GODGRID ─決戦機動電光超人─   作:ミレニあん

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サブタイは増殖都市の主題歌「THE SKY FALLS」の歌詞から引用しました。
またその主題歌を聴きながら読むのをお勧めします!


第6回 強・行 -一人にはさせない-

 裕太達から来てから一日が経った。

 

 フツアの村の外。その大きく開けた場所にハルオは立っていた。彼は専用機であるヴァルチャーを見上げながら、今後の事を考える。

 

 やがていつまでそうしていたか、気が付けばユウコが彼の方に向かってきた。

 

「先輩、ちょっといいですか?」

 

「ああ、どうした?」

 

 ユウコにある場所に連れていかれる。そこにあったのは彼女専用のヴァルチャーだ。

 実は右腕と右半身の装甲を、メカゴジラシティの砲撃で破壊されたのだ。とても機動出来る状態ではない為、先ほど起こったセルヴァム襲撃時に出撃出来なかったらしい。

 

「損傷した装甲と右腕をパワードスーツの部品に置き換えたんです。そうするとまるで溶け合うようにヴァルチャーと接合しまして……これってもしかしてナノメタルの自己修復でしょうか?」

 

 そのヴァルチャーだが、以前よりマシな状態になっている。

 ユウコの言った通り、ロボット兵器パワードスーツの予備パーツで応急処置をしていた。パーツが溶接されたようにヴァルチャーへと接着している。

 

 これがナノメタルのなせる業か。

 

 改めてハルオはナノメタルの万能さに驚く。それを見ながら、ハルオはシティ暴走の時の事を思い出す。

 

 

 

『……ハルオ、お前のやっている事など同志には一目瞭然だ』

 

『ガルグ! 生きていたのか!?』

 

 ユウコ機が砲撃によって損傷し、急いで担いだ直後だった。

 

 ナノメタルに呑み込まれたと思われたガルグから通信が届く。彼自身の姿はノイズによって映されなかったが、それでも声だけはハッキリと聞こえてきた。

 

『聞こえているならナノメタルを止めるんだ、今すぐに!! それは危険な存在だ!!』

 

『……危険か……。だがハルオよ、その言葉には致命的な矛盾が存在する。それに何故気が付かないのか』

 

『……何だと?』

 

 ガルグの予想だにしない言葉。

 彼はナノメタルに取り込まれているというのに、酷く冷静にハルオに伝えてきた。

 

『そも怪獣とは、ゴジラとは、人の手で決して倒せないからこそ怪獣なのだ。人智を越えた者に打ち勝つ事は、既に人の行いの範疇には無い。

 ゴジラを倒すと心に決めたその時から、君は人ならざる者を志していたのだ、ハルオ』

 

『……ガルグ……』

 

『勝利するなら覚悟しろ。人を超え、ゴジラを超えたその果てに至ると!!』

 

『…………ガルグ……ガルグウウウウ……!!』

 

 

 

 あれからあの後の行動を覚えていない。覚えているのは命がらがらシティから逃げた時だけ。

 よほど興奮していたからか、あるいはガルグの言葉にショックを受けていたからか。いずれにしてもハルオは、ガルグの言葉に何も返す事が出来なかった。

 

「……どうかしました、先輩?」

 

「……あ、ああ。危険なナノメタルで直されるなんて皮肉だと思ってな……」

 

「そうですか……でもこれで出撃は出来ます。今度こそ一緒にメカゴジラシティを……」

 

「いや、今度は俺だけでいい」

 

 さっきまで考えた事をユウコに告げた。

 そんなハルオに、彼女が驚愕の表情を浮かべる。

 

「そんな……無謀です! それに先輩一人でどうにかなる問題では!」

 

「仮にメカゴジラシティを破壊した後、あのゴジラだけが残る。ゴジラを倒す為にはより多くの戦力が必要なんだ。ここでお前を失う訳にはいかない」

 

「それは先輩も同じです! 先輩がいなければゴジラを……」

 

「分かっている……だがガルグやベルベを止められなかった俺にも責任がある。あの時の止められなかった事を、今やるしかないんだ」

 

「そんなの勝手です! 自分を責めてはい終わりって、それこそ無責任じゃないですか!」

 

「…………」

 

 ユウコの言葉に、ハルオは何も言えない。

 

 確かに降下部隊の指揮官として無責任だ。それに一人でメカゴジラシティに立ち向かって生きて帰れる保証なんてない。

 そもそもメカゴジラシティの暴走が起こる前に、もっと早くナノメタルの異常性に気付けばこんな事にはならなかった。仲間のガルグとベルベが隠していたとは言え、その調査を怠っていた事が今回の原因だとハルオは思っている。

