと元の世界に帰れないんだろう?」

 

 隣には人間体のアンチが付いてきている。

 彼もまた人外だからか、猛毒の大気でも平然としている。

 

「大丈夫さ。またエニグリムを実体化させて元の世界に帰ればいい。すぐにそうしないのは『あえて』だからなのだよ」

 

「あえて?」

 

「そう、ここは間違いなく本物の()()()()……色々と面白くなりそうな気がするんだ。まぁ、アカネ君はこの事に気付いていないか、あるいは単に気付かない振りをしているかもしれないがね」

 

 色々と調べて分かったが、やはりこの世界は現実世界のようだ。アレクシス達はエニグリムの空間転移によって、現実世界のパラレルワールドに迷い込んだのだ。

 アカネの方は未だにツツジ台の延長と()()()()()()()節がある。はっきりと本人に聞いた訳ではない、ただ彼女の経歴上そうなんだろうとアレクシスには分かった。

 

「それに、あの怪獣は私にとっての貴重なサンプルだ。アカネ君の怪獣にはない強い意思を感じる」

 

 この世界に興味を持った原因こそ、目の前の巨大怪獣だ。

 怪獣は人間のような瞳を細め、ゆっくりと大木如き脚を動かす。脚が地面を叩きつけるたびに、周りの樹や地面がはじけ飛んだ。

 

 巨大怪獣はどこかに向かっているようだ。それもまたアレクシスには分かる。

 

「アカネ君が見たらさぞ喜ぶだろう。この大気のせいで来れないのが残念……」

 

《楽しんでいるようで何よりだ、アレクシス》

 

「!」

 

 脳内にあの声が聞こえてくる。

 一応周りを見渡すも、声の主は見当たらない。とすると……アレクシスはあるキーワードを思い出す。

 

「テレパシーを使えるとは。見かけ以上に厄介だね、メトフィエス君」

 

《テレパス能力は他種族にとっては脅威になる。もっとも人外の君になら大丈夫だろうと踏んでいたが》

 

「別に気にはしないよ。それよりもアカネ君の様子はどうだい?」

 

《ああ、順調だ。見ていて面白くも感じる。これはシティの破壊が期待出来そうだ》

 

「そうだろう? 実を言うと私も楽しみにしているんだ。やはりあの時に我々の事を言ってよかったよ」

 

 フツアの洞窟に転移した後、アレクシスが最初にメトフィエスと接触した。

 彼はアレクシスを見て只者ではないと看破(最も容姿を見れば一目瞭然だが)。さらに彼がメカゴジラシティの破壊を目論んでいるのを知って、アレクシスは率先して怪獣の事を話したのだ。

 

 アレクシスは巨大都市の破壊という『情動』に満たされ、メトフィエスはその破壊という『目的』が達成出来る。

 

 これほど両者とも得のある利害一致はないだろう。だからこそアレクシスはこの世界に留まる事に決めたのだ。

 

《楽しそうで何よりだ。ところで先の発言を聞くに、あの怪獣を見ているようだな》

 

「ああ、もちろん。あれはまさしく貴重なサンプルになりえるはずだ。ああいうのを見ると退屈から紛れる」

 

《そうか……ただあらかじめ言っておくが、それには触れないように頂きたい。奴は我々エクシフにとっては必要な存在だ》

 

「必要?」

 

《ああ、いずれに降臨なさる……『神』への供物の為に》

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、アレクシスは垣間見る。

 光り輝く空間を蠢く、三体の龍の影……。

 

「…………」

 

《……どうかしたかね、アレクシス》

 

「……あ、いやぁ何でもない。とりあえずアレには手出しをしなければいいんだね? ぜひともそうしておくよ」

 

《助かる。では私はこれで……》

 

 その言葉を最後に、メトフィエスのテレパシーが消えた。

 ただそれが終わっても、アレクシスは先ほどの龍が気になっていた。単なる幻にしては大分明瞭で、そして何よりも……おぞましい。

 

「さっきから何喋っていたんだ……?」

 

「ん? ああ、単なる独り言だよ。それよりも戻るとしますか」

 

 用がなくなったので、アレクシスとアンチはフツアの洞窟に戻る事にした。 

 背後では、巨獣の咆哮が雷のように響き渡る。




 作品の都合上、アカネちゃんのストレス耐性が若干高めです(本当に若干ですが)。どんな怪獣を作っているのかは追々分かるかと。
 またこの時系列においてシティはゴジラと戦っていません。「シティが暴走して、ハルオ達がフツアの村へと脱出」→「その後に裕太達と邂逅」という流れです。
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