 

 だがくよくよしている暇はない。メカゴジラシティを何とか止めたい。それだけしか考えられない。

 

「ユウコ、お前の言いたい事は分かる。しかし……」

 

「サカキさん、待って下さい!」

 

 その時、裕太がこちらにやって来た。

 彼の後ろには友人二人と新世紀中学生、そしてジャンクを台車で運んできたマーティンとアダム、フツアの姉妹がいる。ジャンクの方は最初見たような壊れた姿ではなく、不格好ながらもちゃんと直っていた。

 

「響……どうやらジャンクは直ったみたいだな」

 

「はい、おかげさまで。それと……俺達を匿ってくれてありがとうございます」

 

 裕太や内海達が頭を下げてきた。

 突然の事で目を丸くするハルオ。

 

「何者か知らない俺達を疑わず、あそこまで世話をしてくれた事が嬉しかったです。それでジャンクも直してもらって……本当に感謝しかないです」

 

「……いいんだ。俺達はただやるべき事をやっただけだ。君達が頭を下げる必要はない」

 

「でも本当に嬉しくて……だから恩返しと言うと恩着せがましいですけど、俺達もメカゴジラシティ破壊に協力します」

 

 顔を上げた裕太がいきなりそんな事を言ってきた。

 年端の行かない少年がいきなり怪獣と戦う。本気で言っているのかどうかはともかく、ハルオは納得出来ない。

 

「そう言ってくれるのは嬉しい。ただ君達はあくまで民間人……」

 

「いや、案外そうではないらしいよ、サカキ大尉」

 

 すると前に出るマーティン。

 彼が運んできたジャンクが、いきなり電源が付いた。何と画面に装甲を着たような人物が映っている。

 

『このような場所からで申し訳ない。私はハイパーエージェント――グリッドマン、君達と同じメカゴジラシティに対抗出来る存在だ』

 

「……なっ」

 

「これが俺達の本当の姿です。……アクセス……フラッシュ!!」

 

 ジャンクの前に立った裕太が叫び出すと、身体がジャンクに吸い込まれてしまった。

 同時にどこからともなく巨人が現れ、ハルオ達の前に着地する。紛れもなく画面にいたあの人物が、巨大になって実体化したのだ。

 

 数々の修羅場に見舞われ続けたハルオでさえ、開いた口が塞がらない。

 

「これってあれですよね。昔日本にあった『ジャパニーズジャイアントヒーロー』っていう」

 

「アダムよく知っているなぁ。僕の両親、こういった特撮が好きでよく見ていたんだよな」

 

「いやいや二人とも、そんな呑気に……」

 

 アダムとマーティン、ユウコが話している中、ハルオは目を白黒させていた。

 今見ている物は現実だろうか?

 今までの精神疲労が祟って幻覚を見ていると思いたいくらいだ。

 

 だがその間にも、新世紀中学生がジャンクの前に並び立つ。彼らもまた一斉に、そしてどこか共通のある言葉を発する。

 

『アクセスコード、バトルトラクトマックス!!

         グリッドマンキャリバー!!

         バスターボラー!!

         スカイヴィッター』

 

 彼ら四人も吸い込まれていき、そして空間に基盤のような文様が浮上し、現れる。

 

 砲台を持った装甲車、金色の刃を持った剣、二連ドリルの戦車、そして蒼い戦闘機。

 

 パワードスーツやヴァルチャーとは比べ物にならない巨大兵器が、グリッドマンの周りに降り立った。

 

『サカキ・ハルオ。これで我々を民間人とは言えないはずだ』

 

『メカゴジラシティが怪獣と言うのなら……その怪獣を倒すのも俺達の仕事だ』

 

『水臭いんだよあんたは。まぁ、俺達がいるからには安心してくれってな』

 

『要塞都市を相手するのは想像つかなかったけど、まぁ何とかなるんじゃないかな』

 

 新世紀中学生の声が聞こえてくる。あの巨大兵器からだ。

 未だにハルオは動揺を隠せていない。泳いだ目で内海達を見た途端、彼らが微笑んでくる。

 

「本来グリッドマンとマックスさん達が同時出撃すると処理落ちするんですよ。それで俺が出力を絞れば解決するんじゃってなったら、これが上手く行きまして。これならメカゴジラシティだって対処出来ますよ」

 

「非戦力の私が言うのも何ですが、サカキさんは一人じゃないと思うんです。こうして響君やグリッドマン、そして皆さんがここにいて、そして一緒に戦おうとしている。それを覚えてほしいな……なんて」

 

「……内海、宝多……」

 

 本来彼らはこの世界にとって無関係のはず。にも関わらず、こうして率先して協力しようとしてくれている。

 未だ状況を呑み込めていないハルオだが、同時に自分はとんでもない事をしたのではと思ってきた。今さっきハルオ自身、特攻じみた事をやろうとしていた。

 

 分かってはいたが、それは愚かだ。こんなにも協力者……いや心強い味方がいるのを気付かずに。

 

 ハルオはおもむろにフツアの姉妹へと振り向く。ミアナもマイナも、激励するようにコクリと頷く。

 

《ハルオ……頑張って》

 

 二人のテレパシーが、応援の言葉が、ハッキリとハルオの脳裏に響いた。

 

「……ユウコ、今すぐに出撃準備だ」

 

「……えっ?」

 

「俺とユウコ、そして空を飛べる者は上空からメカゴジラシティに強行突破。シティからの砲撃は間違いないだろうから、その時はマックス達地上部隊が援護してほしい」

 

「先輩……」

 

 もはや悩む必要などなかった。

 ハルオはグリッドマン達の前に立ち、指揮官としての礼を述べる。

 

「君達の協力、感謝する。シティはナノメタルで構成されている以上、何が起こるのか予測出来ない。だからこそその戦力、大いに期待する!」

 

『……はい、サカキさん!!』

 

 ジャンクから聞こえてくる裕太の声。驚くハルオだが、同時に綻びそうになる。

 

 ハルオとユウコはすぐにヴァルチャーに搭乗。グリッドマンはキャリバーを片手にヴィットに乗り、出撃の準備を整えた。またハルオの指示通り、マックスとボラーは地上から強行する事にしている。

 

 これで確率が低かったシティ破壊達成を、さらに格段に上げる事が出来た。

 

「俺達を退けたシティはさらなる戦力強化を行っている事だろう。それには気を付けてほしい」

 

『分かった。サカキ・ハルオも無茶はしないでほしい』

 

「フン、グリッドマンに言われなくとも。

 

 

 

 ヴァルチャー全機、グリッドマン同盟(チーム)、出撃!!」

 

 ヴァルチャーの超音速飛行。翼から赤いスラスターの光を噴かせながら、一瞬にしてフツアの村から遠ざかる。

 

 またヴィットに乗ったグリッドマンが、ほぼ同じ速度でヴァルチャーと並んでいる。ヴァルチャーの速度に劣らない事に、ハルオは心底感心する。

 

「ヴィットを解析すれば優秀な兵器が量産出来そうだ」

 

『褒めているつもりだろうけど、あいにく解剖はごめんだね。これでも痛みはあるし』

 

「冗談だ。そろそろシティが見えてきたぞ」

 

 数秒経たずに旧富士山麓に到着する。かつて富士山があった場所だが、ある怪獣によって破壊されたという経歴がある。

 その富士山の陥没場所を覆い尽くすように、メカゴジラシティが存在する。

 まるで粘菌のように地表を覆い尽くしている巨大な街。いつ見ても気持ちのいい物ではない。

 

『先輩、シティからセルヴァムの群れが出現!!』

 

 ユウコの音声通り、シティから黒い雲のような物が放出される。

 

 遠目で見たセルヴァムの群れだ。しかもメカゴジラシティによってナノメタルを注入され、シティの拡散兵器に成り果てている。

 接触すればナノメタルに感染され、最悪の場合シティの一部になる可能性がある。

 

「戦闘態勢、撃て!!」

 

 ハルオとユウコのヴァルチャーから砲撃。群れに砲弾が直撃すると、巨大な爆発が発生。

 半分は消し炭にしたが、まだ残っているようだ。

 

『アンプレーザーサーカス!!』

 

 今度はヴィットが攻撃を開始した。機体後部から無数のレーザーを放つ。

 レーザーはまるで意思を持っているようにセルヴァムを追尾。避けようとする個体を一体残らず焼き尽くしていく。

 その追尾性能にハルオは驚愕するが、肝心のセルヴァムはまだ存命。数少ない生き残りがグリッドマンに向かってくる。

 

『グリッドォ!!』

 

『キャリバァー!!』

 

『エンドオォ!!』

 

 キャリバーを大きく振るうグリッドマン。

 

 金色の刃でセルヴァムを切り刻み、遺骸を地上に落とさせた。これでセルヴァム全個体が掃討された事になる。

 

「助かったグリッドマン。このままシティに向かう!」

 

『了解!!』

 

 ユウコの返事と共に、ハルオ達はメカゴジラシティに立ち向かう。

 目的はナノメタルを制御しているメカゴジラ頭部の破壊。それで全てが終わる。

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